POINT過干渉をする毒親の心理には、自分のそばに子供を束縛・支配することで、子供に依存しようとする意図が隠れています。
心理カウンセラーの寺井です。
「毒親」という言葉は、インターネットを中心としたコミュニティのなかで広がった「スラング用語」としての意味合いが強く、どうしても「悪者(わるもの)」のように扱われがちです。
ですが、心理学とは、誰も巻き込まず、誰にも邪魔されず、誰にも押し付けず、自分で自分を幸せにしていくための学問ですので、毒親という呼ばれる存在であっても、1人の人間として尊重し、毒親には毒親なりの想いや願いや気持ち=心理がある…と捉えます。
この記事は、過干渉をする毒親の心理について心理学に沿って解説しています。
過干渉をする毒親の心理とは?
親の過干渉は、確かに子供にとってはストレスとなります。
そこで、親をやみくもに攻撃しても、親を攻撃したり否定したりすればするほど、かえって刺激を与えてしまうことになり、かえって親の過干渉が激しさを増してしまいます。
なので、心理カウンセリングの現場では、毒親と呼ばれる存在であっても、1人の人間として尊重し、毒親の過干渉の中にも、親なりの想いや願いや気持ち=心理が隠されている…と捉え、「過干渉をする毒親は、決して子供を苦しめようと思って過干渉をしているわけではない…」というところから考え始めます。
ここでは、過干渉をする毒親の心理について解説していきます。
過干渉をする毒親の心理には「依存心」が隠れている
過干渉をする毒親の心理の根本にあるのは「依存心」です。
過干渉をしている親の姿は、表面的に見ればグイグイと自信に満ちている姿に見受けられますが、内心では「自信がなく、不安を感じやすい心理」を抱えていると心理カウンセリングの現場では捉えます。
そもそも、自信がある人とは、精神的な自立ができている人のことを指し、「誰も巻き込まず、誰にも邪魔されず、自分の安心は自分で確保する人」「人を頼るよりも自分を信じ頼りにしているので、自分1人で孤立したとしても落ち着いていられる人」ということになります。
反対に言えば、過干渉をする毒親のように、自分の安心を自分1人で確保できず、子供など、周りの誰かを巻き込んでしまう人のことを、「心理的に自立てきていない人」=「心理的に依存気味な人」=「自信のない人」である…と心理カウンセリングの現場では捉えます。
つまり「弱い犬ほどよく吠える」のことわざ通り、過干渉をする毒親の心理の根本には、「ソワソワ&イライラと不安を感じやすく、1人でジッとしていられず、ついつい誰かを巻き込んでしまう心理」=「依存心」が隠れていると心理学では捉えます。
過干渉をする毒親は、自分の「依存心」を満たすために、子供を「束縛・支配」する…
このように、過干渉をする毒親の心理には「依存心」があり、ある意味、過干渉をする毒親は「1人になるのを怖がっている…」と言い換えることができ、この「1人になるのが怖い…」という不安を、心理学では「見捨てられ不安」と言います。
見捨てられ不安とは、子供時代の親子関係が大きく影響していますので、過干渉をする毒親は、子供時代、寂しい親子関係であった可能性が高いと言えます。
そして、「過干渉をする毒親が子供時代に満たしてもらえなかった寂しさ」が「依存心」であり、その「依存心」を満たしてくれる相手を確保するために、毒親は自分の子供に過干渉を行い「束縛・支配」しようとします。
つまり、自分を「子供」、親の親を「祖父母」とした場合、親は自分のそばに子供を「束縛・支配」するために過干渉を行い、子供を「支配」しようとします。
そして、子供時代、「祖父母」に満たしてもらえなかった寂しさを、「祖父母」に代わって「子供」に満たさせようとします。
つまり、過干渉をする毒親の心理は、「親代わりを求めて「子供」に依存しようとしている…」=「子供を親代わりにしようとしている…」と、心理カウンセリングの現場では捉えます。
子供の結婚、妊娠、育児に対して、毒親の過干渉が激化する理由
反対に言うと、子供が成長し、結婚、妊娠、育児と、子供が親から自立をしていくことは、子供が親元を離れていってしまうことを意味します。
よって、子供を「束縛・支配」し、子供に依存をいていたい毒親にとって、子供の結婚、妊娠、育児とは、依存相手である子供が自分の手元から離れて行ってしまう一大事ということになります。
なので、子供が成長し、結婚、妊娠、育児という自立のステップを始めると、子供を「束縛・支配」していたい毒親は、「子供の自立を妨害して、自分のそばに留め置きたい…」という理由で過干渉を激化します。
つまり、毒親が過干渉を激化する心理は、「子供の成長、結婚、妊娠、育児に対して過干渉を激化することで、子供への「束縛・支配」をさらに強めようとしている…」と、心理カウンセリングの現場では捉えます。
毒親の「依存心」の正体=「インナーチャイルド」
さて、心理学では「インナーチャイルド」という言葉があります。
インナーチャイルドとは、上記、過干渉をする毒親のように、子供時代、自分の感情を安心するまで自由に表現させてもらえなかったり、自分の感情を安心するまで満たしてもらえなかったり、親との関係において心が傷ついたり不満を感じ、大人になっても満たされていないままの子供時代の自分のイメージ=依存心を抱えたままの子供時代の自分のイメージです。
そして、インナーチャイルドが依存心を抱えたままだと、「これ以上、寂しい想いをしたくない!1人ぼっちになりたくない!」という見捨てられ不安が強くなり、依存相手を確保するために、自分の子供に過干渉を行い「束縛・支配」しようとします。
よって、過干渉をする毒親の心理は、「子供時代から満たされないままの依存心」=「傷ついたインナーチャイルド」を抱え続けている心理状態である…と言い換えることができます。
また、「過干渉」は毒親の特徴のひとつです。「自分は毒親なのか?」もしくは「自分は毒親に育てられたのか?」については、以下の「毒親診断チェックリスト」を実行することで詳しくチェックすることができます。
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過干渉をする毒親に育てられた人は、その人自身も過干渉をする親になりやすい
このように、過干渉をする毒親の心理には、子供時代、親の親「祖父母」との親子関係で傷ついたインナーチャイルドが関わっています。
ということは、過干渉をする毒親に育てられた子供も、子供時代、親から受けた過干渉によって心が傷ついている可能性があります。
なので、過干渉をする毒親に育てられた子供も、同じように、傷ついたインナーチャイルドを抱え、自分が親となって子育てを始めたとき、過干渉をする毒親となってしまう可能性があると言えます。
そして、親の親「祖父母」も、同じように、傷ついたインナーチャイルドを抱えていることによって、過干渉をする毒親となった可能性が高いと言えます。
このように、人は、子育ての方法を、遺伝によって生まれながらに習得しているわけではなく、子供時代、自分の親にしてもらえた子育てを、自分が親になってから繰り返そうとする特徴があり、この特徴を心理学では「世代間連鎖」と言います。
つまり、過干渉をする毒親に育てられた人は、その人自身も過干渉をする毒親になりやすいという特徴があります。
なお、「毒親に育てられた方の子育ての特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は参考にしてください。
- 関連記事毒親育ちの子育てが辛い理由
毒親の過干渉、自分の子供「孫」への影響
また、世代間連鎖によって、自分が、毒親である「実父・実母」から受けた過干渉の影響は、自分の子供「孫」へとどのように影響するのか?
このような不安を感じてくださっている方がいらっしゃるかもしれません。
「毒親の過干渉、自分の子供「孫」への影響」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事・毒親の過干渉、自分の子供「孫」への影響
過干渉の原因と克服方法
さて、親が過干渉をする理由には、「依存心」=「子供時代の傷ついた自分の感情」=「傷ついたインナーチャイルド」の存在が関わっていることがわかりました。
そして、傷ついたインナーチャイルドを癒し落ち着かせることができるのは、世の中でインナーチャイルドを抱えている本人だけなのです。
よって、もしあなたが、「子供に過干渉をしてしまうことで苦しんでいる親の立場」でしたら、子供時代の傷ついた自分の感情=傷ついたインナーチャイルドを自分で癒やし精神的な自立を果たすことで、子供への過干渉を落ち着かせることは可能です。
同じように、もしあなたが、「親に過干渉をされて苦しんでいる子供の立場」でしたら、親の依存心=親のインナーチャイルドは親に任せ、親の精神的自立を邪魔せず見守り、親の過干渉によって傷ついたままの自分のインナーチャイルドを自分で癒やすことで、親も子供もお互いに自立を果たす=自立共存の平和的な親子関係を始めることは可能です。
過干渉の原因「インナーチャイルド」
このように、過干渉の原因は、子供時代から満たされないまま、大人になっても心に残っている寂しさ=「依存心」=「子供時代の傷ついた自分の感情」=「傷ついたインナーチャイルド」です。
インナーチャイルドは、日本語で「内なる子供」と訳されています。心の中に住んでいる子供の自分……といった意味となります。諸説ありますが、「子供の頃の記憶や感情」のことをインナーチャイルドと呼びます。主にネガティブな記憶や、それに伴う感情(親に怒られた、友達にいじめられた、さみしかった、つらかった、孤独を感じた等)が中心です。
引用元:インナーチャイルドとは?
よって、過干渉の原因である「インナーチャイルド」を、インナーチャイルドセラピーよって癒すことで、過干渉を落ち着かせることができる…と心理学では捉えます。
過干渉の克服方法「インナーチャイルドセラピー」
「インナーチャイルドセラピー」とは、心理カウンセラーやインナーチャイルドセラピストなど専門家の協力のもと、「催眠療法(ヒプノセラピー)」を基本に、恥ずかしさや警戒心を和らげつつ、子供時代から傷ついたままのインナーチャイルドと共感し癒すイメージトレーニングをすることで、安全に確実に、過干渉などの心理的な問題を解決することを目的とした心理療法です。
インナーチャイルド・セラピーは、まさにこの「未完の完結」作業を応用したものです。…(中略)…未完の感情をそのまま引きずるのではなく、「今ここ」で完結(終わらせ、創り直す)ことが、インナーチャイルド・セラピーです。
引用元:インナーチャイルド・セラピー
毒親から自分を解放するカウンセリング
また、過干渉を克服する方法=「『インナーチャイルドセラピー』を用いて行う『毒親から自分を解放するカウンセリング』」については、以下の記事で詳しく解説していますので、是非、お読みください。
まとめ
さいごに、過干渉をする毒親の心理について重要ポイントをまとめます。
POINT
- 過干渉をする毒親の心理の根本には「依存心」がある
- 過干渉をする毒親は「1人になるのを怖がっている…」からこそ、子供を「束縛・支配」しようとする
- 過干渉をする毒親の心理には、子供時代の寂しさ=「見捨てられ不安」が関わっている
- 毒親は「自分の依存相手を確保する」ために過干渉を行い、子供に依存しようとしている
- 毒親は、子供の結婚、妊娠、育児に対して過干渉を激化することで、「子供の自立を妨害して、自分のそばに留め置こう」としている
- 過干渉の原因は、毒親の依存心=「インナーチャイルド」
- 過干渉をする毒親に育てられた人は、その人自身も過干渉になりやすい
- 「インナーチャイルドセラピー」によって、過干渉を落ち着かせることは可能
- 「インナーチャイルドセラピー」によって、過干渉をする毒親に育てられた影響を和らげることは可能
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「過干渉をする毒親の心理とは?心理カウンセラーが解説」という記事でした。