カウンセリングの例え話:太陽とスッポン
カウンセリングとは?自分を客観視すること…
カウンセリングとは、自分を客観視することで新しいチャンスに気づく作業とも言えます。
自分が叶えたい望みや願いがなかなか叶わず、現状維持を繰り返しているように感じるのなら、少し斜に構えて自分を客観視してみることで、いろいろな気づきを得られ、新しいチャンスを発見できるのかもしれません。
この記事は、カウンセリングの目的や雰囲気を例え話で表現しています。
苦しさに耐えるスッポン
我慢していれば…頑張っていれば…いつかきっと…
あるところにスッポンが暮らしていました。
なんでか?どうしてか?はわからないのだけれど、スッポンはじっとしたまま動きません。
そんなスッポンの頭上にはカンカンと輝く太陽がおりました。
カンカンと輝く太陽のせいでスッポンの甲羅はみるみる乾いてしまい、スッポンはとても苦しい想いを感じておりました。
それでもスッポンは我慢して我慢してじっとしたまま太陽の陽射しにひたすら耐えておりました。
我慢していればきっといいことがあるはずだ…
頑張っていればきっとわかってもらえるはずだ…
スッポンはこのような想いを感じながら、ただただ我慢して頑張って耐え続けておりました。
けれどもスッポンがいくら頑張って我慢しても太陽は変わらずカンカンと陽射しを注いでいます。
意地悪なくらいに、太陽は変わらずカンカンと陽射しを注ぎ続けています。
スッポンはこんな風に想いました。
僕がこれだけ頑張って我慢して苦しい想いをしているのに、太陽はなんでわかってくれないんだ?
太陽はちっとも気づいてくれないし、ちっとも陽射しを和らげてくれない…
太陽はなんて悪いやつなんだ!太陽はなんて使えないやつなんだ!
スッポンは胸のうちでモヤモヤ&グルグルと太陽への不満を感じながらも、ただただ我慢して頑張って耐え続けておりました。
助けてほしい!が言えない…
スッポンは次第に自分の苦しさに気づいていきました。
けれど、「苦しいので助けてほしい!」という素直な気持ちをスッポンは太陽にどうしても言えませんでした。
我慢していればきっといいことがあるはずなんだろうけど、本当は自分だって苦しいんだ…
本当は「陽射しを和らげてください…」と太陽さんにお願いしたいのだけれど、恥ずかしくて言えないよ…
だから、黙って頑張っていればきっと太陽さんのほうが気づいてくれるはずだ!
しかし太陽からしてみれば遠く離れたスッポンの姿は残念ながら見えようもなく、苦しんでいるスッポンの気持ちに気づきようもなく、苦しんでいるスッポンのために陽射しを和らげてあげるなど思いもよらないことでした。
我慢や頑張りを気づいてもらえないと自分を責めはじめる…
そのうちスッポンはこんな風に想いはじめました。
僕がこれだけ頑張って我慢して苦しい想いをしているのに、太陽はわかってくれない…みんな何も言ってくれない…
よく我慢したねって誰かにわかってほしい…もう自由にしていいよって誰かに言ってほしい…
僕がこれだけ頑張って我慢して苦しい想いをしているのに、ぼくは誰にも気づいてもらえない…
ぼくはなんて悪いやつなんだ!ぼくはなんてダメなやつなんだ!
自分の苦しい想いをただただ我慢して頑張って耐え続けることで表現し続けたスッポン…それでもちっとも気づいてもらえないスッポンは、いつしか、わかってもらえない自分&気づいてもらえない自分が悪いんだ…ダメなんだ…と誤解してしまうようになりました。
疲れ果て、どうしたらいいかわからない…
それ以来、ほっと楽になるためには頑張って我慢して誰かに認めてもらわなければならなくなって、でもほっと楽になるためにはさらに苦しさを堪え続けなければならなくもあって、とても鬱々とした気分を感じるようになってしまいました。
スッポンは、もうなにも感じないロボットみたいに疲れ果ててしまい、苦しさが麻痺してしまうくらいにとても疲れ果ててしまい、自分は一体どうしたらいいのか?自分は一体どうしたいのか?がわらなくなってしまいました。
そんなぼーっとしているスッポンを見かねた一羽のカラスがこんな風に話しかけました。
カウンセリングの雰囲気を感じてみましょう。
自分の気持ちをわかってもらえるとホッとする…
それでは、ここからカラスとスッポンの対話=カウンセリングの雰囲気を感じてみましょう。
カラス:わたしにはスッポンさんがずいぶん苦しそうに見えるよ。スッポンさんはこれから一体どうしたいんだい?
スッポン:どうしたいか?なんてわからない。ぼくはただ暑いのを我慢して耐え続けるしかないんだ。
カラス:そっか、スッポンさんは暑いのを我慢しているんだね。ところでスッポンさんはこれからも暑いのを我慢し続けたいのかな?それともほんとは我慢し続けたいわけではなくてほっと楽になりたいのかな?スッポンさんの望みはどちらなんだい?
スッポン:そりゃ僕だってほっと楽になりたいよ。でも太陽が意地悪だから暑いのを我慢するしかないんだ。
カラス:そっか、スッポンさんは太陽が意地悪だなって感じているんだね。ところでどうして太陽を意地悪だって感じているの?
スッポン:だって僕がこれだけ暑さに耐えて我慢しているのに、太陽はちっとも気づいてくれないからさ…
カラス:そっか、スッポンさんがたくさん我慢して待っているのに太陽さんがちっとも気づいてくれないのだとしたら、そりゃスッポンさんにとって太陽は意地悪な存在に感じるだろうなとわたしも思うよ。
スッポン:うん。うん。
カラス:確かにスッポンさんが教えてくれてた通り、太陽が陽射しを和らげてくれれば暑さが和らいでスッポンさんはほっと楽になれるよね。でも太陽がなかなか気づいてくれないから、スッポンさんはとても苦しい。ってことなんだろうね。
スッポン:そうなんだ。ぼくはとても暑いし、苦しいし、それでも我慢して頑張っているのになかなか太陽に気づいてもらえなくてもうどうしたらいいかわからないんだよ…
ぼくは暑いと感じている…
ぼくは苦しいと感じている…
ぼくは我慢して頑張っている…
ぼくは太陽さんに気づいてもらいたい…
でもどうしたらいいかわからない…
このように、スッポンはカラスと対話をすることで、自分自身の胸のうち=想いや願いをあらためて素直に棚卸し、表現&発散&再確認できたことで、スッポンは少しだけ心がほっと楽になりました。
自分の想いや願いがわかると新しい道筋が開ける…
今まで1人で抱え込んでいた気持ちをひと通り話してみることで、まずは一旦、心がほっと楽になっていきます。
このように、まずは一旦、心がほっと落ち着くことで、ようやく次のステップに進むことができます。
カラス:だったら太陽さんに陽射しを和らげてくださいってお願いしてみては?
スッポン:なんだって!?なんで僕がお願いしなきゃならないんだ!悪いのは太陽じゃないか!
カラス:そっか、スッポンさんは楽になりたい。でも陽射しを和らげてほしい!って太陽にお願いするのも嫌だ。ってことなんだね。それでは八方塞がりでとても苦しくなってしまって当然だよね。
スッポン:そうなんだ。僕も早く楽になりたいんだけど太陽にお願いするのも納得いかないんだよ。だからカラスさんから太陽にお願いしてくれないかな?
カラス:スッポンさんの言うとおりだね。スッポンさんのアイデアは素晴らしいと思うしわたしも協力したいのだけれど、わたしにもわたしの気持ちがあってね…太陽が陽射しを和らげてしまうと環境が変わって僕もほかのみんなも困ってしまう。だから残念だけど、陽射しを和らげてほしいと僕から太陽にお願いすることは嘘をつくことになるのでわたしは避けたいんだ。
スッポン:そっか、そうだよね…自分で何とかしなきゃ…だよね…
カラス:そうだね。スッポンさんの言うとおり、わたしや太陽さんになんとかさせようとするより、スッポンさんがスッポンさんを楽にしてあげる。っていうアイデアは、誰かに甘えて誰かを巻き込むわけじゃないし、誰かに一喜一憂して振り回されるわけじゃないから、一番平和的で確実なアイデアだなとわたしも思うよ…それにスッポンさんが楽になってくれるとわたしもホッと安心できるしね。
スッポン:ありがとう…でもぼくはどうしたらいいのだろう…
カラス:では、こういうアイデアはどうかな?太陽の陽射しはそのままそっとしておいて、太陽の陽射しに関係なく、スッポンさんがほっと楽になってしまってみては?
スッポン:えっ!?太陽の陽射しが暑いままでもぼくが楽になれる方法があるの?それが一番いいや!ぜひ教えてくれよ!
スッポンはカラスとの対話を続けることで、自分は今まで苦しいと感じていた。そして今も苦しいと感じている。だからといって太陽にお願いして楽にしてもらうのも嫌だ。だから太陽に楽にしてもらうより自分で自分を楽にしてあげたい!という自分自身の願いに気づいていきました。
人はみな自由でいたい…
カラス:そうだね。スッポンさんも太陽やぼくに楽にしてもらうとあとあとなんだか後ろめたいだろうからね。だからこそ太陽にお願いするのが嫌だ=つまりスッポンさんは自分で自分を楽にしてあげたいんだね。
スッポン:そうなんだ!太陽にお願いして助けてもらうのもなんだか癪で納得がいかないので、ぼくは自分で自分を楽にしてあげたいんだよ!カラスさん、その方法を教えてくれよ!
スッポンの素晴らしい意思を確認できてカラスはニコニコしていました。
カラス:わかりました(^^)それでは、そこにある池に飛び込むだけだよ。なにも自分はじっと動かず無理に太陽を変えようとしなくても、自分から動いて太陽との距離を空けて池に飛び込めば太陽はそのままにスッポンさんは涼しくて楽になるでしょ?
スッポン:そっか!!!カラスさん、ぼく思い出したよ。ぼくは幼い頃からお父さんに苦しいことから逃げるな!って言われ続けてきたんだ。でももう限界だよ。もう自分を楽にしてあげたいよ。もう自分を自由にしてあげたいよ。だからぼくはもう苦しいことから逃げてもいいんだね。
カラス:そうだね。でも苦しいことから逃げていいかどうかは、とても大切なことなので、スッポンさんではないカラスのわたしには残念ながら決められないよ。もしスッポンさんがお父さんだったら今まで苦しいのを頑張って我慢し続けたスッポンさんになんて言ってあげたいの?
スッポン:そうだね。ぼくがお父さんだったら、今までよく我慢したね。もう自由に楽になってくれたほうがお父さんも嬉しいよ。って言ってあげたいよ!
カラス:素晴らしい気持ちだね。じゃぁ、少し目を閉じて、お父さんの想いをお父さんに代わってスッポンさんがスッポンさんに届けてあげるのも素晴らしいことかもね。
自分の自由は自分だけが切り開ける…
そしてスッポンは、少し目を閉じて深呼吸をしながら胸のうちでこんな想いを唱えました…
今まで苦しかったね。今までよく我慢したね。これからは苦しいのから自由になってくれたほうがお父さんも嬉しいよ。これからはもう自由にしてくれたほうがお父さんも喜んでくれると思うよ…
しばらく目を閉じでいたスッポンはゆっくりと目を空けると、スッキリとした穏やかな表情をしながら、自分の意思で池に飛び込むことで自分で自分を楽にしてあげました。
それ以来スッポンは、あるときは太陽と距離をおき、池の中でスイスイと泳いで笑顔で過ごし、あるときは太陽に近づいて岩の上で甲羅干しをして笑顔で過ごしました。
そして、太陽は相も変わらず今まで通りカンカンと輝いておりました。
こうして、過去の思い込みから自分を自由にしてあげることでスッポンはスッポンを自由にしてあげて、結果、太陽とスッポンの平和的共存=太陽も(^^)でスッポンも(^^)=共存共栄が始まりました。
心理カウンセラーの役割り
いわば舞台でいえば黒子さんのように、クライアントさま自身の胸のうち=想いや願いをあらためて棚卸し、表現&発散&再確認する作業を安全距離を保って見守りほう助することが心理カウンセラーの役割りです。
そして、このお話のカラスの役割りを心理カウンセラーといいます。