POINT毒親とは、子どもの人生に悪影響を及ぼす親を意味する言葉であり、毒親の子育ては、子どもの「性格・恋愛傾向・子育て観・結婚観」に大きな影響を与えています。ですが、「毒親の特徴」も「毒親育ちの特徴」も、カウンセリングを利用することで改善することは可能です。
心理カウンセラーの寺井です。
「毒親」とは、そもそも、心理学などの学術用語ではなく、アメリカの医療コンサルタント・グループセラピストとして活躍した「スーザン・フォワード」の著書「毒になる親」から生まれた言葉で、「過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなど、子どもの人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親を指す言葉」としての意味合いがあります。
日本における「毒親」とは、母親を指す場合が多く感じますが、母親に限らず、父親も「毒親」と呼ぶがあり、それぞれ「毒母・毒ママ」「毒父」などと呼ぶ場合があります。
毒親の特徴は、大きく分けて「否定型、放置型、過干渉、過保護」の4つのタイプにわけることができ、「母親」である場合と「父親」である場合でそれぞれ特徴に違いがあります。
また、「毒親」に育てられた人は「毒親育ち」と呼ばれ、毒親育ちの方たちの「性格的な特徴・恋愛傾向・子育てのやり方・結婚に対する価値観」には、子どもの頃に受けた「毒親の子育て(育児)」が強く影響していると考えられています。
とはいえ、「毒親」とは、そもそも「精神医学」や「心理学」などの学術的な根拠がない言葉であるため、「毒親になる原因」は学術的には明確にされていませんが、「毒親自身が、子どもの頃に毒親の親(祖父母)から受けた子育てに原因がある場合が多い」と言われています。
反対に言えば、「毒親の特徴」も「毒親育ちの特徴」も、あくまで生まれた後に身に付けた「考え方の習慣」にすぎないので、カウンセリングを利用することで「生きやすい考え方」へと改善することは可能であると言えます。
この記事は、毒親に関連する記事をまとめています。
毒親とは?
「毒親」とは、そもそも、心理学などの学術用語ではなく、過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなど、「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親を指す言葉」として、アメリカの専門家「スーザン・フォワード」が作った言葉です。
毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。1989年にスーザン・フォワード(英: Susan Forward)が作った言葉である。学術用語ではない。
引用元:毒親
「毒親」という用語の語源は、アメリカの医療コンサルタント・グループセラピストとして活躍した「スーザン・フォワード」が、1989年に出版した「毒になる親:一生苦しむ子供(Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life)」という本にあります。
スーザン・フォワード(Forward,Susan)は、南カリフォルニアを中心に医療関係のコンサルタント、グループ・セラピスト、インストラクターをつとめながら、テレビやラジオで活躍。ABCトークラジオ局で電話をかけてきたリスナーに応える番組を担当。著書に『毒になる親 一生苦しむ子供』(講談社+α文庫)、『ブラックメール 他人に心をあやつられない方法』(日本放送出版協会)、『男の嘘』(TBSブリタニカ)など。
引用元:スーザン・フォワード
「スーザン・フォワード」が著書のタイトルとした「Toxic Parents」は、直訳すると「有毒な親」となりますが、日本語版では「有毒な親」というタイトルが「毒になる親」と訳されました。
そして、「毒になる親」をさらに略し、日本では「毒親」と呼ばれるようになり、のちに「毒父」「毒母」「毒家族」「毒家」「毒親育ち」「毒娘」などの派生語も作られました。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
毒親の特徴:否定、放置、過干渉、過保護、4つのタイプ
日本では「毒親」という言葉ばかりが独り歩きしている印象がありますが、毒親とは、実質的には「生き方・子育て方法・性格などの特徴」を表わす言葉であり、その特徴は人それぞれ様々ではありますが、心理カウンセラーとしての経験に基づき考えると、毒親の特徴は、大きく分けて以下の4つのタイプにわけることができます。
POINT
- 暴言・暴力など「子どもの存在を否定する毒親」
- ネグレクトなど「子どもを放置する毒親」
- 親の価値観を子どもに押し付ける「過干渉な毒親」
- 子どもの健全な成長を阻害してしまう「過保護な毒親」
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒母・毒父の特徴
日本における「毒親」とは、母親を指す場合が多く感じますが、母親に限らず、父親も「毒親」と呼ぶがあり、それぞれ「毒母・毒ママ」「毒父」などと呼ぶ場合があります。
毒親は、「母親」である場合と「父親」である場合でそれぞれ特徴に違いがあり、「毒母の特徴」と「毒父の特徴」は、主に以下のような違いがあります。
POINT
- 毒親である母親は、押しつけがましい、大げさでヒステリック、子育てから逃げる、愚痴が多い、子どもに嫉妬したり拗ねる、極端な言動をするなどの特徴がある
- 毒親である父親は、命令、強要、過干渉、モラハラ、否定ばかり、過保護、子どもの言いなり、子どもに無関心、子どもに嫉妬したり拗ねる、怒鳴る、暴力などの特徴がある
それでは、以下に詳しく解説していきます。
毒親である「母親」の特徴
毒親である母親の特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 言動が押しつけがましい、余計なお世話、過干渉である
- 大げさで過度にダメ出しをする
- 世間体を気にする、親の理想を押し付ける、子どもを心配しすぎる
- 子育てから逃げようとする、子どもに愚痴を聞かせる
- 子どもの話を聞かない、子どもに嫉妬したり拗ねたりする
- 自分に対しても周囲に対しても極端な言動をする
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親である「父親」の特徴
毒親である父親の特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 子どもに、命令、指図、指示、強要などの過干渉をする
- 子どもの意欲や感情に対して「無理だ!ダメだ!やめろ!」など否定から入る
- 子どもに対して過保護、子どもの言いなりになってしまう
- 子どもに無関心、子どもと会話しない、子どもとスキンシップしない
- すぐ不機嫌になる、威張る、子どもに八つ当たり、子どもをけなす
- 大声で怒鳴る、暴力を振るう
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親育ちの特徴
「毒親育ち」とは、子どもの成長に悪影響を及ぼす子育てを行う「毒親」に育てられた人を指します。
「毒親」とは、子供の成長に悪影響を及ぼす親のことです。母の場合は「毒母」や「毒ママ」、父の場合は「毒父」と呼ばれ、毒親に育てられた人のことを「毒親育ち」と呼びます。
よって「毒親育ち」とは、「子どもの頃、暴言・暴力・ネグレクト・過干渉・過保護などの子育てを受けた人」という意味合いになり、心理学に沿って考えると、「毒親育ち」とは以下のような意味合いになります。
POINT
- 毒親育ちとは「親の子育てに問題があった人」
- 毒親育ちとは「機能不全家族で育った人」
- 毒親育ちとは「アダルトチルドレン」
また、「三つ子の魂百まで」の諺にもある通り、子どもの頃に受けた「親の子育て(育児)の影響」は、自らの「性格・恋愛傾向・子育て観・結婚観」に大きな影響を与えています。
反対に言えば、「性格的な特徴・恋愛傾向・子育てのやり方・結婚に対する価値観」などは、生まれ持った遺伝的な特徴ではなく、あくまで生まれた後に身に付けた「習慣」にすぎません。
よって、カウンセリングを利用することで、カウンセラーの協力のもと毒親の影響から自分を解放し、今からでも「生きやすい習慣」へと改善していくことは可能と言えます。
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
毒親診断チェックリスト
「毒親」という言葉は、心理学などを始めとする学術的な定義がなされていない以上、明確な診断基準はなく「毒親の診断」は明確に行えるものではありませんが、「毒親の特徴」とは、決して生まれながらの物ではなく、あくまで生まれた後に身に付けた習慣=子育てを行う上での「性格上の癖」や「習慣」ですので、発達障害、精神疾患など、障害や病気といった問題ではないと言えます。
ただ、人は子ども時代に親から受けた子育て方法などの習慣を、自分が親になってから自分の子どもへと繰り返し伝えようとする特徴があるため、毒親の子育ての影響は知らず知らずのうちに、親から子へ、子から孫へと世代を超えて延々と連鎖していきます。
そして、毒親に育てられた人を「アダルトチルドレン」と呼び、「『毒親と呼ばれる人』も『毒親に育てられた人』も、どちらも共通した特徴を持つ、同じアダルトチルドレンである…」と心理学では捉えます。
以上のことから、毒親の診断に関連するチェックリストとして、以下の4つをあげることができます。
POINT
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親になる原因
「毒親」とは、そもそも「精神医学」や「心理学」などを出展元とする学術用語ではなく、学術的な根拠がない言葉です。
学術的な根拠に沿って考えない限り、毒親になる原因は理解できません。また、物事はひとつの視点だけではなく、いくつかの違った視点で考えることで理解を深めることができます。
よって、毒親になる原因をしっかりと理解するために、学術的な根拠を持つ「心理学」と「精神医学」の2つの違った視点で考えていきます。
毒親になる「心理学的6つ」の原因
毒親になる原因を「心理学」を根拠に考えると、大きく分けて以下の6つの原因にわけることができます。
「心理学で考える、毒親になる『6つ』の原因」については、以下の記事に詳しく解説しています。
毒親になる「精神医学的4つ」の原因
毒親になる原因を「精神医学」を根拠に考えると、大きく分けて以下の4つの原因にわけることができます。
POINT
- 「発達障害」
- 「愛着障害」
- 「うつ病などの精神疾患」
- 「家庭環境の問題」
「精神医学で考える、毒親になる『4つ』の原因」については、以下の記事に詳しく解説しています。
毒親への対処法
毒親の言動は、毒親自身の「愛着障害」によって生まれる「見捨てられ不安」と密接に関わっている場合が多く、子どもに反抗されればされるほど、感情が激しく燃え上がっていく傾向にあります。
また、毒親への対処法で苦しんでいる方の中には、「中学生・高校生」といった未成年の方たちもいらっしゃいます。
ですが、「中学生・高校生」の皆さんは、これから大人になるわけですから、当然、精神的にも経済的にも自立がしきれておらず、例え自分の親が毒親であっても、大人として自立できるまでは「親の保護」を受け続ける必要があり、結果的に、毒親に「束縛」されやすい立場にあります。
よって、毒親への対処法は、「心理カウンセラーなどの専門家」や「学校の先生・友人などの家族以外の人たち」の協力を得ながら慎重に進めていく必要があります。
それでは、以下に詳しく解説していきます。
毒親への対処法:基本の流れ
毒親は、子どもに反抗されればされるほど感情が燃え上がり、子どもをさらに抑え込もうとする特徴があるため、「闘う、やり合う、わからせる」といった感情的な方法では上手くいかず、「かわす、逃げる、離れる」といった理知的な方法でこそうまくいきます。
よって、毒親への対処法は、「毒親は自らの見捨てられ不安を和らげるため、子どもとの共依存関係を築こうとしている…」という「毒親の心理」をしっかりと理解した上で「理知的」に「冷静」に進めていく必要があります。
なので、心理カウンセラーなど専門家の協力を得ながら、まず「長年、毒親から受け続けてきた精神的な影響を和らげる…」、続いて「毒親と精神的にも物理的にも距離を置くことで、共依存関係に巻き込まれないようにする…」という流れが、毒親への対処法の基本となります。
以下に、毒親への対処法の基本の流れをまとめます。
POINT
- 「心理カウンセリング」や「インナーチャイルドセラピー」で、長年、毒親から受けてきた精神的な影響を和らげる
- 毒親より自分の内面に関心を向け「毒親と精神的な距離」をとる
- 「親を見捨てるのではなく、親から卒業する」の心持ちで、精神的にも物理的にも、できるだけ毒親から距離を取る
中学生・高校生ができる毒親への対処法
中学生・高校生の皆さんは、これから大人になるわけですから、当然、精神的にも経済的にも自立がしきれていません。
よって、例え自分の親が毒親であっても、大人として自立できるまでは「親の保護」を受け続ける必要があり、結果的に、毒親に「束縛」されやすい立場にあります。
それでも、世の中には「中学生・高校生の力になりたいと願っている大人」はたくさんいらっしゃいます。
このような背景から、中学生・高校生の皆さんができる毒親への対処法は、以下の点があげられます。
POINT
- 「心理カウンセリング」を利用して、親子関係を新しい視点で捉えてみる
- 学校の先生など、「周囲の大人」に助けを求めてみる
- 「電話、チャット、LINE」で相談してみる
- 親であっても未熟な部分がある、苦しければ、逃げてもOK
- 親の人生より、自分の人生を優先「自立」を考え始める
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親から解放される方法
毒親から受ける悪影響とは、「①毒親との関係で『傷ついた感情』」と「②毒親の子育ての影響で身に付けた『否定的な考え方』」のふたつです。
よって、毒親から解放される方法は、カウンセリングを利用することで、毒親との関係で傷ついた感情を癒しつつ、否定的な考え方を緩め、毒親から精神的に自立することを意味します。
精神的自立とは、「自分の行動を誰かの意志に委ねていない状態」を指します。日常でも、精神的自立があるかないかで行動は大きく変わります。
引用元:自立するにはどうすればいいか?
それでは、以下に詳しく解説していきます。
毒親から受ける「毒」の正体は、「未完の感情」と「禁止令・ドライバー」
また、上記のうち「①毒親の子育ての影響で、子どもの頃から心に抑圧し続けている『ストレス』『トラウマ(心的外傷)』」について、カウンセリングでは「ゲシュタルト療法」という心理学に沿って「未完の感情」として捉えます。
納得がいかない思いは、行き場がなくて、心のどこかにモヤモヤしたまま残ってしまいます。いわば出口がなくて迷子になってしまった感情。これを「未完の感情」と呼びます。
そして、「②毒親の子育ての影響で、子どもの頃に身に付けた『否定的な考え方』」について、カウンセリングでは「交流分析」という心理学に沿って「禁止令とドライバー」として捉えます。
禁止令とは心理学者エリックバーン博士によって開発された自己分析法で、文字通り「〇〇してはいけない」という「禁止」の「命令」のことです。…(中略)…幼いころに親などの養育者から否定的・禁止的な命令や態度を繰り返し受けることで、自らの思考や行動の制限を課してしまうものです。
拮抗禁止令とは、幼少期に親の役割をもつ人から与えられた「〇〇しなさい」「〇〇したほうがよい」「〇〇であるべき」という、いわゆる「〇〇しろ」というメッセージを受けて、そのよう生きていこうと「決断」することで自らに課したものです。…(中略)…ドライバーというその名の通り、その人の行動を駆り立ててしまうのです。
このように、カウンセリングでは、子どもが毒親から受けている悪影響=「毒」の正体を以下の2つと捉えます。
POINT
- 毒親の子育ての影響で、子どもの頃から心に抱え続けている「ストレス」「トラウマ」
⇒「未完の感情」 - 子どもの頃に身に付けた「否定的な考え方」
⇒「禁止令とドライバー」
毒親から解放される方法とは、「未完の感情」と「禁止令・ドライバー」の影響から自分を解放すること
よって、毒親から解放される方法とは、子どもが毒親から受けている悪影響=「未完の感情」と「禁止令・ドライバー」の影響から自分を解放することを意味します。
毒親から解放される方法「2つ」のステップ
ですが、毒親に育てられた影響は、長年にわたって受け続けていることによって、自らの性格パターンとしてかなり強固に習慣化されています。
なので、毒親からの解放を実現するためには「カウンセラー」の協力を得る必要があります。
よって、毒親から解放される方法とは、カウンセラーの協力のもと、以下の2つのステップにわけて取り組む必要があります。
POINT
- カウンセリングを利用することで、毒親の悪影響=「『未完の感情』と『禁止令・ドライバー』の影響から自分を解放」する
- 再び、毒親の悪影響を受けないよう「毒親から精神的に自立するための対策」を行う
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
- POINT毒親とは、「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親」を意味する
- 毒親の特徴は、大きく分けて「否定型、放置型、過干渉、過保護」の4つのタイプにわけることができる
- 毒親は、「母親」である場合と「父親」である場合でそれぞれ特徴に違いがある
- 毒親育ちの特徴は、子どもの頃に経験した「親の子育て」の影響を強く受けている
- 毒親になる原因は、「6つの心理学的原因」と「4つの精神医学的原因」が考えられ、「毒親自身が、子どもの頃に毒親の親(祖父母)から受けた子育てに原因がある場合が多い」と言われている
- 毒親への対処法は、心理カウンセラーなど専門家の協力を得ながら、「インナーチャイルドセラピー」で毒親からの精神的な自立を果たしつつ、毒親と精神的にも物理的にも距離をおくことが重要
- 毒親から解放される方法は、毒親との関係で傷ついた感情をカウンセリングで癒し、毒親から精神的に自立すること
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページにまとめていますので紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「毒親とは何か?『意味合い・特徴・影響・原因・克服方法』の解説」という記事でした。