アダルトチルドレンの自己肯定感:母親との関係
アダルトチルドレンの自己肯定感は、母親との関係が大きく関係しています。
アダルトチルドレンの特徴のひとつに、自己肯定感の低さがあります。
子どもは、親に褒められると自信を持ち、自己肯定感を高めることができます。
ですが、親に否定されると自己否定感を持ち、自己肯定感を高めることができません。
そして、親に褒められない理由は、自分がいけない存在だからと思い込むようになり、劣等感を心に持ち始めます。
このとき、子どもの心に自己否定感と劣等感を植え付け、子どもをアダルトチルドレンにしてしまう親を毒親と言います。
この記事は、アダルトチルドレンが自己肯定感が低い理由=母親との関係について、子どものアヒルと母親のアヒルのやりとりを例え話にして解説しています。
自己肯定感と母親の関係
子どもにイライラする母親は、自信がない母親
あるところにアヒルの家族がいました。
母親アヒルは真っ白で、子どものアヒルはみな黄色い毛色です。
母親アヒルが歩いていくと、その後を黄色い子どものアヒルたちが続いて歩いています。
そして、だいぶ遅れて、なぜか黒い子どものアヒルだけが1人でテクテク懸命に続いていきます。
母親アヒルは振り返って黒い子どものアヒルに言いました。
「グズグズしないで!」
「なんであなたはそんなにグズなの!」
「早くしなさい!」
そして、母親アヒルは黄色い子どものアヒルたちにもこう言いました。
「あんた達もグズグズしないで!」
黄色い子どものアヒルたちは、ただ、母親アヒルのあとをついて歩いていただけなのに、母親アヒルからとばっちりを受けてしまってモヤモヤした気持ちを心に抱えるようになってしまいました。
このように、自己肯定感と母親の関係は、ひとりの子どもに限らず、兄弟関係にも連鎖し、さらに兄弟同士でも、自己肯定感の低い言葉が蔓延しがちになります。
母親のイライラは、自己肯定感の低い兄弟を育てる…
モヤモヤした気持ちを心に抱え続けることは、あまり望ましくないことです。
なので、黄色い子どものアヒルたちは、モヤモヤした気持ちをスッキリしたくなってきました。
そして黄色い子どものアヒルたちは、黒い子どものアヒルにこう言いました。
「お前がグズだから悪いんだよ!」
黒い子どものアヒルは、心にズキッと突き刺さるような痛い気持ちを感じました。
黒い子どもアヒルは、母親からも兄弟からも、自己肯定感を下げる言葉を受けてしまい、心をとても傷つけられてしまったのです。
(関連:アダルトチルドレンの原因)
子どもは、母親の笑顔を見たくて頑張る…
黒い子どものアヒルはこう思いました。
「僕だって黄色い子どものアヒルと同じように、ただお母さんアヒルに必死について歩いていたのに…」
黒い子どものアヒルはこう思いました。
「どうして僕だけいつも傷つくことになってしまうんだろう?」
「僕がグズだからかな?」
「グズは悪いんだからグズな僕は悪いアヒルなのかな?」
「じゃあ僕がグズじゃなくなれば普通のアヒルになれるのかな?」
「じゃあいつも目一杯に早く歩けば普通のアヒルになれるのかな?」
それから黒い子どものアヒルは、母親アヒルについて歩くときには、苦しくても目一杯に早く歩くようにしました。
母親がいつも笑顔でいると、子どもは頑張らずとも自己肯定感を感じることができます。
でも、母親がいつもイライラしていると、子どもは頑張らないと自己肯定感を感じることができなくなります。
このように、母親の言動は子どもの自己肯定感に大きく影響しています。
(関連:アダルトチルドレンの願い)
自己肯定感を感じる条件=禁止令とドライバー
「グズになっちゃダメだ!」
「グズになったら悪いアヒルに戻ってしまう!!」
「悪いアヒルになっちゃったら心を傷つけられてしまう!」
「そんなの絶対に嫌だ!二度とあんな気持ちを感じたくない!」
「だからもっといい子でいなきゃ!」
「もっと早く!もっと早く!」
「もっと頑張んなきゃ!もっと頑張んなきゃ!」
そんな黒い子どものアヒルの歩きを見て、母親アヒルはこう言いました。
「よく頑張ったね。これからも頑張って歩いてね。」
黒い子どものアヒルは、母親アヒルの言葉を聞いてとても温かい気持ち=(^^)な気持ちを心に感じることができました。
そして、黒い子どものアヒルはこう思いました。
「もっと温かい気持ちを感じたい!増やしたい!」
「ずっと頑張んなきゃ!もうグズな自分に戻りたくない!」
「ずっと頑張っていれば、温かい気持ちを感じ続けられるんだ!」
こうして、黒い子どものアヒルはありのままの自分をグスだと錯覚してしまいました。
そして、グスだと悪いアヒルになってしまうので、悪いアヒル=ありのままの自分になってしまうと心を傷つけられてしまうんだ!と、苦しい思い込みもしてしまったわけです。
このように、黒い子どもアヒルが、母親との関係で身に付けてしまった自分自身に対する誤解した印象を、心理学では禁止令とドライバーと呼びます。
(関連:交流分析:禁止令とドライバー)
ありのままの自分じゃダメ!=自己否定感
「もう二度と傷つけられたくない!」
黒い子どものアヒルは自分を守りたい一心で、それ以降ひたすらに、ありのままの自分に戻らないよう頑張り続けるようになりました。
でも、それは悲しいかな、自分を煽り責め続けることでもあります。
そして、ありのままの自分でいると傷つけられてしまう!というスパイラルのような苦しい心理を=自己否定感を心に備えてしまったわけです。
自分を守りたい一心で、黒い子どものアヒルは、ありのままの自分をひた隠しにしなければならない!=自分を守るために自分を否定し続けなければならない!という苦しい心のアヤを備えることになってしまったわけです。
しばらく黒い子どものアヒルは、グスで悪い自分に戻らないように懸命に無理をして頑張り続けました。
(関連:自己否定の原因はいつか誰かに言われた言葉)
嫌われたくない!傷つけられなくない!という不安を見捨てられ不安と言います。
でも、ほっと一息つくととてつもない不安が襲ってきます。
「僕はほっとしていていいのだろうか?」
「僕は、何か足りたいんじゃないか?」
「僕はもっと頑張んなきゃいけないんじゃないか?」
「どうしよう?どうしよう?どうすればいいんだろう?」
「でも何が足りないのかわからない…」
「でも何を頑張んなきゃいけないのかもわからない!」
「明日も目一杯に歩かなきゃ行けないのに…」
「グズなアヒルには絶対になりたくないのに…」
「不安で不安で休めない!」
「でも明日に備えて頑張って休まなきゃ!」
「でも休んでいいの?ほっと安心していいの?」
「わからない!」
「僕はどうしたいんだろう?僕はどうすべきなんだろう?」
「どうしよう?どうしよう?休まなきゃ!でも頑張んなきゃ!」
黒い子どものアヒルは、明日、頑張って歩き続けることに備えて、早くほっと一息ついて安心したいのに、休もうとすると、何か頑張りが足りないような不安を感じて、ぐるぐる回るとてつもない不安に襲われてしまって休めません。
そして、何をしたらいいかわからなくなり、とてもとても疲れてしまい、突然、体がとてもだるくなり動けなくなってしまいました。
動くためには休みたいし、ゆっくり休むためにはいろいろ動いてホッとしてから休みたい…
ホッとしたいけど動かなきゃ!動くためには休まなきゃ!ああしたい!でもこうしなきゃ!
それ以来、黒い子どもアヒルは、心で綱引きが行われているような、心でシーソが激しく揺れているような、そんな激しい葛藤や不安や恐怖を感じるようになってしまいました。
そして、ただ横になっているだけなのに、とても疲れを感じてしまい、とても苦しい思いを、グルグルと感じることになってしましました。
このとき、黒い子どもアヒルが感じた激しい葛藤や不安や恐怖を、心理学では見捨てられ不安と呼びます。
子どもは、母親に見捨てられたら死んでしまう!という大きな不安を抱えています。
なので、子どもは、母親に見捨てられたくない一心で、懸命に頑張り続けます。
このように、理不尽な母親との不安定な関係は、白黒思考と言う極端な思考癖として心に残り、大人になってからも大きな影響を及ぼしていきます。
(関連:白黒思考の原因と改善)
アダルトチルドレンは、家族の平和を願っている…
矛盾した二つの価値観を持つことを分離状態と言います。
さて、自己肯定感と母親の関係を、例え話を用いて説明してきました。
そして、この例え話に登場する黒い子どもアヒルは、じつは、白鳥の子どもなのです。
つまり、「ありのままの黒いアヒル=白鳥の子ども」ということになります。
でも、黒い子どもアヒルは、母親アヒルや兄弟アヒルの言動から、大きな誤解をしてしまいました。
それは、「ありのままの黒いアヒル=グズで悪いアヒル」という誤解です。
よって、同じありのままの黒いアヒルに対して、「白鳥の子ども」という価値観と「グズで悪いアヒル」という価値観が矛盾した状態で混在することになります。
アダルトチルドレンは、子ども時代の心の傷の影響を大人になっても受け続けている…
このように、子ども時代に、親や兄弟から自己肯定感を下げる言葉を受けると、子どもは、その汚名を懸命に晴らそうと、ありのままの自分以上になろうと頑張り続けたり、ありのままの自分以下でいようと我慢をし続けることで、家族に認めてもらい、自己肯定感を感じようとします。
そして、子ども時代の親や家族との関係で心が傷ついてしまった影響で、ありのままの自分をあえて否定し、その見返りとして自己肯定感を感じようとする心の個性を持っている人を、心理学ではアダルトチルドレンと呼びます。
アダルトチルドレンは、自己否定をすることで自己肯定感を感じようとする…
よって、アダルトチルドレンは、ゆっくりと休むことが苦手であったり、失敗する自分を許せなかったり、自己表現を怖がったり、大人になってから、自分自身を厳しい条件付きで自己肯定しようとします。
このとき、自分自身に課す厳しい条件や役割りのことを、ヒーロー(英雄)、スケープゴート(身代り役)、ロストワン(いない子)、ピエロ(おどけ役)、ケアテイカー(世話役)、イネイブラー(支え役)、プラケーター(慰め役)など、アダルトチルドレンタイプと呼びます。
つまり、アダルトチルドレンは、アダルトチルドレンタイプを演じるという条件を自分自身に課すことで、その見返りとして自己肯定感を感じようとします。
このように、アダルトチルドレンとは、自己肯定感の低い親や自己肯定感の低い兄弟の八つ当たりやとばっちりを真摯に受け止め、自分を犠牲にすることで家族の平和を願う優しい人です。
(関連:アダルトチルドレンタイプの解説)
自己肯定感を高めるカウンセリング
さて、ここまで説明してきたように、アダルトチルドレンと自己肯定感の関係は、親や兄弟との過去の関係に大きな影響を受けています。
とはいえ、自分自身が望めば、心理カウンセリングやインナーチャイルドセラピーによって、アダルトチルドレンからの回復を果たし、今からでも自己肯定感を高めることは可能です。
自分自身が自分自身の親になる…
そのためには、大人の自分と子どもの自分の二つの視点で自分自身を捉えていきます。
ただ、自分自身をいろいろな視点で捉えていくことはとてもややこしい作業ですので、その手引きをするのが心理カウンセラーです。
心理カウンセラーの手引きのもと、大人の自分の感情と子どもの自分の感情が触れ合い共感し、大人の自分が子どもの自分の親になり、実の親に代わって育て直すことで、アダルトチルドレンは回復し、自分で自分の自己肯定感を高めることができます。
このとき、子ども時代、親や兄弟との関係で傷つき今も傷ついたままの子どもの自分のイメージを、心理学ではインナーチャイルドと呼びます。
インナーチャイルドセラピーで自分で自分を肯定する…
心理カウンセラーの手引きや仲立ちによって、大人の自分の感情の中に、子ども時代から続いたままの寂しさや悲しさや怖さや不安や怒りが混ざっていることに自分自身が気づいていきます。
ただ、自分で自分を肯定する作業は、対面カウンセリングのみですと、心理カウンセラーが正面に見えてしまい、恥ずかしさや怖さが働き、なかなか難しくもあります。
よって、対面カウンセリングではなく、目を閉じて行う催眠療法(ヒプノセラピー)をベースとしたインナーチャイルドセラピーによって、自分で自分を肯定する作業を始めることが有効です。
傍らにいる心理カウンセラーの手引きによって、映画やゲームの世界に入り込んだような感覚で、目を閉じてリラックスし集中し夢中になりながら、スポーツの体験のように、自分で自分を肯定する感覚を実感で心に染み込ませていきます。
さいごに
じつは、私=寺井啓二自身も、かつてはアダルトチルドレンであり、今はアダルトチルドレンを克服した心理カウンセラーです。
このように、当社メンタル心理そらくもは、アダルトチルドレンが生まれた理由や、アダルトチルドレンの個性を十分に理解したうえで、毒親や自己肯定感の低い親に代わって、自分が自分の親代わりとなり、自分で自己肯定感を高められるようになっていく心理カウンセリングを行っています。