機能不全家族で育った大人の特徴|アダルトチルドレンの心理と生きづらさ

機能不全家族で育ったアダルトチルドレンの特徴を表すイラスト

POINT機能不全家族で育った人のなかには、成人後の人間関係に悩む人もいます。

現在の生きづらさを理解する視点と、自己理解・相談への手がかりを紹介します。

心理カウンセラーの寺井です。

機能不全家族で育った人のなかには、
大人になってからも

  • 人を信頼しにくい
  • 自分の気持ちを伝えられない
  • 他人の期待を優先してしまう

といった悩みを抱える人がいます。

こうした生きづらさは、子どもの頃に自分を守るために身につけた心の習慣と関係している場合があります。

ただし、育った家庭環境だけで、その人の性格や将来が決まるわけではありません。

この記事では、機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレンに見られることのある特徴を整理し、自己理解や相談につながる情報を紹介します。

「機能不全家族」と「アダルトチルドレン」の関係

機能不全家族とアダルトチルドレンの関係を表すイラスト

「機能不全家族」は、養育や情緒的な支えなど、子どもが安心して育つための家庭の働きが十分に保たれていない状態を表す言葉です。

「アダルトチルドレン(AC)」は、子どもの頃の家庭環境や親子関係での経験が、成人後の生きづらさにつながっている人を理解するために用いられる言葉です。

病名や診断名ではなく、機能不全家族で育った人すべてを指すものでもありません。

POINT

  • 機能不全家族とは、子どもが安心して成長するための家庭の機能が十分に働かず、日常的にストレスを感じやすい家族の状態を意味する
  • アダルトチルドレンとは、子どもの頃の家庭環境や親子関係で傷ついた経験が、大人になってからの生きづらさにつながっている人たちを指す言葉である

機能不全家族チェックリスト

「自分は機能不全家族で育ったのか?」と感じている方は、65項目のチェックリストで子どもの頃の家庭環境や親子関係を振り返ることができます。

なお、このチェックリストは医学的・心理学的な診断を行うものではありません。

機能不全家族チェックリスト(65項目)

なお、「機能不全家族の意味合い」「アダルトチルドレン(AC概念)の意味合い」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

機能不全家族そのものの「特徴」について詳しく知りたい方は、以下の記事で整理しています。

 

機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレンの特徴

竹村道夫氏、ジャネット・ウォイティッツ、斎藤学氏は、アダルトチルドレンについて、人との関わり方や自己評価などの視点から特徴を紹介しています。

ここでは、自己理解の手がかりとなる内容を5つに整理します。

以下は当サイトによる要約であり、各専門家の原文や診断基準ではありません。

自己理解のための主な視点

  • 自分の判断に自信を持ちにくく、他人の評価や承認が気になる
  • 自分を厳しく責めたり、失敗を恐れて行動しにくくなったりする
  • 気持ちを表現することや、親密な関係を築くことに難しさを感じる
  • 責任を引き受けすぎたり、相手を優先して無理を重ねたりする
  • 気を緩めて楽しむことや、予想外の変化への対応が難しいと感じる

当てはまる項目だけで自分を判断するのではなく、どのような場面で困り、自分の気持ちをどのように抑えてきたのかを振り返る参考にしてください。

現れ方や程度には個人差があり、これらはACに特有のものではありません。

 

アダルトチルドレン「7つ」のタイプ

機能不全家族で育った子どもは、
家庭内の不安や緊張に対応するために、

  • 親の期待に応えようとする
  • 家族の世話をする
  • 自分の気持ちを抑える
  • 家族を楽しませる

など、さまざまな役割を担う場合があります。

こうした役割は、子どもの頃の家庭環境に適応し、自分自身を守るために身につけた心の反応とも考えられます。

しかし、
その反応が大人になってからも心の習慣として続くことで、

  • 他人を優先しすぎる
  • 自分の気持ちがわからなくなる
  • 人間関係で無理をしてしまう

などの生きづらさにつながる場合があります。

メンタル心理そらくもでは、家庭内で担ってきた役割を理解する手がかりとして、次の7タイプを紹介しています。

これは、子どもの頃に家庭内で担ってきた役割や、大人になってからの心の習慣を理解するための分類であり、医学的・心理学的な診断基準や、性格を固定的に決めるものではありません。

また、複数のタイプの特徴が重なる場合もあります。

POINT

  1. 「ヒーロータイプ(英雄役)」
    「勉強・スポーツ」などで活躍を示すなど、「優秀な人間(英雄的存在)」となることで家族を支える
  2. 「スケープゴート(身代り役)」
    家族からの「八つ当たり」を黙って一身に受けとめるなど、家族のストレスのはけ口として、問題を背負わされることがある
  3. 「ロストワン(いない子)」
    自我を抑え込んだり一人で過ごすなど、「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことで家族の負担を減らす
  4. 「ピエロタイプ(おどけ役)」
    「家族のストレスや緊張」を和らげるため、おどけたり笑顔を振りまくなど、「ムードメーカー(おどけ役)」となって家族の雰囲気を和ませる
  5. 「ケアテイカー(世話役)」
    「病気の家族の看病」をしたり「幼い弟妹の面倒」を見るなど、「父親代わり・母親代わり(世話役)」となって家族の世話をする
  6. 「イネイブラー(支え役)」
    「苦労する母親」を支えたり「困難を抱える父親」を支えるなど、「自己犠牲」によって家族を支える
  7. 「プラケーター(慰め役)」
    「落ち込んでいる家族」や「悩んでいる家族」に優しく寄り添うなど、「聞き役に徹する」ことで家族を慰める

 

アダルトチルドレンタイプの「意味合い」

タイプを知ることは、子どもの頃に家庭内で担ってきた役割と、現在の人間関係や心の習慣とのつながりを理解する手がかりになります。

自分に合った人との関わり方や、無理を減らす方法を考えるために活用してください。

過去と現在のつながりを整理する取り組みは、アダルトチルドレン、回復の4ステップでも紹介しています。

なお、「アダルトチルドレンタイプ」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

アダルトチルドレンを理解する「4つ」の心理学的な視点

メンタル心理そらくもでは、子どもの頃の家庭環境が、大人になってからの考え方や人間関係にどのような影響を与えるのかを理解するために、以下の「4つの心理学的な視点」から整理しています。

これらは、すべてのアダルトチルドレンに共通する特徴や診断基準ではなく、現在の生きづらさと、子どもの頃に身につけた心の習慣とのつながりを考えるための手がかりです。

POINT

  1. 白黒思考
  2. 人生脚本
  3. 共依存
  4. 世代間連鎖

 

①白黒思考

機能不全家族で育った人のなかには、「成功か失敗か」「正しいか間違っているか」「認められるか否定されるか」など、物事を極端な二択で捉えやすくなる人がいます。

こうした考え方は、子どもの頃、親の機嫌や評価を気にしながら生活するなかで、自分を守るために身につけた心の習慣である場合があります。

しかし、大人になってからも同じ考え方が続くと、小さな失敗でも自分を強く責めたり、他人との意見の違いを必要以上に怖く感じたりするなど、生きづらさにつながることがあります。

このように物事を極端な二択で捉える考え方は、「白黒思考」と呼ばれ、認知の偏りの一つとして扱われます。

なお、「白黒思考」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

②人生脚本

子どもの頃、
親から繰り返し言われた言葉や、
家庭内で経験した出来事は、

  • 自分はどういう人間なのか
  • 人とどのように関わればよいのか
  • どのように生きるべきなのか

といった考え方に影響する場合があります。

たとえば、

  • 人に迷惑をかけてはいけない
  • 失敗してはいけない
  • 自分の気持ちより他人を優先すべきだ

といった考え方が、子どもの頃から心の習慣として身につき、大人になってからも無意識に繰り返されることがあります。

こうした、幼少期の経験を通して形成された自分自身や人生についての捉え方を理解する際に参考となるのが、交流分析における「人生脚本」という概念です。

なお、「人生脚本」については以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。

 

③共依存

機能不全家族で育った人のなかには、子どもの頃、親の機嫌を気にしたり、家族の問題を解決しようとしたりするなかで、自分の気持ちよりも他人の期待や要求を優先する心の習慣が身につく場合があります。

こうした心の習慣が大人になってからも続くと、

  • 相手に嫌われることが怖くて断れない
  • 相手の問題を自分が解決しなければならないと感じる
  • 相手に必要とされることで自分の価値を確かめようとする

など、人間関係で無理を重ねてしまうことがあります。

このように、他人との関係に強く意識が向き、自分自身の気持ちや必要性を後回しにしてしまう関係性のパターンを理解する際に用いられる概念の一つが、「共依存」です。

ただし、機能不全家族で育った人が必ず共依存になるわけではなく、共依存はアダルトチルドレンだけに見られるものでもありません。

 

④世代間連鎖

機能不全家族で育った人のなかには、子どもの頃に親から受けた接し方や、家庭内で身につけた心の習慣が、大人になってからの子育てや家族関係に影響する場合があります。

たとえば、子どもの頃に厳しく叱られて育った人が、自分の子どもにも厳しく接してしまったり、親の期待に応え続けてきた人が、無意識に自分の子どもにも同じような期待を向けてしまったりすることがあります。

このように、親子関係のなかで身についた接し方や考え方が、次の世代にも受け継がれることを、「世代間連鎖」と呼びます。

ただし、機能不全家族で育った人が、必ず同じ問題を次の世代に繰り返すわけではありません。

自分自身の経験や心の習慣を理解し、子どもとの関わり方を見直していくことで、これまでとは異なる親子関係を築いていくことも可能です。

なお、「世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

アダルトチルドレンが感じる生きづらさ「6つ」の特徴

アダルトチルドレンが感じる生きづらさの特徴と原因を表すイラスト

ここでは、日常生活や人との関わりのなかで感じるつらさや困難を「生きづらさ」と表現しています。

なお、ここで紹介する「6つの特徴」は、機能不全家族で育った人が大人になってから感じることのある生きづらさを整理したものであり、すべての人に共通する特徴や、アダルトチルドレンを判定するための診断基準ではありません。

また、こうした生きづらさは、本人の性格や能力に問題があるということではなく、子どもの頃の家庭環境に適応するために身につけた心の習慣が、現在の生活や人間関係に影響している可能性として理解することができます。

このように、機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレンのなかには、周囲からは問題なく日常生活を送っているように見えても、心の内側では不安や孤独感、自己否定感などの「生きづらさ」を抱えている人がいます。

一方で、生きづらさの内容や程度は人によって異なり、仕事や人間関係、家庭生活など、さまざまな場面に現れることがあります。

機能不全家族で育った大人・アダルトチルドレンが感じる生きづらさには、主に次の6つの特徴が見られる場合があります。

アダルトチルドレンの生きづらさ

  1. 自己否定感・離人感
  2. 愛着の不安・人間関係への不安
  3. 完璧主義
  4. 承認欲求へのとらわれ
  5. 自分を守るための過剰な防衛反応
  6. 自己犠牲

続きは、以下の記事で詳しく解説しています。

 

アダルトチルドレン・毒親育ちの「性格的な特徴」

「毒親」とは、子どもの気持ちを尊重せず、過度な干渉や否定、支配的な関わりなどによって、子どもの心に傷つきや生きづらさをもたらす親を表す言葉です。

そして、そのような親子関係のなかで育ち、子どもの頃に心が傷ついた経験や、大人になってからもその影響による生きづらさを感じている人を「毒親育ち」と表現することがあります。

一方、機能不全家族は家庭の状態、アダルトチルドレンは成人後の生きづらさに着目しています。

これらは関連する言葉ですが、同じ意味ではありません。

以下の関連記事では女性・男性という切り口で特徴を紹介していますが、特徴は性別で決まるものではなく、どちらにも見られる場合があります。

自分の経験に近い内容を参考にしてください。

 

毒親育ちの「女性」の性格的な特徴

主に、

  • 自分の判断への不安
  • 他人の評価へのとらわれ
  • 相手への依存
  • 楽しむことへの罪悪感

などについて解説しています。

詳しくは、以下の記事をお読み下さい。

 

毒親育ちの「男性」の性格的な特徴

主に、

  • 感情の表現
  • 人との距離感
  • 信頼関係の築きにくさ

などについて解説しています。

詳しくは、以下の記事をお読み下さい。

 

アダルトチルドレンと「精神疾患」の関係

アダルトチルドレン自体は精神疾患の診断名ではありません。

生きづらさを感じることと、精神疾患の診断を受けることは区別して考える必要があります。

心身の不調についても、家庭環境だけを原因と決めつけず、現在の生活やストレスなどを含めて考えることが大切です。

強い不安や気分の落ち込みが続き、日常生活に支障がある場合は、医療機関への相談も検討してください。

 

アダルトチルドレン(AC)チェックリスト

アダルトチルドレン(ac)チェックリストを行っているイメージ

以下の「アダルトチルドレン(AC)チェックリスト」は、アダルトチルドレンに関する専門家の文献や、心理カウンセリングで得られた知見を参考に、メンタル心理そらくもが作成した60問の自己評価式チェックリストです。

子どもの頃の家庭環境や親子関係、現在の考え方や人間関係について振り返り、自分自身の心の習慣や生きづらさを理解するための手がかりとして活用できます。

なお、このチェックリストは医学的な診断を行うものではなく、インナーチャイルドの傷つきの程度を客観的に測定するものでもありません。

結果だけで自分を判断せず、自己理解を深めるための参考情報としてご利用ください。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

POINT

  • 家庭環境の影響は人によって異なり、特徴やタイプだけでACかどうかを判断することはできません。
  • AC・機能不全家族・毒親育ちは、関連しつつも着目する点が異なる言葉です。
  • これまでの心の習慣を理解し、現在の負担を減らす関わり方を考えることが、自己理解の一歩になります。

生きづらさを整理したい方へ一人で整理することが難しいときは、相談の進め方やカウンセリングの内容を確認することもできます。ご自身の状況や希望に合わせて、次の一歩を選んでください。

親との関係・生きづらさの相談ガイド

ACカウンセリングの内容を確認する

機能不全家族やアダルトチルドレンについて、さらに詳しく知りたい方は、関心のあるテーマから読み進めてください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

 

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

“代表:寺井啓二の詳しいプロフィール”

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