アダルトチルドレンタイプの解説
アダルトチルドレンのタイプは、機能不全家族で育った子どもの特徴です。
アダルトチルドレンのタイプは、ヒーロー(英雄)、スケープゴート(身代り役)、ロストワン(いない子)、ピエロ(おどけ役)、ケアテイカー(世話役)、イネイブラー(支え役)、プラケーター(慰め役)など、機能不全家族で育った子どもの特徴=アダルトチルドレンの特徴を表したものです。
また、アダルトチルドレンのタイプについて理解を深めることは、心理カウンセリングによるアダルトチルドレン克服においても大きな意味があります。
この記事は、アダルトチルドレンタイプについて解説しています。
アダルトチルドレン6つの役割
アダルトチルドレンのタイプは、アメリカの心理セラピスト、ウェイン・クリッツバーグが書籍に表した「アダルトチルドレン6つの役割」のが始まりです。
アダルトチルドレンの6つの役割とは、ウェイン・クリッツバーグが、1985年に出版した「ACOA症候群(The Adult Children of Alcoholics Syndrome)」という本の中で言い表した言葉です。
アダルトチルドレンとは、子ども時代、機能不全家族で育った影響で、大人になっても生きづらさを感じている人を指します。
ウェイン・クリッツバーグは、この本の中で、成人したアダルトチルドレンが、子ども時代、機能不全家族の中でどのような役割を担ってきたか?の特徴を、ヒーロー(英雄)、スケープゴート(身代り役)、ロストワン(いない子)、ピエロ(おどけ役)、イネイブラー(支え役)、プラケーター(慰め役)の6つの役割として表しました。
ただ、アダルトチルドレンとひと言で言っても、様々な人たちがいます。なので、アダルトチルドレンのタイプの意味とは、アダルトチルドレンのタイプが明確に6つに分かれるという意味ではありません。
あくまで、アダルトチルドレンという概念を理解しやすくするために、機能不全家族で育った子どもたちの性格を、とりあえす6つにまとめたものです。
アダルトチルドレンタイプの解説
ウェイン・クリッツバーグが現した6つの役割のなかで、プラケータ(慰め役)とイネイブラー(支え役)は、ケアテイカー(世話役)としてひとつにまとめられる場合があります。
また、プラケータ(慰め役)、イネイブラー(支え役)、ケアテイカー(世話役)をそれぞれ別のタイプとして考える場合もあります。
なのでここでは、ウェイン・クリッツバーグが現した6つの役割=ヒーロー(英雄)、スケープゴート(身代り役)、ロストワン(いない子)、ピエロ(おどけ役)、イネイブラー(支え役)、プラケーター(慰め役)に、ケアテイカー(世話役)を加えた7つのタイプについて、その特徴を解説します。
ヒーロータイプ(英雄)
- 家族の期待を背負っている。責任感が強く、学校や職場でも周りのまとめ役になることが多い。
- 学業やスポーツやビジネスでもいい成績を取ろうと頑張り、世間の評判を気にしたり、「しっかりしている!」と褒められるように努力します。
- 息抜きが苦手な部分があり、ミスや失敗を極端に恐れ、他人のミスも自分のミスのように感じがちです。
- 完璧主義のように、「もっと○○しなきゃ!もっと○○しなきゃ!」と、ついつい自分を追い込んでしまいがちです。
- 自分の頑張りによって家族の結束を維持しようとする一面があります。
スケープゴートタイプ(身代り役)
- スケープゴートはヒーローの真逆の位置取りで、家族における一番の落ちこぼれとして、あえて厄介者を演じます。
- 自分が厄介者を演じることで、「この子さえいなければ…」という懸念を家族に抱かせ、家族に共通の心配ごとを振りまくことで、逆に家族の結束を維持しようとする一面があります。
- ヒーローはプラスの評価で期待を膨らませ家族の結束を維持しようとするのに比べ、スケープゴートは非行行為や迷惑行為などマイナスの評価で心配を煽り家族の結束を維持しようとします。
- また、スケープゴートは素直になることに怖さや恥ずかしさを感じやすく、「どうせ自分なんて…」と拗ねているような一面があります。
ロストワン(いない子)
- 家庭内ではあまり目立たないようにし、いるかいないかわからない。という印象を演じる子どもです。
- ヒーローやスケープゴートのように、プラスの意味でもマイナスの意味でも家族の関心を集めることはせず、病気や苦境も隠して家族に負担や刺激を与えることを避けます。
- 褒めたり怒られたり心が揺れ動くこと自体が苦しいため、家族ともあえて安全距離を置き、自分の心が傷つくことを防いで、引きこもりなど、苦しいながらも家族に負担を掛けないようなんとか生き抜こうとします。
- とくに、ロストワンの性格、ロストワンの症状は、日本人の男性にも女性にも多い特徴と言われていますので注目してみる価値があります。
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ピエロ(おどけ役)
- おどけていて子どもっぽく、人との争いや人と比べられることを恐れます。
- 例えば、スポーツチームなどに所属してもレギュラーを目指さなかったり、ゲームなどでも実力を出さずわざと負けてしまったりします。
- あるいは褒められたり評価されて昇進や中心人物になることを極端に拒否したりします。
- 沈黙や静けさなど気まずい雰囲気になると大きな不安を感じるため、気まずい雰囲気を恐れ、いつも明るく振る舞うように努力しています。
- 落ち着きがないと言われるほどの明るさを持っているのですが、その明るい仮面の下の本当の自分を誰もわかってくれないと懸命に耐えています。
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ケアテイカー(世話役)
- 「優しい子」「思いやりのある子」と言われるよう努めてきたところがあり、周囲の役に立つことが一番の指標です。
- 自分勝手にならないように、常に自分の希望を我慢しています。
- 困っている人がいると放っておけない優しさがあります。
- 自分の都合より他人の都合を優先しがちで、自分の都合を優先することはとてもわがままなことだと感じてしまいます。
- 相手の気持ちや望みを敏感に感じ取ることができます。
- その反面、「自分がどうしたいのか?」「自分がどう感じているのか?」がわかりずらくなることがあります。
- ケアテイカーの特徴は、世話好きな日本人の母親像にみられる特徴でもあります。
イネイブラー(支え役)
- 自分のことよりも他人のことを優先して常に動き回っていることが多いです。
- 父親代わり…母親代わり…といったように、年の離れた兄弟の一番年長の子供がこのタイプになることが多いです。
- 両親に頼りなさを感じると、母親代わりになって幼い弟妹たちの面倒をみたり、ダメな父親の代わりになって母親と弟妹を父親から守ろうとします。
- 自分が支えてきた父親あるいは母親あるいは兄弟が十分に幸せになるまで自分の幸せを後回しにする傾向があります。
- 男の子が父親代わりとなって母親を支え続け、女の子が母親代わりになって父親を支え続けると、それぞれ恋人や夫婦のように近しい関係となり、周囲からは理解しずらい親子関係に映る場合があります。また、娘と母親のペアでも友人のように近しい関係となり、娘の結婚や出産など人生の進展が遅れてしまう場合もあります。
プラケーター(慰め役)
- プラケーターは、心配そうで自信がなさそうな母親を懸命に支えようとします。
- つまり、プラケーターが慰める相手は、ほとんどの場合、母親であることが特徴です。
- とくに、父親の暴力・ギャンブル・飲酒・浮気・仕事依存のことで母親が悩んでいると、優しく問いかけて愚痴を聞いてあげます。
- 母親の愚痴を聞いてあげる小さなカウンセラー、それがプラケーターの優しい個性です。末っ子であることが多いと言われます。