世代間連鎖が起きる割合

世代間連鎖が起きる割合を考えている人たちを表わすイラスト

POINT「虐待の世代間連鎖が起きる割合」は「30%~50%程度」と言われています。また、「母子家庭」は「貧困の世代間連鎖が起きる割合が高い」と言われています。

心理カウンセラーの寺井です。

生まれたばかりの子どもは一人では生きていけません。子どもが心身共に健全な成長をしていくためには、親から「子育て・教育」などの支援を受けることが不可欠です。

なので、自らを「育児・教育」してくれる「親の存在」を、子どもは疑うことがありません。

よって、親から「虐待」を受けたとしても、子どもは親の行いに問題があるとは感じられず、そのぶん、子どもは「虐待の影響」を深く受けてしまいます。

ですが、親から虐待を受けた経験があったとしても、100%の確率で「虐待の世代間連鎖」が起きてしまうわけではなく、自分が望めば「虐待の世代間連鎖を断ち切る」ことは可能です。

この記事は、世代間連鎖が起きる割合について説明しています。

「虐待の世代間連鎖」が起きる割合

虐待の世代間連鎖が起きる割合を表わすイラスト

研究結果によってばらつきがあるものの、虐待の世代間連鎖が起きる割合は、概ね「30%~50%程度」だと言われています。

虐待の世代間連鎖がおこる割合は、研究によって結果が多少異なるが、30~50%程度(kaufman & Zigler, 1987;西澤, 1994 ; 中谷,2002; 中嶋, 2005)であるといわれている。…(中略)…一方、見方を変えると、被虐待経験を持ちながらも、虐待傾向を示さない親が少なくとも50%いるということである。

引用元:母親の被養育経験が子ども-の養育態度に及ぼす影響

このように、親から虐待を受けた経験があったとしても、100%の確率で、虐待の世代間連鎖が起きてしまうわけではなく、自分が望めば「虐待の世代間連鎖を断ち切る」ことは可能と言えます

 

児童虐待の「加害者」の割合

児童虐待の加害者の割合を表わすイラスト

児童虐待の加害者の60%以上は、被害を受けた子どもの「実母」であると言われています。

1990年に全国の児童相談所に相談のあった虐待の事例は合計1101例でした。しかしその後この数は急増し、1999年には1万件を超え、2011年には5万6384件となっています。ここで重要な点は、虐待の加害者の60%以上が被害者の実母であるということです。

引用元:児童虐待加害者の6割超は実母、では「虐待の連鎖」は本当なのか?その医学的根拠に迫る

また、「殴る・蹴る」などの行為については、多くの母親が虐待にあたるという認識を持っていますが、「叩く」程度の行為については、多くの母親が虐待には当たらないという認識を持っていると言われています。

例えば、吉川(2000)や新家ら(2004)によると、多くの親が「殴る・蹴る」は虐待であると認識するも「叩く」などの行為は虐待とみなさないことを指摘しており、金谷・杉浦(2006)はほとんどの母親(96.6%)はダメージの少ない身体の部位に体罰を伴うしつけを行っていることを明らかにしている。

引用元:虐待の連鎖-男女による比較-

このように、子どもへのダメージが少ない部位や、子どもへのダメージが少ない方法で「体罰を伴う躾(しつけ)」を行う母親が多いため、知らず知らずのうちに、虐待の世代間連鎖が起きてしまっていると言い換えることができます。

 

「虐待行為の頻度」の割合

虐待行為の頻度の割合を表わすイラスト

日本において、子どもに対する虐待行為のなかで最も頻度が高いものは「身体的な虐待」で、次に「ネグレクト」が多いと言われています。

子どもに対する虐待行為の内容については、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトの4つの形態に分類されることが多い。この中でもっとも頻度の高いものが身体的虐待で、次いでネグレクトが多いという結果となっています。

引用元:児童虐待加害者の6割超は実母、では「虐待の連鎖」は本当なのか?その医学的根拠に迫る

また、アメリカにおける調査では、「ネグレクト(子どもの放置)…41.5%」「身体的虐待…28.4%」「身体的ネグレクト(食事・衣類を与えない)…11.8%」「性的虐待…4.5%」と言われています。

虐待の頻度についての最近の報告は、米国における調査において、監督義務を怠るネグレクト(子どもを一人で放置すること)が41.5%、身体的虐待が28.4%、身体的ネグレクト(食事や衣類の世話をしないこと)が11.8%、性的虐待が4.5%見られるとされ、虐待が決してまれなものではないことを示しています。

引用元:児童虐待加害者の6割超は実母、では「虐待の連鎖」は本当なのか?その医学的根拠に迫る

このように、日本においてもアメリカにおいても、「子どもに暴力を振るう」「子どもを放置する」など、短絡的な理由による虐待の頻度の割合が高くなっています。

 

「貧困の世代間連鎖」が起きる割合

貧困の世代間連鎖が起きる割合を表わすイラスト

貧困の世代間連鎖の問題を抱える親のうち「25%」は、子どもの頃、「生活保護受給歴のある家庭で育った経験」を持つと言われ、「40%」は「母子家庭で育った経験」を持つと言われています。

道中(2009)は、被保護世帯の貧困の世代間連鎖について調査し、被保護世帯の4分の1が生家での生活保護受給歴があり、母子世帯ではこの割合が約4割にもなり、被保護世帯のなかでも母子世帯の貧困の世代間連鎖の強さを指摘している。

引用元:被保護母子世帯における貧困の世代間連鎖と生活上の問題

このように、「母子家庭」は、貧困の世代間連鎖が起きる割合が高いと言えます。

「暴言・暴力・DV」を受けて育った人の特徴

DVを受けて育った人の特徴を表わすイラスト

親から暴言・暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃から、自分の存在を親や家族に否定され続けてきたことが原因で、大人になっても「自己否定感」を感じ続けている特徴があります。

また、親から暴言・暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃から、親への怒りを抑圧し続けてきたことが原因で、大人になって、自分も「暴言・暴力・DV」を行ってしまう特徴があります。

 

暴言・暴力・DVを受けて育った人の「自己否定感」

親から暴言・暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃から、「お前なんて生まれてこなければよかった!」など、自分の存在自体を親に否定され続けてきたため、「自分の存在自体がダメなんだ…自分はいない方がいいんだ…自分は消えた方がいいんだ…」と、強い「自己否定感」を持っている特徴があり、大人になって「自分の存在感を消す」ことで自分の身を守ろうとする傾向があります。

また、親から暴言・暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃から、親のストレスのはけ口を担い続けてきたことになるため、大人になっても、「相手のストレスのはけ口となる」「相手の暴力を受け止める」ことで「自分の存在価値」を感じようとする特徴があります。

 

暴言・暴力・DVを受けて育った人の「怒りのエネルギー」

親から暴言・暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃から、親から受けた理不尽な暴力への「不満・恨み・怒りのエネルギー」を抑圧し続けているため、大人になって、少しのことでキレやすくなったり、些細なことで人を深く恨んだり、安易に人を傷つけてしまう特徴があります。

このように、親から暴力・DVを受けて育った人は、子どもの頃に抑圧した「親への不満・恨み・怒り」を、友人・知人・恋人・夫婦・子どもなど、親とは関係のない周囲の人たちにぶつけてしまう傾向があります。

 

「ネグレクト」されて育った人の特徴

ネグレクトされて育った人の特徴を表わすイラスト

親からネグレクトをされ愛情不足で育った人は、子どもの頃から、親に心配・迷惑を掛けないように考えがちな特徴を持っているため、大人になっても、周りの人に心配・迷惑を掛けないように考えがちになり、「いい子・いい人でいる」ことで人に信頼されようとしたり、「自分を犠牲にすること」で相手の愛情を得ようとします。

 

ネグレクトをされて育った人の「恋愛傾向」

このように、親からネグレクトをされ愛情不足で育った人は、子どもの頃に母親から与えてもらえなかった愛情を、他の誰かの愛情で埋めようとする特徴があるため、恋愛・結婚において、相手に依存しやすい傾向があります。

反対に言えば、親からネグレクトをされ愛情不足で育った人は、自分を犠牲にして相手に尽くすことは得意でも、相手から愛情を受け取ることは苦手に感じる特徴があり、恋愛・結婚において、相手の愛情を素直に受け取れず、相手を疑ってしまったり、相手の愛情に対して何かを返さなければいけないと苦しくなってしまう傾向があります。

 

ネグレクトをされて育った人の「性格的な特徴」

また、親からネグレクトをされ愛情不足で育った人は、自分を犠牲にして相手に尽くすことは得意であるため、相手の信頼や愛情がほしいと感じれば感じるほど相手に尽くし過ぎてしまう特徴があります。

そのため、自分がたくさん尽くしたのに、相手が自分の気持ちに応えてくれないと心が大きく傷ついてしまい、結果、「あの人に裏切られた!」と感じて相手を恨んでしまったり、「どうせ私なんて!」と感じて、気持ちのズレを少し感じただけで人間関係をクローズしてしまう傾向があります。

 

なお、「『DV』や『ネグレクト』をされて育った人の『性格的な特徴』と『恋愛傾向』」は、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

世代間連鎖を断ち切る

世代間連鎖を断ち切る方法を表わすイラスト

このように、「暴言・暴力・DV」や「ネグレクト」といった「児童虐待」は、子どもの人生に大きな影響を与えます。

そして、「暴言・暴力・DV」や「ネグレクト」を受けた子どもは、大人なったとき、自分の子どもへと繰り返してしまい、「虐待の世代間連鎖」が起きてしまうことになります。

 

虐待を受けて育っても、虐待を繰り返さない人はたくさんいる

とはいえ、親から「虐待」を受けた子どもたちは、大人になって「100%」の割合で「虐待の世代間連鎖」を繰り返してしまうわけではありません。

研究によると、「虐待の世代間連鎖」が起きる割合は、概ね「30%~50%程度」だと言われており、反対言えば、親から「虐待」を受けた子どもたちのなかで、「50%以上」の割合の人は、大人になって、親となっても「虐待」を繰り返していないことになります。

 

虐待の世代間連鎖は断ち切ることができる

このように、親から「虐待」を受けた子どもたちが、大人になって「虐待」を繰り返さないことを「虐待の世代間連鎖を断ち切る」と言います。

そして、「虐待の世代間連鎖を断ち切る」ことは、自分の人生を生きやすくするのと同時に、次世代の子どもたちの人生も生きやすくしていくことに繋がります。

 

虐待の世代間連鎖が起きる原因

「世代間連鎖」とは、生き方、子育て方法、教育方針などが、親から子どもへ、子どもから孫へと、親子間で連鎖していくことです。

なので、「世代間連鎖」は「遺伝」によって起きていると考えられがちですが、心理学に沿って考えると、「世代間連鎖の原因」は生まれ持った「遺伝」によるものではなく、あくまで、生まれた後に身に付けた「習慣」によるものということになります

そして、心理学で考える「世代間連鎖の原因」は、主に以下のような点があげられます。

POINT

  1. 機能不全家族・アダルトチルドレン
  2. 毒親
  3. 人生脚本

続きは、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

虐待の世代間連鎖を断ち切る方法

よって、心理学で考える「世代間連鎖を断ち切る方法」とは、以下の3つの方法が考えられます。

POINT

  1. アダルトチルドレンを克服する」ことで「世代間連鎖を断ち切る」
  2. 毒親の影響から自分を解放する」ことで「世代間連鎖を断ち切る」
  3. 人生脚本を書き換える」ことで「世代間連鎖を断ち切る」

なお、「虐待の世代間連鎖を断ち切る方法」については、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

  • POINT「虐待の世代間連鎖が起きる割合」は、概ね「30%~50%程度
  • 「児童虐待を行う加害者」の60%以上は「被害を受けた子どもの母親
  • 日本で「最も頻度が高い児童虐待」は「身体的な虐待」次に「ネグレクト
  • アメリカで「最も頻度が高い児童虐待」は「ネグレクト」、次に「身体的虐待、身体的ネグレクト、性的虐待」の順
  • 「貧困の世代間連鎖が起きる家庭」の25%は「生活保護受給歴のある世帯」であり、40%が「母子家庭」である
  • 「親から暴言・暴力・DVを受けて育った人」は、大人になって「自分の存在感を消す」ことで自分の身を守ろうとしたり、「相手のストレスのはけ口となる・相手の暴力を受け止める」ことで「自分の存在価値」を感じようとする特徴がある
  • 「暴言・暴力・DVを受けて育った人」は、大人になって、少しのことでキレやすくなったり、些細なことで人を深く恨んだり、安易に人を傷つけてしまう特徴がある
  • 「親からネグレクトされて育った人」は、恋愛・結婚において、相手に依存しやすい傾向があったり、相手から愛情を受け取ることが苦手に感じる特徴がある
  • 「暴言・暴力・DVを受けて育った人」は、「あの人に裏切られた!」「どうせ私なんて!」と感じやすい傾向があり、少しのことで人間関係をクローズしてしまう特徴がある

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「世代間連鎖が起きる割合」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡県内、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

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