
POINT機能不全家族とは、子どもが安心して成長するための家庭としての機能が十分に働いていない状態を意味する言葉です。
機能不全家族で育ったことで、大人になってから生きづらさを感じることがあります。
しかし、生きづらさがあるからといって、あなた自身が壊れているとは限りません。
心は壊れているのではなく、傷ついているのかもしれません。
過去の傷つきから身についた「心の反応」や「心の習慣」を理解することで、本来の自分・本来の力を取り戻していく道筋が見えてくることがあります。
ここまで読んでもし、
- 自分の家庭環境が普通ではなかった気がする
- 子どもの頃の家庭環境が今の生きづらさに影響している気がする
- 人間関係や自己否定の苦しさが続いている
と感じる場合は、
機能不全家族で育った影響が関係している可能性があります。
まずは以下のチェックで
ご自身の状況を整理してみてください。
(約3分で確認できます)
※アダルトチルドレンの傾向を詳しく知りたい方はこちら
心理カウンセラーの寺井です。
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
子どももまた、安心できる環境のなかで、人との関係を学び、自分らしく成長していく力を持っています。
ところが、家庭のなかで否定されたり、過度に干渉されたり、十分に関心を向けてもらえなかったり、親同士の争いが繰り返されたりすると、子どもが安心して成長することが難しくなる場合があります。
このように、子どもが安心して成長するための家庭としての機能が十分に働いていない状態を理解するために使われる言葉のひとつが、「機能不全家族」です。
機能不全家族で育った人は、大人になってからも、人間関係や自分自身の生き方に悩みを抱えることがあります。
しかし、それは「自分が弱いから」「自分の性格に問題があるから」とは限りません。
心は壊れているのではなく、傷ついているのかもしれません。
子どもの頃に傷ついた経験から、自分を守るための「心の反応」や「心の習慣」が身につき、それが大人になった現在の人間関係や生きづらさにつながっている可能性があります。
だからこそ、生きづらさの原因を理解することには意味があります。
過去の傷つきを理解し、現在の心の反応や心の習慣を整理していくことで、本来の自分や本来の力を少しずつ取り戻していくことができます。
この記事では、機能不全家族の意味や特徴、原因、アダルトチルドレンへの影響、世代間連鎖、そして回復への道筋について、心理学の視点から解説します。
機能不全家族とは?

機能不全家族とは、家庭のなかで、子どもが安心して成長するために必要な機能が十分に働いていない状態を意味する言葉です。
機能不全家族の意味や、家庭が本来果たす役割については、以下の記事で詳しく解説しています。
「機能不全」という言葉から、家庭そのものが完全に壊れているように感じるかもしれません。しかし、ここで大切なのは、家庭のすべてが悪いという意味ではないということです。
家庭には、子どもが安心して成長するための生活面と心理面の基盤があります。
生活面では、衣・食・住・医療など、安全に生活するための環境が必要です。
心理面では、無条件に受け入れてもらえることや、自分の存在や行動を認めてもらえることなど、人とのつながりのなかで安心感を得られることが重要になります。
こうした環境が十分に得られない状態が長く続くと、子どもは家庭のなかで安心して自分らしく過ごすことが難しくなる場合があります。
そして、その環境に適応するために、子どもはさまざまな「心の反応」や「心の習慣」を身につけることがあります。
例えば、「親の機嫌を損ねないようにしなければならない」「我慢しなければならない」「自分より相手を優先しなければならない」といった反応や習慣です。
子どもの頃には自分を守るために必要だったものでも、大人になって環境が変わったあとも残っていると、人間関係や仕事、恋愛などで生きづらさにつながることがあります。
ただし、これは「自分に問題がある」ということではありません。
過去の環境のなかで傷ついた心が、自分を守るために身につけたものとして理解することができます。
そのため、機能不全家族について考えるときには、「誰が悪いのか」だけを見るのではなく、「その家庭環境のなかで、子どもの心に何が起きていたのか」を理解することが大切です。
機能不全家族の特徴

機能不全家族には、子どもが安心して成長することを難しくする、さまざまな特徴があります。
ただし、ここで大切なのは、「この特徴が一つでもあれば機能不全家族である」と単純に判断することではありません。
家庭にはそれぞれ事情があり、一時的に家族関係がうまくいかないこともあります。
大切なのは、子どもが家庭のなかで継続的に安心できていたか、自分らしく過ごすことができていたか、そして、困ったときに安心して頼れる環境があったかという視点です。
機能不全家族の特徴については、主に次の3つの視点から整理することができます。
家庭環境に関する特徴
家庭のなかで、子どもが安心して過ごすことが難しい状態です。
例えば、
POINT
- 家族のなかで否定や批判が多い
- 親の機嫌によって家庭の雰囲気が大きく変わる
- 家族同士の争いや緊張が繰り返される
- 子どもが親の顔色をうかがって生活している
- 家族の問題を子どもが背負っている
などが挙げられます。
こうした環境では、子どもは「安心して自分らしくいる」よりも、「家庭のなかで問題が起きないようにする」ことを優先するようになる場合があります。
その結果、自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先したり、嫌なことがあっても我慢したりする「心の反応」や「心の習慣」が身につくことがあります。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
親子関係に関する特徴
親子関係のなかで、子どもの気持ちや存在が十分に受け止められていない状態です。
例えば、
POINT
- 子どもの気持ちを否定する
- 子どもの意見を聞かず、親の考えを押しつける
- 子どもの失敗を強く責める
- 子どもに過度な期待をする
- 子どもを親の都合に合わせようとする
- 子どもに十分な関心を向けない
などがあります。
子どもにとって、親から無条件に受け入れてもらうことや、自分の存在を認めてもらうことは、安心して成長していくための大切な土台になります。
その土台が十分に得られない状態が続くと、子どもは「自分はそのままでは受け入れてもらえない」と感じ、自分を守るためのさまざまな「心の反応」や「心の習慣」を身につけることがあります。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
夫婦関係・家族関係に関する特徴
親同士や家族同士の関係が不安定で、その影響を子どもが受けている状態です。
例えば、
POINT
- 親同士の喧嘩が頻繁にある
- 家庭内に強い緊張感がある
- 親同士が互いに無関心である
- 家族の誰かが他の家族を支配している
- 家族の問題を子どもに解決させようとする
などがあります。
このような家庭では、子どもが「自分が何とかしなければ」と感じたり、家族の感情や状況を敏感に察知したりすることがあります。
子どもの頃には、それが家庭のなかで自分を守るために必要な「心の反応」だったのかもしれません。
しかし、大人になって家庭環境が変わってもその反応が続いていると、人間関係のなかで必要以上に相手の顔色をうかがったり、自分の気持ちを後回しにしたりすることがあります。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
特徴を知るときに大切なこと
機能不全家族の特徴を調べていると、「自分の家庭もそうだったのではないか」と感じることがあるかもしれません。
そのとき、「自分が弱かったから」「自分の性格に問題があったから」と考える必要はありません。
子どもは、そのときの家庭環境のなかで、自分なりに安心して生きるための方法を身につけていきます。
その「心の反応」や「心の習慣」は、当時の自分を守るために必要だった可能性があります。
だからこそ、機能不全家族の特徴を知ることは、親を責めるためだけではなく、
「あの頃、自分の心には何が起きていたのだろう」
と理解するためにも意味があります。
そして、その理解が、現在の生きづらさの原因を整理し、本来の自分・本来の力を取り戻していくための第一歩になることがあります。
機能不全家族の特徴をさらに詳しく知りたい方へ
機能不全家族の特徴について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
機能不全家族を引き起こす「3つ」の原因

では、なぜ機能不全家族が生まれるのでしょうか?
その背景には、親自身が子どもの頃に経験した家庭環境や、そこで身につけた「心の習慣」や「心の反応」が関係している場合があります。
親もまた、誰かの子どもとして成長してきた存在です。
子どもの頃に十分な安心感を得られなかったり、自分の気持ちを受け止めてもらえなかったりすると、その環境に適応するためのさまざまな心の習慣や心の反応が身につくことがあります。
そして、それらが大人になってからの子育てや家族関係に影響する場合があります。
つまり、機能不全家族を考えるときには、
「親が悪い」だけではなく、「親自身もどのような環境のなかで育ち、どのような心の習慣や心の反応を身につけてきたのか」
という視点が大切になります。
機能不全家族につながる主な要因として、ここでは次の3つを取り上げます。
① 毒親による子育て
一つ目は、親による否定、過干渉、過保護、放置など、子どもが安心して成長することを難しくするような子育てです。
いわゆる「毒親」と呼ばれるような関わり方が、家庭のなかで継続することで、子どもが自分らしく安心して過ごすことが難しくなる場合があります。
例えば、
POINT
- 子どもの気持ちや考えを否定する
- 子どもの行動を過度に管理する
- 子どもに親の価値観を押しつける
- 子どもを必要以上に甘やかし、自分で考える機会を奪う
- 子どもに十分な関心を向けない
などです。
ただし、親の行動だけを見て「この親が悪い」と結論づけることが、必ずしも問題の理解につながるとは限りません。
親自身もまた、過去の家庭環境のなかで傷つき、自分を守るための心の反応や心の習慣を身につけている可能性があります。
そのため、毒親の問題を理解するときにも、
親の行動 → 親自身の心の習慣・心の反応 → その背景にある過去の経験
という流れで考えることが大切です。
毒親について詳しくは、以下の記事で解説しています。
また、なぜ親が毒親になってしまうのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
② 禁止令とドライバー
二つ目は、子どもの頃に身についた「禁止令」や「ドライバー」と呼ばれる心の働きです。
子どもは、家庭のなかで安心して生きるために、親の言葉や態度、家庭の雰囲気などから、
「こうしてはいけない」
「こうしなければならない」
「頑張らなければ認めてもらえない」
「我慢しなければならない」
といった心の習慣を身につけることがあります。
これらは、子どもの頃には自分を守るために必要だった可能性があります。
しかし、大人になって家庭環境が変わってもその反応が続いていると、本当は無理をする必要がない場面でも、
「頑張らなきゃ」
「我慢しなきゃ」
「ちゃんとしなきゃ」
と自分を追い込んでしまうことがあります。
寺井啓二心理学では、こうした「頑張らなきゃ」「我慢しなきゃ」といった過剰なMUSTが、生きづらさにつながることがあると考えます。
MUSTは本来、自分のWANTを守り、実現するための働きです。
しかし、MUSTが強くなりすぎると、本来の自分の気持ちや欲求よりも「こうしなければならない」という考えを優先する状態になってしまうことがあります。
そのため、回復ではMUSTをなくすのではなく、必要以上に強くなったMUSTを緩め、本来の自分のWANTやFEELにも気づける状態を取り戻していくことが重要になります。
③ 世代間連鎖
三つ目は、機能不全家族が世代を越えて繰り返されることがある「世代間連鎖」です。
親自身が子どもの頃に機能不全家族のなかで育っていると、その家庭で身につけた心の習慣や心の反応を、大人になってからも無意識のうちに繰り返してしまうことがあります。
例えば、
「子どもは親の言うことを聞くもの」
「弱音を吐いてはいけない」
「我慢することが大切」
「失敗してはいけない」
といった考え方を当然のものとして身につけていると、自分が親になったときにも、同じような関わり方を子どもにしてしまう場合があります。
このように考えると、機能不全家族は「親から子へ、単純に悪い行動が受け継がれる」という話だけではありません。
過去の家庭環境のなかで身についた「心の習慣」や「心の反応」が、次の世代の家族関係に影響することがあります。
だからこそ、世代間連鎖を理解することは、親を責めるためだけではなく、
「なぜ自分の家族では、同じようなことが繰り返されてきたのだろう?」
と、その背景を理解するためにも重要です。
世代間連鎖について詳しくは、以下の記事で解説しています。
3つの原因を理解する意味
機能不全家族の原因を考えるとき、最も大切なのは「誰が悪いのか」を決めることではありません。
親にも、その親がいて、その親もまた自分なりの環境のなかで生きてきました。
その過程で身についた心の習慣や心の反応が、知らないうちに次の世代へ影響していることがあります。
そして、子どもの側もまた、その家庭環境のなかで自分を守るための心の反応や心の習慣を身につけていきます。
このように、
POINT
- 過去の家庭環境
↓ - 心の習慣・心の反応
↓ - 家族関係
↓ - 次の世代への影響
という流れを理解することで、機能不全家族の問題を「誰か一人の性格の問題」ではなく、心の仕組みとして捉えやすくなります。
そして、その仕組みが分かることは、世代間連鎖を繰り返さず、本来の自分・本来の力を取り戻していくための第一歩にもなります。
機能不全家族の原因をさらに詳しく知りたい方へ
機能不全家族を引き起こす原因について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「毒親」と「機能不全家族」は同じ意味ではありません

ここまで読んで、「機能不全家族と毒親は何が違うの?」と感じた方もいるかもしれません。
「毒親」と「機能不全家族」は、どちらも子どもの成長や心に影響する問題を考えるときに使われる言葉ですが、同じ意味ではありません。
簡単に整理すると、
POINT
- 毒親=親の子どもへの関わり方に焦点を当てた言葉
- 機能不全家族=家庭全体の環境や家族関係に焦点を当てた言葉
と考えると分かりやすくなります。
例えば、親が子どもを否定したり、過度に干渉したり、子どもの気持ちを十分に受け止めなかったりする場合、「毒親」という視点から整理することができます。
一方で、親同士の争い、家庭内の緊張、家族間の役割の偏りなど、家族全体の関係性が子どもに影響している場合には、「機能不全家族」という視点から整理することができます。
つまり、
親の問題だけを見るのではなく、その親を含めた家庭環境全体を見る
という違いがあります。
なぜ親の問題だけでは説明できないのか

ここで大切なのは、親の行動だけを見て「この親が悪い」と結論づけないことです。
親自身もまた、子どもの頃には誰かの子どもでした。
その人自身が十分な安心感を得られない家庭で育っていた場合、その環境のなかで身につけた「心の習慣」や「心の反応」が、大人になってからの子育てや家族関係に影響することがあります。
そのため、
POINT
- 親の行動だけを見る
↓ - 親自身がどのような環境で育ったのかを見る
↓ - そこでどのような心の習慣・心の反応を身につけたのかを見る
↓ - それが現在の家族関係にどのように影響しているのかを見る
という視点が重要になります。
これは、親を擁護するための考え方ではありません。
むしろ、家庭のなかで何が起きていたのかをより深く理解するための視点です。
「自分が悪い」と考えなくていい理由
機能不全家族で育った人は、大人になってから、
「自分がもっと強ければよかった」
「自分の性格が悪いから人間関係がうまくいかない」
「自分が我慢できないから問題が起きる」
と、自分自身を責めてしまうことがあります。
しかし、子どもは自分で家庭環境を選ぶことができません。
その環境のなかで生きていくために、親の顔色をうかがったり、我慢したり、自分より相手を優先したりする「心の反応」や「心の習慣」を身につけることがあります。
それは、当時の自分が安心して生きるために必要だった反応だったのかもしれません。
だからこそ、
「自分が悪かった」と考えるよりも、「あの環境のなかで、自分の心はどうやって自分を守っていたのだろう」と考えてみる。
その視点から過去を理解していくことが、現在の生きづらさを整理するきっかけになることがあります。
毒親そのものについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
また、毒親に育てられたことで大人になってからどのような影響が生じるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
機能不全家族で育った大人「アダルトチルドレン」の特徴

機能不全家族の中で育った子どもは、安心して自分らしく成長することが難しくなる場合があります。
子どもは、自分を守りながら家庭の中で生きていくために、「こうすれば怒られない」「こうしていれば認めてもらえる」「自分が我慢すればうまくいく」といった心の反応を身につけていきます。
こうした反応が繰り返されることで、いつの間にか「心の習慣」となっていくことがあります。
そして、その心の習慣が大人になってからも続くことで、人間関係や仕事、恋愛、家族関係などに生きづらさを感じることがあります。
こうした状態を理解するための考え方の一つが、「アダルトチルドレン(AC)」です。
アダルトチルドレンに見られる特徴
アダルトチルドレンには、例えば次のような特徴が見られることがあります。
POINT
- 相手の顔色や機嫌を必要以上に気にしてしまう
- 「自分が頑張らなければ」と思いやすい
- 人に頼ったり甘えたりすることが苦手
- 自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先してしまう
- 失敗することや嫌われることを強く恐れる
- 自分に自信が持てない
- 人間関係で緊張しやすい
- 本当は嫌なのに「NO」と言えない
- 自分が何をしたいのか分からなくなる
- 必要以上に責任を背負ってしまう
これらは、単なる「性格の問題」と考える必要はありません。
子どもの頃の環境の中で身につけた「心の反応」や「心の習慣」が、現在の生活の中でも働いている可能性があります。
なぜ大人になっても苦しさが続くのでしょうか?
子どもの頃には、自分を守るために必要だった心の反応があります。
例えば、親の機嫌を敏感に察知することは、家庭の中で自分を守るために役立っていたのかもしれません。
しかし、大人になって家庭環境が変わっても、その反応が自動的に働き続けることがあります。
すると、本当は安心できる状況なのに、
「怒られるかもしれない」
「嫌われるかもしれない」
「自分が頑張らなければならない」
と感じてしまうことがあります。
これは、あなたが弱いからでも、努力が足りないからでもありません。
過去の環境の中で身につけた心の反応が、今もあなたを守ろうとしているのかもしれません。
「心は壊れている」のではなく「傷ついている」
アダルトチルドレンについて考えるとき、大切なのは、自分を「問題のある人」と決めつけないことです。
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
けれども、子どもの頃に安心して成長できない環境が続くと、その自然な力が十分に働きにくくなることがあります。
だからこそ、
「自分はおかしい」ではなく、「自分の心は傷ついてきたのかもしれない」
という視点を持つことが大切です。
自分を責めるのではなく、これまでどのような環境で、どのような心の反応を身につけてきたのかを理解する。
そこから、本来の自分や本来の力を取り戻していく道筋が見えてきます。
アダルトチルドレンの特徴について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
機能不全家族が連鎖する理由

機能不全家族の問題は、一つの家庭だけで終わらず、次の世代へ繰り返されることがあります。
その理由の一つとして考えられるのが、親から子どもへ「心の反応」や「心の習慣」が受け継がれていくことです。
例えば、子どもの頃に「我慢することが当たり前」という家庭環境で育った人は、大人になって親になったときにも、
「親は我慢するもの」
「子どもには厳しくするもの」
「自分が頑張らなければならない」
といった考え方を持ちやすくなる場合があります。
もちろん、すべての人が同じようになるわけではありません。
しかし、自分が育った家庭で身につけた心の習慣を「当たり前のこと」として受け入れていると、本人が意識しないまま、自分の子どもとの関係にも影響することがあります。
親自身も傷ついている場合があります
機能不全家族の連鎖を考えるとき、「親が悪い」という視点だけでは、問題の背景を十分に理解できません。
親自身もまた、子どもの頃に安心して成長できない家庭環境の中で育っていた可能性があります。
その中で、
- 怒られないようにする
- 相手の機嫌を取る
- 自分の気持ちを我慢する
- 頑張らなければ認めてもらえない
- 弱音を吐いてはいけない
などの心の反応や心の習慣を身につけてきたのかもしれません。
そして、それらが大人になってからも残っていると、自分でも気づかないうちに、子どもとの関係に影響することがあります。
つまり、
POINT
- 親が子どもを傷つける
↓ - その親自身も、過去に傷ついている
↓ - 過去に身につけた心の反応や心の習慣が、現在の家族関係に影響する
という流れです。
連鎖は「運命」ではありません
ただし、機能不全家族の中で育ったからといって、自分も必ず同じ家庭をつくるわけではありません。
自分の中にある心の反応や心の習慣に気づき、
「なぜ自分は、ここまで我慢してしまうのだろう」
「なぜ子どもに対して、必要以上に厳しくしてしまうのだろう」
「本当は自分は何を望んでいるのだろう」
と、自分の心を理解していくことが、連鎖を止めるきっかけになります。
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
過去の家庭環境によって身につけた心の反応や心の習慣も、それを理解していくことで、少しずつ変えていくことができます。
だからこそ、機能不全家族の連鎖を「自分も同じようになる運命」と考える必要はありません。
過去を理解することは、過去に縛られることではありません。
自分の中にある心の習慣を理解し、本来の自分・本来の力を取り戻していくこと。
それが、次の世代へ同じ苦しさを繰り返さないための一つの道筋になります。
機能不全家族の連鎖についてさらに詳しく知りたい方へ
機能不全家族が世代を超えて連鎖する理由について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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機能不全家族チェックリスト

ここまで読んで、
「自分が育った家庭は、機能不全家族だったのだろうか?」
と感じた方もいるかもしれません。
機能不全家族かどうかを考えるときに大切なのは、現在の自分を責めることではありません。
子どもの頃、自分がどのような家庭環境で過ごし、どのような心の反応を身につけてきたのかを振り返ることです。
以下のチェックリストを参考に、自分が育った家庭について振り返ってみましょう。
機能不全家族チェックリスト
POINT
- 家庭の中で、親の機嫌をいつも気にしていた
- 親に怒られないように、自分の言動を抑えていた
- 家族の問題を、自分が何とかしなければならないと感じていた
- 自分の気持ちを家族に話すことができなかった
- 悲しい、怖い、寂しいなどの感情を表に出せなかった
- 親から無条件に受け入れてもらえている感覚が少なかった
- 頑張ったときだけ認めてもらえるように感じていた
- 家族の中で安心して甘えることができなかった
- 家族の中で、自分の存在価値を感じにくかった
- 家庭の中で「自分らしくいてはいけない」と感じていた
- 家族の期待に応えることを優先していた
- 「我慢しなければならない」「頑張らなければならない」と考えることが多かった
これらに当てはまる項目が多いからといって、それだけで「機能不全家族だった」と決めつける必要はありません。
大切なのは、チェックの数だけではなく、
「その家庭環境の中で、自分はどのような気持ちを感じ、どのように自分を守っていたのか」
を理解することです。
チェックした結果から分かること
もし、子どもの頃から「我慢する」「頑張る」「相手の機嫌を気にする」といったことを繰り返していたのであれば、それは当時の自分が家庭の中で生きていくために身につけた心の反応だったのかもしれません。
そして、その反応が長く繰り返されることで、現在の「心の習慣」となっている場合があります。
そのため、大人になった今でも、
「嫌なのに断れない」
「必要以上に頑張ってしまう」
「人の顔色が気になる」
「自分の気持ちが分からない」
といった生きづらさにつながることがあります。
もし「自分にも当てはまる」と感じたとしても、自分を責める必要はありません。
あなたが悪いのではなく、子どもの頃に傷ついてきた可能性があります。
その背景を理解していくことで、これまで自分を守ってきた心の反応や心の習慣を少しずつ整理し、本来の自分・本来の力を取り戻していくことにつながります。
自分の状態をチェックしてみたい方へ
ここまで読んで「自分は機能不全家族で育ったのかもしれない」と感じた方は、チェックリストを使って、自分が育った家庭環境を振り返ってみることもできます。
機能不全家族で育った影響「アダルトチルドレン」の克服

機能不全家族の中で育ったことによって、大人になってからも生きづらさを感じることがあります。
例えば、
POINT
- 人間関係でいつも緊張してしまう
- 相手に嫌われることを強く恐れる
- 自分の気持ちより相手を優先してしまう
- 「頑張らなければならない」と自分を追い込んでしまう
- 本当は嫌なのに断ることができない
- 自分が何をしたいのか分からない
- 自分に自信が持てない
などです。
こうした状態になると、「自分は弱い」「自分には何か問題がある」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ここまで見てきたように、それは単純な性格の問題ではありません。
子どもの頃の家庭環境の中で傷つき、自分を守るために身につけた「心の反応」や「心の習慣」が、現在の生活の中でも働いている可能性があります。
克服とは「自分を変えること」ではありません
アダルトチルドレンからの回復を考えるとき、大切なのは、無理に自分を変えようとすることではありません。
まず、
「なぜ自分は、こんなに頑張ってしまうのか」
「なぜ人の顔色が気になるのか」
「なぜ自分の気持ちを抑えてしまうのか」
といった現在の反応を理解することです。
その背景には、子どもの頃に感じた寂しさ、悲しさ、怖さ、怒りなど、十分に感じきれないまま残っている感情が関係している場合があります。
また、
「頑張らなければならない」
「我慢しなければならない」
「人に迷惑をかけてはいけない」
といった「MUST」が強くなっている場合もあります。
こうした「~しなければならない」「~してはいけない」という心の習慣については、「人生脚本」の考え方から詳しく理解することもできます。
これらは、当時の自分が安心して生きるために必要だったものかもしれません。
だからこそ、単純に「やめればいい」と考えるのではなく、
「なぜ、そうしなければならなかったのか」
を理解することが大切です。
本来の自分・本来の力を取り戻す
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
しかし、長い間傷ついてきたことで、その力が十分に働きにくくなっていることがあります。
そこで、
POINT
- 現在の心の反応に気づく
- その背景にある過去の経験を理解する
- そのときに感じていた感情を整理する
- 強くなりすぎたMUSTを少しずつ緩める
- 自分が本当に望んでいること(WANT)を取り戻していく
というように、自分の心を理解していきます。
そうすることで、少しずつ「人にどう思われるか」ではなく、「自分はどうしたいのか」を感じられるようになっていきます。
これは、新しい自分を作ることではありません。
これまで傷つくことで覆われていた、本来の自分・本来の力を取り戻していくことです。
一人で抱え込まなくても大丈夫です
機能不全家族の中で身につけた心の反応や心の習慣は、長い年月をかけて形成されている場合があります。
そのため、「考え方を変えよう」とするだけでは、なかなか変化を感じられないこともあります。
そのような場合には、自分の心を安全に振り返るために、心理カウンセリングを活用する方法もあります。
大切なのは、自分を責めることではありません。
「自分が悪いのではなく、傷ついてきたのかもしれない」
という視点から、自分の心を理解していくことです。
生きづらさには原因があります。
そして、その原因を理解していくことで、回復への道筋も見えてきます。
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
その力を取り戻していくことが、アダルトチルドレンからの回復につながっていきます。
詳しい回復方法については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
機能不全家族とは、子どもが安心して自分らしく成長することが難しい家庭環境や家族関係を理解するための言葉です。
その背景には、親子関係や夫婦関係、家族それぞれの心の反応や心の習慣など、さまざまな要因があります。
また、機能不全家族の中で育った子どもは、家庭の中で生きていくために、自分の気持ちを抑えたり、相手の顔色を気にしたり、「頑張らなければならない」「我慢しなければならない」と考えたりすることがあります。
そうした心の反応が繰り返されることで、大人になってからも人間関係や仕事、恋愛、家族関係などで生きづらさを感じることがあります。
しかし、それは「自分が弱いから」でも、「自分に問題があるから」でもありません。
子どもの頃の環境の中で傷つき、その自分を守るために身につけた心の反応や心の習慣が、今も働いているのかもしれません。
だからこそ、
「自分が悪いのではなく、傷ついているのかもしれない」
という視点から、自分の心を理解していくことが大切です。
人は本来、自然に成長し、自然に回復する力を持っています。
過去の家庭環境によって身につけた心の反応や心の習慣を理解し、必要に応じて整理していくことで、少しずつ本来の自分・本来の力を取り戻していくことができます。
機能不全家族について理解することは、親や自分を責めるためではありません。
「なぜ、今の自分はこう感じるのだろう?」
その原因を理解し、自分自身を理解するための一歩です。
生きづらさには原因があります。
そして、原因が分かれば、回復への道筋も見えてきます。
一人で抱え込まず、自分の心を理解するところから始めてみてください。
