自分を責める心理の目的をカウンセラーが解説
自分を責めてしまうのは病気じゃない
まずはじめに大切なのは、自分を責める心理は、自分の意思に関係なく、勝手に続いてしまう心理だということです。
自分を責めたくて責めたくてしかたない!と望んでしていることではありません。
自分自身も責めるのをやめたいのに無意識に続いてしまうわけですから、自分を責める心理を感じている本人が一番苦しいわけです。
この記事は、『自分を責める』心理の目的について当方なりの想いを綴った記事です。
自分を責めてしまうのは病気じゃない
責めるのをやめたいと思っているのに無意識に続いてしまうわけですから、自分は病気ではないか?と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
かつての私もそうでしたが、自分の意思に反して勝手に自分を責めてしまう病気だと思えても無理のないことです。
ただ、ふと振り返ってみると、自分の意思に反して勝手になにかをしてしまうのは、日常生活ではよくあることですよね。
頭ではわかっているのに…
ついつい…うっかり…気がつくと…
こんなふうに、自分の意思に反して勝手になにかをしてしまうことは結構あるものです。
例えば、超一流のサッカー選手でも、全部が全部、自分の意思通りにはいきません。
大事な場面で力が入ってしまい、自分の意思に反してシュートを外してしまうことは、決して病気ではありませんね。
自分の意思を持たないロボットなら別ですが、人間も生きものである以上、自分の意思に反して、どうしても自分を責めてしまうことは、決して病気ではなく、むしろ自然なことです。
責める側と責められる側、心は二つある
自分を責める心理は、心が無意識にしているもので、意識してわざとやっているけではない。ということです。
そして、自分を責めてしまう心理=自己否定感が生まれてきた理由もちゃんとあるのです。
なので、周囲から「自分を責めるのをやめるんだ!」と言われてもやめられないほうが自然です。
ここで興味があるのなら、心の基本的なメカニズムである意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)に興味をもってみることもひとつのアイデアなのかもしれません。
自分を責める心理が生まれるのは、責める側と責められる側の心理の葛藤、つまり人の心は意識と無意識のふたつあることを意味します。
とても簡単に言えば、人の意思には二種類あって、自分が注意してどうにかできる部分と、自分が注意してもどうにもできない部分の二つがある。ということです。
例えば、お蕎麦屋さんが片手にお蕎麦を持ちながら自転車で配達していたとしましょう。
お蕎麦を落とさなうように注意している部分が意識の守備範囲で、バランス感覚で自転車を運転している部分が無意識の守備範囲です。
なので、自分を責める心理は、自分の意思で意識して責めているのではなく、自分の意思とは関係なしに無意識が勝手にしている心の反応と言えます。
自分を責めることは自分のあら探し
さて、ではなぜ?無意識はわざわざ自分を責めてしまうのでしょうか?
私が思うのは、無意識は何かを探してくれているのではないか?ということです。
無意識は、自分のダメなところなどをあら探しをしているように私は感じます。
なんでわざわざ自分をあら探しするのでしょうか?
それはあら探しすることで、自分の落ち度みたいなモノを見つけようとしているように感じます。
落度が見つかれば、その落ち度を改善することで、誰かに認めてもらえたり自信がつくからです。
ということは、いつの頃か…
自分が可愛くないから
寂しい思いをしてしまうんだろう…
自分が面白くないから
話しを聞いてもらえないのだろう…
自分が努力が足りないから
褒めてもらえないんだろう…
自分がいけないから
みんなの機嫌を悪くして
しまっているんだろう…
自分がなにか劣っているから、
自分がなにか足りないから、
自分はずっと嫌な気分をすることになってしまっているんだろう…
もしかしたら、このような思い込みが心にあるのかもしれません。
もしそうだとしたら…
もっと可愛くなれば
寂しい思いをしないで済むんだ!
もっと面白くなれば
話を聞いてもらえるんだ!
もっと頑張れば
褒めてもらえるんだ!
自分が我慢していれば
みんな平和でいられるんだ!
自分の落度を改善すれば
自分は幸せになれるんだ!
このように、
条件付きの幸せを
設定してしまったのかもしれません。
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自分を責める=認めてもらいたい
そして、いつか自分が設定した幸せの条件は、
認めてもらうためには、
もっと頑張らなきゃいけない…
迷惑を掛けてはいけない…
というふうになってしまったのかもしれませんね。
なので、無意識はこの幸せの条件を忠実に守り続けている。
つまり、どうしても自分を責めてしまうのは、自分の劣っているところやわがままなところを探し続けているわけです。
自分の劣っているところやわがままなところを見つけ、その落ち度を改善することで周囲に認めてもらえて幸せを感じられるからでしょう。
だから自分を責めることは、周囲に認めてもらうためのネタを探し続けてくれている。ということになります。
このように、自分をせめてしまうのは病気ではなく、むしろ、自分に厳しくしたり、すごく頑張ったり我慢をすることで、「よくやったね!すごいね!」って「周囲に褒めてもらたい!周囲に認めてもらいたい!」という心理(専門用語で利得心理)が隠れています。
自分を責める心理はずっと前から続いてる
でも、なんで?こんなややこしいことになってしまうのでしょうか?
例えばあるとき、辛い想いや寂しい想いを感じてしまったとしましょう。
その時、辛さや寂しさを感じることになった理由に納得がいかないままに、
ただただ時間が過ぎてしまう場合があります。
例えば
いじめなど、理不尽な辛い想いをした経験があったり…
親の愛情不足を感じていた経験があったり…
ひとりではどうにもできない理由で、
辛い想いや寂しい想いを感じることになってしまっていたとしたら。
同じ想いは二度と感じたくありませんので、誰かに助けを求め心を安堵させていものです。
でも、そのとき周囲に希望を求めづらかったとしたら?
もしそうだったとしたら、
自分が苦しい想いをすることになったのは、
自分に落ち度があったからだ!
自分の努力が足りないからだ!
自分がもっと優秀だったら苦しい想いをしないで済んだんだ!
と、こんな誤解をしてしまうのかもしれません。
ここが悪かったから
いじめられたんじゃないか?
ここが足りないから
愛されないんじゃないか?
もっと頑張らないと
嫌われてしまうのではないか?
ずっと我慢していれば
いつか誰かがわかってくれるんじゃないか?
人にどう思われているのかな?
怒らせてないかな?
嫌われていないかな?
うまく話さなきゃいけない!
人気者にならなきゃいけない!
もっと
ああしなきゃいけないんじゃないか!?
もっと
こうしなきゃいけないんじゃないか!?
ずっと続けているのに、
ちっとも終わらない…
ずっと待っているのに、
誰にも気づいて認めてもらえない…
ずっと頑張っているのに
いるのに全然安心できない…
このような自分を責める心理がグルグルと堂々巡りしてしまって、幸せになろうとすればするほど苦しくなってしまうのかもしれません。
自分を責めることは自分を叱咤すること
責めるという行為は怒っているとも言えます。
ダメな自分に怒っている…
情けない自分に怒っている…
心配した自分に怒っている…
自分のことが嫌いだ…
このように自分を否定的に捉えてしまう認知が自分を責める心理の原因とも言えます。
認知とは、「対象物をどう評価しているか?」ですので、
自分を責めているということは、自分は「価値が低い」と感じているとも言えます。
自分のことを「価値が低い」と感じているわけですから、自分の価値を高める必要を感じます。
そこで、自分の価値を高めるために、自分を鍛えて強くする!といった雰囲気で、自分を責めてしまうのかもしれません。
スポーツの世界でコーチが選手を叱咤激励するように、もっと頑張れ!もっと頑張れ!と、自分を責めることで自分の価値を高め周囲に認められようとする狙いが、自分を責める心理に隠されているのかもしれません。
(関連:うつ病の症状チェックリスト)
アダルトチルドレンという捉え方
さて、アダルトチルドレンという言葉を知っていますか?
アダルトチルドレンとは、「幼少期の傷ついた感情を成人しても感じ続けている。」という捉え方のことです。
はるか昔の傷ついた感情を今も心に感じている。
自分を責める心理も、もしかしたらアダルトチルドレンの症状なのかもしれません。
気になる方は、当社監修のアダルトチルドレンチェックリストでチェックしてみてください。
自分を責めているような心理の目的は、遠い昔の自分が苦しい想いをすることになった理由を、ずっと前から探し続けているってことだと、私は思います。
でも残念ながら、自分が苦しい想いをすることになった原因は、自分に落ち度があったわけではないので、探しても探しても、いつまでも落ち度が見つからないのでしょう。
あるはずのない自分の落ち度を、あるものだと思い込んでずっと探し続けている。
自分を責めるのをやめたいのに、どうしても自分を責めてしまうのは、それだけ懸命に何かを探し求めているということだと私は思います。
なので、一度、自分自身の歴史をゆっくりと振り返ってみることで、新しい発見があり、いろいろな誤解が解きほぐされていくのでしょう。
苦しい堂々巡りが始まったいきさつや当時の心情を今からでも見つめなおしてあげることで、自分を責める心理を終らせていくことは可能です。
自分が悪かったのではなくて、自分は苦しかったんだ…と、気づいて納得がいったとき、いろいろな誤解が解きほぐされて、長く続いていた堂々巡りがようやく終わっていくのだと私は思っています。
(関連:あなたは何も悪くない…)
自分を責める心理も、当方のカウンセリング&セラピーを利用することで、今は改善と回復を実感してくださっている皆さまがたくさんいらっしゃいます。
誰も巻き込まず誰にも邪魔されず、あなたとわたしの二人の共同作業で自分を責める心理を平和的に解きほぐしていく。いつかそんなお手伝いをさせて頂けますと私は嬉しいです。