機能不全家族が連鎖する理由

2022年3月9日アダルトチルドレンアダルトチルドレンの原因,機能不全家族,子育て

機能不全家族が連鎖する理由を表すイラスト

POINT機能不全家族が連鎖する理由は、「①世代間連鎖」「②禁止令・ドライバー」「③幼少期のトラウマ」「④共依存」の影響が考えられます。

心理カウンセラーの寺井です。

機能不全家族の原因になる親は、「親自身も機能不全家族で育った可能性が高い」と言われており、機能不全家族とは、親から子へ、子から孫へと世代を超えて連鎖している問題と言えます。

このように、親から子へ、子から孫へと様々な影響が「親子間」で連鎖していくしくみを「世代間連鎖」と言い、子どもの頃、自分の親(祖父母)から受けた「子育てによる負の影響」を、自分の子どもへと無意識に繰り返してしまうことを、心理学では「負の世代間連鎖」と言います。

また、「負の世代間連鎖」には、「虐待の世代間連鎖」「暴力の世代間連鎖」「貧困の世代間連鎖」などがあげられ「社会問題」として認識される場合もあります。

このように、機能不全家族が連鎖する理由には、「世代間連鎖」という「人間のこころのしくみ」が深く関わっており、反対に言えば、機能不全家族とは、決して「親が親1人の意思で意図的に引き起こしている問題ではない」と言い換えることができます。

この記事は、機能不全家族が連鎖する理由について解説しています。

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機能不全家族は「8割」に及ぶ

戦後の日本では機能不全家族は「8割」に及ぶことを表すイラスト

機能不全家族」とは、「本来、家庭が果たすべき役割がうまく機能していない家族」を指す言葉であり、「アダルトチルドレンを生みだす家族を意味する言葉」として、1980年代のアメリカで使われはじめ、1990年代になると日本でも使われ始めました。

そして「アダルトチルドレン『AC概念』」を日本に取り入れた専門家の一人であり、「アダルトチルドレン」や「DV問題」に精通する臨床心理学博士の「西尾和美氏」は、「機能不全家族」について以下のように述べています。

日本の家族の80%が機能不全を起こしている。その原因は、父親業・母親業の仕方にある…。

引用元:講談社1999「機能不全家族-「親」になりきれない親たち」(著者:西尾 和美)

このように、日本において数多くのアダルトチルドレン関連書籍を出版している「西尾和美氏」は、「機能不全家族-「親」になりきれない親たち」という著書の中で、アダルトチルドレンの原因になる「機能不全家族」について、「日本の家族の8割以上が機能不全家族である」と述べています。

 

気づかぬまま、機能不全家族の中で育った人が多い

「機能不全家族」という言葉は、「アダルトチルドレンの研究」によって生み出された言葉ですので聞きなれない方がいらっしゃるかもしれませんが、具体的には以下のような問題が起きている家庭を指します。

POINT

参考元:機能不全家族|Wikipedia

以上のことから、端的に言えば、「機能不全家族」とは「子育てに問題のある家族」あるいは「家庭の築き方に問題のある家族」ということになります。

よって、「機能不全家族」 という言葉を聞く機会は少ないかもしれませんが、「機能不全家族とは、かなり身近にある問題」と言えます。

とくに、日本は「世間体」を重視する傾向があるため、当事者にとっては「違和感を感じる家庭」であったとしても、外からは「幸せそうな家庭」に見えてしまったり、そもそも「家族の問題」を他人に話しづらい傾向もあり、本人も気づかぬまま、機能不全家族の中で育った人が多いと言えます。

 

なお、「機能不全家族の意味合い」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

また、「機能不全家族の特徴」に関する記事もあわせて紹介します。

 

機能不全家族が連鎖する「4つ」の理由

機能不全家族が連鎖する4つの理由を表すイラスト

機能不全家族の原因になる親は、「子育てのやり方に問題のある親」あるいは「家庭の築き方に問題のある親」を意味します。

ちなみに、このような「機能不全家族の原因になる親」を「毒親」と呼ぶ場合があります。

毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。

引用元:毒親

また、機能不全家族の原因になる親は、親自身が機能不全家族で育った経験を持つ場合が多いという特徴があります。

よって、機能不全家族の原因になる親とは、親自身が「毒親」に育てられた「毒親育ち」であり、親自身が「幼少期にトラウマ(心的外傷)」を負った「アダルトチルドレン」であると言えます。

このように、機能不全家族とは、親から子へ、子から孫へと、世代を超えて連鎖していくという特徴があります。

ここでは、機能不全家族が連鎖する理由として、以下の4点を解説します。

POINT

  1. 世代間連鎖
  2. 禁止令・ドライバー
  3. 幼少期のトラウマ
  4. 共依存

それでは、以下に詳しく解説していきます。

 

理由①:「世代間連鎖」

機能不全家族が連鎖する理由のひとつである世代間連鎖の様子を表わすイラスト

人は、「子育てのやり方・家庭の築き方・生活の営み方・仕事へ取組む姿勢・お金に対する価値観・恋愛結婚に対する考え方・感情の伝え方・相談の仕方・相手の気持ちを察する姿勢・他人との関り方…」などについては、「自分が子どもの頃に見聞きした親のやり方を、大人になって無意識に模倣し繰り返す」という特徴があります。

このように「子育てのやり方・家庭の築き方」など、親から子へ、子から孫へと、様々な影響が親子間で連鎖していくしくみのことを「世代間連鎖」と言います。

世代間連鎖とは、親から子へ世代を超えて伝わるもののこと。わかりやすいものでいえば、虐待や貧困などの問題である。しかし、実際はそういった大きな問題だけではなく、親から子への愛情のかけ方や接し方も、連鎖する。

引用元:世代間連鎖を止めるの、やめた

 

負の世代間連鎖

親から子へ、子から孫へと「世代間連鎖」する(受け継がれる)ものには、「父親とキャッチボールをした楽しい記憶」や「母親と料理を作った嬉しい記憶」など、「ポジティブな影響(正の影響)」もたくさんあります。

ですが、なかには「厳しい子育て」など、「ネガティブな影響(負の影響)」も受け継がれる場合があります。

そして、子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった「厳しい子育てのやり方」を、大人になって、自分の子どもへと繰り返してしまうことを「負の世代間連鎖」と言います。

負の世代間連鎖とは、「親(又は親から上の世代)から引き継いだ負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」を指します。世の中の親子問題を抱えている人の多くが、「親を介してこの負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」に巻き込まれたことによって、様々な問題を抱えてしまうようになったことを知ることはとても大切なことです。

引用元:親子の問題①(世代間連鎖)

このように、機能不全家族の原因になる親は、親自身が機能不全家族で育った「アダルトチルドレン」である場合が多く、「子どもの頃、親(祖父母)から受けた子育てのやり方を『負の世代間連鎖』によって自分の子どもへと無意識に繰り返している」と言い換えることができます。

 

親は「親自身の問題」に気づきづらい

反対に言えば、機能不全家族の原因になる親は、親自身も機能不全家族で育っているため、自分の子育てに問題があることに気づけない場合が多いです。

よって、機能不全家族の原因になる親は、「過干渉」や「過保護」など、自分が子どもを意のままにコントロールしていることに気づけなかったり、子どもが「不登校・引きこもり・いじめ」などの問題を起こした場合でも、「親(自分)の子育て」に問題があることに気づけず、「子ども」や「学校」の方に問題があると考えがちです。

このように、機能不全家族で育った影響を次の世代へと無意識に繰り返し伝えてしまう「世代間連鎖」とは、「機能不全家族が連鎖する理由のひとつ」と言えます。

 

なお、「世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

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理由②:「禁止令・ドライバー」

機能不全家族が連鎖する理由のひとつである禁止令・ドライバーの影響を表わすイラスト

人は、新しいことに取り組もうとするとき、まず「過去の経験」を思い出し参考にします。

ですので、子育てにおいても、まず「子どもの頃、親にしてもらった子育てのやり方」を無意識に思い出し参考にしながら行っていきます。

すると、子どもの頃は「親の子育てのやり方」に対してなんら疑いを感じていなくても、大人になって子育てをするようになったことで、「親の子育てのやり方」に対して徐々に「違和感」を感じ始める場合があります。

 

「○○はダメ!」「○○しなさい!」など、イライラが止まらない

とくに、機能不全家族で育っている場合、自分が親になって子育てを始めとき、無性にイライラが止まらなくなってしまい、「○○はダメ!」「○○はいけない!」と子どもを叱りつけてしまったり、「早く○○しなさい!」「もっと○○しなさい!」と子どもを煽り立ててしまう特徴があります。

このとき、子育てにおいて、親が子どもに「○○はダメ!」と何かを禁止することを「交流分析」という心理学では「禁止令」と言います。

禁止令とは、親から受け取ったメッセージのうち、「~するな」という指示・命令のこと。これを大人になってからも無意識のうちに守ってしまい、「やってはいけないこと」と思い込んでしまっている状態です。

引用元:人生を狂わせる12の禁止令と5つのドライバー

また、子育てにおいて、親が子どもに「○○しなさい!」と何かを煽り立てることを「交流分析」という心理学では「ドライバー」と言います。

ドライバーは、禁止令とは反対に、「~しろ」という指示・命令による思い込みです。禁止令の一種と考え「拮抗禁止令」と呼ぶ場合もあります。禁止令同様、親からの指示で無意識に「そうしなければいけない」と思い込んで守ってしまっていると考えられます。

引用元:人生を狂わせる12の禁止令と5つのドライバー

このように、機能不全家族での子育ての特徴として「禁止令・ドライバー」があげられ、「禁止令・ドライバー」とは、子どもの自由を制限したり、子どもを思い通りにコントロールするような親の言動・要求を指します。

 

人生脚本

とはいえ、「禁止令・ドライバー」とは、親が子どもを苦しめようと意図的に行っているものではなく、前述の通り「世代間連鎖」の影響によって無意識に行っていると言えます。

日本にも「三つ子の魂百まで」という諺がある通り、子どもの頃に親に言われた「禁止令・ドライバー」は、年齢を重ねても影響を与え続けます。

そして、「おおよそ6~10歳頃までに親に言われた『禁止令・ドライバー』によって形成される思考・行動・性格パターン」のことを、「交流分析」では「人生脚本」と言います。

人生脚本とは、エリック・バーンが提唱した心理学理論です。幼少期に自分自身の人生脚本を描き、その通りになるとされています。人生脚本の大部分は親からのメッセージにより決定されます。無意識のうちに生き方を決め、それに従い行動するということです。

引用元:人生脚本とは

よって、機能不全家族の原因になる親は、「子どもの頃、親(祖父母)に言われた『禁止令・ドライバー』を、大人になって自分の子どもへと無意識に繰り返している」と言い換えることができます。

このように、子どもの自由を制限する子育てを次の世代へと無意識に繰り返し伝えてしまう「禁止令・ドライバー」とは、「機能不全家族が連鎖する理由のひとつ」と言えます。

 

なお、「禁止令・ドライバー」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由③:「幼少期のトラウマ」

機能不全家族が連鎖する理由のひとつである幼少期のトラウマの影響を表わすイラスト

前述のような「禁止令・ドライバー」は、「食べ物を粗末にしない!」あるいは「学校に遅刻しないよう急ぎなさい!」程度であれば、子どもの健全な成長に必要なものではあります。

ですが、一方で、子どもの自由を制限する親の考え方でもあり、エスカレートすると「過干渉・過保護・暴言・ネグレクト・暴力」など「児童虐待」に発展する場合があります。

児童虐待とは、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、殴る、蹴るなどの身体的虐待や、性的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトも含まれます。

引用元:DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの―

親から「過干渉・過保護・暴言・ネグレクト」を受けた子どもは、当然、心の傷「トラウマ(心的外傷)」を負うことになります。

トラウマとは心的外傷、つまり「心の傷」を指します。…(中略)…トラウマは単なるストレスとは意味が異なり、過去に起こったストレスフルな事象が、後の人生に様々な影響を及ぼしているような意味で使われます。

引用元:トラウマに苦しまないために

ましてや、親から「暴力」を受けて育った子どもは、心の傷「トラウマ(心的外傷)」に加え、体にも傷を負い、場合によっては、その「傷跡」や「後遺症」を一生背負い続けることになります。

 

虐待の世代間連鎖

反対に言えば、子どもへの虐待を行う親は、親自身も子どもの頃、祖父母から「過干渉・過保護・暴言・ネグレクト・暴力」などの仕打ちを受けた経験を持つ場合が多く、親自身も、かつては「児童虐待の被害者」であったと言えます。

このように、子どもの頃に親から受けた「虐待」を、大人になって自分の子どもへと繰り返してしまうことを「虐待の世代間連鎖」と言います。

虐待を受けた子どもが、大人になって自分の子どもに対して親から受けたのと同じような虐待をしてしまう。このように世代を超えて虐待が伝達されていくことを「虐待の世代間連鎖」(あるいは世代間伝達)と呼んでいます。

引用元:慶應義塾大学出版会|月刊 教育と医学|巻頭随筆|悲しいことば

その中でも「暴力による虐待」を受けた子どもは、とくに「虐待の世代間連鎖」を起こしやすいと考えられています。

虐待行為のうち暴力などは、世代間連鎖すると言われます。暴力を振るう親のもとで育った子は暴力を振るうようなる、というわけですが、何故そうなるのかについては、子が暴力による問題解決を学習するという説や、暴力を受けた子のトラウマが怒りとなり暴力を生むという説など諸説あります。

引用元:暴力の世代間連鎖とフィボナッチ数列

このように、機能不全家族の原因になる親は、親自身が「虐待の被害者」である場合が多く、「子どもの頃、親(祖父母)から受けた子育てのやり方を『虐待の世代間連鎖』によって自分の子どもへと無意識に繰り返している」と言い換えることができます。

 

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

子どもは、人生経験が乏しいため、当然一人では生きていけません。

なので、子どもは弱い存在である自分を保護してくれる「親」を無条件で信頼します。

ですが、子どもの立場に立ってみれば、無条件で信頼しきっている「親」から、理不尽に厳しい仕打ちを受けてしまうわけですから、子どもの心は深く傷つき「トラウマ(心的外傷)」を抱えることになってしまいます。

発達期に受けたトラウマは、その後の人生に影響を及ぼしかねません。今まさに発達期にあるお子さんはもちろん、子どものころにトラウマを負って、癒えないまま大人になったという方は、心の傷による生きづらさを抱えています。

引用元:子どものトラウマは、人生が狂うほど根深いことをご存知か?

また、親からの虐待など、大きなショック体験が原因で、時間が経ってもその影響を受け続けることを「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と言います。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。

引用元:PTSDについて

このように、機能不全家族の原因になる親は、親自身も「虐待の被害者」であり、「親自身も『幼少期のトラウマ』による『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』を抱えている」と言い換えることができます。

 

トラウマ(心的外傷)の連鎖

また、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」とは、「もう二度と傷つけられたくない!」という「防御心理(防衛機制)」が非常に高まっているため、「精神的に敏感」あるいは「精神的に不安定」になりやすい心理状態と言えます。

よって、子育てにおいて、「少しのことで激しい怒りが爆発する」「突如として強烈なイライラが沸き上がる」「急に漠然とした大きな不安や悲しみに襲われる」など情緒不安定に陥りやすく、結果として、子どもに対して「暴言・暴力・ネグレクト」などの厳しい仕打ちを繰り返してしまう場合があります。

家庭内での小児虐待のように「トラウマ体験」が長期間繰り返されると、原因となった出来事を思い出すきっかけに触れるたびに、つらい記憶が突然鮮明によみがえる「フラッシュバック」が起こる。記憶がよみがえるだけではなく、実際にその出来事を再び体験しているような感覚に陥る。

引用元:心的外傷後ストレス障害(PTSD)

このように、「親自身が抱える『幼少期のトラウマ(心的外傷)』による『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』の影響によって、今度は子どもが「トラウマ(心的外傷)」を負ってしまう」ことになります。

よって、自分の子どもに対して厳しい仕打ちを繰り返してしまう「幼少期のトラウマ(心的外傷)」による「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」とは、「機能不全家族が連鎖する理由のひとつ」と言えます。

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理由④:「共依存」

機能不全家族が連鎖する理由のひとつである親子共依存の様子を表わすイラスト

機能不全家族の原因になる親は、子どもの頃、親との間で「愛情のやりとり」が十分にできないまま大人になったと言えます。

ですので、自分が大人になったとき、恋人・夫・妻・子どもとの間で「愛情のやりとり」がうまくいかずに悩みやすい傾向があります。

このように、親子のあいだで「愛情のやりとり」をすることを「愛着関係」と言い、子どもの頃、親との「愛着関係」に何らかの問題があったことにより、大人になって、恋愛・結婚・子育てにおける「愛着関係」に問題が生じることを「愛着障害」と言います。

愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。

引用元:愛着障害(アタッチメント障害)

 

共依存

前述の通り、機能不全家族の原因になる親は、恋愛・結婚・子育てにおいて相手との愛着関係に問題が生じやすいという特徴があるため、「相手に一方的に尽くされたい!」と感じたり、あるいは「相手に一方的に尽くしたい!」と感じるなど、偏った「愛着関係」に陥りやすい傾向があります。

このように、「『相手に一方的に尽くされたい!』」と感じている人」と「『相手に一方的に尽くしたい!』と感じている人」とが、恋人・夫婦・親子関係でペアになり、お互いに強く「依存」しあっている関係を「共依存関係」と言います。

共依存とは、自分自身に焦点があたっていない状態のことです。たとえば、自分の価値を周囲の基準だけを頼りに判断する。自分がどうしたいかではなく、周囲の期待に応えることだけに必死など、他の人の問題を解決することに、いつも一生けん命であること。

引用元:共依存とは

 

親子共依存

例えば、「『相手に一方的に尽くされたい!』」と感じている親」と「『相手に一方的に尽くさなきゃ!』と感じている子ども」とが「共依存」関係に陥った場合、親は「子どもに尽くされて当然!」と感じているため、「親のために子どもが苦労するのは当然だ!」と考えるようになり、子どもも「子どもは親に尽くして当然!」と感じているため、「親のために子どもが苦労するのは当然だ!」と考えるようになります。

このように、共依存関係に陥っている親子関係を「親子共依存」と言います。

共依存の親子は意外と多く、親に縛られて自由に生きられない息苦しさを感じている人は少なくありません。「親の圧力が強い」「命令される」といった状況も、共依存の一歩手前です。

引用元:共依存の親子とは?特徴や原因、精神的に自立するための方法

また、本来であれば、「子どもを守るために親が苦労する」というのが子育てにおける「自然な愛着関係」であるところ、「親を守るために子どもが苦労する」という「不自然な愛着関係」に陥っている親子関係を「親子の役割逆転」といいます。

「親子の役割逆転」とは通常の親子関係とは真逆の役割が成立している状態です。親は子供の甘えの欲求を満たしてあげることが自然なことですが、「親子の役割逆転」では親が子供に甘え、子供が親の欲求を満たす役割を担わされています。

引用元:親子の役割が逆転!?子どもに甘える親としがみつく毒親に苦しむ子どもたち

このように、機能不全家族の原因になる親は、「子どもの頃、親(祖父母)に強要された『親子共依存』を、大人になって自分の子どもへと無意識に繰り返している」と言い換えることができます。

 

共依存夫婦

このように、機能不全家族における「共依存関係」は「親子関係」に多いのですが、「夫婦関係」においても「共依存関係」に陥る場合があります。

例えば、「『相手に一方的に尽くされたい!』」と感じている夫」と「『相手に一方的に尽くさなきゃ!』と感じている妻」とが「共依存」関係に陥った場合、夫は「妻に尽くされて当然!」と感じているため、「夫のために妻が苦労するのは当然だ!」と考えるようになり、妻も「夫に尽くして当然!」と感じているため、「夫のために妻が苦労するのは当然だ!」と考えるようになります。

このように、共依存関係に陥っている夫婦を「共依存夫婦」と言います。

共依存状態の夫婦は、単に夫婦が互いに寄り添っているという状態ではありません。相手にとって「自分が必要な存在である」と考えることで、離れることも自立することもできなくなり、互いに依存し合っている夫婦関係になってしまっている状態です。ただし、共依存夫婦は、夫と妻が同じレベルで依存し合っているとは限りません。片方が一方的に依存する状態でも成り立ちますが、片方からの依存が強過ぎると相手が覚めてしまって共依存が壊れてしまい夫婦関係は破綻に向かいます。

引用元:私たち共依存夫婦?依存する夫・妻の特徴や夫婦を待ち受ける末路とは?

このような夫婦関係は、ある意味、「男尊女卑の関係」あるいは「モラハラ夫と従順な妻の主従関係」とも言い換えることができます。

ですので、お互いが満足できているうちは成立する関係なのでしょうが、少しでもバランスが崩れるとあっという間に共依存関係が壊れ、夫婦関係も破綻に向かい、家庭が機能不全状態に陥ってしまう場合があります。

 

両親とも「機能不全家族で育ったアダルトチルドレン」

人は、恋人・夫・妻を選ぶとき、「自分と同じような境遇で育った人」あるいは「自分と同じような価値観を持っている人」を選びやすい傾向があります。

また、機能不全家族の原因になる親は、子どもの頃、問題のある不安定な家庭で育っているため、誠実で安定した相手だと戸惑いを感じたり、劣等感を感じてしまい、逆に不安を感じやすいという特徴もあります。

よって、機能不全家族の原因になる親は、恋人・夫・妻を選ぶとき、「自分と同じように『問題のある不安定な家族で育った人』」を選びやすいと言い換えることができます。

このように、「自分と同じような境遇で育った人」あるいは「自分と同じような価値観を持っている人」との間で「恋人関係」や「夫婦関係」を築こうとすることを「類似性の法則」と言います。

類似性の法則とは、自分と共通点のある人に親近感を抱くというものです。…(中略)…初対面の人でも、何か共通の事柄を見つけると一気に心理的な距離が縮まる場合があります。

引用元:類似性の法則

「似たもの夫婦」という言葉があるように「類似性の法則」自体は自然なことなのですが、「機能不全家族で育った」という共通点で結ばれた夫婦の場合、お互いが持つ「子育ての問題点」に違和感を感じることができないという特徴があります。

このように、機能不全家族の原因になる親は、「子どもの頃、親(祖父母)から受けた『問題ある子育てのやり方』を、そのままの形で、夫婦で自分の子どもへと無意識に繰り返している」と言い換えることができます。

このように、偏った愛着関係を繰り返してしまう「共依存関係」とは、「機能不全家族が連鎖する理由のひとつ」と言えます。

 

なお、「共依存」を始めとする「機能不全家族育った大人の特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

  • POINT戦後「日本の家族の8割以上が機能不全家族」と言われている
  • 日本では「本人も気づかぬまま、機能不全家族の中で育った人が多い
  • 「機能不全家族が連鎖する理由」は、「世代間連鎖」「禁止令・ドライバー」「幼少期のトラウマ」「共依存」の4つが考えられる
  • 「世代間連鎖」は「機能不全家族で育った負の影響」を次の世代へと連鎖させる
  • 「禁止令・ドライバー」は「子どもの自由を制限する子育て」を次の世代へと連鎖させる
  • 「幼少期のトラウマ」は「子どもの心に新たなトラウマ」を負わせてしまう
  • 「共依存」は「偏った親子関係」を次の世代へと連鎖させる

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「機能不全家族が連鎖する理由」という記事でした。

この記事を書いた人

心理カウンセラーの紹介

心理カウンセラー寺井啓二の写真とメッセージ

はじめまして「メンタル心理そらくも 代表:寺井啓二」です。うつ、アダルトチルドレンを克服した経験を持つ心理カウンセラーです。自らの克服経験を世の中に役立てたいと考えています。

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