やる気がでない理由は、やる気を出しようがないから
POINTやる気がでない理由は、ストレスや疲れが蓄積していることが考えられます。
心理カウンセラーの寺井です。
「やる気が出ない!」という心理状態は、日常、誰もがときどき感じる心理状態です。
ですが、やる気が出ない!という心理状態は、うつ病の初期症状のひとつでもあります。
なので、あまり長く続くようでしたら、やる気が出ない理由について真剣に考えてみることが大切です。
この記事は、やる気が出ない理由について、自己分析をした結果をまとめています。
やる気が出ないのは、やる気が不足しているから
私は、うつ病を患ってやる気がでなかったとき、自分の心の中に、「やる気を出して前進したい自分の意思」と「やる気を温存し現状維持をしていたい自分の意思」のふたつの感情を感じました。
やる気がでない心理状態とは、例えるなら、自動車の「アクセル」と「ブレーキ」を、同時に、目一杯踏み込んでいる状態のように私は感じました。
気持ちが噛み合っていなければ、いくら頑張っても消耗するばかり
「アクセル」と「ブレーキ」を同時に目一杯踏み込むと、「前進したいパワー」と「現状維持していたいパワー」がぶつかり合います。
そして、「前進したいパワー」と「現状維持していたいパワー」がぶつかり合っている以上、いくら、ガソリンがなくなるまで頑張ってパワーを消耗し続けたとしても、自動車は1mmも動くことはありません。
迷ったり、悩んだり、葛藤することは、とても疲れる
このように、「やる気を出して前進したい自分の意思」と「やる気を温存し現状維持をしていたい自分の意思」が、引っ張り合ったり押し合っている状態は、「迷っている」「悩んでいる」「葛藤している」状態と言い換えることができます。
そして、「やる気を出して前進したい自分の意思」と「やる気を温存し現状維持をしていたい自分の意思」が、「どうしよう…どうしよう…」と、迷ったり、悩んだり、葛藤し続けていると、心のガソリン=「やる気」がだんだんと枯渇してしまい、ものすごく疲れてしまうことに私は気づきました。
自分は、やる気が出しようがないくらいに疲れていた
このように、うつ病でやる気がでない心理状態とは、心のガソリン=「やる気」が枯渇してしまい、やる気を出しようがないくらいに疲れている心理状態だと言えます。
そして、仕事が忙しく、夜も眠れず、「やる気を出しようがないくらいに疲れている…」という自分自身の状態を、私はだんだんと受け入れることができていきました。
やる気が出ない理由は、やる気を温存して回復に専念させるため
自己分析を続けていくと、「自分は、やる気があるのにやる気を出さない怠け者ではなく、やる気が出しようがないくらいに疲れているのだ…」と、私は自分の状態を肯定的に受け入れることができていきました。
そして、「やる気がでない今の状態にも、なんらかの意味があるのではないか?」と考えるようになっていきました。
「回復に専念せよ!」という強い意図
動物は、命の危機に関わるような大きな傷を負ったとき、傷が癒えるまでただじっとしています。
何もしようとせず、深い眠りにも落ちず、食事も取らず、静かに回復に専念します。
それは、まるで何かに強く命令されているかのようです。
きっと、「回復に専念せよ!」と、本能が強く訴えているからではないでしょうか。
それと同じように、疲れ切った私の心にも、「回復に専念せよ!」という強い意図が働いているように私は感じました。
頭ではわかっていても、ついつい焦ってしまうもの
とはいえ、日常にはさまざまな出来事が起き、ついつい焦ってしまったり頑張ってしまうものです。
そして、「回復に専念せよ!」という強い意図に反して、ついつい無理に頑張りすぎてしまうと、私は「ひどい動悸」を感じたり、「ひどい疲れ」を感じるようになりました。
「腹が減っては戦はできぬ」のことわざ通り、疲れ切った心と体が回復しない限り、いくら頑張っても空回りしてしまうことは、頭ではわかっているのですが、私は早く何とかしたくて焦るあまり、時折、無理に頑張ってしまいました。
自分の命を守ろうとする「防衛の意図」を感じる
ですが、無理に頑張ろうとすればするほど、かえって苦しくなったり、かえって混乱したり、かえって空回りしてしまうことに気づいていきました。
そして、頑張っては苦しくなり、頑張っては苦しくなりと、空回りを繰り返しているうちに、自分の心の中に、「まずは、やる気を温存して回復に専念させよう!」とする、強力な「防衛の意図」を感じました。
やる気が出ない理由は「防衛機制」の働き
私は、自らのやる気の出ない心理状態を自己分析することで、早く元気に働きたいからこそ、まずは、疲れ切った心と体を回復することに専念しようと考えられるようになりました。
このように、「まずは、やる気を温存して回復に専念させよう!」とする、強力な「防衛の意図」を、心理学では「防衛機制」と言います。
防衛機制(ぼうえいきせい、defense mechanism)とは、危険や困難に直面した場合、受け入れがたい苦痛・状況にさらされた場合に、それによる不安や体験を減弱させるために無意識に作用する心理的なメカニズムのことである。
引用元:防衛機制
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「やる気」を出すための手順
さいごに、少し話がそれますが、ここでは、人の行動を邪魔したり機制したりする心の働きについて、少しだけ説明させて頂きます。
やる気を出すための手順「マズローの欲求段階説」
心理学の中に、「マズローの欲求段階説」という考え方があります。
「マズローの欲求5段階説」とは、心理学者アブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。人間には5段階の「欲求」があり、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。
引用元:マズローの欲求5段階説とは?
上記のように、「マズローの欲求段階説」によると、「人間の欲求には段階があり、ひとつひとつ順番に満たしていくことしかできない」とあります。
つまり、人間の欲求は、下図のようにピラミッド型になっており、「欲求段階は、ひとつ飛ばして満たすことはできず、下段から順々に満たしていくことしかできない」という意味です。
人間の欲求段階とは、以下のような5段階にわかれていると考えられています。
POINT
- 5段目:自分を更に価値ある存在に高めたい(自己実現欲求)
- 4段目:誰かに認められたい(自我の欲求)
- 3段目:集団に所属したい愛されたい(所属欲求)
- 2段目:安心を確保したい(安全の欲求)
- 1段目:生命を維持したい(生理的欲求)
やる気を出すためには「順序」が大切
このように、人間とは、「心配ごと」や「気がかり」を放置して先に進むことが難しい生きものです。
「心配ごと」や「気がかり」を考えないようにして無理に頑張っても、結局は、「心配ごと」や「気がかり」が気になってしまうものです。
例えば、小説を読む場合、「第1章」→「第2章」と順序立てて読み進めるからこそ、ストーリを把握することができます。
そして、「第1章」→「第2章」と順序立てて読めば読むほど、「次の章を読みたい!」という、次の行動に対する欲求「やる気」が自然と生まれてきます。
このように、人間は、「心配ごと」や「気がかり」を済ませてからではないと、次の行動に移れないという特徴を持っており、「心配ごと」や「気がかり」を済ませない限り、次の行動に対する欲求「やる気」が生まれません。
反対に言えば、欲求段階に沿って「心配ごと」や「気がかり」を先に済ませれば、次の行動に対する欲求「やる気」も自然と生まれてくると言えます。
やる気を出すためには、「未完の感情」を無視せず「完結」することが大切
このとき、次の行動に移りたいのだけれど、どうしても気になってしまう「心配ごと」や「気がかり」のことを、心理学では「未完の感情」と言い、どうしても気になってしまう「心配ごと」や「気がかり」をしっかりと満たすことで、次の行動に移りやすくしていくことを、心理学では「未完の完結」と言います。
つまり、やる気を出すためには、「心配ごと」や「気がかり」といった「未完の感情」を無視してもうまくいかず、「心配ごと」や「気がかり」といった「未完の感情」を認めて完結することが大切です。
また、やる気を出すための大切な順序である「未完の感情」と「未完の完結」については、以下の記事で詳しく説明していますので、興味のある方は参考にしてください。
まとめ
さいごに、やる気がでない理由について重要ポイントをまとめます。
POINT
- やる気が出ない心理状態とは、やる気を出しようがないくらいに疲れている状態
- やる気が出ない心理状態で無理に頑張ろうとすると、空回りしてかえって苦しくなってしまう
- やる気が出ない心理状態には、「まずは、やる気を温存して回復に専念させよう!」という「防衛機制」が働いている
- 人間の欲求には段階があり、ひとつひとつ順番に満たしていくことしかできない
- 欲求段階に沿って「心配ごと」や「気がかり」を先に済ませれば、次の行動に対する欲求「やる気」も自然と生まれてくる
- 次の行動に移ろうとしたとき、どうしても気になってしまう「心配ごと」や「気がかり」のことを「未完の感情」と言う
- 「心配ごと」や「気がかり」を満たすことで、次の行動に移りやすくしていくことを「未完の完結」と言う
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
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以上、「やる気がでない理由は、やる気を出しようがないから」という記事でした。