強がりの心理:内心は怖がりだけど隠している。
強がりの心理は、内心の怖さを必死で隠しているということ。
ある日、とてもクールな感じのクライアントさまが訪れてくださり、「本当はとても苦しいのです。」と、大切な胸のうちを明かしてくださいました。
そのクライアントさんは、自分が不安がっている姿や怖がっている姿をどうしても他人に見せられず、強がって我慢してしまい、とても苦しいという訴えでした。
そして、心理カウンセリング&心理セラピーに真摯に取り組んでくださることで、強がりの心理を和らげ、心を楽にしていきました。
この記事は、そのときの回想録です。
強がりの心理は、怖がりな自分を隠している。
強がりという言葉に似た言葉で、生きがっているという言葉がります。
強がっているということは、少し背伸びをして自分を大きく見せていると私は感じます。
うらを返せば、強がりの心理とは、強がることで本来の自分を隠して守っているとも言えます。
そして、強がってしまう心理の内側に隠されているのは、だいだい怖がりな自分です。
怖がりな自分は恥ずかしい、怖がりな自分は弱い、もしくは、怖がりな自分を見せないほうが安全だと感じた過去の経験があり、それ以来、虚勢を張って強がることで、自分の身を守っている。というのが、強がりの心理です。
強がりも怖がりも自分を守っている。
さて、強がりの心理とは、傷つきやすい自分や弱い自分を守るために、周りに見せかけるカモフラージュとも言えます。
なので、強がる人の心理とは、内面はとても怖がりで傷つくことを恐れているのかもしれません。
ということは、強がる人の心理とは、ある時、心が傷ついた経験があり、それ以来、心の傷を隠すために、懸命に、強がりを演じているとも言えます。
そういった意味では、強がりの心理とは、素直に怖がって自分の身を守る人とは違って、あえて強がって怖さを隠して自分の身を守っている人とも言えます。
怖がっている人と強がっている人は、見た目は正反対のようにみえますが、内心では、自分の身を守っているという目的は一致しています。
なので、強がりも怖がりも、とても人間らしい心理と言えます。
強がりの心理とは、怖さを感じるのが怖いという感情
さて、心理カウンセリングや心理セラピーを日々行っていて、クライアントさんが強がってしまう理由として、【怖さを認める怖さ】があるのかな?と私は思います。
一見、気が強そうに強がっている人でも、心の中は、ビクビクと怖がっていたりします。
ある時あることがきっかけで、怖さという感情を、強がりの心理で隠してしてしまった。
それ以来、自分の内面にある怖さから目を背け続けて、怖さがあふれ出ないように、強がりの心理で懸命に抑えこんでいる…
そして、長年のあいだ、怖さを無視し続けて、いつの間にか、怖さを感じるのが怖いという感情を感じるようになってしまった。
なぜなら、自分が怖いことを認めてしまうと、長年抑え込んできた怖さが一気にあふれ出そうでとても怖くなってしまうから…
強がりの心理をやめられない理由は、強がりの心理の内側に隠し続けた本来の自分をさらけ出すことへの怖さとも言えます。
(関連:人が怖いと感じる心理の原因と説明)
強がりの心理の原因
ある日ある時に、怖がりな自分を隠すために強がりはじめた自分が居るのでしょう…
その時はそうするしかなかったのだけれど、一体、いつの時代の自分が強がりを始めたのでしょうか?
ある時、怖がりな自分を
意気地なし!と、親にバカにされてしまい、
心がとても傷ついてしまってから?
ある時、怖がりな自分を
ビビってる!と、友人に笑われてしまい、
心がとても傷ついてしまってから?
(関連:素直とは?「素直になれない!」と素直に言えること。)
意気地なしと言われたくなかったし…
バカにされたくなかったし…
これ以上、心を傷つけられたくなかったので、
それ以来、強がることで懸命に怖さを隠して虚勢を張るしかなかったのかもしれません。
ある時、心を傷つけられてしまった自分が居て、それ以来、内心は怖がりなのに、外面には強がりを演じ続けている自分が居るのかもしれません。
強がりの心理は苦しい
でも、強がりの心理で怖さを隠し続けていると、怖さの周りに冷たい分厚い氷のような感情が纏わりついてしまい、いつのまにか、心が冷たく感じられるようになってしまったのかもしれません。
そして、とても疲れやすくなり、とても警戒するようになり、とても虚しさを感じるようになってしまったのかもしれません。
もっと安心していいはずの休日でもソワソワ落ち着かない…
もっと楽しんでいいはずの時間でもモヤモヤ楽しめない…
もっと信頼していいはずの相手でもビクビク疑ってしまう…
強がりの心理とは、自分を守る方法ではあるけれど、怖がりの自分を自己否定することにもなってしまうのかもしれない。
なので、強がりという取り巻きの奥底には、ずっと一人で苦しいままの自分が、ずっと助けを待っているのかもしれない。
強がりの心理=怖がることへの怖さを感じている自分
そして、心理カウンセリング&心理セラピーを進めていくことで、クライアントさんは、幼い頃、プールに飛び込むのが怖くてモジモジしているとき、父親にひどく怒鳴られた記憶をふと思い出していきました。
それ以来、怖さを我慢して強がっていないと父親に怒鳴られて余計に怖くなってしまう!と、怖さを認めることへの怖さを感じている幼い自分=インナーチャイルドを見つけたのです。
そして、幼少期に受けた心の傷の影響で、大人になっても強がりの心理を感じ続けている人をアダルトチルドレンと呼びます。
こうして、心理カウンセリング&心理セラピーを通じ、怖さを認めることをとても怖がって強がっている自分に気づき、自分自身の強がりの心理について納得を深めていきました。
これは、ただ怖い…のとは少し違う…
怖がってしまうと怒鳴られて余計に苦しくなってしまう!という死を感じる恐怖です。
くわえて、長年、強がり怖さを隠してきたことで、とてつもない量の怖さがあふれ出てきそうな怖さもあるし、強がってきたぶん、怖がることに慣れていないため、今更、怖さを認めることへの怖さも一緒にまとわりついてきます…
いざ素直に怖がってみると、
誰かにバカにされたり否定されるのではないか?という怖さ…
長年、心に溜めこみ続けた怖さを認めたとき、
自分は一体どれだけ怖くなってしまうのだろう?という怖さ…
長年、怖がった経験がないので、
自分はうまく怖さを発散できるのだろうか?という怖さ…
こんな怖さを認める怖さが、取り巻きのように、グルグルと巻きついていることにも気づいていきました。
でも、私=心理セラピスト寺井啓二との二人のチームワークで、強がっている=怖さを認めることを怖がっている。という自分の感情を認め始めたとき、ガチガチに固まっていた心が春の雪解けのようにだんだんとゆっくりと溶けはじめて、ずっと閉じ込められていた怖さも涙となって解放されていきました。
肩の力、首の力、腹の力、胸の圧迫感、息の詰まり、まぶたの重さ、額の曇り…など。
「いつも張りつめて全身をこわばらせていた警戒心が、春の雪解けのように解けていって、その瞬間、自分はこれでよかったんだ!と、妙に笑みがこぼれ、長年、バラバラだった自分をひとつにまとめることができたような感じがしました。」と、クライアントさんは語ってくださいました。
このように、強がりの心理にも、大切な歴史や生まれてきた理由があります。
なので、乱雑に対処しようとすると、強がりの心理は、より一層に強がって心を締め付けてしまいます。
もし、1人で苦しいと感じておられるようでしたら、当方メンタル心理そらくものカウンセリング&セラピーで、心を締め付ける強がりの心理を一緒に解きほぐしてみませんか?