アダルトチルドレンとは?心理学でやさしく解説
POINTアダルトチルドレンとは、「精神医学」や「心理学」などに学術的な根拠を持つ診断名ではなく、子どもの頃、正常な機能を果たしていない「機能不全家庭」で育ち、心にトラウマ(心的外傷)を負ったことが原因で、大人になって「生きづらさ」を感じている人たちを意味する言葉です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」とは、「子どものままの大人」あるいは「大人になりきれない大人」という意味ではありません。
「アダルトチルドレン」とは、「精神医学」や「心理学」などに学術的な根拠を持つ診断名でもなく、「自己理解を深めるための言葉」です。
「アダルトチルドレン」とは、「生きづらさには必ず原因があり、生きづらさの克服は可能である」ことを示す「希望の言葉」と言えます。
このように、「アダルトチルドレン」については研究が進み、現在ではさまざまな克服方法が確立されており、その中でも、心理カウンセリングは「アダルトチルドレン克服の重要な役割」を担っています。
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アダルトチルドレン(AC概念)とは?
「アダルトチルドレン」とは、子どもの頃の家庭環境において、親や家族との間で何らかのトラウマ(心的外傷)を負ったことが原因で、大人になって「人間関係の悩み」や「自己否定感」など、「生きづらさ」を感じ悩み苦しんでいる人たちを意味する言葉です。
アダルト・チルドレン(Adult Children:以下AC)とは、子どものころに、家庭内トラウマ(心的外傷)によって傷つき、そしておとなになった人たちを指します。…(中略)…ACの概念は1970年代にアメリカで提唱され始めました。
引用元:アダルト・チルドレンってなに
そして「アダルトチルドレン(AC概念)」とは、以下のような考え方を指します。
POINT
- アダルトチルドレンとは、学術的な根拠を持つ診断名ではなく、「自己理解を深めるための言葉」である
- アダルトチルドレンは、「子どもが安心できない子育てをする親」に育てられたことにで負った「トラウマ(心的外傷)」が原因である
- アダルトチルドレンは、生まれ持った「遺伝」ではなく、生まれた後で身に付けた「人生脚本」という「習慣」である
- アダルトチルドレンは、親から子へと「習慣」が「世代間連鎖」する可能性がある
- アダルトチルドレンは「習慣」である以上、克服が可能である
- アダルトチルドレンは、子どもの頃に心に負った「トラウマ(心的外傷)」を治療することで克服できる
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレンの歴史
「アダルトチルドレンの歴史」は未だ浅く、まるで「病気や診断名であるかのような誤解」が未だ残っているのも確かです。
「アダルトチルドレン」という概念は、もともと、カナダの「マーガレット・コーク」が1969年に出版した「忘れられた子どもたち~アルコール依存症の親に育てられた子どもについて~」という本から始まったと言われています。
1974年、アメリカの「国立アルコール乱用とアルコール依存症研究所(NIAAA)」により、「アルコール依存症の親を持つ子どもたちの研究」が開始されたことから、「アダルトチルドレン」という概念は、アメリカのアルコール依存症の治療現場から広がりを見せ始めました。
1980年代、アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士「クラウディア・ブラック」や、アメリカの心理学者「ジャネット・ウォイティッツ」が著した「『アダルトチルドレン』と『アルコール依存症』に関する書籍」が次々とベストセラーとなったことから、「アダルトチルドレン」という概念は、アメリカ社会に定着していきました。
日本でのアダルトチルドレンの歴史は、「クラウディア・ブラック」が1981年に出版した「私は親のようにならない」を、1989年に「斎藤学(さいとうさとる)」氏が翻訳出版したことから始まりました。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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アダルトチルドレンの特徴
「アダルトチルドレン」とは、本来であれば子どもにとって最も信頼できるはずの「両親」や「家族」から傷つけられたことが原因となり、「他者との信頼関係の構築に不可欠な『人への基本的信頼感』に問題を抱えたまま大人へと成長した人たち」「『精神的な自立』が果たせないまま大人になった人たち」「『生き方』がわからないまま大人になった人たち」ということになります。
よって、「機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレン」は、「人が怖い・人が信頼できない・人に相談できない・人に自分の気持ちを言えない(特に怒りや悲しみといったネガティブ感情)・どうせ自分は理解されない」など、他者への警戒心「防衛機制」が高まりやすい傾向があり、そのぶん、家族・職場・恋愛・結婚・子育て・友人など「人間関係の悩み」を抱えやすい特徴があります。
また、このような「機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレンの特徴」を「生きづらさ」と呼ぶ場合もあり、「機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレン」のことを「毒親育ち」と呼ぶ場合もあります。
この記事は、「アダルトチルドレンの特徴」について、以下の点を詳しく解説しています。
POINT
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレン(ac)チェックリスト
以下の「アダルトチルドレン(ac)チェックリスト」は、科学的論文に掲載されたアダルトチルドレン尺度に加え、カウンセリングでの事例に基づき、アダルトチルドレン症状を参考にリスト化したものです。
アダルトチルドレン症状を具体的に40個あげており、当てはまる項目をチェックすることで、チェック結果を自動で表示します。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレンの原因
「アダルトチルドレンの原因」は、子ども時代の親との関係に密接な関係があります。
虐待や暴力をふるう毒親の影響や、過干渉・過保護な親との関係で心が傷つき、大人になっても人を信頼することができず、生きづらさを感じます。
また、親に限らす祖父母などの家族との関係にもアダルトチルドレンの原因があります。
このように、子どもがのびのびと過ごせない家族を「機能不全家族」と言います。
そして、子ども時代、ありのままの感情表現ができなかった子どもは、傷ついた「インナーチャイルド」を抱えることになり、大人になってアダルトチルドレンの原因となります。
また、アダルトチルドレンの原因となる「毒親」も、幼少期、心が傷ついた経験をもつアダルトチルドレンの場合があり、生きづらさは、親から子へ、子から孫へと「世代間連鎖」していきます。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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アダルトチルドレンタイプ
「アダルトチルドレンタイプ」とは、以下のように、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」が、1985年に出版した「アダルトチルドレン・シンドローム―自己発見と回復のためのステップ」という著書の中で示した「考え方」であり、アダルトチルドレンが、子どもの頃、機能不全家族のなかで担ってきた「役割」を言い表したものです。
アダルトチルドレンタイプとは、アメリカのセラピスト、クリッツバーグ(Kritsberg,W)が1985年に出した『ACOA症候群(The Adult Children of Alcoholics Syndrome)』という本の中で、成人してアダルトチルドレンとなった人々が、子ども時代に機能不全家族のなかで、どのような役割を担わされていたかについて言い表したものです。
引用元:アダルトチルドレン6つの役割
「アダルトチルドレンタイプ」という考え方の背景には、あくまで「自己理解を深める」という目的があり、「アダルトチルドレンが自己理解を深めること」は、「アダルトチルドレン(AC)概念」の生みの親である「クラウディア・ブラック」が示す「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」のなかの「ステップ2=過去と現在をつなげる作業」にあたります。
このように、「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンからの回復を進めやすくする」ために、機能不全家族で育った子どもたちが持つ性格的な特徴を、とりあえず、以下のような「6つのタイプ」にまとめました。
アダルトチルドレン「6つ」のタイプ
- 「ヒーロー:英雄」
勉強・スポーツなどで活躍を示すことで世間から評価してもらおうとする - 「スケープゴート:いけにえ役」
あえて「問題児・病弱児」であることで家族から「厄介者」とみなされようとする - 「ロストワン(ロストチャイルド・ロンリー):いない子」
自分の感情・特徴・個性をひた隠するなど、徹底して目立たないようにする - 「プラケーター:慰め役」
疲れている父親・嘆いている母親・落ち込んでいる兄弟姉妹などを気遣い慰めようとする - 「ピエロ(クラウン・マスコット):道化・おどけ役」
家族が揉めること・家族が不和になることを極端に恐れ、家族の雰囲気が悪くなると、わざとおどけたりふざけることで懸命に雰囲気を変えようとする - 「イネイブラー(支え役)」
相手のために自分を犠牲にして献身的に尽くすが、相手のためにならないくらいにまで尽くしすぎてしまう
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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アダルトチルドレン(ac)タイプ診断
「アダルトチルドレン(ac)タイプ診断」は、あくまで「アダルトチルドレンからの回復」のために行う診断です。
アダルトチルドレン(ac)タイプ診断を行うことで、機能不全家族の影響の把握、子ども時代のトラウマの影響の把握、インナーチャイルドのタイプ診断などを行うことができ、自分が抱える問題に適した克服方法を見つけることができます。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレンの恋愛傾向
「アダルトチルドレンの恋愛傾向」には、以下のふたつの特徴があります。
POINT
- 一方的に依存されたり依存したり、依存傾向の恋愛関係をなりがち
- 理想が高い相手、可愛そうな相手など、アンバランスな恋愛相手を求めがち
このように、アダルトチルドレンの恋愛傾向は、男性であっても女性であっても「恋愛関係がうまくいきそうにない相手を選びがち…」という傾向があります。
アダルトチルドレンの恋愛傾向は、依存傾向になりがちであったり、極端に違った立場の相手との恋愛関係になりがちなのが特徴的です。
それは、幼少期から満たされぬままも持ち越している寂しさや不安などが恋愛によって大きく揺れ動いてしまうからです。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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アダルトチルドレンの克服
アダルトチルドレンの克服は、「アダルトチルドレン(AC)概念」の生みの親である「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を順守する必要があります。
アダルトチルドレン(AC)概念の生みの親であるクラウディア・ブラックは、ACの回復プロセスを次のような4段階で説明しています。「ステップ1=過去の喪失を探る」「ステップ2=過去と現在をつなげる」「ステップ3=取りこんだ信念に挑む」「ステップ4=新しいスキルを学ぶ」。
このように、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」は、現在、様々な形で行われています。
アダルトチルドレンの克服方法は、「心理カウンセリング」「インナーチャイルドセラピー」「自助グループへの参加」などがあり、「アダルトチルドレンの克服本」も数多く出版されていますが、そのなかでも、「心理カウンセリング」と「インナーチャイルドセラピー」を用いる方法は、アダルトチルドレンの克服にとても有効であると言われています。
そして、「心理カウンセリング」や「インナーチャイルドセラピー」によってアダルトチルドレンの克服が進んでいくと、自分の人生、人間関係、恋愛、結婚、子育てにおいてさまざまなプラスの変化が感じられるようになります。
また、私「心理カウンセラー寺井啓二」は、今はアダルトチルドレン克服の専門家ですが、かつては私自身がアダルトチルドレンであり、「アダルトチルドレン(ac)を克服した人」でもあります。
この記事は、「アダルトチルドレンの克服」について、以下の点を詳しく解説しています。
POINT
- 世の中で知られている「アダルトチルドレンの克服方法」
- 「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」
- 「アダルトチルドレンの心理カウンセリング」のポイント
- 「心理カウンセラー寺井啓二」の「AC克服体験談」
- 「アダルトチルドレンを克服すると生まれる5つの変化」
- インナーチャイルドセラピーによる「アダルトチルドレンの克服体験談」
- 「アダルトチルドレンの克服本」の紹介
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレンの心理カウンセリング
心理カウンセリングは、アダルトチルドレンの克服にとても有効であると言われています。
その理由は、アダルトチルドレンが「親との人間関係」で生まれた問題である以上、「心理カウンセラーという人間との信頼関係」を経験することで、人間関係への苦手意識が和らぎ自信が生まれるからだと私は考えています。
「アダルトチルドレン」も「アダルトチルドレンの親」も「私たち心理カウンセラー」も、みな同じ1人の人間です。
アダルトチルドレンの克服を目的とした心理カウンセリングに重要なのは、「技術」や「知識」に加え、「お互いに敬意を払う対等な人間関係」「お互いに協力しあいながら克服を目指す信頼関係」が大切です。
以下は「心理カウンセリングを用いて、アダルトチルドレンの克服に取り組む場合に重要となるポイント」です。
POINT
- アダルトチルドレン「AC概念」を理解する
- アダルトチルドレンの特徴を理解する
- アダルトチルドレンの原因を理解する
- アダルトチルドレンは自分で克服する
- アダルトチルドレンの回復過程を遵守する
- 人間への警戒心を配慮し工夫する
- トラウマの治癒にインナーチャイルドセラピーを用いる
- アダルトチルドレンの克服をアフターフォローする
- アダルトチルドレンの克服経験を持っている
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
以上、「アダルトチルドレンとは?心理学でやさしく解説」という記事でした。