カエルになれなそうだったおたまじゃくし
POINTポジティブな言葉でもネガティブな言葉でも、子どもは親の言葉を100%信用してしまいます。
心理カウンセラーの寺井です。
大人になって、自分の心に違和感を感じたとき、その違和感には、必ず、生まれてきた理由や込められているメッセージがあります。
そして、心に感じる違和感には、概ね、子どもの頃に親に言われた言葉が関係しています。
この記事は、親の言葉が子どもに与える影響を例え話で説明しています。
子どもは、大人の言うことを「100%」信用してしまいます
七月の終わり、ある田んぼに一匹のおたまじゃくしがいました。
うしろ足は全部出ていて、前足は少しだけ出ていました。
おたまじゃくしは、このままで間違いなく、カエルになって幸せになっていくはずだったのに…
おたまじゃくしのところにみどりの父親カエルがやってきました。
みどりの親カエルはおたじゃくしにこう言いました。
「もう七月の終わりだというのに、おまえはまだ前足も出ていないのか!」
「それじゃ、一生カエルにはなれねぇな!!」
みどりの父親カエルはそう言い残すとどこかへ行ってしまいました。
おたまじゃくしは呆然としていました。
とてもショックだったしとても不安になりました。
「そっか、ぼくは一生おたまじゃくしにはなれないんだ…」
「お父さんがそういうんだからそうなんだな…」
「でも、何とかカエルにならなきゃいけない…」
そう思ったおたまじゃくしは、後ろ足で前足を力一杯引っ張って伸ばそうとしました。
早く前足を伸ばしてカエルになりたかったからです。
でも、後ろ足で力一杯引っ張っても前足は伸びませんでした。
伸ばせば伸ばそうとするほど、とても辛くなっていきました。
おたまじゃくしは思いました。
「引っ張っても引っ張っても前足が伸びない…」
「他に前足を伸ばす方法はない…」
「もう、絶対にカエルにはなれない…」
「生きていても仕方がない…」
おたまじゃくしは、田んぼのそとの激流に身を投げようとしました。
そこに、青い母親カエルがやってきました。
青い母親カエルは、おたまじゃくしにこう言いました。
「まだ七月の終わりだというのに、おまえはもう後足が出ているね!」
「それじゃ、じきに前足も出てそのうちカエルになってしまうわね!」
青い母親カエルは、そう言い残すとどこかへ行ってしまいました。
おたまじゃくしは呆然としていました。
とてもポカンとあっけにとられていました。
「あれ、ぼくは今まで何をしていたんだろう?」
「じきに前足が出てきてカエルになってしまうのか…」
「だったら今のうちに後ろ足だけの泳ぎを楽しんでおこう!」
おたまじゃくしはニコニコ泳ぎ始めました。
きっと、もう少しすれば、おたまじゃくしは自然にカエルになってしまい幸せにもなってしまうでしょう。
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親から子どもへ伝わる暗示
みどりの父親カエルと青い母親カエルが言ったことを暗示とも言います。
子どもは素直…とも言いますが、反対に言えば、素直とは疑うことができないとも言えます。
とくに、子どもは人生経験が浅いため、周囲の大人の言葉を信じやすいのです。
ましてや、親の言葉となれば、ポジティブな言葉であっても、ネガティブな言葉であっても、子どもは疑うことなく信じてしまいやすく、親の言葉は、子どもにとって強い影響を与えると言えます。
なので、親であれば、子供に対して、「そのままじゃダメだよ!」という、ネガティブな言葉を掛けるより、「そのままでOKだよ!」という、ポジティブな言葉を掛けた方が、子どもにとっても親にとっても有益だと言えます。
そういった意味では、このエッセイの主人公「おたまじゃくし」くんは、「みどりの父親カエル」に言われたネガティブな言葉で、一瞬、心が傷ついてしまい、カエルになれなくなりそうでした。
ですが、「青い母親カエル」のポジティブな言葉によって、再び自分を取り戻すことができました。
このように、子どもが親から受けたネガティブな暗示のことを、「交流分析」という心理学では、「禁止令とドライバー」と言います。
また、「禁止令とドライバーとは何か?」については、以下の記事で詳しく説明していますので、興味のある方は参考にしてください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページにまとめていますので紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「カエルになれなそうだったおたまじゃくし」という記事でした。