ネガティブ感情とは?心理学でやさしく解説
POINTネガティブ感情は、確かにイヤな感じですが、決して敵ではありません。
心理カウンセラーの寺井です。
最近、テレビやインターネットで、ネガティブ感情という言葉をよく耳にします。
「私はネガティブだからいけないんです…」
「ネガティブな考えばかりしてちゃダメだ…」
このように、最近、あたかも、「ネガティブ感情を感じていること自体がダメなことだ!」「ネガティブ感情そのものがダメなものだ!」と、大きな誤解をしてしまっている方がたくさんいらっしゃるようです。
さて、みなさんは、ネガティブ感情の意味をよく理解したうえで、ネガティブ感情はダメ!だと主張しているのでしょうか?
この記事は、ネガティブ感情の種類、ネガティブ感情の意味、ネガティブ感情の解放の仕方などについて、心理学に沿って解説をしています。
ネガティブ感情の種類
さて、まずはじめに、ネガティブ感情を純粋に学術的に捉えようとすると、「心理学的なネガティブ感情の種類」と「表情認知学(脳科学)による研究結果」の二つに注目する必要があります。
ただ、この記事はネガティブ感情について学術的に論じることが目的ではなく、ネガティブ感情を感覚的に捉えることを目的としたいので、あえて「心理学的なネガティブ感情の種類」を参考にしていきます。
心理学的なネガティブ感情の種類
心理学的なネガティブ感情の種類については、アメリカの心理学者ロバート・プルチックが1980年に提唱した「感情の輪」が有名です。
プルチックは、人間には基本感情として、「喜び、信頼、心配、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り、予測」の八種類があると提唱しています。
このプルチックの提唱を、当方メンタル心理そらくもなりの感性でさらに噛み砕くと、人のネガティブ感情の種類は、「怒り、不安、恐れ、罪、悲しみ、羨望、嫉妬、嫌悪」の八種類がスタンダードだと考えています。
ネガティブ感情の意味
前述した、当方メンタル心理そらくもなりに考える「怒り、不安、恐れ、罪、悲しみ、羨望、嫉妬、嫌悪」=八種類のネガティブ感情の意味について説明していきます。
怒り
自分の存在を侮辱されたときや攻撃されたときにイライラと感じます。正当防衛などといった言葉がありますが、怒りとは外敵から身を守ろうとするための生き物として必要不可欠な正当な闘争心とも言えます。
不安
正体や思惑がよくわからない相手やよくわからない状況に対してソワソワと感じます。心配するなどとも言いますが、不安とは身の安全を守る警戒心であり、不安とは安心したいという願いでもあります。
恐れ
事故の危険やケガの危険など、直接的に具体的に身に差し迫ってくる危険に対してドキッ!と瞬間的に感じます。驚きやビビリとも言いますが、差し迫る危険を瞬発的に危機回避します。
罪
ルール、モラル、常識、世間体など、道徳的規範に違反してしまったときに感じます。嘆きや後悔や自責とも言いますが、あえて自分に負担を掛ける=自虐的に捉えることで今後の成長と工夫を準備します。
悲しみ
人との別れや大事なモノなど、とても大切ものを喪失してしまったときにメソメソと感じます。寂しいという感情もありますが、悲しみも寂しさも、その大きさのぶんだけ、喪失したものをとても大切に想っていたという証です。
羨望
相手には有り自分には無いものを欲しがっている時に感じます。羨ましい、憧れるとも言いますが、自分もあの人と同等でいたい!と自分自身の飛躍を促すきっかけになります。
嫉妬
自分が愛情や好意を寄せる相手を誰かに奪われそうになった時に感じます。孤独=1人ぼっちになることを恐れているとも言え、幼少期の育ての親からの愛情不足=見捨てられ不安と密接な関係にあります。
嫌悪
自分にとって、とても不快な物や納得のいかない理不尽な言動や理解不能な考えなどに対してモヤモヤと感じます。不安と同じく、身の安全を守ろうとする警戒心であり、対象と安全距離を取って安心したい願いでもあります。
ネガティブな感情が成功を呼ぶ
上記のように、ネガティブ感情をゆっくりと解きほぐしてみると、それぞれのネガティブ感情に込められている想いやメッセージ性があり、ある意味、ネガティブ感情ひとつひとつにも個性と役割があることが見えてきます。
ネガティブ感情があるからポジティブ感情を生み出せる…
例えば、冬の厳しい寒さを感じるからこそ、お風呂の温かさを心地よく感じることができます…夏の厳しい暑さを感じるからこそ、飲物の冷たさを心地よく感じることができます。
同じように、不安とは安心したいという願いであり、寂しいとは一緒に居てほしいという願いであり、辛いとは助けてほしいという願いである…
このように、ネガティブ感情に込められている想いやメッセージ性をキャッチして満たしていくことで、嬉しさや穏やかさや楽しさや心地良さや安心=幸せ感=ポジティブ感情を生み出すことができます。
ですので、「ネガティブ感情は成功を呼ぶカギ」とも言えますし、「ネガティブ感情はポジティブ感情を生み出す大切な原材料」とも捉えることができます。
ネガティブ感情はイヤだけどダメじゃない!
「良薬は口ににがし…」ということわざがあります。
確かに、「にがい」という感覚=ネガティブ感情はイヤな感覚です。ですが、「にがい」というネガティブ感情を感じるからといって「良薬」そのものはダメなものではありません。
つまり「にがいというイヤな感覚」=ネガティブ感情と引き換えに生まれる「良薬の効能」は、あくまで自分にとってはプラスなわけです。
でも人の心は、「にがいというイヤな感覚」を生み出すのだから、「良薬」そのものもダメなものだ!と極端に捉えることで慎重に安全確保をしようとする心の働きを感じます。
この極端な思考のことを「白黒思考」と呼び、無意識に慎重に安全を確保しようとする心の働きを「防衛機制」と呼びます。
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防衛機制(ぼうえいきせい、英: defence mechanism)とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。欲求不満などによって社会に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応メカニズムを指す。
引用元:防衛機制
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ネガティブ感情とアダルトチルドレン&インナーチャイルドの関係
もし、「自分はネガティブ感情を感じやすいなぁ…」と感じているのだとしましたら、自分が感じているネガティブ感情を、アダルトチルドレンやインナーチャイルドとして捉えてみるのもひとつのアイデアかもしれません。
怒り、不安、悲しさ、寂しさなど、幼少期に感じたネガティブ感情が解決されないまま成長し、幼少期に感じたネガティブ感情の影響を大人になってからも引き続き感じ続けている心理状態にある人を、心理学ではアダルトチルドレンと言います。
そして、生きづらさの原因=アダルトチルドレン症状を引き起こす原因=未解決のままの幼少期のネガティブ感情を認識しやすくする工夫として、あえて空想して想い描く自分自身の幼少期のイメージを、心理学ではインナーチャイルドと呼びます。
つまり、「ネガティブ感情を感じやすい…」などの症状=生きづらさの原因=アダルトチルドレン症状の原因は、自分の性格の弱さが原因ではなく、幼少期から持ち越したままのストレス=未解決のままの幼少期のネガティブ感情が原因です。
なので、未解決のままの幼少期のネガティブ感情を発散し解決する工夫として、インナーチャイルドを思い描き、インナーチャイルドを癒すことで、長年の生きづらさ=アダルトチルドレン症状を根本解決していく方法を、インナーチャイルドセラピーと呼びます。
このように、あなた1人では直視しづらいネガティブ感情も、心のことを熟知した心理カウンセラー&心理セラピストとの共同作業によって認識しやすくなります。
そして、ネガティブ感情をしっかりと見つけ、ネガティブな感情を安全に解放していくことで、長年の生きづらさの根本解決が可能となっていきます。
なので、「ネガティブ感情は成功を呼ぶカギ」と言えるわけです。
ネガティブな感情の解放の仕方
では、当方メンタル心理そらくもが考える「ネガティブ感情の解放の仕方」とは、どのような感じなのでしょうか?
じつは、「ネガティブ感情の解放の仕方」には、とても大切なポイントがあります。
それは、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」ということです。
ネガティブな感情の解放を進めようとした時、ときどき、「ネガティブな感情を手放す!」などといったニュアンスを耳にすることがあります。
ですが、「ネガティブな感情を手放す!」ですと、ネガティブな感情を否定することになり、ネガティブな感情がかえって大きくなってしまうように私は感じます。
ですので、「ネガティブ感情の解放の仕方」としては、「ネガティブな感情を手放す!」のではなく、「ネガティブな感情を受け入れる…」といったニュアンスが大切になります。
ネガティブな感情を受け入れる…
さて、ここからは、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」ニュアンスについて解説をしていきます。
ネガティブ感情は、消すのではなく和らげる…
今、あなたが感じているネガティブ感情の大きさが「100」だったとしましょう。
このとき、現状「100」であるネガティブ感情の大きさを、「1」に和らげようとしていくニュアンスが、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」というニュアンスです。
例えば、今、あなたが感じている不安の大きさが「100」だとしたら、「100」⇒「0」=不安を消そうとするのではなく、「100」⇒「1」=不安を和らげることを目指すのが、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」というニュアンスです。
ネガティブ感情を消そうとするとかえって膨らむ…
では、なぜ?ネガティブ感情を消そうとしてはいけないのか?についてですが、それは、「人の感情は否定すればするほど大きくなる…」という特徴があるからです。
つまり、ネガティブ感情を消そうとすると、ネガティブ感情を否定する=自己否定をすることになってしまい、否定されてしまったネガティブ感情は「100」⇒「200」⇒「300」と、かえって膨らんでしまうわけです。
例え、ネガティブ感情であっても、自分の感情は、そもそも自分にとって必要だから感じているわけです。
にもかかわらず、自分にとって必要な感情を、自分自身に消されてしまいそうになるわけですから、「必要な感情を消されてたまるか!」と、必死の抵抗を煽ってしまい、かえって膨らんでしまうわけです。
なので、例えば、不安を消そうとすればするほど、「不安を消されては生きていけない!」という不安が同時に生まれてしまい、「なんとしても不安を消さなければ!という自分」と、「なんとしても不安を消されてたまるか!という自分」の自分同志の戦争みたいになってしまい、不安が不安を呼び、かえって不安が膨らんでしまうわけです。
このように、自分同志の戦争みたいな心理状態を、心理学では「強迫観念」と呼んだりします。
なので、「ネガティブな感情を受け入れる…」という作業には、「ネガティブ感情は下手に手を出すとかえって危険…」という認識が必要となります。
ネガティブ感情のコントロールをお手伝い
さて、前述のとおり、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」ということであり、「ネガティブな感情を受け入れる…」作業は、ある意味、とても危険な作業でもあるわけです。
なので、あなた1人では難しい、「ネガティブな感情を受け入れる…」作業を、あなたとのチームワークで進めていくお手伝いをさせて頂くのが、当方メンタル心理そらくものカウンセリング&セラピーです。
当方メンタル心理そらくもは、「ネガティブ感情の解放の仕方」を熟知している心の専門家です。
ですので、楽しい旅行を引率するツアーコンダクターのように、あなたの「ネガティブ感情のコントロール」を、安全にエスコートしていきます。
確かに、ネガティブ感情とはイヤなものですが、決してダメなものではありません。
「ネガティブ感情はイヤだけどダメじゃない…」
この捉え方が、「ネガティブ感情の解放の仕方」=「ネガティブな感情を受け入れる…」=「ネガティブ感情のコントロール」の最大のカギとなります。
感情はそもそも必要なので、ダメだ!ダメだ!と否定しても、かえって膨らんでしまいます。
戦争やテロがそうであるように、相手の存在を否定しようとすればするほど、かえって相手も必死になり、はからずもグルグルと現状を繰り返してしまいます。
なので、「イヤなネガティブ感情をやっつけるとか取り除くとか消し去る!」というより、「イヤなネガティブ感情をどうでもいいというレベルまで和らいでいく…」
当方メンタル心理そらくもは、そんな平和的で解決志向のカウンセリング&セラピーをお届けしています。
以上、「ネガティブ感情とは?心理学でやさしく解説」という記事でした。