アダルトチルドレンの原因
アダルトチルドレンの原因は、子ども時代の親との関係にあります。
アダルトチルドレンは、幼少期、機能不全家族を支え生き抜くために培った心の個性です。
よって、アダルトチルドレンの原因は、子ども時代の親との関係に大きく関わっています。
心理カウンセリングによるアダルトチルドレンの克服過程においても、アダルトチルドレンの原因を知ることで希望の光が見えてきます。
この記事は、アダルトチルドレンの原因について解説しています。
アダルトチルドレンの原因①:親の影響
アダルトチルドレンの原因はいくつかありますが、そのほとんどが、子ども時代の親との関係に原因があります。
そして、親もまた、子ども時代に心が傷ついた経験をもつアダルトチルドレンである場合があり、親の影響が子どもへと連鎖する世代間連鎖も、アダルトチルドレンの原因のひとつです。
ここでは、アダルトチルドレンの原因となる親の特徴について解説します。
虐待・暴力
虐待には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトがあります。
子どもは、親から虐待を受けると、心身の成長を妨げられてしまいます。
親による虐待や暴力は、子どもが家族以外の人との信頼関係を築くことにも障害を与える原因となります。
とはいえ、子どもは親から逃げ出すことができず、親を怒らせないように顔色を伺ったり、自分の気持ちを我慢することで、虐待的な環境をなんとか生き抜いていきます。
そして、子どもの頃、虐待的な環境を生き抜くために身に付けた習慣が、大人になっても人目が気になる原因として残ってしまい、学校や職場での人間関係、友人関係、恋愛関係を築くことへの障害を残す原因となります。
(関連:アダルトチルドレンの恋愛傾向)
毒親
毒親とは、もともと、アメリカの精神科医学者スーザン・フォワードの著書「毒になる親」から生まれた言葉です。
明確な定義はなく、インターネットを中心としたコミュニティで生まれたスラング用語=俗語と言われています。
毒親とは、子どもにとって害になるような言動や振る舞いをする親、という意味合いで、機能不全家族の状態を招いている親のことを「毒親」と称することがあります。
よって、「毒親」とは、家族の平和を乱すトラブルメーカとも言え、家族を機能不全に陥れてしまう核とも言えます。
子どもを意地悪でなじったり、説教で抑圧したり、どうせうまくいかないと否定したり、命令したり、支配したり、子どもを意図的に苦しめるような親を毒親と言い、その躾けの影響は、前述の心理的虐待と同じく、大人になって生きづらさの原因となります。
(関連:毒親の特徴に関するまとめ記事)
アルコール依存症
アダルトチルドレンと言う言葉の意味は、もともと、「アルコール依存症の親に育てられた子ども」という意味でした。
親がアルコール依存症になると、関心はアルコールのみに集まり、子どもへの関心が薄れてしまいます。
そして、アルコールを飲むことが一番の優先事項となり、アルコールを飲むために子どもを利用するようになります。
結果、アルコール依存症の親が子どものお金を盗んだりお金をせびったり、アルコールを子どもに買いに行かせたり、アルコールが飲めない不安とイライラから子どもに暴力を振るったりします。
すると、子どもは親の不安定な表情や言動ばかりを記憶することになります。なので、大人になっても自己否定感を感じ続けたり、漠然とした不安や焦りを感じ続ける原因となり、人間関係、友人関係、恋愛関係においても、周囲に依存しがちとなる原因となります。
(関連:アダルトチルドレンの歴史)
過保護・過干渉
アダルトチルドレンの原因は、虐待など目立つ行為に限りません。
とくに日本の場合、過保護・過干渉がアダルトチルドレンの原因となっている場合が多いです。
また、幼少期に受けた親の躾けの影響を、心理学では禁止令とドライバーと言います。
過保護・過干渉の親は、子どもがなにをしても叱ったり怒ったりしなかったり、子どもがなにをするにも先に手をまわしてしまったり、あるいは、子どもに習い事や勉強を強要したり、趣味や交友関係を制限したり干渉したり、子どもを私物化し、心身の成長に障害を与えます。
すると、子どもは、親による過保護・過干渉の影響を心に残したまま成長し、大人になってもわがままで横暴な振る舞いをしたり、自己表現が困難に感じたり、人間関係において問題を起こしがちになります。
(関連:アダルトチルドレンが抱える問題)
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アダルトチルドレンの原因②:機能不全家族
アダルトチルドレンの原因は、親との関係に限らず、祖父母、兄弟、姉妹、叔父や叔母など、親以外の家族との関係にも問題がある場合があります。
本来、家族には、家族同士が尊重しあい、支えあい、励まし合い、協力しあうという機能が求められています。
特に、子どもが安心して成長できる居場所であることが、家族に求められている最も重要な機能です。
ですが様々な理由により家族関係に問題が生じ、家族に求められている機能が果たされず、子どもが安心して成長できない状態の家族を機能不全家族と呼びます。
ここでは、機能不全家族の特徴について説明します。
愛情の無い家庭
挨拶や感謝の言葉、笑い声、スキンシップなど、親から子どもへと投げかける気持ちのキャッチボールが少なく、温かさに欠け、子どもが愛情を受けられない家庭
世間体重視
親が、お金、出世、学歴などを重視した人づきあいをしたり、周囲に対して見栄を張りがちで、世間体を気にするあまり子どもへの関心が疎かになっている家庭
過保護・過干渉
子どもがなにをしても親が叱ったり怒ったりすることがなかったり、子どもがなにをするにも親に先に手を回してされてしまったり、過度の愛情と心配で親が子どもの自由を制限している家庭
毒親・否定・抑圧
親が子どもを意地悪でなじったり、説教で抑圧したり、どうせうまくいかないなど否定したり、親に否定されたりバカにされることで子どもに自尊心や成功体験が身に付かない家庭
暴力・虐待・アルコール依存
激しい怒り、乱暴、体罰、破壊、自暴自棄な行動など、親による大声、激しい物音、喧嘩、過度の躾、暴力、虐待があり子どもがビクビクと怯えている家庭
頼りない親
悲しげな表情、困った表情、苦しそうな表情など、親が疲れていたり、子どもに愚痴を言って嘆いていたり、情緒不安定だったり、子どもが親を心配している家庭
親の不仲・不在・孤独
夫婦喧嘩など両親の仲が冷め切っていたり、離婚により片親であったり、入院や仕事で親が不在がちであったり、親の都合で子どもが孤独を感じがちな家庭
拡大家族・大家族
祖父や祖母などが同居していることで、父や母が委縮していたり、祖父や祖母が父や母に干渉したり甘えていることで子どもへの愛情が不足し子どもが困惑している家庭
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傷ついたインナーチャイルド
インナーチャイルドとは、子ども時代の傷ついた自分の姿を空想したイメージです。
幼少期、親や家族に、ありのままの自分を自由に表現できていた子どもをワンダーチャイルドと言います。
反対に、ありのままの自分を表現できていなかった傷ついた子どもをインナーチャイルドと呼びます。
そして、インナーチャイルドが傷ついたままだと、うつ病、依存、発達障害など、生きづらさ=アダルトチルドレンの原因となります。
このとき、傷ついたインナーチャイルドを癒すことでアダルトチルドレンを克服していく作業を、インナーチャイルドセラピーと言います。
(関連:インナーチャイルドが傷つく原因と影響)
ロストワン症状
ロストワンとは、アダルトチルドレンタイプのなかのひとつです。
ロストワンとは、「いない子」や「迷子」という意味で、集団の中での存在感が薄いという意味が込められています。
ロストワンの特徴は、「徹底して自我を押さえ込み、家族に迷惑を掛けまい!」と静かに願うことです。
このようなロストワンの症状は、もともと、「集団が苦手」=「自分1人でのびのびと自由にしていたい人」という意味合いが大きいです。
ですが、日本の家庭環境は、過保護・過干渉がちであったり、日本の教育環境も集団教育ありきであったり、ロストワンの性格にとって、日本は窮屈で過酷な環境と言えます。
なので、ロストワン症状は、周囲からは、「自己主張がない」「協調性がない」「社会不適合者」「よくわからない人」など、散々なひどい誤解をされてしまう場合があり、結果、いじめ、不登校、引きこもりに陥りやすくなります。
よって、ロストワンの性格と日本の社会性とのアンマッチが、アダルトチルドレンの原因のひとつと言えます。
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