かわいそうという心理を心理学で解説

2018年1月4日

かわいそうは、心理学では「同情」を意味します。

かわいそうという心理の影響

 

あの子がかわいそうだ…あの人がかわいそうだ

日常、かわいそうという感情表現を耳にします。

かわいそうと思う気持ちはとても大切です。

でも、時として、かわいそうと言われると心が傷ついてしまう場合があります。

この記事は、かわいそうという心理=同情の影響を、心理学に沿って説明しています。

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かわいそうと言われると?

あなたはかわいそうな人ね。

突然ですが、相手にかわいそうと言われて嬉しいですか?

かわいそうという言葉は、決してネガティブな印象ではないのですが、かわいそうと言われた人は、あまり心地よい感情を抱かないのかもしれません。

かわいそうと言われると、なにか惨めな感情や自分への罪悪感を感じます。

でも、かわいそうという言葉は、結構、頻繁に使っていたりもする言葉です。

 

かわいそうを心理学で捉えると?

かわいそうという言葉が意味する感情を、心理学では、「同情」という言葉で表現します。

なので、「あなたはかわいそうな人ね。」という言葉は、「あなたに同情してあげるよ。」という感情に置き換えることができます。

さて、「あなたに同情してあげるよ。」と相手に言われて嬉しいですか?

人は、「同情」されて嬉しいときもありますが、かわいそうと同情されると、かえって腹立たしい感情を感じる場合もあるでしょう。

このとき、かわいそうと同情されたときに感じる腹立たしい感情を、「自尊心」=「プライド」とも言います。

なので、かわいそうと言われる側にしてみると、かわいそうだねと同情されてしまうことは、案外、ありがた迷惑だったりします。

 

かわいそうとよく言う人

自分の周りにも、かわいそうとよく言う人を見かけることがあるかもしれません。

かわいそうとよく言う人を心理学で紐解くと、「同情をしたがっている人」とも言えます。

もう少しわかりやすく言うと、かわいそうとよく言う人は、「世話を焼きたがる人」とも言いかえることができます。

ある意味、面倒見がいい人、優しい人、とも言えますが、必要以上に世話を焼いてしまう人だと、かえってありがた迷惑です。

このように、相手が嫌がるほどに「世話を焼きたがる人」を、心理学では、ケアテイカーと呼び、アダルトチルドレンの症状のひとつに挙げられます。

 

自分はかわいそうな人間と思いこんでいたHさん

さて、ここからは、かわいそうという心理について、実際のカウンセリングの現場で携わったクライアントさまとの回想録に沿って説明していきます。

最近、幼い頃にかわいそうだと言われたことがきっかけで、大人になっても苦しんでおられたクライアントさま=Hさんがお越しくださいました。

さて、かわいとうと言われたことで、どうして?Hさんが苦しい想いをすることになってしまったのか?を説明していきましょう。

 

アレルギーがかわいそう?

幼い頃に、食べ物のアレルギーやアトピー性皮膚炎などを抱えておられた方もいらっしゃるかもしれません。

私の所にお越しくださったクライアントHさんも、幼い頃に卵アレルギーだったそうです。

Hさんが来訪してくださった理由は、「自分が周囲より劣っている気がして、人に迷惑を掛けちゃいけないという苦しい思い込みが原因で生きづらさを感じている。」という訴えでした。

カウンセリングでHさんの心の歴史を振り返っていくと、Hさんが幼い頃、【あの子はかわいそう…】と何度も言われた経験があることに気づいていきました。

みなさんも、アレルギー=普通じゃない=かわいそう!と決めつけていませんか?

 

本人はアレルギーが不便じゃない。

さて、アレルギー症状を持つお子さんに、かわいそうと言うと心理的には何が起きてしまうのでしょうか?

幼少期から卵アレルギーだったHさんの例を借りて説明していきましょう。

Hさんにしてみれば、生まれたときから卵を食べれなかったわけです。

なので、Hさんにとっては、ある意味、卵を食べられない状態がありのままの自分なわけですね。

実際、親子関係においても、卵が食べれないからと言って、【自分がかわいそうだ】と思うこともなかったし、お父さんもお母さんも【あなたはかわいそうだ】とは、Hさんに対して言わなかったようです。

ましてや、卵アレルギーのおかげで、お母さまはHさんのためにいろいろと工夫してくれるので、Hさんはかえって愛情を感じやすかったようです。

では、だれが【卵アレルギー=かわいそうだ】と、Hさんに言ってしまったのでしょうか?

そして、【Hさんはかわいそうな人間だ】と、Hさんに思い込ませてしまったのは誰なのでしょうか?

(関連:心理学でのインナーチャイルドとは?

 

かわいそうが口癖のおばあさん

Hさんの場合、おばあさんの影響が大きかったようです。

おばあさんは、かわいそうという言葉が口癖で、Hさんのことを想うあまり、おばあさんは、Hさんのお母さんをいろいろと責めていたようです。

 

「Hちゃんが、卵を食べられなくなってしまったのは、あなた(お母さん)のせいよ!

「あなた(お母さん)が、もっとしっかりとしていいれば… Hちゃんがこんなかわいそうな思いをしなくて済んだのに!

 

こんな類の嫌味に近い言葉を、おばあさんはことあるごとにお母さんにぶつけていて、幼いHさんは、いつもドキドキしながら近くで聞いていたわけですね。

(関連:あなたが悪い!という表現が心を傷つける。

 

「Hちゃんは、甘いお菓子を食べられなくてかわいそうだね…

「Hちゃんは、本当にかわいそうだ…

「子どもは何も罪はないのにね。」

かわいそう、かういそう…

 

おばあさんは、このような言葉でお母さんを散々責め立て、Hちゃんにも、かわいそう…かわいそう…と声を掛けてくれていたようですが、その時、Hさんは、お母さんの悲しそうな表情をしっかりと見ていたのです。

そしてこのとき、Hちゃんは幼心にこんなふうに思い込んでしまったわけです。

 

「私はかわいそうな人間なんだ」

「ずっとかわいそうな人間なんだ」

「お母さんを悲しませている自分は悪い子なんだ」

「お母さんを悲しませちゃいけない、もう迷惑を掛けたくない

 

あえて言葉にすると、こんな自分を責める感情が幼いHちゃんの心に生まれたのでしょう。

もちろん、当時は感覚として感情を感じていますので、言葉で表現することもできずに、当時の感情をずっと心にしまい込むしかなかったわけですね。

(関連:インナーチャイルドが傷つく原因と影響

 

そして、それ以降ずっと

 

「自分は価値がないじゃないか?」

「自分は周りより劣っているんじゃないか?」

「人に迷惑を掛けたら嫌われるんじゃないか?」

 

こんな感情が心に巡り続けてしまい、生きづらい原因となり、Hさんの人生を惑わし続けてきたわけですね。

このとき、お母さんの悲しい表情を見て心が傷ついた幼いHちゃんのことを、心理学ではインナーチャイルドと呼び、幼い時の傷ついた感情に、大人になって惑わされ続けている人アダルトチルドレンと呼びます。

 

インナーチャイルドセラピーで同情を愛情へ変える。

さて、幼い時に傷ついた感情に、今、大人に自分が戸惑っている。と納得がいくことができたら、あとは、大人の自分が子どもの自分と協力し、新しい自分を始めるだけです。

このとき、幼いHちゃんと大人のHさんが空想の中で助け合うことで、自分で自分を癒し、自分で自分を取り戻してく作業を、インナーチャイルドセラピーと呼びます。

 

「自分はかわいそうな人間じゃない!

「お母さんに優しくしてもらって嬉しかった!

「自分は価値がないわけじゃなくて優しかったんだ!

「自分にもいろいろ素敵なところがあるんだ!

「人に迷惑をかけてもいないし、かけたとしても感謝すればいいんだ!

 

こんなふうに、幼い自分の感情に大人の自分の愛情を届けることで、ようやく本来のHさんらしいHさんに戻ることが出来たわけです。

 

かわいそうは危険な言葉

確かに、Hさんのおばあさんにしてみれば、【卵を食べれない=かわいそうだ!】という感情があっても当然だろうなと私は思います。

でも大切なのは、おばあさんが「かわいそう」と思うアレルギーが、Hちゃんにとって「不便」とは限らないということですね。

これは、おばあさんがHちゃんの立場だったら「かわいそう!」と言って欲しいという欲求にすぎず、おばあさんの言動に、Hちゃんが惑わされてしまった。とも言えます。

Hちゃん自身は、卵を食べれなくっても、お母さんに愛されて幸せだったのに、おばあさんから【卵を食べれない=かわいそうだ!】という感情を押し付けられてしまったことで、Hちゃんの心は混乱してしまい、苦しい思い込みを身に付けてしまったわです。

このように、幼少期に大人に言われて傷ついた言葉の影響を、心理学では禁止令とドライバーとも呼びます。

心の縛りとも言われ、人の性格形成に大きな影響を及ぼします。

もし、Hさんのように、「かわいそうと言われたくない!」という感情を大きく感じるようでしたら、カウンセリング&セラピーという機会で心の歴史を一緒に振り返り、心の縛りを解きほぐしていくお手伝いをさせて頂けると嬉しいです。

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