POINTアダルトチルドレン:スケープゴートは「身代り役」と呼ばれ、子どもでありながら、「家族のストレスのはけ口(身代りの犠牲者)」となって家族の崩壊を防ごうとする存在で、「生贄(いけにえ)役、叱られ役、汚れ役、問題児」とも呼ばれます。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」とは、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に身に付けた「家庭での役割」が習慣化して性格として根付いてしまい、大人になって生きづらさを感じている人を意味する言葉です。
また、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は、アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
ちなみに、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)」にはいくつかの「別称」があり「生贄(いけにえ)役、叱られ役、汚れ役、問題児」と呼ばれる場合もあります。
なお、本サイトにおける「アダルトチルドレンタイプ」は、以下の「7つ」を使用しています。
POINT
- 「ヒーロー(英雄役)」
- 「スケープゴート(身代り役)」
- 「ロストワン(いない子)」
- 「クラウン・ピエロ(道化・おどけ役)」
- 「ケアテイカー(世話役)」
- 「イネイブラー(支え役)」
- 「プラケーター(慰め役)」
また、スケープゴートは「身代り役」と呼ばれ、「家族の崩壊」を防ぐため、「家族のストレスのはけ口(身代りの犠牲者)」となって家族を支える存在で、子どもでありながら大人の役割を担う存在を意味します。
この記事は、アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)について解説しています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)とは?
「スケープゴート(Scapegoat)」という言葉は「悪役」や「生贄(いけにえ)」を意味する言葉で、元々は聖書にある「贖罪(しょくざい)のヤギ」という言葉から来ており、「人々の罪を着せられた身代わりの犠牲者」という意味合いがあります。
そして、「アダルトチルドレン:スケープゴート」は「身代り役」と呼ばれ、親や家族から「無実の罪(冤罪)」を着せられたり「八つ当たり」をされても、「きっと自分に悪いところがあるのだろう」「きっと自分さえ我慢すれば家族がよくなるはずだ」と考え、「自分が家族のストレスのはけ口になる(身代りの犠牲者になる)」ことによって家族の崩壊を防ごうとする子どもを指します。
また、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)」には、以下のようにいくつかの「別称」が存在します。
POINT
- 生贄(いけにえ)役、叱られ役、汚れ役、問題児
なお、本サイトでは以下の「2つの表記」に統一しています。
POINT
- アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)
- スケープゴート
このように、スケープゴートとは「自分が身代わりの犠牲者になることで家族を崩壊から守ろうとする子ども」を意味し、「親や家族の鬱積した『負の感情(不満・憎しみ・怒り)』を黙って一身に受け止める」という特徴があるため、「家族のごみ箱」あるいは「家族のサンドバッグ」と呼ばれる場合すらあります。
また、スケープゴートのなかには「自ら進んで問題を起こすタイプ」も存在し、「自ら進んで問題を起こし、自分があえて『悪者』となって家族に嫌われることで、家族の負の感情(不満・憎しみ・怒り)を自分に集中させ、家族をひとつにまとめようとする」という点が特徴的です。
以上のことから、「周囲から見たスケープゴートの印象」は、大きく分けて以下の「2つ」にわけられます。
POINT
- 生贄型スケープゴート
自分に落ち度はなくても、自分があえて「身代りの犠牲者」となって「家族のストレスのはけ口」になることで、家族の精神的安定を図る - 自発型スケープゴート
自ら進んで問題を起こし、自分があえて「悪者」となって「家族の嫌われ者」になることで、家族をひとつにまとめようとする
このように、「生贄型スケープゴート」は「『自分がストレスのはけ口』になり『家族のストレス』を黙って一身に受け止めることで、家族を精神的に安定させる」という特徴があります。
また、「自発型スケープゴート」は「『自分が嫌われ者』になり『家族のストレス』を自分に集中させることで、家族をひとつにまとめる」という特徴があります。
反対に言えば、スケープゴートは表面的には「家族に叱られ、家族の手を煩わせ、家族に心配ばかりかける厄介者」に見えますが、実際には「『この子さえいなければ、家族はうまく行くのだ!』という『幻想』を家族に抱かせることによって、『家族の崩壊(両親の離婚・一家離散・育児放棄など)』を防ごうとしている」と言い換えることができます。
自分が問題児になる自発型スケープゴートも、親の生贄型スケープゴートも、ほかの家族に「この子さえいなければ、家族はうまくいくのだ」という幻想を抱かせ、機能不全家族を崩壊から守っているのは同じです。
なお、「スケープゴートが家族の崩壊を防ぐ様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「冤罪・差別・いじめ」を黙って我慢する
「無実の罪(冤罪)」や「八つ当たり」を受け入れて、「家族のストレスのはけ口になる」ことで家族を精神的に安定させる - 自傷行為を行う
「リストカット・過食・拒食・髪を抜く」を行い、家族に押し付けられたストレスを「自分を傷つける」ことで解消する - 非行行為・不良行為を行う
「怠学・窃盗・暴行・傷害・深夜徘徊・暴走行為」などを行い、「嫌われ者になる」ことで家族のストレスを自分に集中させ、家族をひとつにまとめる - 病弱になる
「病気・ケガ」の治療を疎かにして長引かせ、「病弱になる」ことで家族の関心を自分に集中させ、家族をひとつにまとめる
このように、スケープゴートは「機能不全家族で育った影響」により、「家族や集団の和のバランスを保つために自分を身代わりの犠牲者にする」という傾向があり、大人になってからも、「周囲から『無実の罪(冤罪)』を着せられたり『八つ当たり』」をされても黙って受け止めてしまう」あるいは「自ら進んで問題を起こし『汚れ役』を買って出てしまう」という特徴があります。
その影響で、スケープゴートは大人になってから、「どうせ自分には何の価値もない、どうせ自分ダメな人間だ、自分なんて生まれてこなければよかった」など「自己否定感・無価値感」を感じやすくなったり、「短気で怒りっぽい、不愛想で物言いがキツイ」など「自暴自棄」になりやすいと考えられています。
ですので、スケープゴートは大人になってから、周囲の人たちからは「あの人を怒らせると厄介だ」「あの人と関わると面倒だ」など「腫物扱い(厄介者扱い)」されてしまう場合があり、自分では気づかないうちに周囲の人たちから距離を置かれてしまうことが多く、「人間関係において『孤独感』や『疎外感』を感じやすくなる」と考えられています。
なお、スケープゴートは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられており、「兄姉(年上のきょうだい)」が「ヒーロータイプ」である場合多く、兄弟姉妹のなかで「『優秀な兄姉(ヒーロータイプ)』と『厄介者の弟妹(スケープゴート)』という関係性である場合が多い」と考えられています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「心理的な特徴」
スケープゴートは、子どもの頃から「自分が家族のストレスのはけ口になる(身代りの犠牲者になる)」ことによって家族の崩壊を防ぎ続けてきたため、大人になっても「謂れのない『冤罪・差別・いじめ』を黙って受け止めてしまう」あるいは「あえて『悪者・嫌われ者』になろうとする」という点が最大の特徴です。
また、スケープゴートは「自分はダメな人間だ!自分には何の価値もない!」など「『自己否定感』や『無価値感』を強く感じる」という心理的な特徴があるため、大人になってから「『自傷行為』や『自暴自棄』を起こしやすい」という特徴があります。
なお、「スケープゴートの心理的な特徴」は、主に以下の「9つ」があげられます。
POINT
- 「冤罪・差別・いじめ」を黙って我慢する
- 自傷行為を行う
- 「自己否定感・無価値感」が強い
- 自暴自棄になる
- 問題行動を起こす
- 病弱になる
- 他者を信用できない
- 素直になれない・反抗心が強い
- 「疎外感・被害者意識」が強い
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「人間関係の特徴」
スケープゴートは、子どもの頃から「家族のストレスのはけ口」のような「役割」をこなしてきたため、大人になってからも、人間関係において「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとする」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、スケープゴートは「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとするぶんだけ、自分を苦しめてしまう」と言えますし、「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとするぶんだけ、根は優しい性格である」とも言えます。
なお、「スケープゴートの人間関係の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 「いじめ・嫌がらせ」を受けやすい
- 「犯罪・詐欺」に巻き込まれやすい
- 問題児として扱われる
- 人間関係が長続きしない
- 周囲の人たちから距離を置かれる
- 「年長者」や「権威ある人」に反抗する
- 仕事が長続きしない
- 弱者に優しい
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「恋愛傾向」
スケープゴートの「恋愛思考パターン(愛着スタイル)」は、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響しています。
また、スケープゴートは子どもの頃から「機能不全家族における『身代り役』」として、親や家族から「無実の罪(冤罪)」を着せられたり「八つ当たり」をされても黙って一身に受け止め、「自分が家族のストレスのはけ口になる(身代りの犠牲者になる)」ことで家族の崩壊を防いできました。
ですので、スケープゴートは「機能不全家族で育った影響」により、大人になって「周囲の人たちのために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとする」という特徴があり、「恋愛関係」においても「恋人のために犠牲(身代りの犠牲者)になろうとする」という傾向があります。
よって、スケープゴートは大人になってからの「恋愛関係」においても、子どもの頃と同じように「身代り役」になりやすいという傾向があります。
また、スケープゴートは、子どもにとって「最も信頼したい擁護者」であるはずの「親や家族」から、「暴言・暴力」など「理不尽な扱い」を長年に渡って受け続けてきたため、大人になって「他者に対する警戒心が非常に強くなる」という特徴があり、「恋愛関係」において「恋人に対して素直になれない、恋人を疑いやすい、恋人から優しくされると戸惑ってしまう」という傾向があります。
なお、スケープゴートは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられていることから、本記事では「スケープゴートの『男女』に共通する恋愛傾向」を「軸」に解説していきます。
また、「スケープゴートの恋愛傾向」は、主に以下の「9つ」があげられます。
POINT
- 両親と同じような恋愛をする
- 恋人に都合よく利用されてしまう
- 見捨てられ不安が強い
- 恋人の愛情を試す
- 恋人を疑う
- 幸せになるのが怖い
- 恋人に対して卑屈になる
- 厄介者に映るが根は優しい
- 恋人に親代わりを求める
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)の「恋愛思考パターン」
アダルトチルドレンに限らず、恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には、人それぞれの特徴があります。
なお、恋愛をはじめ「親子・家族・友人・夫婦・職場」などの「人間関係の築き方」の人それぞれの特徴を、心理学では「愛着スタイル」と言い、とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
「愛着スタイル」とは、恋愛を含む人間関係において、人とどんな結びつきを持ちたいのか、どのような関係が心地よく感じるのかを表す傾向を指します。…(中略)…この傾向は、幼少期の保護者との関係が大きく影響している。
以上のことから、スケープゴートを始めとする「アダルトチルドレンの恋愛傾向」には、「機能不全家族」で育った影響が密接に関わっていると言えます。
とくに、スケープゴートの両親は「暴言・暴力によって母親を支配する父親」と「暴言・暴力によって父親に支配される母親」という「『支配と被支配』の関係性」であった場合が多く、その影響で、スケープゴートは子どもの頃から「両親を精神的に安定させる(家族の崩壊を防ぐ)」ために「両親のストレスのはけ口」を担ったり、「母親の身代り」になって「父親の暴言・暴力」を一身に受け止めたり、「身代りの犠牲者(身代り役)」になる場合が多いです。
ですが、スケープゴートは「身代りの犠牲者という仮面」の内面に「強い見捨てられ不安」をひた隠しにしており、恋愛関係において「恋人に対して素直になれない、恋人を疑いやすい、恋人から優しくされると戸惑ってしまう」という点が特徴的と言えます。
そして、恋愛において、スケープゴートがさまざまな問題に巻き込まれてしまう根本原因には、子どもの頃に「機能不全家族で育った影響」が密接に関わっており、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
なお、スケープゴートは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられています。
よって、本記事では「スケープゴートの恋愛思考パターン」について、以下のように「男女」それぞれにわけて解説していきます。
POINT
- 「スケープゴートの『男性』の恋愛思考パターン」
- 「スケープゴートの『女性』の恋愛思考パターン」
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①スケープゴート(身代り役)の「男性」の恋愛思考パターン
「スケープゴートの『男性』の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「母親から理不尽な扱いを受けながらも、母親の愛情を求める」という「母親との関係性」から、大人になって、母親に似た女性に嫌悪感を感じながらも執着する - 父親との関係性の影響
「子どもをストレスのはけ口にする父親」との関係性から「見捨てられ不安」を強く感じるようになり、大人になって、「自分は見捨てられるに違いない、自分は裏切られるに違いない」と恋人を強く疑う - 両親との関係性の影響
「暴言・暴力によって母親(妻)を支配する父親(夫)」と「暴言・暴力によって父親(夫)に支配される母親(妻)」という「両親の関係性」から、大人になって、自分が支配・コントロールしやすい女性を選び、その人に愛されようとする
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
②スケープゴート(身代り役)の「女性」の恋愛思考パターン
スケープゴートの『女性』の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「子どもをストレスのはけ口にする母親」との関係性から「見捨てられ不安」を強く感じるようになり、大人になって、「自分は見捨てられるに違いない、自分は裏切られるに違いない」と恋人を強く疑う - 「父親から理不尽な扱いを受けながらも、父親の愛情を求める」という「父親との関係性」から、大人になって、父親に似た男性に嫌悪感を感じながらも執着する
- 両親との関係性の影響
「暴言・暴力によって母親(妻)を支配する父親(夫)」と「暴言・暴力によって父親(夫)に支配される母親(妻)」という「両親の関係性」から、大人になって、自分を支配・コントロールしようとする男性を選び、その人に愛されようとする
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)が生まれる原因
スケープゴートが生まれる原因は、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負ったことが根本的な原因です。
なお、「スケープゴートが生まれる原因となる機能不全家族の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 父親が「家庭でストレスをまき散らしている」
- 母親が「家庭でストレスをまき散らしている」
- 父親が「母親に対して暴言・暴力(モラハラ・DV)」を行っている
- 母親が「父親から暴言・暴力(モラハラ・DV)」を受けても黙って耐えている
また、子どもが「トラウマ」によって抱える「負の感情」のひとつに「見捨てられ不安」があります。
スケープゴートは、「両親がストレスをまき散らす様子」や「両親が精神的に荒れている様子」に対して「見捨てられ不安」を感じやすいため、「自分に『無実の罪(冤罪)』を着せたり『八つ当たり』をしてくる両親」や「母親に『暴言・暴力』を振るう父親」を見ると「見捨てられ不安」を感じて居てもたってもいられなくなり、「両親を精神的に安定させよう(家族の崩壊を防ごう)」と、自ら進んで「身代り役」を担うようになると考えられています。
そして、家族のなかで「身代り役」を担い続けているうちに「無意識の思考パターン(習慣)」として「潜在意識」に根付き、大人になっても「身代り役」を担い続けていると考えられます。
以上のことから、「スケープゴートが生まれる原因」として、以下のような「流れ」が考えられます。
POINT
- 「愛情不足」により「見捨てられ不安」を感じる
- 「見捨てられ不安」を和らげるために「身代り役」となる
- 「身代り役」を担うことで「自分の存在価値」を感じる
- 「自分の存在価値」を感じるために「身代り役」を続ける
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
スケープゴート(身代り役)を克服する「重要ポイント」
スケープゴート(身代り役)を始めとする「アダルトチルドレンの克服方法」は、「アダルトチルドレン(AC)概念」の生みの親である「クラウディア・ブラック」により「アダルトチルドレンを克服する手順(ステップ)」がしっかりと確立されています。
反対に言えば、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン克服の手順(ステップ)」遵守しない限り、根本的な「アダルトチルドレンの克服」は難しく、一時的には症状が落ち着いたとしても、しばらくして「身代り役」の症状が再現する場合が多いと言えます。
なお、「アダルトチルドレンの根本的な克服に重要なポイント」としては、主に以下の「2つ」があげられます。
POINT
- 「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を遵守する
- アダルトチルドレンの克服に必要な「心理学・心理療法」を習得した「協力者」を得る
それでは、以下に詳しく解説していきます。
アダルトチルドレン「回復の4ステップ」
そもそも「アダルトチルドレン(AC概念)」は、1970年代、アメリカのアルコール依存症の治療現場から広がり始めた考え方で、1980年代になると、さまざまな専門家たちが「アダルトチルドレンの原因」や「アダルトチルドレンの克服方法」について研究を行い始めました。
そのなかでも、アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士「クラウディア・ブラック」は、「子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方」という著書の中で、「アダルトチルドレンからの回復プロセス」として、次の「4つのステップ」を示しました。
アダルトチルドレン(AC)概念の生みの親であるクラウディア・ブラックは、ACの回復プロセスを次のような4段階で説明しています。
- ステップ1=過去の喪失を探る
- ステップ2=過去と現在をつなげる
- ステップ3=取りこんだ信念に挑む
- ステップ4=新しいスキルを学ぶ
また、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を「具体化」すると、以下のようになります。
POINT
- ステップ1=過去の喪失を探る
機能不全家族で育った影響で負った「幼少期のトラウマ(インナーチャイルド)」の存在に気づき、「幼少期のトラウマ(インナーチャイルド)」を癒す - ステップ2=過去と現在をつなげる
機能不全家族で育った影響で身に付けた「『身代り役』の思考パターン(人生脚本)」が、現在の自分にどのような影響を与えているか?を理解する - ステップ3=取りこんだ信念に挑む
インナーチャイルドセラピー(退行催眠)を用いて、「『身代り役』の思考パターン(人生脚本)」を「『生きやすい』思考パターン」へと書き換える - ステップ4=新しいスキルを学ぶ
子どもの頃に学べなかった「人間関係の方法」「感情の扱い方」「自分を大切にする方法」を学ぶ
このように、「アダルトチルドレンからの回復プロセス」は、「アダルトチルドレン(AC)概念」の生みの親である「クラウディア・ブラック」によってしっかりと確立されています。
以上のことから、アダルトチルドレンの克服は、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を遵守したうえで進めていく必要があると言えます。
なお、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
アダルトチルドレンの克服に必要な「心理学・心理療法」
「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を示した「クラウディア・ブラック」は、「ステップ1=過去の喪失を探る」のなかで、「アダルトチルドレン克服の基本方針」について以下のように述べています。
ステップ1=過去の喪失を探る:過去を繰り返し語ることで、子ども時代の家族の中にあった問題や、自分の中での喪失に気づき、かかえていた感情を解放する。これは親を責めることとは違い、あくまで自分自身のための作業。自助グループや治療の場を活用する、信頼できる相手に話を聞いてもらうなど、安全で自分を受け入れてもらえる場で行なうことが必要。
なお、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン克服に基本方針」を「具体化」すると、以下のようになります。
POINT
- 過去を振り返り、過去を語ることで、子ども時代の家族の問題や、子ども時代に負った「トラウマ(心の傷)」の存在に気づく必要がある
- 子ども時代に負った「トラウマ(心の傷)」を癒す必要がある
- 子ども時代に負った「トラウマ(心の傷)を癒す作業」は、「心理カウンセリング」や「自助グループ」など、信頼できる相手や安全に自分を受け入れてもらえる場所で行う必要がある
以上のことから、「アダルトチルドレンの克服に必要な要件」は、以下のようになります。
POINT
- 辛く苦しい過去であっても一度は振り返り、子ども時代の家族の問題や、子ども時代に負った「トラウマ(心の傷)」に向き合う必要がある
- 子ども時代に負った「トラウマ(心の傷)」を癒さない限り、アダルトチルドレンの克服はできない
- これらの作業は、心理カウンセラーを始めとする「信頼できる相手の協力」や、カウンセリングルームを始めとする「安全に自分を受け入れてもらえる場所」で取り組む必要がある
- 反対に言えば、アダルトチルドレンの克服は、家族を巻き込まず、家族に邪魔されず行う必要がある
とはいえ、「子ども時代の家族との記憶」や「子ども時代のトラウマ体験」は、「なかなか思い出しづらい『遠い昔の記憶』」であるのと同時に、「できれば思い出したくない『傷ついた記憶』」でもあります。
ですので、心理カウンセラーの技量が低いことが原因で、アダルトチルドレンの克服がうまく行かなくなってしまう場合も考えられます。
以上のことから、当社メンタル心理そらくもとしては、アダルトチルドレンを克服するためには、以下の「心理学・心理療法」を習得していることが望ましいと考えています。
POINT
- NLPカウンセリング
- 来談者中心療法
- 家族療法
- ゲシュタルト療法
- エリクソン催眠療法(ヒプノセラピー)
- インナーチャイルドセラピー(退行催眠)
- EFT(感情解放テクニック)
なお、「当社メンタル心理そらくもが考える、アダルトチルドレンを克服するために必要な『心理学・心理療法』」については以下のページに詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
スケープゴート(身代り役)を克服する「具体的な方法」
このように、スケープゴートは、「機能不全家族」で育った影響で「トラウマ(心の傷)」を負い、「トラウマ」の「防御行動」として「身代り役」を担うようになり、家族のなかで「身代り役」を担い続けているうちに「無意識の思考パターン(習慣)」として「潜在意識」に根付いていったと考えられています。
以上のことから、「スケープゴートの原因」は、大きく分けて以下の「2つ」があります。
POINT
- 感情面の原因…「幼少期のトラウマ」
- 思考面の原因…「無意識の思考パターン」
よって、「スケープゴートの克服」は、以下の「2つの取り組み」が必要となります。
POINT
- 感情面のケア…「幼少期のトラウマ」を癒す
- 思考面のケア…「無意識の思考パターン」を書き換える
このように、スケープゴートを始めとする「アダルトチルドレンの克服」は、「感情面」と「思考面」の「両方の取り組み」が必要です。
反対に言えば、どちらか「片方の取り組み」だけでは、一時的には症状が落ち着いたとしても、しばらくして「身代り役」の症状が再現する可能性が高いと言えます。
アダルトチルドレンの克服がうまく行かない理由
また、「ゲシュタルト心理学」や「交流分析」によると、「幼少期のトラウマを癒す作業」や「無意識の思考パターンを書き換える作業」は、子どもの頃の感情に「感情移入」できればできるほど効果が高いと考えられています。
とはいえ、「子どもの頃のトラウマ体験」や「子どもの頃の家族との記憶」は、「できれば思い出したくない『傷ついた記憶』」であるのと同時に、「なかなか思い出しづらい『遠い昔の記憶』」でもあります。
ですので、心理カウンセラーが視界に入ってしまうと集中しきれず、「アダルトチルドレンの克服」はうまく行かなくなってしまう場合が多いです。
よって、目を開けた状態で行う「対話型のカウンセリング」のみでは、「アダルトチルドレンの克服」がうまく行かない場合があると言えます。
インナーチャイルドセラピー(退行催眠)が有効な理由
このように、目を開けた状態で行う「対話型のカウンセリング」のみだと、心理カウンセラーが視界に入ってしまい、子どもの頃の感情に「感情移入」できず、「アダルトチルドレンの克服」がうまく行かない場合が多いです。
ですが、目を閉じた状態で行う「インナーチャイルドセラピー(退行催眠)」であれば、心理カウンセラーが視界に入らず、子どもの頃の感情に「感情移入」しやすくなり、「アダルトチルドレンの克服」が進めやすくなります。
よって、「インナーチャイルドセラピー(退行催眠)」は「アダルトチルドレンの克服」に非常に有効であると言えます。
以上のことから、「スケープゴートの克服」は、以下の手順で行っていきます。
POINT
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
- POINTスケープゴートとは、「身代り役」という意味で「ス贄(いけにえ)役、叱られ役、汚れ役、問題児」とも呼ばれる
- スケープゴートの心理的な特徴は、「あえて『悪者・嫌われ者』になることで『周囲の和のバランスを保とうとする』」反面、「自傷行為・自暴自棄を起こしやすい」という点
- スケープゴートの人間関係は、「身代りの自己犠牲が多い」あまり、「人間関係が長続きしない」という点が特徴的
- スケープゴートの恋愛は、子どもの頃と同じように「身代り役」になりやすいという傾向がある
- スケープゴートの恋愛思考パターンは、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響している
- スケープゴートが生まれる原因は、「幼少期のトラウマ」と「無意識の思考パターン」の2つがある
- スケープゴートの克服は、「クラウディア・ブラック」が示した「アダルトチルドレン、回復の4ステップ」を遵守する
- スケープゴートの克服は、アダルトチルドレンの克服に必要な「心理学・心理療法」を習得した「協力者」が必要
- スケープゴートの克服は、「感情面」と「思考面」の「両方の取り組み」が必要
- スケープゴートの克服は、「対話型のカウンセリング」のみでは上手くいかない場合がある
- スケープゴートの克服は、「インナーチャイルドセラピー(退行催眠)」が非常に有効
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページにまとめていますのであわせて紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「アダルトチルドレン:スケープゴート(身代り役)とは?『特徴・恋愛傾向・原因・克服方法』を徹底解説」という記事でした。