あなたが悪い!という表現が心を傷つける。
あなたが悪い!という表現は、苦しさを量産します。
あなたが悪い!という表現方法をときどき耳にします。
そもそも、いい悪いとはどのように判断をするのでしょうか?
大切なのは、我慢しろ!ではなく、表現方法を工夫して、平和的にすっきりしよう!ということです。
あなたが悪い!という表現でたくさんの人たちが傷ついています。
この記事は、あなたが悪い!という表現方法について、いろいろな捉え方を紹介しています。
あなたが悪い!という表現がさらなるストレスを生む。
私の言っていることわかってくれないあなたが悪い!
私がこう言っていたのに、耳を貸さなかったあなたが悪い!
そんなこと言ったって、あなたが悪いに決まってるじゃん!
考えてもしょうがないことを考えるあなたが悪いのよ!
人は、何かストレスを感じると、ついついあなたが悪い!って言いたくなりますね。
私も人ですから同じように言いたくなりますよ(^^)
でも、それでストレスがスッキリと収まったことはありますか?
少なくとも私は、あなたが悪い!という表現で、ストレスを相手に八つ当たりしても、残念ながら、心をスッキリできたことは一度もありません。
あなたもたぶん、あなたが悪い!という表現をして、心をスッキリできた経験は少ないのではないでしょうか?
あなたが悪い!という表現ではスッキリしません。
だとしても、不思議のないことだと私は思います。
なぜなら、人がストレスをスッキリさせるためには、感情表現をしてストレスを発散する必要があるからです。
でも、あなたが悪い!という表現ですと、主語があなた=相手になっているため、自分の感情表現にはなりません。
自分の感情を表現をするためには、主語をわたしは=自分にして表現する必要があります。
わかりやすく言うと、
あなたは○○と思う!…と、「あなた」を主語にしている限り、人の心はスッキリできません。
わたしは○○と思う!…と、「わたし」を主語にして表現したとき、はじめて感情表現が成り立ち、人の心はスッキリできます。
なので、あなたが悪い!あなたが悪い!って言えば言うほど、自分はスッキリしませんし、相手もイライラが募ります。
あなたが悪い!あなたが悪い!って言えば言うほど、相手も自分もイライラする原因を自分で拡大していることになります。
なので、杓子行儀となりますが、「あなたが悪い!」という気持ちをしっかりと感情表現しようとすると、「わたしは、あなたが悪いと思う!」という表現になり、この場合、わたしは○○と思う!…と、「わたし」を主語にして感情表現できていますので、誤魔化していない感じがして、多少は心境に違いがあるかもしれません。
このように、主語を重視して効率的で確実な感情表現をしていく考え方を、アファメーションと言い、EFT(感情解放テクニック)においては、とても重要な作業となります。
ストレスは相手に押し付けても平和にならない。
自分のストレスを、あなたが悪い!と相手に押し付けてると、一瞬、スッキリできたとしても、おそらく、相手は新たなストレスを心に抱えることになるでしょう。
そして、抱えているストレスをお互いがすっきりさせようと思い、ストレスのぶつけあいになり、新たなストレスの連鎖を生み出してしまうかもしれません。
それが続くと、鉄砲の打ち合いや、大砲の打ち合いや、ミサイルの打ち合いにまで発展してしまうのかもしれません。
(関連:カウンセリングの例え話:戦争をしたい人、戦争を終わりにしたい人)
ストレスの連鎖を終息するには?
では、ストレスを連鎖させないようにするにはどうしたらいいのでしょう?
そのためには、あの人に嫌な想いをさせられたのだからあの人が悪い!という受動的な捉え方から、今、自分は嫌な想いをしている!という能動的な捉え方にシフトしていくことです。
自分が感じているストレスは、あの人に感じさせられたのではなく、自分の心が自主的にストレスを感じているんだ!と能動的に捉えなおしてみることです。
実際、感情は自分の脳=自分の心に感じている感覚ですから、あの人に嫌な想いをさせられた!と捉えるより、今、私は嫌な感覚を感じている!と捉えたほうが、「わたし」を主語にした感情表現が成り立ち、ストレスの連鎖の終息を感じやすくなります。
これは、心理学&心理療法の基本中の基本ですが、「あの人に○○された!○○させられた!」と捉えている限り、人は相手に警戒してしまい、いつまでも、イライラと落ち着かないものです。
なので、「自分が○○した!○○している!」と捉えなおすことで、自主性を感じて落ち着いていきます。
このように、「自分が○○した!○○している!」という本来の落ち着いた捉え方が、「あの人に○○された!○○させられた!」と、警戒心が高まってしまっている心理状態を、心理学では、心理的逆転状態と言います。
親に、あなたが悪い!と言われた子ども。
さて、もうひとつ大切なのは、心理学でいう分離という作業です。
ストレスを感じてしまった動機、ストレスを感じてしまっている結果を分離し、相手の存在を肯定して捉えてみることです。
さんざん注意していたのに、それを無視して、相手が同じ失敗をしてしまったとしたら、やっぱりストレスを感じます。
そしてついつい…あなたが悪い!って言いたくなります。
でもこのとき、あなたが悪い!言われた側はどう捉えるか?というと、
頭の先から指の先まで自分の存在自体が悪だ!と言われているような気がしてしまうのです。
確かに、あなたが悪い!という表現をストレートに捉えると、今まで自分がしてきたこと、生きてること自体が全部悪い!と言われているような気がしても無理のないことですね。
このように、なにが?なんで?の部分を省いて、あなたが悪い!という拡大否定をすることを、人格否定と言ったりもします。
なので、あなたが悪い!という表現は、あなたの存在自体が悪だ!と言われているように、人の心は捉えてしまうのです。
(関連:インナーチャイルドが傷つく原因と影響)
アダルトチルドレンのきっかけ
そして、理性の発達しきれていない、未だ疑うことを知らない素直な子どもが、あなたが悪い!と、育ての親に言われてしまうと、僕は悪い人間なんだ!私は悪い人間なのね!と、親の言葉を忠実に疑いなく受け入れてしまい、心に深い傷を負ってしまいます。
そして、心の傷が大きければ大きいほど、心に傷を負っていることをひた隠し、平気なふりやいい子を演じて、なんとか生き抜こうとします。
このとき、心に傷を負った子ども時代の感情をインナーチャイルドといい、子ども時代の心の傷の影響を、大人になっても感じ続けている人を、アダルトチルドレンと呼びます。
あなたが悪い!を冷静に分離する。
あなたが悪い!お前が悪い!という表現は、言った側はそんなつもりはなかったとしても、相手の心を深く傷つけてしまいます。
とくに心が深く傷ついた子どもは、生きづらい原因を心に残したまま大人になり、また親になり、子育てに辛さと苦しさを感じることになります。
(関連:生きづらい原因とは?)
では、どうすればいいか?
なんど注意しても、注意を無視して失敗を繰り返す人がいて、【あなたが悪い!】って、ついつい言いたくなった時…
私ならこんな言葉を言うかもしれません。
【失敗しようと思って失敗したわけじゃないよね。】⇒【A:動機の肯定】
【何度も失敗することは私も残念に思うよ…】⇒【B:結果の肯定】
【結果は残念だけど、何とかしようとしている気持ちはわかったよ。】⇒【C:動機と結果の分離】
例えば、子どもがテストで0点を取ったとしたら、子どもは0点を取ろうと思って取ったのでしょうか?
おそらく、100点を取ろうと思ったけど、結果、0点を取ってしまったのでしょうから、本人も残念だと思います。
このように、結果を責めても自体は進展しません。
親が結果ばかりを責めると、子どもは自分を責めるようになったり、将来、自己否定感の種になります。
未来、ほっと穏やかに過ごしたいのなら、なにをしたいか?=結果よりも、なにをしようとしたか?=動機に注目してみるのも、ひとつの方法なのかもしれません。
(関連:どうしたいか?を叶えるために、どうすればいいか?がある。)
世代を超えて受け継がれた言葉
日本人は、とくに阿吽の呼吸や気遣いなどが大好きです。
日本人には、感情を言葉で表現することへの苦手意識はあると思います。
でも結局、あなたが悪い!おまえが悪い!という曖昧で言葉足らずな表現を振り回せば、誤解が誤解を生み、とくに子どもの心はどんどん傷ついてしまいます。
あなたが悪い!私は悪くない!と、ストレスをストレスのまま押し付け合っても、次の世代、子どもの心の負担を増やすだけなのかもしれません。
だからこそ、自分の世代からストレスを清算していけば、自分がストレスを感じる機会も減り、次の世代、子どもにストレスを押し付ける機会も減ります。
私は、数十年前にご両親から押し付けられたストレスを、今も心に抱えたまま苦しんでいる人達と、毎日お会いし、たくさんお話しさせて頂いています。
そして、【ストレスは、世代を超えた天下の周りもの】のようだなぁ…と感じています。
あなたが悪い!おまえが悪い!という表現は、躾(しつけ)や家のしきたりなど、いくらでも美化できますが、親が子どもを制限し、子どもが孫を制限し、ストレスは、親から子ども、子どもから孫へと世代を超えて影響が広がっている様子(専門用語で世代間連鎖と言います。)を、私は毎日感じている人です。
そもそも、いい人と悪い人を明確に仕分ける基準など、この世には存在しませんので、
いい?悪い?の白黒思考に決着はありません。
もしかしたら、あなたは何も悪くないし、誰もなにも悪くないのかもしれません。
もしかしたら、あなた自身が、いつかだれかに、あなたが悪い!って言われて、心が傷ついたままなのかもしれません。
もしかしたら、あなたの心も傷ついていて、みんな心が傷ついていて、みんな苦しいだけなもかもしれません。
もし、自分が抱えているストレスを、子どもたちや周りの人たちに押し付けたくないと感じてくださっている様でしたら、当方メンタル心理そらくものカウンセリング&セラピーにてお手伝いさせて頂けると幸いにです。
私は、自分のストレスは、誰も巻き込まず、誰にも邪魔されず、自分の世代で自分自身で清算していきたいな願っている人です。
(関連:あなたは何も悪くない…)