世代間連鎖によって起きる社会的問題:「虐待・暴力・貧困」

2021年10月27日アダルトチルドレンアダルトチルドレンの原因,アダルトチルドレンの問題,世代間連鎖,子育て

世代間連鎖によって起きる社会的問題を表わすイラスト

POINT「虐待・暴力・貧困」などの社会的問題は、決して「社会状況」のみが原因ではなく、「虐待・暴力・貧困」を経験した親が無意識に繰り返し、世代間連鎖していきます。

心理カウンセラーの寺井です。

世代間連鎖によって起きる問題は、周囲の人々を巻き込んでしまう「社会的問題」と、自分の内面で起きる「心理的問題」にわけられます。

世代間連鎖によって起きる「社会的問題」とは、「児童虐待・モラハラ・DV・教育格差・ヤングケアラー」などがあげられ、これらの問題は、親の問題に子どもがに巻き込まれている状態と言えます。

そして、これらの問題に巻き込まれた子どもは、大人になって親となったとき、自分が子どもの頃に巻き込まれたように、今度は自分の子どもを巻き込んでいきます。

このように、世代間連鎖によって起きる「社会的問題」は、親から子へ、子から孫へと世代間連鎖している問題と言えます。

 

ちなみに、この記事は、「世代間連鎖によって起きる『社会的問題』についての解説」です。

世代間連鎖によって起きる『心理的問題』についての解説」は、以下の記事で詳しく説明しています。

それでは、世代間連鎖によって起きる社会的問題について説明していきます。

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世代間連鎖によって起きる社会的問題:「虐待・暴力・貧困」

虐待・暴力・貧困など世代間連鎖によって起きる社会的問題を表わすイラスト

カウンセリングの現場では、「子どもを虐待する親自身、かつては虐待の被害者である場合が多い」とよく言われます。

同じように、「暴言・暴力を繰り返す親も、かつては暴言・暴力の被害を受けた経験を持つ場合が多い」とも言われますし、「貧困に苦しむ親も、かつては生活保護を受ける家庭で育った経験を持つ場合が多い」とも言われます。

このように、世代間連鎖によって起きる「社会的問題」は、親から子へ、子から孫へと世代間で連鎖していく場合が多いと言えます。

とはいえ、世代間連鎖によって起きる「社会的問題」の影響は、100%の確率で「世代間連鎖」するわけではなく、自分が望めば「世代間連鎖を断ち切る」ことは可能です。

そのためには、世代間連鎖によって起きる「社会的問題」は、決して「社会状況」のみが原因で起きているわけではなく、「『人それぞれが考え・行動した結果』として起きている問題なので、『今から考えや行動を変えていく』ことで問題を解決できると捉えることが重要です。

そして、世代間連鎖によって起きる「社会的問題」は、大きく分けて以下の3つがあります。

POINT

  1. 虐待」の世代間連鎖
  2. 暴力」の世代間連鎖
  3. 貧困」の世代間連鎖

それでは、以下に詳しく説明していきます。

 

問題①:「虐待」の世代間連鎖

虐待の世代間連鎖を表わすイラスト

虐待」とは、「過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクト」など「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育て」を指します。

児童虐待とは、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、殴る、蹴るなどの身体的虐待や、性的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトも含まれます。

引用元:DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの―

そして、子どもの頃、親から「過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクト」などの子育てを受けた経験を持つ子どもは、大人になって親となり子育てを始めたとき、自分が親にされたように、子どもを頭ごなしに否定してしまったり、子育てから逃げてしまったり、「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育て」を繰り返してしまう場合があります。

そして、「虐待の世代間連鎖」として考えられる問題は、主に以下の点があげられます。

POINT

  1. 過干渉・過保護
  2. 厳しい躾・厳しい教育
  3. ネグレクト

それでは、以下に詳しく説明していきます。

 

①-1:過干渉・過保護

過干渉」とは、子どもがやりたくないことを親が強制的にやらせたり、子どもがやりたいことを親が強制的に禁止したり、子どもの意思・思考・欲求・行動を親が否定しすぎてしまうことで、子どもの自我・自主性の発達に悪影響を及ぼすことです。

過干渉は、虐待の一種であり「保護者が我が子を一人の主体的な人間として認めず、その子供の意思や思考、自我の発達や自主性などを否定して、操り人形のごとく親の意のままにコントロールしようとすること」である。

引用元:過干渉

過保護」とは、親が子どもを必要以上に甘やかしたり、子どもが望むものを親がなんでもかなえてあげたり、子どもの意思・思考・欲求・行動を親が尊重しすぎてしまうことで、子どもが社会人になるために必要な精神的な自立に悪影響を及ぼすことです。

過保護(かほご)とは、ある対象を過剰に保護することである。 過保護は、特にこどもの養育において、必要過多な保護、甘やかしを行う場面が多く、こども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ますことを指す。

引用元:過保護

例えば、日本には「跡を継ぐ」「世襲」といった概念があり、「政治家・医者・社長」などの地位にある親は、親の職業や責任を、子どもの気持ちを無視し、無理矢理、子どもに跡を継がせようとする場合があります。

その他にも、親が辛く苦しく惨めなトラウマ体験をしていると、親は「子どもに同じ想いをさせたくない!」と思うあまり、子どもに干渉しすぎたり、子どもの面倒を見過ぎてしまい、「過干渉・過保護」な子育てになってしまう場合があります。

このように、「過干渉・過保護」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

なお、「過干渉・過保護をしてしまう親の心理状態」については、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

①-2:厳しい躾・厳しい教育

子どもの頃、「頑張りなさい!」「我慢しなさい!」と親から煽られたり抑圧されてきた経験を持つ子どもは、「常に頑張る!」あるいは「常に我慢する!」ことを親から求められ続けてきたため、大人になって「極端な思考」を持ちやすくなります。

このように、物事を極端に捉える思考を「白黒思考(二極思考)」と言います。

白黒思考は「全か無かの思考」「二分法的思考」とも呼ばれるもので、物事を白か黒か、善か悪か、といった極端な立場でしか捉えることが出来ない思考のことを言います。

引用元:白黒思考

白黒思考」とは、ある意味、「完璧を求める思考」とも言えます。

なので、親から受けた子育ての影響で「白黒思考」を抱えたまま成長した子どもは、大人になったとき、自らの子どもに対しても「完璧」を求めすぎてしまい、結果、「厳しい躾」や「厳しい教育」を繰り返す場合があります。

このように、「厳しい躾」や「厳しい教育」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

①-3:ネグレクト

子どもの頃、親が仕事で忙しく「鍵っ子」であったり、親が離婚をして「片親」であったなどの理由で1人で過ごすことが多く、家庭の温かさを感じた経験が少ない子どもは、大人になって親になったとき、「子育ての方法がわからない」と感じる場合が多く、子育てをやろうとしてもやり方がわからず、子育てが滞ってしまう場合があります。

このように、親が子育てを疎かにしたり怠ってしまうことを「ネグレクト」と言います。

ネグレクトは、英語では”neglect”となり、無視する、怠る、疎かにすると訳されます。子どもに対するネグレクトは、育児放棄育児怠慢と言われ、児童虐待の1つです。

引用元:ネグレクトの定義とは?子どもに与える影響と支援する方法をご紹介

また、「ネグレクト」とは「育児放棄」や「育児怠慢」と略されます。

ですが、心理カウンセリングの現場では、「ネグレクトをしてしまう親は、子育てを怠っているのではなく、子育てのやり方がわからないので、子育てをやりたくてもやりようがなくて困惑している」あるいは「ネグレクトをしてしまう親は、子育てを疎かにしているのではなく、子育てのやり方がわからないので、子育てが怖くなって逃げてしまう…」と考えます。

このように、「ネグレクト」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

なお、「ネグレクトをしてしまう親の心理状態」については、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

虐待の世代間連鎖

このように、「子どもの頃、親から受けた虐待」を、大人になって自分の子どもへと繰り返してしまうことを「虐待の世代間連鎖」と言います。

虐待を受けた子どもが、大人になって自分の子どもに対して親から受けたのと同じような虐待をしてしまう。このように世代を超えて虐待が伝達されていくことを「虐待の世代間連鎖」(あるいは世代間伝達)と呼んでいます。

引用元:慶應義塾大学出版会|月刊 教育と医学|巻頭随筆|悲しいことば

反対に言えば、「世代間連鎖によって起きる問題」は決して自分1人の問題ではなく、祖父母から親へ、親から子へ、子から孫へと脈々と連鎖している問題であると言い換えることができます。

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問題②:「暴力」の世代間連鎖

暴力の世代間連鎖を表わすイラスト

前述の通り、「虐待行為」とは、「子どもの頃、親から受けたのと同じような虐待を、大人になって自分の子どもへと対して繰り返してしまう」という特徴があります。

なかでも、「暴力による虐待」は、親の「理不尽な言動」によって「心の傷(トラウマ)の痛み」に加えて「体の傷の痛み」も合わせて感じることになり、そのぶん「暴力による虐待」を受けた子どもは、心の奥底に「大きな怒り」を抑圧していることになります。

よって、「暴力による虐待」を受けた子どもは、大人になって「怒り」が爆発しやすくなり、些細なことでも「暴言・暴力」を振るいやすくなります。

虐待行為のうち暴力などは、世代間連鎖すると言われます。暴力を振るう親のもとで育った子は暴力を振るうようなる、というわけですが、何故そうなるのかについては、子が暴力による問題解決を学習するという説や、暴力を受けた子のトラウマが怒りとなり暴力を生むという説など諸説あります。

引用元:暴力の世代間連鎖とフィボナッチ数列

このように、「暴力による虐待」を受けた子どもは、大人になって「モラハラ・体罰・DV」など、親から受けたのと同じような虐待を自分の子どもへ繰り返してしまう場合があります。

そして、「暴力の世代間連鎖」として考えられる問題は、主に以下の点があげられます。

POINT

  1. 暴言・モラハラ
  2. 体罰・DV
  3. PTSD(心的外傷後ストレス障害)

それでは、以下に詳しく説明していきます。

 

②-1:暴言・モラハラ

例えば、父親が母親に「暴言」を吐いている様子や、母親が父親に「怯えている」様子を日常的に見ながら育った子どもは、母親を尊敬できなくなってしまったり、両親とも信用できなくなり、大人になっても周囲を信頼できず、些細なことで「暴言」を吐いてしまう場合があります。

「日常的に父親が母親をなじっている」「父親が『ママはバカだ』『ママのようになってはいけない』と言ってくる」そんな状況では、子どもも母親を尊敬できなくなり、自分の親を否定して生きることになってしまいます。また、モラハラ夫が、子どもがモラハラ行為をしたことに対して褒めるなどしている場合には子どもは成長の過程で誤った学習をしてしまい、さらにモラハラを助長することになりかねません。

引用元:モラハラが子どもに与える悪影響~「自分だけ我慢すればいい」は間違い!

父親が母親に「暴言」を吐いている様子を見ながら育った子どもは、「父親が母親を見下している様子」を日常的に見ながら育ったことになります。

よって、父親の「暴言」を見ながら育った子どもは、大人になって、手本である「父親」と同じように、彼女・妻といった「女性」に対して「暴言」や「モラハラ」を繰り返してしまう場合があります。

また、父親が母親に「暴言」を吐いている様子を見ながら育った子どもは、反対に「自分が母親を守らなければならない!」という使命感や、「自分がいい子でいないから、両親がケンカをしてしまうのだ!」という考えを持つようになり、「人目が気になりすぎてしまう大人」や「自分の言いたいことを言えない大人」になってしまう場合があります。

このように、「暴言」や「モラハラ」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

②-2:体罰・DV

親から「暴力」を受けて育った子どもは、「『暴力』も愛情表現のひとつ」という「認知の歪み」を持ちやすく、大人になって親になったとき、子どもに対して「暴力」を繰り返してしまう場合があります。

体罰を受けた人は感情や思考を制御する脳の一部が萎縮し、学習意欲の低下や心の病を発症しやすい…(中略)…一つのことに集中できなかったり、感情をうまく表現できなかったりする傾向も強いという。体罰を受けていた人ほど自分が体罰を振るうことに抵抗感が薄いという「世代間連鎖」も指摘されている。

引用元:社説:親による体罰 許されぬ「しつけだから」

「暴力による虐待」を受けた子どもは、親の「一方的で理不尽な理由」によって、「体の傷」と「心の傷(心的外傷)」の両方を負っていることになり、そのぶん「大きな不満・怒り」を抑圧していることになります。

よって「暴力による虐待」を受けた子どもは、大人になって「不満・怒り」が爆発しやすく、キレやすくなり、些細なことでも「暴力」を振るい、「体罰」や「DV」を繰り返してしまう場合があります。

このように、「体罰」や「DV」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

なお、「暴言・モラハラ・体罰・DVをしてしまう親の心理状態」については、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

②-3:PTSD(心的外傷後ストレス障害)

子どもは、弱い存在である自分を保護してくれる「親」を無条件で信頼します。

よって、無条件で信頼している「親」から、「暴言」や「暴力」などの厳しい仕打ちを受けてしまうと、子どもの心は深く傷つき「トラウマ(心的外傷)」を抱えることになります。

発達期に受けたトラウマは、その後の人生に影響を及ぼしかねません。今まさに発達期にあるお子さんはもちろん、子どものころにトラウマを負って、癒えないまま大人になったという方は、心の傷による生きづらさを抱えています。

引用元:子どものトラウマは、人生が狂うほど根深いことをご存知か?

また、大きなショック体験が原因で、時間が経ってからもその影響を受け続けることを「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と言います。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。

引用元:PTSDについて

そして、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」とは、「もう二度と傷つけられたくない!」という「防御心理(防衛機制)」が強まっている状態であるため、「精神的に敏感」あるいは「精神的に不安定」になりやすく、大人になって、自分の子どもに対して「暴言」や「暴力」などの厳しい仕打ちを繰り返してしまう場合があります。

家庭内での小児虐待のように「トラウマ体験」が長期間繰り返されると、原因となった出来事を思い出すきっかけに触れるたびに、つらい記憶が突然鮮明によみがえる「フラッシュバック」が起こる。記憶がよみがえるだけではなく、実際にその出来事を再び体験しているような感覚に陥る。

引用元:心的外傷後ストレス障害(PTSD)

このように、幼少期に負った「トラウマ(心的外傷)」による「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

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問題③:「貧困」の世代間連鎖

貧困の世代間連鎖を表わすイラスト

貧困」とは、前述の「虐待」や「暴力」とは違い、「心理的な原因」によってのみ「連鎖」するものではありません。

「貧困」とは、「社会状況」や「経済情勢」など、さまざまな「外的要因」もかさなったうえで起きる問題ではあります。

ですが、親が経済的に困窮していることで十分な「教育費」が確保できないと、子どもが勉強をする機会を失ってしまい、そのことが「子どもの進学・就職に不利」に働いてしまう場合があります。

貧困の世代間連鎖とは:「貧困が次世代に続くこと」貧困が次世代に続く一番の理由は、親の収入が低いために十分な教育費を出せないからです。教育環境が整っていないと、勉強をする習慣がなくなり、結果的に進学や就職に不利な状況になってしまいます。そして、不安定な収入しか得られないまま大人になり、家庭を持つことになります。こうして貧困の世代間連鎖が起こり、貧困のサイクルが回ります。

引用元:貧困の世代間連鎖って?NPOの取り組みを紹介しながら簡単に解説します。

このように、「貧困」の問題を抱えた家庭で育った子どもは、本人は懸命に抗ったとしても、さまざまな要因がかさなることで、結果的に「貧困」を繰り返してしまう場合があります。

そして、「貧困の世代間連鎖」として考えられる問題は、主に以下の点があげられます。

POINT

  1. 教育格差・低学歴・低収入
  2. ヤングケアラー
  3. 毒親

それでは、以下に詳しく説明していきます。

 

③-1:教育格差・低学歴・低収入

例え、生まれ持った資質に差がなかったとしても、「『貧困』の問題を抱えた家庭で育った子ども」と「『裕福』な家庭で育った子ども」とのあいだには「教育格差」が生じやすくなります。

貧困による教育格差は特に深刻です。現在は学校だけでなく、塾や習い事など学校外での教育を受ける機会が多くなっています。…(中略)…実際に子どもの貧困対策に取り組む団体が行ったアンケートによると、経済的な理由で塾や習い事を諦めた家庭は68.8%にものぼります。…(中略)…この影響は教育格差の上ではかなり深刻です。

引用元:データで見る教育格差。子どもの貧困問題がますます深刻化している実状とは

「教育格差」が生じると、そのぶん「学歴・収入の格差」も生じやすくなり、結果的に「貧困の連鎖」が生じてしまいます。

このように、「教育格差・低学歴・低収入」の問題は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

③-2:ヤングケアラー

また、「シングルマザー」や「シングルファザー」など、親が離婚をしたことによって「母子家庭」や「ひとり親世帯」で育った子どもは、炊事・洗濯など「生活を支える役割」を担わなければならなかったり、アルバイトなど「家計を支える役割」を担わなければならず、結果として、そのことが「子どもの進学・就職に不利」に働いてしまう場合があります。

また、子どもが「生活を支える役割」や「家計を支える役割」を担い続けているということは、「親は子どもに『精神的・経済的』に依存し続けている」ということになります。

このような場合、親の親が高齢となり介護が必要となると、親は仕事が忙しいことを理由に介護を子どもに手伝わせてしまい、結果として、そのことが「ヤングケアラー」という問題に発展する場合があります。

ヤングケアラー(英語: young carer)とは、通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなどの介護や世話をしている18歳未満の子どもを指す。家族の病気や障害のために、長期のサポートや介護、見守りを必要とし、それを支える人手が十分にない時には、子どもであってもその役割を引き受けて、家族の世話をする状況が生じる。介護のために学業に遅れが出たり、進学や就職を諦めたりするケースもあるといい、実態の把握が急がれている。

引用元:ヤングケアラー

このように、「ヤングケアラー」の問題は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

③-3:毒親

また、「貧困」の問題を抱える家庭とは、「親が子どもに『精神的・経済的』に依存している家庭」と言い換えることができます。

このような場合、子どもは「親からの精神的・経済的な自立」を果たそうとしても、親の方が「子どもから精神的・経済的な自立」が果たせず、親が子どもを束縛し続けたり、親が子どもにお金を無心し続けるなどの問題も起こり得ます。

このように、「子どもから精神的・経済的な自立が果たせない親」を「毒親」と呼ぶ場合があります。

毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。1989年にスーザン・フォワード(英: Susan Forward)が作った言葉である。学術用語ではない。

引用元:毒親

よって、「毒親」の問題は、世代間連鎖によって起きる問題のひとつと言えます。

 

なお、「毒親とは何か?」については、以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

  • POINT親が子どもに干渉しすぎたり、子どもの面倒を見すぎてしまう「過干渉・過保護」は、世代間連鎖によって起きる問題と言える
  • 親が子どもに完璧を求めてしまう「厳しい躾・厳しい教育」は、世代間連鎖によって起きる問題と言える
  • 親が子育てを疎かにしてしまう「ネグレクト」には、「子育てのやり方がわからないので、子育てが怖くなって逃げてしまう…」という親の心理が影響している
  • 世代間連鎖によって起きる問題は、自分1人で引き起こした問題ではなく、祖父母から親へ、親から子へ、子から孫へと脈々と連鎖している問題である
  • 父親が母親を見下す「暴言・モラハラ」は、子どもの心に「人間関係への歪んだ感情」を抱かせる
  • 暴力による虐待」を受けた子どもは、些細なことでもキレやすくなり、大人になり親になって「暴力による虐待を繰り返す」可能性がある
  • 親から「暴言・暴力」を受けた子どもは心が大きく傷つき、「精神的に敏感」あるいは「精神的に不安定」になりやすい
  • 貧困によって「教育格差」が生じると「学歴・収入の格差」も生じやすくなり、結果的に「貧困の連鎖」が生じてしまう
  • 母子家庭」や「ひとり親世帯」で生じやすい「ヤングケアラー」は、世代間連鎖によって起きる問題と言える
  • 子どもを束縛したり、子どもに依存し続ける「毒親」は、世代間連鎖によって起きる問題と言える

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「世代間連鎖によって起きる社会的問題:「虐待・暴力・貧困」」という記事でした。

この記事を書いた人

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