インナーチャイルドを引き起こす「心理的原因」の解説

インナーチャイルドの心理的原因を表わすイラスト

POINTインナーチャイルドを引き起こす「心理的な原因」は、①機能不全家族、②毒親、③負の世代間連鎖、などが考えられます。この記事は、インナーチャイルドを引き起こす「心理的な原因」について解説しています。

心理カウンセラーの寺井です。

心理学における「インナーチャイルド」とは、「幼少期に負ったトラウマ(心の傷)」や「幼少期に満たされなかった気持ち」や「幼少期に身に付けた思考・行動パターン」など、「幼少期の体験(3歳~10歳ごろの体験)」を意味します。

以上のことから、インナーチャイルドの原因には「幼少期の家庭環境が密接に関わっている」と考えられています。

本来、子どもにとって「家庭」とは「最も安全な居場所」であり、「親」とは「最も信頼したい擁護者」であるべきなのですが、「家庭環境」や「親の子育て」に何らかの問題があった場合、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。

また「インナーチャイルドを引き起こす親」自身も、子どもの頃に「親の親(祖父母)」に心を傷つけられ、「インナーチャイルドが傷ついたまま親となった」可能性が高いと考えられており、「インナーチャイルド」とは、決して「親が意図的に起こしている問題」ではなく、曾祖父母から祖父母へ、祖父母から父母へと「無意識に連鎖している問題」と考えられています。

この記事は、インナーチャイルドを引き起こす「心理的原因」について解説しています。

インナーチャイルドを引き起こす「心理的原因」

幼少期の体験がインナーチャイルドに与える影響を表わすイラスト

心理学における「インナーチャイルド」とは、「幼少期に負ったトラウマ(心の傷)」や「幼少期に満たされなかった気持ち」や「幼少期に身に付けた思考・行動パターン」など、「幼少期の体験(3歳~10歳ごろの体験)」を意味します。

例えば、幼少期に親から「暴力・暴言」を受けた場合、インナーチャイルドは傷つき、それ以来、「これ以上、傷つきたくない!」という「防衛的な気持ち」から「感情」や「欲求」を抑え込むようになったり、「どうせ自分には価値がない」という「無価値観」から「自己主張」や「自我」を抑え込むようになり、やがて「幼少期に身に付けた思考・行動パターン」が「習慣化」して性格として根付いていきます。

そして、「幼少期に身に付けた考え方や習慣」を大人になっても繰り返すようになり、その影響で「生きづらさ」を感じるようになります。

以上のことから、インナーチャイルドを引き起こす原因には「幼少期の家庭環境が密接に関わっている」と考えられています。

なお、「インナーチャイルドを引き起こす『心理的原因』」とは、主に以下の「3つ」があげられます。

POINT

  1. 機能不全家族
  2. 毒親
  3. 負の世代間連鎖

それでは、以下に詳しく解説していきます。

 

①機能不全家族

機能不全家族」とは「アダルトチルドレンの研究」から生み出された言葉であり、「アダルトチルドレンの原因となる家庭環境」を意味し、家庭内に存在する様々な問題が原因で、子どもが日常的にストレスを感じている家族の状態を指します。

機能不全家族とは、ストレスが日常的に存在している家族状態のことです。主に親から子どもへの虐待・ネグレクト(育児放棄)・子どもに対する過剰な期待などの様々な要因が家庭内にあり、子育てや生活などの家庭の機能がうまくいっていない状態です。

引用元:機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?

なお、「機能不全家族の意味合い」とは、主に以下の「具体例」があげられます。

POINT

  • 子どもが日常的にストレスを感じている家族
  • 家庭の本来の働きがうまく機能していない家族
  • 子どもが心身共に健全に成長していくために必要なものを満たすことができていない家庭
  • 子どもの健全な成長を阻害してしまう可能性がある家族

また、「機能不全家族で起きている問題」とは、主に以下の「具体例」があげられます。

POINT

  • 児童虐待の問題…「暴言、暴力、性的虐待、ネグレクト、過干渉、過保護、ヒステリー、きょうだい差別、教育虐待」など
  • 家庭環境の問題…「親の死亡、家庭内の暴力、家庭不和、父子母子家庭(ひとり親)、拡大家族、きょうだい児、ヤングケアラー、貧困、借金」など
  • 両親の夫婦関係の問題…「モラハラ、DV、夫婦喧嘩、両親の不和、家庭内別居、親の不倫、両親の離婚、親の再婚」など
  • 両親の精神的問題…「アルコール依存、ギャンブル依存症、薬物依存症、共依存、うつ病、自殺企図、宗教への依存」など

参考元:機能不全家族|Wikipedia

このように、「機能不全家族」とは「親」に限らず「兄弟姉妹」や「祖父母」も含めた「家族全体の問題」を指し、子どもが直接暴言や暴力を受けていなくても、「両親の夫婦喧嘩」や「家族同士の対立」などを子どもが見聞きしてしまうことも含まれます。

本来、子どもにとって「家庭」とは「最も安全な居場所」であるべきなのですが、「家庭環境」に何らかの問題があった場合、子どもは「愛情不足」となり、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。

以上のことから、「機能不全家族」とは、インナーチャイルドを引き起こす原因のひとつと言えます。

 

なお、「自分は機能不全家族で育ったのか?」については、以下の「機能不全家族チェックリスト」でチェックできます。

 

②毒親

毒親」とは、「心理学」や「精神医学」などの学術的な根拠を持つ「言葉」ではありませんので「明確な定義」はありませんが、一般的には「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親」を意味します。

毒親とは、アメリカの専門家が提唱した概念です。過干渉や暴言・暴力などによって子どもに重圧を与えたり、親の都合を優先し、子どもをかまわなかったりする親のことだとしています。

引用元:毒親とは 専門家が語る特徴と対策 過干渉や暴言はどうすれば・・・ – NHK クローズアップ現代 全記録

ですので、「毒親」とは「機能不全家族の原因となる親(インナーチャイルドを引き起こす親)」と言い換えることができます。

なお、「毒親の意味合い」とは、主に以下のような「具体例」があげられます。

POINT

  • アルコール・薬物・ギャンブル・仕事などの依存症を持つ親
  • 拒食・過食などの嗜癖を持つ親
  • 暴言・暴力・ネグレクトなどの虐待を行う親
  • 過干渉な親
  • 過保護な親

「三つ子の魂百まで」という諺があるように、心理学では「幼少期の体験は『人格形成』に多大な影響を与える」と考えられており、とくに「親」から「否定的な扱い」を受けた場合、子どもは「自分が悪い子だから親に怒られるんだ!親を怒らせる自分が悪いんだ!」など「否定的自己概念」を持つようになり、その影響で、自分自身を大切にできなかったり、物事を楽しめなかったりします。

なお、「親から否定的な扱いを受けた子どもが持つ『否定的自己概念』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。

POINT

  • 自己否定感が強い
    自分のことを「嫌いだ」と感じる、自由に行動したり楽しむことに不安を感じる
  • 自尊心が低い
    「自分は誇れる点がない」「自分は何の役にも立たない」と感じる
  • 自己肯定感が低い
    「自分を許せない」「自分に自信がない」と感じる
  • 無価値感が強い
    「どうせ自分には何の価値もない」「どうせ自分は何をやっても駄目だ」と感じる

このように「親」から「否定的な扱い」を受けて育った場合、子どもは「自分を否定する思考(否定的自己概念)」を持つようになり、その「自分を否定する思考」が「インナーチャイルドを絶えず傷つけ続ける」ことになるため、大人になって親から物理的に離れたとしても、慢性的に「生きづらさ」を感じ続けるようになります。

本来、子どもにとって「親」とは「最も信頼したい擁護者」であるべきなのですが、「親の子育て」に何らかの問題があった場合、子どもは無条件で信頼しきっている「親」から理不尽な仕打ちを受けることになるため心が深く傷つき、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。

以上のことから、「毒親」とは、インナーチャイルドを引き起こす原因のひとつと言えます。

 

なお、「自分は毒親に育てられたのか?」については、以下の「毒親育ちチェックリスト」でチェックできます。

 

③負の世代間連鎖

人は、「子育てのやり方」や「家庭の築き方」については「自分が子どもの頃に見聞きした親のやり方を、大人になって無意識に模倣し繰り返す」という特徴があり、「負の世代間連鎖」とは、「子どもの頃、親にされて嫌だった子育てのやり方(親の子育てから受けた負の影響)を、大人になって自分の子どもへと無意識に繰り返してしまうこと」を指します。

負の世代間連鎖とは、「親(又は親から上の世代)から引き継いだ負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」を指します。世の中の親子問題を抱えている人の多くが、「親を介してこの負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」に巻き込まれたことによって、様々な問題を抱えてしまうようになったことを知ることはとても大切なことです。

引用元:親子の問題①(世代間連鎖)

なお、「負の世代間連鎖」とは、主に以下の具合例があげられます。

POINT

  • 親から「暴言・暴力」を受けて育った子どもが、大人になって自分の子どもへと「暴言・暴力」を振るう
  • 親から「放置」されがちだった子どもが、大人になって自分の子どもを「放置」しがちになるPOINT

このように「インナーチャイルド」とは、決して「親が意図的に起こしている問題」ではなく、曾祖父母から祖父母へ、祖父母から父母へと「負の世代間連鎖によって無意識に連鎖している問題」と言えます。

以上のことから、インナーチャイルドを引き起こす原因となる「負の世代間連鎖」には、以下のような特徴があると言えます。

POINT

  • 「インナーチャイルドを引き起こす親」は、子どもの頃に「親の親(祖父母)」に心を傷つけられ、「インナーチャイルドが傷ついたまま親となった」可能性が高い
  • 「親の親(祖父母)」も、子どもの頃に「親の親の親(曾祖父母)」に心を傷つけられ、「インナーチャイルドが傷ついたまま親となった」可能性が高い
  • 「インナーチャイルドを引き起こす親」は、「子どもの頃に親の親(祖父母)にしてもらった子育て」を無意識に繰り返しているだけであり、「子どもを傷つけよう」という意図はない
  • 「インナーチャイルドを引き起こす親」は、「子どもを傷つけよう」という意図がないため、「子どもを傷つけている」という自覚をなかなか持てない
  • 「インナーチャイルドを引き起こす親」は、「子どもを傷つけよう」という意図がないまま、「子どもを傷つけている」という自覚をなかなか持てないまま、「無意識に子どもを傷つけてしまう」可能性が高い

このように「インナーチャイルドが傷ついたまま」だと、将来自分が「親」となったとき、無意識に子どもを傷つけてしまい、「子ども」から「孫」へと「負の世代間連鎖」が延々と続いてしまう可能性があります。

だからこそ、「傷ついたインナーチャイルドを癒し、負の世代間連鎖を断ち切る」ことは、「自分にとっても子どもの世代にとっても重要な意味を持つ」と言えます。

以上のことから、「負の世代間連鎖」とは、インナーチャイルドを引き起こす原因のひとつと言えます。

 

なお、「負の世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説しています。

 

インナーチャイルドの原因となる「父親」の特徴

インナーチャイルドの原因となる父親を表すイラスト

インナーチャイルドの原因となる「父親」は、インナーチャイルドの原因となる「母親」に比べると「怒りが爆発しやすい」という特徴があり、この「父親が爆発させる怒り」とは、殆どの場合、「父親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「躾(しつけ)という名の『暴言・暴力』」によって負った「家庭内トラウマ(傷ついたままのインナーチャイルド)」に原因がある場合が多く、反対に言えば、インナーチャイルドの原因となる「父親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「怒り」を、誤って自らの子どもへと爆発させてしまっていると言い換えることができます。

なお、「インナーチャイルドの原因となる『父親』の特徴」は、主に以下の「6つ」があげられます。

POINT

  1. 家庭に不在がち
  2. 子どもに厳しい
  3. 子どもに暴言・暴力を振るう
  4. きょうだい差別をする
  5. 配偶者(パートナー)を苦しめる
  6. 精神的に不安定

続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

 

インナーチャイルドの原因となる「母親」の特徴

インナーチャイルドの原因となる母親を表すイラスト

インナーチャイルドの原因となる「母親」は、「父親」に比べると「子どもにイライラしやすい」という特徴があり、この「母親が子どもに感じるイライラ」とは、殆どの場合、「母親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「妬み・嫉み・意地悪」によって負った「家庭内トラウマ(傷ついたままのインナーチャイルド)」に原因がある場合が多く、反対に言えば、インナーチャイルドの原因となる「母親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「イライラ」を、誤って自らの子どもへと向けてしまっていると言い換えることができます。

なお、「インナーチャイルドの原因となる『母親』の特徴」は、主に以下の「6つ」があげられます。

POINT

  1. 子どもに依存する
  2. 子どもの同情を引く
  3. 子どもを束縛する
  4. 過干渉・過保護
  5. 子育てに消極的
  6. 精神的に不安定

続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

 

関連記事・関連情報

さいごに、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

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なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「インナーチャイルドを引き起こす『心理的原因』の解説」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

“代表:寺井啓二の詳しいプロフィール”

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