ケアテイカー(世話役)、プラケーター(慰め役)、イネイブラー(支え役)の違い
POINTケアテイカー(世話役)、プラケーター(慰め役)、イネイブラー(支え役)は、似ているようで違います。
心理カウンセラーの寺井です。
アダルトチルドレンのタイプについて、書籍によっては「ケアテイカータイプ(世話役)は、プラケータータイプ(慰め役)とイネイブラータイプ(支え役)のふたつに分かれる」と捉える場合があります。
これは、ケアテイカータイプも、プラケータータイプも、イネイブラータイプも、「自分のことより相手のことを優先し、相手に尽くそうとする…」という点で一致した特徴を持っているためです。
ただ、最近の心理カウンセリングの現場では、ケアテイカータイプ(世話役)も、プラケータータイプ(慰め役)も、イネイブラータイプ(支え役)も「似て非なるもの」と捉え、それぞれ個別に分けて考え、さらにきめ細やかに取り組んでいくことが主流です。
この記事は、ケアテイカータイプ(世話役)、プラケーター(慰め役)、イネイブラー(支え役)のそれぞれの違いについて説明しています。
“ケアテイカー(世話役)”と“プラケーター(慰め役)”の違い
違い①:ケアテイカーは「積極的」、プラケーターは「消極的」
ケアテイカータイプは、世話役という呼び名の通り、積極的に周囲の人をお世話していくため、場合によっては、「ありがた迷惑…」「余計なお世話…」「おせっかい…」「過干渉…」などの印象を周囲に与えます。
これに対し、プラケータータイプは、慰め役という呼び名の通り、「じっと耐えるかのように、相手のわがままをすべて受け止めている…」など、消極的な印象を周囲に与えます。
このように、ケアテイカーとプラケーターの違いは「積極的な印象であるか?」「消極的な印象であるか?」という点があげられます。
違い②ケアテイカーは「小さな看護師」、プラケーターは「小さなカウンセラー」
ケアテイカータイプは、世話役という呼び名の通り、父親にも母親にも兄弟にも、全身全霊でお世話をします。
そのため、ケアテイカーは「リトルナース(小さな看護師さん)」と呼ばれます。
これに対し、プラケータータイプは、慰め役と言う呼び名の通り、子どもでありながら、自信のなさそうな母親の愚痴を聞き慰める「母親のカウンセラー役」を担います。
そのため、ケアテイカーが「小さな看護師」と呼ばれるのに対し、プラケータータイプは「小さなカウンセラー」とも呼ばれます。
違い③ケアテイカーは「男女とも多い」、プラケーターは「女性に多い」
また、プラケータータイプの最大の特徴は、「女性に多い」という点と、「父親より母親を慰める場合が圧倒的に多い」という点です。
これに対し、ケアテイカータイプは「女性に限らず、男性のケアテイカーも多い」ですし、「父親にも母親にも兄弟姉妹にも、全身全霊でお世話をする」という点が特徴的です。
このように、ケアテイカータイプは「男女とも多い」のに対し、プラケータータイプは「女性が多い」という点も違いとしてあげられます。
“ケアテイカー(世話役)”と“イネイブラー(支え役)”の違い
違い①ケアテイカーは「見返りを求める」、イネイブラーは「見返りを求めない」
ケアテイカータイプは、世話役という呼び名の通り、周囲の人に対して積極的にお世話をしていきます。
そして、ケアテイカーは、周囲の人に積極的にお世話をすることで、「褒めてもらいたい…」「感謝してもらいたい…」などの見返りを求めています。
それに対し、イネイブラータイプは、支え役という呼び名の通り「褒められなくても、感謝をされなくても、献身的に相手を支える…」など、献身的な印象を周囲に与えます。
このように、ケアテイカーとイネイブラーの違いは「見返りを求めて積極的にお世話をしているか?」「見返りを求めず献身的に支えているか?」という点です。
違い②ケアテイカー「限界を超えると攻撃的になる」、イネイブラーは「限界を超えてまで耐え続ける」
このように、ケアテイカータイプは、お世話に対する見返りを求めている特徴があります。
よって、ケアテイカータイプは、イネイブラータイプのように、限界を超えてまで相手をお世話し続けることはなく、相手の態度に不満を感じ限界を超えると、手のひらを返したように相手を逆恨みしたり、攻撃的な態度に豹変する特徴があります。
それに対し、イネイブラータイプは、限界を超えてまで耐え続け、相手に対する不満など漏らさず、献身的に相手を支え続けます。
違い③ケアテイカー「理不尽な要求は断固拒否」、イネイブラーは「理不尽な要求に従ってしまう…」
イネイブラータイプは、「Noと言えない」という点と、「相手を突き放せない」という点が特徴的です。
そのため、イネイブラータイプは相手を支えすぎてしまう場合があり、例えば、アルコール依存症に苦しむ家族を、アルコールを与えることで支えてしまうなど、家族の依存症克服をかえって邪魔してしまう行動=「イネイブリング」をしてしまう場合があります。
それに対し、ケアテイカータイプは、相手の意見より、自分の意見を押し通す特徴があるため、相手の「理不尽な要求や行き過ぎた要求は断固として拒絶する傾向」にあります。
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“プラケーター(世話役)”と“イネイブラー(支え役)”の違い
違い①プラケーターは「心理面で支える」、イネイブラーは「行動面で支える」
イネイブラータイプは、支え役という呼び名の通り、あらゆるサポートを惜しまないといった印象で、ときには、一心不乱に活発に立ち回り、相手を行動面で支えようとします。
それに対しプラケーターは、イネイブラーのように誰かのために立ち回るのではなく、慰め役の呼び名の通り、そっと傍らにあって「聞き役」に徹することで、相手を心理面で支えようとします。
このように、イネーブラーとプラケーターの違いは、相手を「行動面で支えようとするか?」「心理面で支えようとするか?」という点です。
違い②プラケーターは「同性を支えたがる」、イネイブラーは「同性異性問わず支えたがる」
プラケータータイプは、女性に多い特徴があり、且つ、母親のカウンセラー役という役割を担います。
よって、プラケータータイプが献身的に支える相手は、母娘共依存など、同性(女性同士)である場合が多い傾向にあります。
それに対し、イネイブラータイプは、誰であっても一心不乱に支え続ける特徴があります。
そのため、イネイブラータイプは、まるで松葉杖のように自分を犠牲にして、相手が男性であっても女性であっても、同性異性を問わず一心不乱に相手を支え続ける傾向にあります。
アダルトチルドレン(ac)タイプ診断
また、以下の記事は、ケアテイカータイプ、プラケータータイプ、イネイブラータイプをはじめとする「アダルトチルドレンのタイプ診断」を行うことができますので、アダルトチルドレンのタイプに興味をお持ちの方は参考にしてください。
まとめ
さいごに、ケアテイカー(世話役)、プラケーター(慰め役)、イネイブラー(支え役)の違いについて重要ポイントをまとめます。
POINT
- ケアテイカー、プラケーター、イネイブラーとも、「自分のことより相手のことを優先し、相手に尽くそうとする…」という一致した特徴を持っているが、最近の心理カウンセリングの現場では、「似て非なるもの」と捉え、それぞれ個別に分けて考え、さらにきめ細やかに取り組んでいる
- ケアテイカーは「積極的」「男女とも多い」が、プラケーターは「消極的」「女性に多い」
- ケアテイカーは「見返りを求める」「攻撃的になる」が、イネイブラーは「見返りを求めない」「耐え続ける」
- プラケーターは「心理面で支える」「同性を支えたがる」が、イネイブラーは「行動面で支える」「同性異性問わず支えたがる」POINT
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページにまとめていますので紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「ケアテイカー(世話役)、プラケーター(慰め役)、イネイブラー(支え役)の違い」という記事でした。