POINTスケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴は、「身代りの自己犠牲が多い」あまり、「人間関係が長続きしない」という点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「スケープゴート」は「身代り役」と呼ばれ、「機能不全家族」において、親や家族から「無実の罪(冤罪)」を着せられたり「八つ当たり」をされても黙って一身に受け止め、「自分が家族のストレスのはけ口になる(身代りの犠牲者になる)」ことによって家族の崩壊を防ごうとする子どもを指します。
ですので、スケープゴートは大人になってからも、人間関係において「身代りの自己犠牲が多い」という特徴があり、「根はやさしい性格である」反面、「人間関係が長続きしない」という特徴があります。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の『人間関係の特徴』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「人間関係の特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「人間関係の特徴」
スケープゴートは、子どもの頃から「家族のストレスのはけ口」のような「役割」をこなしてきたため、大人になってからも、人間関係において「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとする」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、スケープゴートは「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとするぶんだけ、自分を苦しめてしまう」と言えますし、「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとするぶんだけ、根は優しい性格である」とも言えます。
なお、「スケープゴートの人間関係の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 「いじめ・嫌がらせ」を受けやすい
- 「犯罪・詐欺」に巻き込まれやすい
- 問題児として扱われる
- 人間関係が長続きしない
- 周囲の人たちから距離を置かれる
- 「年長者」や「権威ある人」に反抗する
- 仕事が長続きしない
- 弱者に優しい
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①「いじめ・嫌がらせ」を受けやすい
スケープゴートは「身代り役」と呼ばれ、親や家族から「無実の罪(冤罪)」を着せられたり「八つ当たり」をされても黙って一身に受け止め、「家族のストレスのはけ口」のような「役割」を担いながら大人へと成長していきます。
このように、スケープゴートは「自分があえて『家族のストレスのはけ口(身代りの犠牲者)』となって『親や家族の鬱積した負の感情(不満・憎しみ・怒り)』を黙って一身に受け止めることで、家族の精神的安定を図る」という特徴があります。
スケープゴートは親から否定され、八つ当たりされ、叩かれても、「きっと自分に悪いところがあるのだろう」「きっと家族がもっとよくなる方法があるはずだ」と小さな身体で我慢を重ねます。よくスケープゴートは「家族のゴミ箱」にたとえられますが、家族の鬱積する不満や憎しみ、怒りを一身に請け負うのです。
反対に言えば、スケープゴートは「親や家族から『冤罪・差別・いじめ』を受けたときには、親や家族に『反発・反論』するより、親や家族の気の済むように受け入れて早々に謝ってしまったほうが被害を最小限に抑えることができた(家族を精神的に安定させることができた)」という「成功体験」を、子どもの頃から幾度となく積んできたとも言い換えることができます。
そのため、スケープゴートは大人になってから、「家庭・学校・職場」などの人間関係において「謂れのない『いじめ・嫌がらせ』」を受けたとき、「きっと自分に悪いところがあるのだろう」「きっと自分さえ我慢すれば丸く収まるはずだ」と考えやすく、その影響で「『いじめ・嫌がらせ』を受けても『反発・反論』をせずに我慢してしまうことが多い」と考えられています。
スケープゴートはトラブル等発生した際に責任を他者に押し付け、心を落ち着かせようとする「大人のいじめ」の対象となる人のことを言うのです。…(中略)…発言力がない、あるいは反発を一切しないような人はスケープゴートの対象となりやすいです。
それに対して、「他者に対して『いじめ・嫌がらせ』をする人」とは「ストレスのはけ口を探している人」と言えます。
ですので、スケープゴートは「ストレスのはけ口を探している人」から「いじめ・嫌がらせ」を受けても黙って一身に受け止めてしまう場合が多く、人間関係において「無意識のうちに『ストレスのはけ口(身代りの犠牲者)』に陥ってしまう場合が多い」と考えられており、その影響で「他者からの『いじめ・嫌がらせ』が長引いてしまう」と考えられています。
なお、「他者からの『いじめ・嫌がらせ』が長引いてしまう様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「無実の罪(冤罪)」を着せられたとき、自分に落ち度はないのに謝ってしまうため、さらに「無実の罪(冤罪)」を着せられてしまう
- 「八つ当たり」をされても、不満を訴えることなく黙って我慢してしまうため、さらに「八つ当たり」をされてをされてしまう
- 「差別」をされても、不服を訴えることなく黙って我慢してしまうため、さらに「差別」をされてしまう
- 「いじめ」を受けても、反発することなく黙って我慢してしまうため、さらに「いじめ」を受けてしまう
- 「誹謗中傷」を受けても、反論することなく黙って我慢してしまうため、さらに「誹謗中傷」を受けてしまう
このように、スケープゴートの場合、「機能不全家族の崩壊を防ごう!」という「優しい気持ち」から子どもの頃に身に付けた「『身代り役』の思考パターン」が、大人になってから逆に自分を苦しめてしまう場合があると言えます。
以上のことから、「『いじめ・嫌がらせ』を受けやすい」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
②「犯罪・詐欺」に巻き込まれやすい
スケープゴートは、子どもの頃から「親や家族のために犠牲(身代りの犠牲者)になることで自分の存在価値を認めてもらえる」という「親子関係」のなかで育ってきたため、大人になっても「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になることで自分の存在価値を感じようとする」という特徴があります。
ですので、スケープゴートは大人になってから、人間関係において「『犯罪・詐欺に巻き込まれる危険性』に気づけない」あるいは「『犯罪・詐欺に関わる怪しい話』を持ち掛けられても断れない」という場合があります。
それに対して、「他者を『犯罪・詐欺』に巻き込もうとする人」とは「他者を騙して都合よく利用しようとしている人」と言えます。
ですので、スケープゴートは「『犯罪・詐欺』に巻き込もうとする人」の「口車」に乗せられやすく、知らぬ間に「『犯罪・詐欺』に巻き込まれてしまう場合がある」と考えられています。
スケープゴートの周りには、あなたをカモにしようとする人がなぜか寄ってきます。妙においしい話を持ち掛けられたりしたら、一歩立ち止まることが必要です。犯罪や詐欺に騙されないように気を付けましょう。
このように、スケープゴートは「人助け」の「優しい気持ち」から協力をしているつもりであっても、「他者を『犯罪・詐欺』に巻き込もうとする人」に騙され都合よく利用されてしまう場合があると言えます。
以上のことから、「『犯罪・詐欺』に巻き込まれやすい」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
③問題児として扱われる
このように、スケープゴートは「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になることで自分の存在価値を感じようとする」という特徴があり、他者から「理不尽な扱い」を受けても「反発・反論」を殆どしないため、周囲の人たちからは「おとなしい人・意見が言えない人」に映る場合があります。
ですが、スケープゴートのなかには「自ら進んで問題を起こすタイプ」も存在し、このようなタイプを「自発型スケープゴート」と言います。
そして、自発型スケープゴートは「自ら進んで問題を起こし、自分があえて『悪者』となって家族に嫌われることで、家族の負の感情(不満・憎しみ・怒り)を自分に集中させ、家族をひとつにまとめようとする」という点が特徴的です。
スケープゴートは自ら【家族の問題児】を演じ、向き合うべき真の問題から家族の目を反らす。スケープゴートの起こしたトラブルに対応し、スケープゴートを叱りつけている間は、安定的に家族はひとつにまとまっている。
このように、自発型スケープゴートが自ら進んで問題を起こす理由とは「家族をバラバラにする」ことにあるのではなく、あくまで「家族をひとつにまとめる」ことにあると言えます。
なお、「自発型スケープゴートが家族をまとめるために起こす問題行動」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 非行行為、不良行為、自傷行為、暴力暴言、万引き、ケンカ、揉め事、不登校、引きこもり、家出をする、病弱になる…など
また、自発型スケープゴートは「子育ての問題が表面化しやすい『思春期』に問題行動を起こしやすい」と考えられており、あくまで「家族をひとつにまとめる」ために行動を起こしているにもかかわらず、「『親・家族・学校』からは『問題児』として扱われてしまう」場合があります。
以上のことから、「問題児として扱われる」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
④人間関係が長続きしない
スケープゴートは、子どもの頃に最も信頼したい存在である「親や家族」から「暴力や暴言による虐待」を受けるなど理不尽な扱いを受けてきたため、その影響で、大人になってから「対人関係において様々な支障が出る」と考えられています。
また、最も信頼したい存在である「親や家族」から「暴力や暴言による虐待」を受けたことが原因で、「幼少期に負ったトラウマ」のことを「発達性トラウマ」と言い、子どもの頃に「発達性トラウマ」を負ったことが原因で、大人になってから対人関係において様々な支障が出ることを、精神医学では「複雑性PTSD」と診断する場合があります。
「発達性トラウマ(Developmental Trauma)」とは、複雑性PTSDの原因となる、子ども時代に負ったトラウマのことです。家庭や学校などで負った慢性的な(反復性)ストレスがトラウマを生み、複雑性PTSDの原因となることがとても多いのです。
複雑性PTSDとは、幼少期からの虐待経験やいじめなど長期的かつ反復的に逃れがたい状況や体験をし、身体的・精神的症状が生じることを指します。PTSDの症状に加えて、感情的なコントロールの困難さから慢性的に対人関係に支障が出ると言われています。
なお、「スケープゴートが『幼少期トラウマ(発達性トラウマ)』の影響を受けている様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 他者から理不尽な扱いを少しでも受けるとたちまち怒りが湧きあがり、激しく怒りだす
- 他者から謂れもない疑いを少しでも掛けられるとたちまち怒りが湧きあがり、激しく怒りだす
このように、スケープゴートは「幼少期トラウマの影響」により、他者から「理不尽な扱いを受ける」あるいは「謂れもない疑いを掛けられる」ことに対して「激しい怒り(複雑性PTSDの症状)」を感じやすく、いわゆる「短気でキレやすい」という特徴があります。
また、スケープゴートは「他者に対する警戒心が非常に強い」という特徴があるため、「周りの人が救いの手を差し伸べてくれたとしても頑固に強がり、決して他者の助けを借りない」あるいは「周りの人が親切に間違いを教えてくれたとしても『自分は否定された!』と勘違いをし、親切に教えてくれた人に対して怒りをぶつける」など、他者に対して素直になれず、少しのことで「他者との関りを拒絶してしまう」という特徴があります。
また、スケープゴートは「他者との関り」を持てたとしても、「他者への警戒心の強さ」から「他者に対して素直になれない」という特徴があり、その影響で「対人関係を維持・発展させることが難しい場合がある」と考えられています。
なお、「スケープゴートが他者に対して素直になれない様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分の非を認めない
- 素直に謝らない
- 何かを言われたら何かを言い返す
- 言い訳が多い
- 他人のせいにする(他責グセ)
このように、スケープゴートは子どもの頃に最も信頼したい存在である「親や家族」から一方的に理不尽な扱いを受けて育った影響で、大人になってから「短気でキレやすく、少しのことで他者との関りを拒絶してしまう」場合があります。
以上のことから、「人間関係が長続きしない」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑤周囲の人たちから距離を置かれる
スケープゴートは、人間関係において「短気でキレやすく、少しのことで他者との関りを拒絶してしまう」という特徴があるため、周囲の人たちからは「あの人を怒らせると厄介だ」「あの人と関わると面倒だ」など「腫物扱い(厄介者扱い)」されてしまう場合があります。
なお、「周囲の人たちが感じるスケープゴートの印象」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 怒りっぽい、不愛想、言い方がキツい、頑固、不満が多い、不機嫌が態度に出ている、世の中を斜めに見ている、否定的な言動が多い…など
このように、スケープゴートは人間関係において無意識のうちに「ネガティブな雰囲気」を振りまいてしまう場合があり、自分では気づかないうちに周囲の人たちから距離を置かれてしまい、「集団の中にいても『孤独感』や『疎外感』を感じる」場合があります。
反対に言えば、スケープゴートは「『内面の心情』と『外面の印象』に大きなギャップがある人」あるいは「周囲の人たちから『誤解』をされやすい人」とも言い換えることができ、「人間関係において一匹狼になりがちな人」とも言えます。
以上のことから、「周囲の人たちから距離を置かれる」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑥「年長者」や「権威ある人」に反抗する
スケープゴートは、子どもの頃から「親・兄姉・教師など『目上の存在』」から「謂れもない罪」を押し付けられたり、「理不尽な扱い」を受けることが多かったため、大人になってから「『年長者(親・上司・先輩など)』や『権威ある人(教師・医師・社長など)』に対して『反抗心』を抱きやすい」と考えられています。
なお、「スケープゴートが『年長者』や『権威ある人』に反抗する様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 親の言うことを聞かない
- 上司の指示に従わない
- 先輩の助言を無視する
- 教師の指導を邪魔する
- 医師の意見に耳を貸さない
- 社長の方針を批判する
ただ、スケープゴートは「年長者」や「権威ある人」に対して「やみくもに反抗する」のではなく、一度は「はい、わかりました」と素直に従うのですが、次第に「反抗心」を抱いて「でも…しかし…だって…」と従わなくなるという点が特徴的です。
なお、一度は「はい」と従っておきながら、その後に「しかし」と否定する言葉を続けるなど、「会話がなかなか噛み合わない状態」を、「交流分析」という心理学では「イエスバットのゲーム(無意識な自己防衛)」と言います。
イエスバットのゲームは、その名の通り「Yes But」という意味で、相手の意見や問いかけに「そうですね…(Yes)」と答えていながら、直後に「でも…(But)」と否定の言葉を続けることで、会話がなかなか終わらない状態になってしまうものを言います。
このように、スケープゴートは本来であれば自分を助けてくれる存在である「親・兄姉・教師など『目上の存在』」から一方的に理不尽な扱いを受けて育った影響で、大人になってから「『年長者』や『権威ある人』に対して反抗心を抱きやすくなる」と考えられています。
反対に言えば、スケープゴートが「『年長者』や『権威ある人』に対して抱く反抗心」とは、「もう二度と傷つけられたくない!」という「防衛的な気持ちの現れ」でもあると言えます。
なお、「イエスバットのゲーム」を繰り返すスケープゴートの様子は、親や家族から「永遠の反抗期」と揶揄される場合もあります。
以上のことから、「『年長者』や『権威ある人』に反抗する」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑦仕事が長続きしない
このように、スケープゴートは人間関係において「『年長者』や『権威ある人』に対して反抗心を抱きやすい」と考えられています。
ですので、スケープゴートは職場においても「上司・先輩(年長者・権威ある人)に対して反抗心を抱きやすく、「『上司・先輩』に対しても『イエスバットのゲーム』を繰り返してしまう」場合があります。
なお、「スケープゴートが『イエスバットのゲーム』を職場で繰り返す様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 言われたとおりにやらない
職場で仕事を頼まれたとき、最初は「はい、わかりました」と素直に従うが、次第に「でも…しかし…だって…」と従わない姿勢になり、最終的には「頼まれた仕事を言われたとおりにやらない」 - 勝手に我流にアレンジする
職場で仕事のやり方を教えられたとき、最初は「はい、わかりました」と素直に従うが、次第に「でも…しかし…だって…」と従わない姿勢になり、最終的には「仕事のやり方を勝手に我流にアレンジして変えてしまう」
このように、スケープゴートは一生懸命に仕事に取り組もうとしても、無意識のうちに「反抗的な言動」を振りまいてしまう場合があり、知らぬ間に職場で孤立してしまったり、悪気がないのに対人関係のトラブルを起こしてしまい、結果として「仕事が長続きしない」場合があります。
以上のことから、「仕事が長続きしない」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑧弱者に優しい
スケープゴートは「怒りっぽい、不愛想、言い方がキツい、頑固、不満が多い」など、周囲の人たちからは「厄介者」に映る場合がありますが、実際には「根は優しい性格である場合が多い」と考えられています。
スケープゴートは「身代り役」と呼ばれ、「誰かを救うために自分が身代わりになる」という「自己犠牲の精神」が特徴的です。
とくに、スケープゴートは「暴言・暴力を振るう父親」と「暴言・暴力を振るわれる母親」の元で育った場合が多く、「暴言・暴力を振るわれる母親を救うために自分が悪者になって身代わりになろう、自分が悪者になって父親の暴言・暴力を受け止めることで母親を救おう」と考え、母親をかばうために「身代り役」を買って出た「優しい子ども」である場合が多いと考えられています。
お母さんに暴力を振るうお父さんを見て、「自分が悪いことをすれば怒りの矛先が自分に向かうから、その間お母さんが救われる」そんな風にお母さんをかばおうと悪役になる子までいます。…(中略)…家族の中でいちばんやさしい子がスケープゴートタイプになるとも言われていて、「悪役の裏でお母さんへの深い愛を持ったひといちばい優しい子。」それが、スケープゴートの真の姿だったりするのです。
このように、スケープゴートの行動原理はあくまで「弱者を救済する」ことにあると言えます。
ですので、スケープゴートは「家庭・学校・職場」などにおいて「弱者に優しい」という一面があります。
なお、「スケープゴートが弱者に優しい様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 家庭で母親が父親に暴力を振るわれていると、自分が身代わりになって「父親の暴力を受け止める」ことで母親を救おうとする
- 学校で同級生がいじめられていると、自分が身代わりになって「いじめる側の負の感情を受け止める」ことで同級生を救おうとする
- 会社で理不尽な上司に悩んでいる同僚がいると、自分が身代わりになって「上司の理不尽な言動を受け止める」ことで同僚を救おうとする
このように、スケープゴートは「優しい性格」であるがゆえ、「『濡れ衣』を着せられてもあえて否定せずそのまま受け止める」あるいは「『汚れ役』を買って出て周囲の人たちの負の感情を受け止める」という特徴があります。
ですが、スケープゴートは「絶対に本性を明かさない」という点が最大の特徴でもあるため、「周囲の人たちに対して「厄介者」を演じることで、内面の「優しい性格」をひた隠している」とも言えます。
以上のことから、「弱者に優しい」という点は、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「心理的な特徴」
スケープゴートは、子どもの頃から「自分が家族のストレスのはけ口になる(身代りの犠牲者になる)」ことによって家族の崩壊を防ぎ続けてきたため、大人になっても「謂れのない『冤罪・差別・いじめ』を黙って受け止めてしまう」あるいは「あえて『悪者・嫌われ者』になろうとする」という点が最大の特徴です。
また、スケープゴートは「自分はダメな人間だ!自分には何の価値もない!」など「『自己否定感』や『無価値感』を強く感じる」という心理的な特徴があるため、大人になってから「『自傷行為』や『自暴自棄』を起こしやすい」という特徴があります。
なお、「スケープゴートの心理的な特徴」は、主に以下の「9つ」があげられます。
POINT
- 「冤罪・差別・いじめ」を黙って我慢する
- 自傷行為を行う
- 「自己否定感・無価値感」が強い
- 自暴自棄になる
- 問題行動を起こす
- 病弱になる
- 他者を信用できない
- 素直になれない・反抗心が強い
- 「疎外感・被害者意識」が強い
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「人間関係の特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「スケープゴート(身代り役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「スケープゴート(身代り役)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「人間関係の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の人間関係の特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT「理不尽な扱い」を受けても「反論・反発」をしないため、「いじめ・嫌がらせ」を受けやすい
- 「怪しい話」を持ち掛けられても断れないため、「犯罪・詐欺」に巻き込まれやすい
- 「家族の結束を高めるために自ら進んで問題を起こす」ため、問題児として扱われる
- 「他者に対する警戒心が非常に強い」ため、人間関係が長続きしない
- 「短気でキレやすく、少しのことで他者との関りを拒絶してしまう」ため、周囲の人たちから距離を置かれる
- 「親・兄姉・教師など『目上の存在』から『理不尽な扱い』を受けてきた」ため、「年長者」や「権威ある人」に反抗心を抱きやすい
- 「反抗的な言動」や「対人関係のトラブル」が多いため、仕事が長続きしない
- 「根は優しい性格である」ため、弱者に優しい
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
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以上、「アダルトチルドレン(AC)スケープゴート(身代り役)の『人間関係の特徴』」という記事でした。