POINTヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴は、「真面目で責任感が強い」あまり、「他者に対して厳しくなる」という点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「ヒーロータイプ」は「英雄」と呼ばれ、「機能不全家族」のなかで「親や家族の期待」に応えるために「勉強・スポーツ・習い事」を頑張ったり、「頼りない親」に代わって「家族の問題」を解決したり、「家族のリーダー(英雄的存在)」となって家族を支える子どもを指します。
ですので、ヒーロータイプは大人になってからも、人間関係において「真面目で責任感が強い」という特徴があり、「周囲から期待される・頼られることも多い」反面、「他者に対して厳しくなる」という特徴があります。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の『人間関係の特徴』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「人間関係の特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「人間関係の特徴」
ヒーロータイプは、子どもの頃から「親や家族の期待に応え続ける」という「役割」をこなしてきたため、大人になってからも、人間関係において「周囲の期待に応えるために積極的に頑張り続ける」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、ヒーロータイプは「周囲の期待に応えるために頑張り続けるぶんだけ、自らの心身のケアが疎かになりやすい」と言えますし、「周囲の期待に応えるために頑張り続けるぶんだけ、周囲に感謝・信頼されやすい」とも言えます。
なお、「ヒーロータイプの人間関係の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 周囲から期待される・頼られる
- 仕事に対する責任感が強い
- 独りよがりになる
- チームワークが苦手
- ワーカホリック(仕事中毒)になりやすい
- 家庭に問題を抱えやすい
- 自分の理想を子どもに押し付ける
- 依存心が強い人と共依存になりやすい
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①周囲から期待される・頼られる
ヒーロータイプは「機能不全家族で育った影響」により、子どもでありながら、まるで「リーダー・キャプテン・家長・保護者」のような「役割」を担いながら大人へと成長していきます。
ですので、ヒーロータイプは「スーパーチャイルド」とも呼ばれ、子どもの頃から「親や家族の期待に応える」ことに「自分の存在価値」を感じてきたため、大人になってからも「周囲の期待に応える」ことに「生きがい」を感じるようになります。
スーパーチャイルドとして育った子供は、家庭に内にある問題を感じて自分だけは親に迷惑を掛けないように優等生を演じていて、大人になってからもその癖が取れずに親に対しても自分の本音が言いずらい、職場でも優等生を演じて生き辛いという悩みを抱えています。
このように、子どもの頃から周囲の期待に応え続けてきたヒーロータイプは、大人になってからも「親子関係・家族関係・友人関係・夫婦関係・職場関係」など、あらゆる人間関係のなかで「周囲から期待される存在」や「周囲から頼られる存在」となっていきます。
なお、「周囲から見たヒーロータイプの印象」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 頼りがいのある人、カリスマ性がある人、責任感の強い人、目立つ人、努力家、自分に厳しい人、優秀な人、優等生、真面目な人、リーダシップのある人、できる人、完璧な人、欠点がない人、ハイスペックな人、ストイックな人
また、「人間関係におけるヒーロータイプの印象」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 職場における「優秀なリーダー」
- 家族においる「頼れる長男・長女」
- 友人関係における「頼れる兄貴・姐御」
- 学校生活における「憧れの存在」
- チームにおける「リーダシップのあるキャプテン」
このように、子どもの頃から「家族を支えるために必死に頑張り続けてきたヒーロータイプ」は、大人になって「優秀で真面目で責任感が強く頼られる存在」となる場合が多く、周りからは「華やかな人生を送っている人」「人望がある人」など、一見、何の問題もない人に見られがちです。
ですが、ヒーロータイプは表面的には「優秀で真面目で責任感が強く頼られる存在」に映る反面、内面には「責任感に押し潰されそうな恐怖」や「弱い自分を見せられない孤独」など「ネガティブ感情を抑圧している」場合が多いと考えられています。
以上のことから、「周囲から期待される・頼られる」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
②仕事に対する責任感が強い
ヒーロータイプは「周囲の期待に応えることができていない自分は存在価値がない!」という「危機感」が強いため、「一度やるときめたことは決して諦めずにやり抜こうとする」という点が特徴的であり、あらゆる面において「責任感が強い」という特徴があります。
ですので、ヒーロータイプは「仕事に対する責任感」も人一倍強く、他者であれば途中で諦めてしまうような困難な状況に陥っても決して諦めずに頑張り続けるという特徴があり、このようなヒーロータイプの諦めない姿勢は「周囲に勇気を与える」場合が多く、「さまざまな困難を乗り切るための原動力」となる場合が多いです。
ただ、ヒーロータイプは「周囲の期待に応えることで自分の存在価値を感じよう!」とするあまり、自らの心身のケアを疎かにして「仕事」に没頭しすぎてしまう傾向があるため、「過労」によって「心身の健康」を損ねることのないよう注意が必要です。
また、ヒーロータイプは「責任感」が強いことに加えて「優秀」であるため、周囲の状況に流されることなく一人でもコツコツと仕事に取り組むことができるので、組織やチームの「頼れるリーダー」として、周囲から感謝・信頼される場合が多いです。
以上のことから、「仕事に対する責任感が強い」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
③独りよがりになる
このように、ヒーロータイプは「周囲から期待・評価をされていなければ、自分の存在価値が無くなってしまう!」という「強い危機感」を常に感じているため、自らに「非常に高い目標」を設定したり、少しのミスも許せないため「事前に綿密な計画」や「事前に万全な準備」を整えようとしたり、決められた約束を絶対に守るため「時間厳守」を徹底するなど、周囲の評価を気にするあまり、さまざまな点において「完璧」を目指して「努力」をします。
なお、ヒーロータイプのように「完璧を目指して努力をする心理的な特徴」を「完璧主義」と言います。
完璧主義とは、必要以上に高い目標を設定し、万事が整った状態を目指し努力する特徴や性格を指します。自分自身に厳しく、また他人の評価を気にする傾向にあり、定められた時間内で完璧を目指そうとします。ミスや失敗を許すことができず、頑張り過ぎてしまうので精神的なストレスをため込みがちです。
このように、「完璧主義」とは「質の高さ・ミスの少なさ」を追求する心理状態と言えます。
ですので、ヒーロータイプは「質の高さ・ミスの少なさ」を極端に追求しすぎてしまう傾向があり、その影響で周囲に頼ることや周囲に任せることができず、「すべてを自分1人で進めようとする」あるいは「すべての負担を自分1人で抱え込んでしまう」という特徴があります。
なお、「完璧主義」という心理的な特徴を持つヒーロータイプは、大人になって「起業家・実業家・企業家」となる場合も多く、「起業家・実業家・企業家となった場合のヒーロータイプの印象」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- カリスマ社長
- ワンマン社長
- ベンチャー社長
- 美容家の社長
反対に言えば、ヒーロータイプの特徴である「すべてを自分1人で進めようとする」あるいは「すべての負担を自分1人で抱え込んでしまう」という点は、周囲の協力を拒んでいる「独りよがり」の状態と言い換えることができ、そのぶん「周囲との人間関係に軋轢が生じやすい」と言えます。
ですので、ヒーロータイプは「完璧」を求めれば求めるほど「独りよがり」となって周囲から敬遠されてしまい、気がつくと「周囲から孤立している」という場合が多いです。
以上のことから、「独りよがりになる」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
④チームワークが苦手
ヒーロータイプは「周囲の期待に応えるため必死に努力を続ける」ため、子どもの頃から「失敗や挫折」をほとんど経験しないまま大人へと成長していきます。
ですので、ヒーロータイプは「失敗や挫折をする人の気持ちが理解できない」という傾向があり、「自分にできることは他者にもできるはずだ!」という「強い思い込み」を持っているという特徴があります。
とくに、ヒーロータイプは「仕事における失敗が絶対に許せない!」という傾向が強いため、部下や同僚に対して無意識に「自分と同程度の能力」や「自分と同程度の努力」を求めてしまうという傾向があり、その影響で無意識のうちに「部下や同僚に厳しくなってしまう」という特徴があります。
なお、「ヒーロータイプの部下や同僚への厳しさ」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 失敗や挫折をする部下や同僚を見下す
- 部下や同僚に対して「努力・能力・結果」を厳しく求める
- 部下や同僚に厳しすぎて「挫折者」を出す
- 部下や同僚に冷たい
- 部下や同僚の言い訳を許さない
- ネガティブな発言をする部下や同僚にイライラする
- 部下や同僚にしつこく説教をしてしまう
- 思い通りに進まないとキレる
このような「ヒーロータイプの厳しさ」は、部下や同僚の成長を促すための「愛のムチ」という意味合いが含まれています。
ですが、ヒーロータイプは「他者より優れている(優越感)を感じる」ことで「承認欲求」を満たそうとするという傾向があるため、場合によっては、「立場の弱い部下や同僚」に対して「モラハラ・パワハラ・ヒステリック」を繰り返すことで「自分の優位性(優越感)」を感じようとする場合があります。
なお、自分が相手より優位にあることをアピールする行為を「マウンティング(マウントをとる)」と言います。
「マウントをとる」とは、自分が相手より優位にあるとアピールする行為。自分のステータスや持ち物を自慢したり、他人を見下したりすることを指します。「マウンティング」も同じ意味です。もとは動物の行動を表す言葉ですが、人間のコミュニケーションにも使われるようになりました。
このように、ヒーロータイプは「失敗や挫折をする人の気持ちが理解できない」ために「部下や同僚に厳しい接し方」をしたり、「優越感を感じたい」ために「部下や同僚を見下す(マウンティングする)」という特徴があります。
反対に言えば、ヒーロータイプは「周囲の期待に応えよう!」とすればするほど「部下や同僚に厳しくなる」あるいは「部下や同僚を見下す」ようになるため、かえって「チームワークを崩壊させてしまう」と言えます。
以上のことから、「チームワークが苦手」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
ちなみに、「マウンティング(マウントをとる)」という点は、「回避依存症:独裁者タイプ」の特徴と一致します。
なお、「回避依存症:独裁者タイプ」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑤ワーカホリック(仕事中毒)になりやすい
このように、ヒーロータイプは「周囲から期待・評価されている」ときには「精神的な安定」を感じるが、「周囲から期待・評価されていない」ときには「精神的に不安定」になるという特徴があります。
とくに、ヒーロータイプは「仕事への執着が強い」ため、「仕事で期待・評価されている」ときには「精神的な安定」を感じるが、「仕事で期待・評価されていない」ときには「精神的に不安定」になりやすいと言えます。
反対に言えば、ヒーロータイプにとって「仕事で期待・評価されているか?されていないか?」は、自らの「存在価値」に関わる重要なことであるため、ヒーロータイプは「仕事をしているときは安心できるが、仕事をしていないときには安心できない」あるいは「休日に仕事のことが気になって休めない」などの心理状態に陥りやすいという特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「仕事への執着が強すぎる」ことを「ワーカホリック(仕事中毒)」と言います。
ワーカホリックとは、英語で仕事という意味を持つ「Work」と、アルコール中毒という意味を持つ「Alcoholic」を合わせてつくられた言葉で、日本語にすると「仕事中毒」という意味になります。その名の通り、自分の健康や趣味よりも仕事を一番に優先し、常に働いていないと気が済まない状態の人を指します。ワーカホリックはまるでアルコール中毒のように、常に仕事のことで頭がいっぱいになりやすいことが特徴です。
とはいえ、「仕事」とは「ストレス(肉体的疲労・精神的疲労)」を蓄積するものでもあります。
ですので、ヒーロータイプは「安心」を感じようと「仕事を頑張る」のですが、仕事を頑張れば頑張るほど「ストレス(肉体的疲労・精神的疲労)」を蓄積してしまうことにもなってしまい、結果、「仕事を頑張りたい!という気持ち」と「休息して疲労を回復したい!という気持ち」の「苦しい葛藤状態」に陥ってしまう場合があります。
ですが、人の心とは「ストレスを無限に溜め込み続ける」ことができないため、いつかは「ストレスが限界」に達することになります。
そして「ストレスが限界」に達してしまった場合、ヒーロータイプは急にやる気を失ってしまったり、急に体調を大きく崩してしまうなど「燃え尽き症候群」に陥ってしまう場合があります。
燃え尽き症候群とは、物事に意欲的に取り組んでいた人が、燃え尽きたようにやる気や意欲をなくしてしまう症状のことです。プレッシャーなどのストレスを継続的に感じたり、体を酷使したりするなど心身ともに無理をした結果、極度の疲労を抱えてしまうことが原因と考えられており、うつ病の一種とも言われています。
このように、ヒーロータイプは表面的には「タフな人」に見える反面、内面には「ストレス(肉体的疲労・精神的疲労)を限界まで蓄積している場合が多い」という特徴があります。
以上のことから、「ワーカホリック(仕事中毒)になりやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑥家庭に問題を抱えやすい
ヒーロータイプは、自らの「存在価値」を感じるために「周囲から期待・評価される」ことに「執着」するという特徴があるため、「仕事に没頭しすぎて家庭を疎かにしてしまう」という特徴があります。
とくに、ヒーロータイプは「男性」でも「女性」でも「仕事に没頭しすぎて子育てを疎かにしてしまう」という点が特徴的です。
なお、「ヒーロータイプが起こしやすい子育ての問題」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 男性の場合
いわゆる「亭主関白」と呼ばれるタイプが多く、子育てを「妻」に任せきって自分は仕事に没頭する
また「シングルファーザー」である場合は、子育てを「実父母」に任せきって自分は仕事に没頭する - 女性の場合
いわゆる「キャリアウーマン」と呼ばれるタイプが多く、子どもを「鍵っ子」にして自分は仕事に没頭する
また「シングルマザー」である場合は、子育てを「実父母」に任せきって自分は仕事に没頭する
また、ヒーロータイプは「プライド(自尊心)」が高く「自分の優位性(優越感)を確保する」ことに「執着」するという特徴があるため、「俺が仕事をしているおかげで生活できているんだ!」あるいは「誰のおかげで生活できていると思っているの?」など「配偶者や子どもを見下す発言が多い」という特徴があります。
なお、「ヒーロータイプが起こしやすい家庭での問題」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- パワハラ
- モラハラ
- DV
- ヒステリー
このように、ヒーロータイプは「プライド(自尊心)の高さ」ゆえに家庭においても「独りよがり」になりやすく、その影響で「夫婦関係にも問題を抱えやすい」という特徴があります。
なお、「ヒーロータイプが起こしやすい夫婦の問題」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「浮気・不倫」をしやすい
- 「仮面夫婦」になりやすい
- 「家庭内別居」に陥りやすい
- 「離婚」をしやすい
このように、ヒーロータイプは表面的には「優秀な人」に見える反面、家庭では「子育ての問題や夫婦の問題を抱えている場合が多い」という特徴があります。
以上のことから、「家庭に問題を抱えやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
⑦自分の理想を子どもに押し付ける
ヒーロータイプは、子どもの頃から「失敗や挫折」をほとんど経験しないまま大人へと成長したため、「自分にできることは他者にもできるはずだ!」という「強い思い込み」を持っているという特徴があります。
そのため、ヒーロータイプは自分の子どもに対しても、無意識に「自分と同程度の能力」や「自分と同程度の努力」を求めてしまうという傾向があり、その影響で無意識のうちに「子どもの教育に厳しくなってしまう」という特徴があります。
なお、「失敗や挫折を経験していない場合のヒーロータイプの子育ての特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 野球やサッカーなど、スポーツの世界で自分が実現した「理想」や「夢」を子どもにも実現させようとする
- 音楽や美術など、芸術の世界で自分が実現した「理想」や「夢」を子どもにも実現させようとする
- 医師や弁護士など、自分が就いている「職業」に子どもを就かせようとする
また、ヒーロータイプは子どもの頃に「親」から「高すぎる理想」を押し付けられてしまっている場合が多いため、「親の理想」を実現できないまま大人へと成長していく場合があります。
そうすると、ヒーロータイプは自らが「親」になったとき、自分が実現できなかった「理想」や「夢」を「子ども」に実現させようとする場合があります。
なお、「親の理想を実現できなかった場合のヒーロータイプの子育ての特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 野球やサッカーなど、スポーツの世界で自分が実現できなかった「理想」や「夢」を子どもに実現させようとする
- 音楽や美術など、芸術の世界で自分が実現できなかった「理想」や「夢」を子どもに実現させようとする
- 医師や弁護士など、自分が就けなかった「職業」に子どもに就かせようとする
このように、ヒーロータイプは子育てにおいて、子どもが幼いころ(物心つく前)から「スポーツ教室」や「音楽・芸術教室」や「学習塾」に熱心に通わせるという特徴があります。
親が「自分の経験」を子育てに活かそうとすること自体はとても自然なことではあります。
ですが、子どもには「子どもの意思」があり、親が「子どもの意思」を尊重していくことで、子どもの「自己肯定感」が高まっていきます。
ですが、ヒーロータイプは「理想」にこだわり過ぎる傾向があるため、子育てに熱心になればなるほど「子どもの意思」を無視して「親の理想」を押し付けてしまい、かえって「子どもの健全な成長を阻害」してしまう場合があります。
なお、子どもの意思を無視したり、子どもの限度を超えてまで、親が子どもに「勉強・スポーツ・習い事」をさせることを「教育虐待」と言います。
教育虐待とは、「子どもの限度を超えた教育を受けさせること」とされています。近年では、勉強だけではなく習い事も含む教育全般のことを指すようになってきているといわれています。親が教育熱心なあまり「あれもこれもやらせたい」と力を入れすぎることが、子どもにとっては「やりすぎ」とストレスになっている可能性があります。親が「自分は子どものために正しいことをしている」と悪気なく踏み込んでいくうちにエスカレートし、無意識に教育虐待に至っているというケースもあるようです。
このように、ヒーロータイプは表面的には「教育熱心な親」に見える反面、実際は「自分の理想を子どもに押し付けている場合が多い」という特徴があります。
以上のことから、「自分の理想を子どもに押し付ける」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロータイプ(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
ちなみに、「自分の理想を子どもに押し付ける」という点は、「過干渉な親」の特徴と一致します。
なお、「過干渉な親の特徴」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
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⑧依存心が強い人と共依存になりやすい
ヒーロータイプは「機能不全家族で育った影響」により、「相手に期待されたい(必要とされたい)気持ち」や「相手の期待に応えて頼られたり褒められたい気持ち」が非常に強いという特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「必要とされたい!頼られたい!尊敬されたい!」と感じる気持ちを「承認欲求」と言います。
承認欲求とは「自分を見てほしい」「話を聞いてほしい」「誰かに褒めてほしい」といった「他者から認められたい」という欲求です。誰もが持っている自然な欲求ではあるものの、時には自分自身を苦しめたり、周囲の人を不快な気持ちにさせてしまったりと、強すぎる承認欲求には良い影響があるとはいいがたいものもあります。
このように、ヒーロータイプにとって「承認欲求を満たす」ことは「精神的な安定」を得るために「必要不可欠」なことであるため、ヒーロータイプは「精神的な安定」を維持しようとすればするほど「承認欲求が強くなる」という特徴があります。
反対に言えば、ヒーロータイプは人間関係において「自分を必要としてくれる人」や「自分を頼ってくれる人」や「自分を尊敬してくれる人」など「承認欲求を満たしてくれる相手との繋がりを持ちたがる」という特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「誰かに承認されることで自分の存在価値を感じる」あるいは「誰かに承認されなていないと自分の存在価値を感じられない」という心理状態を「共依存」と言います。
共依存とは特定の相手との関係に依存しすぎる状態のこと。恋愛関係、友人関係、親子関係など人間関係全般に現れます。相手との関係性において自分の価値を見出すことになるため、自分自身を見失ってしまったり、危険な状況を招いたりすることも。
また、「ヒーロータイプと共依存になりやすい人の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分で物事を決められない人
- 自分の意見が言えない人
- 他者に頼ってばかりいる人
- 他者の意見に従ってばかりいる人
- 相手に「No」と言えない人
- 相手に嫌われたくない気持ちが強い人
- 相手のご機嫌をとってばかりいる人
このように、ヒーロータイプは人間関係において「自分の承認欲求を満たしてくれる人(依存心の強い人)」と「共依存」になりやすいという特徴があります。
ですが、ヒーロータイプが懸命に努力をしても、自分の望み通りに「相手が自分を必要としてくれない・相手が自分を頼りにしてくれない・相手が自分を尊敬してくれない」場合があります。
そうすると、ヒーロータイプは「自分はこれだけ努力しているのに、あなたのその態度は許せない!」と感じて急に怒りを爆発させる(キレる)という傾向があり、場合によっては「パワハラ・モラハラ・DV・ヒステリー」など「精神的暴力」や「身体的暴力」に発展する場合があります。
以上のことから、「依存心が強い人と共依存になりやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の人間関係の特徴」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「心理的な特徴」
ヒーロータイプは、子どもの頃から「親や家族の期待」に応えるために頑張り続けてきたため、大人になっても「周囲の期待に応えるために積極的に頑張り続ける」という点が最大の特徴です。
また、ヒーロータイプは「寂しさ、悲しさ、孤独、怖さ、不安、怒り、イライラ、緊張」など「弱い自分を隠そうとする」という心理的な特徴があるため、大人になってからも「弱い自分を優秀さという仮面で懸命に隠し続ける」という特徴があります。
なお、「ヒーロータイプの心理的な特徴」は、主に以下の「9つ」があげられます。
POINT
- 努力家
- 完璧主義
- 強がり
- 責任感・正義感が強い
- 白黒思考
- 失敗や挫折を恐れる
- 失敗や挫折に弱い
- 承認欲求が強い
- 他者に厳しい・他者を見下す
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「人間関係の特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ヒーロータイプ(英雄役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ヒーロータイプ(英雄役)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「人間関係の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の人間関係の特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT「優秀で真面目で責任感が強い」ため、周囲から期待される・頼られる
- 「一度やるときめたことは決して諦めずにやり抜こうとする」など、仕事に対する責任感が強い
- 「完璧主義」であるため、周囲との人間関係に軋轢が生じやすく、独りよがりになる
- 「部下や同僚に厳しい」あるいは「部下や同僚を見下す」など、チームワークが苦手
- 「仕事への執着が強い」ため、ワーカホリック(仕事中毒)になりやすい
- 「仕事に没頭しすぎて家庭を疎かにしてしまう」ため、家庭に問題を抱えやすい
- 「子どもの教育に熱心になりすぎる」あまり、自分の理想を子どもに押し付ける
- 「承認欲求が強い」ため、自分の承認欲求を満たしてくれる人(依存心の強い人)と共依存になりやすい
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ヒーロー(英雄役)の『人間関係の特徴』」という記事でした。