機能不全家族の特徴②:心理カウンセラーが解説する「10」の具体例

アダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーたちが機能不全家族の特徴について考えている様子を表わすイラスト

POINTアダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーが考える「機能不全家族の特徴」は、①愛着障害、②過干渉、③過保護、④親子共依存、⑤条件付きの愛、⑥反抗期がない、⑦子どもを褒めない、⑧きょうだい差別、⑨親の情緒不安定、⑩親の役割が果たされていない、などがあげられます。

心理カウンセラーの寺井です。

機能不全家族」とは、もともと「アダルトチルドレンの研究」から生み出された言葉で、「家庭内に存在する様々な問題が原因で、子どもが日常的にストレスを感じている家族の状態」を指します。

とはいえ、「機能不全家族」とは「精神医学」や「心理学」などに基づく「明確な定義」が存在するわけではなく、その「定義」は研究者によって多少の違いがあり明確ではありません。

ですが、アダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーたちは、「機能不全家族には共通する特徴」があると考えています。

なので、本記事は「アダルトチルドレンの克服に取り組む人たちの生の声」あるいは「機能不全家族で育った人たちから直接受け取った情報」と言えます。

 

ちなみに、この記事は「アダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーが考える『機能不全家族の特徴』」についての解説です。

アダルトチルドレン研究の専門家たちが著書の中で示している『機能不全家族の特徴』」「社会問題として認識されている『機能不全家族の特徴』」については、以下の記事で詳しく解説しています。

それでは、アダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーたちが考える「機能不全家族の特徴」について解説していきます。

機能不全家族の特徴:心理カウンセラーが解説する「10」の具体例

カウンセリングに取り組むことで機能不全家族の特徴に気づくことができている様子を表わすイラスト

「機能不全家族」という考え方は「アダルトチルドレン」の研究と密接に関係しており、アダルトチルドレンの研究によると、「機能不全家族とは、アダルトチルドレンの原因となる家族」として定義されています。

「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。

引用元:機能不全家族で育った大人「アダルトチルドレン」を克服するには?

また、「アダルトチルドレンの克服」には「心理カウンセリング」がとても有効であると言われており、心理カウンセラーの協力のもと「機能不全家族に共通する『傾向』や、共通する『行動・思考パターン』」に気づいていくことで、アダルトチルドレンの克服が進んでいきます。

ここでは、アダルトチルドレンの克服に携わるカウンセラーが考える「機能不全家族の特徴」の具体例として、以下の10例を紹介します。

POINT

  1. 愛着障害
  2. 過干渉
  3. 過保護
  4. 親子共依存
  5. 条件付きの愛
  6. 反抗期がない
  7. 子どもを褒めない・認めない
  8. きょうだい差別
  9. 親が情緒不安定
  10. 父親・母親の役割が十分に果たされていない

それでは、以下に詳しく説明していきます。

 

①愛着障害

親は、子どもに対して言葉・行動などで「愛情表現」をすることで、親の愛情を子どもへと伝えることができ、子どもとの「愛着関係」を築くことができます。

愛着関係とは、養育者と子どもが深いところで繋がっているこころの絆のことです。愛着関係がよいと、子どもは自分自身は養育者から守ってもらえる存在であるという安心感や安全感を持てるようになり、自尊心や探求心が芽生えるきかっけともなります。

引用元:乳幼児期(0~6歳)の発達支援

ですが、機能不全家族を形成する親には「愛着関係を適切に築けない」「愛情表現を適切に行えない」という特徴があり、このような「親が子どもとの愛着関係を適切に築けない」あるいは「親が子どもへの愛情表現を適切に行えない」という状態を「愛着障害」と呼びます。

愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。

引用元:愛着障害(アタッチメント障害)

また、「愛着障害」を持つ親は「子どもを自分の私物」のように考える傾向があるため、子どもに対してまるで「上司・上官」のように横柄に振舞ったり、子どもをまるで「飽きた物」のように乱暴に扱ったり、子どもに対して「全く関心を示さない」など、子どもとの関わり方が極端になる特徴があります。

このように「愛着障害」とは、子どもの自尊心・探求心の発達に悪影響を及ぼします。

よって「愛着障害」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「機能不全家族で育った人の子育ての特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

②過干渉

過干渉」とは、子どもがやりたくないことを親が強制的にやらせたり、子どもがやりたいことを親が強制的に禁止する行為を指します。

過干渉は、虐待の一種であり「保護者が我が子を一人の主体的な人間として認めず、その子供の意思や思考、自我の発達や自主性などを否定して、操り人形のごとく親の意のままにコントロールしようとすること」である。

引用元:過干渉

「過干渉」をする親の特徴として、主に以下の3つがあげられます。

POINT

  1. 親の価値観を子どもに押し付ける
  2. 子どもを監視・支配したがる
  3. 子どもの感情・意見より親の世間体を優先する

前述の通り、機能不全家族を形成する親は「子どもを自分の私物」のように考える傾向があるため、親が望む人生を子どもに歩ませようとしたり、親が叶えられなかった夢を子どもに叶えさせようとしたり、親と同等あるいは親よりも優れた成績を残すよう望んだり、子どもに対して過剰な期待を寄せる特徴があります。

このように「過干渉」は、子どもの自我・自主性の発達に悪影響を及ぼします。

よって「過干渉」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「過干渉をする親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

③過保護

過保護」とは、親が子どもを必要以上に甘やかしてしまったり、子どもが望むものを親がなんでも与えてしまう行為を指します。

過保護(かほご)とは、ある対象を過剰に保護することである。 過保護は、特にこどもの養育において、必要過多な保護、甘やかしを行う場面が多く、こども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ますことを指す。

引用元:過保護

「過保護」をする親の特徴として、主に以下の4つがあげられます。

POINT

  1. 子どもを過度に甘やかす
  2. 子どもを叱れない、子どもに注意できない
  3. 子どもの行動や子どもの安全を過度に心配する
  4. 子どもの付添人・代理人になろうとする

「過保護」をする親は、「かわいい…かわいい」と子どもを溺愛しすぎたり、「ごめんなさい…ごめんなさい…」と子どもを叱れなかったり、「大丈夫?…大丈夫?」と子どもを心配しすぎたり、「かわいそう…かわいそう…」と子どもの人間関係に介入しすぎたり、子どもに対して過剰に同情する特徴があります。

ですが、「過保護」をする親は、一見、「優しい親」あるいは「まじめな親」に見える場合があります。

とはいえ、「可愛い子には旅をさせよ」の諺にもある通り、子どもが大人へと成長するためには、ある程度の苦労や挫折を経験する必要があります。

なので、親が子どもを「過保護」にし過ぎてしまうと、子どもは大人へと成長するために必要な経験を積むことができず、結果、精神的自立が果たせないまま大人になってしまいます。

このように「過保護」は、子どもの精神的自立を阻害してしまう可能性があります。

よって「過保護」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「過保護をする親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

④親子共依存

機能不全家族の代表的な特徴として、親と子の「共依存関係」があげられます。

機能不全家族を形成する親は、子どもを傍に置いておきたいという依存心から、「あなたにはまだ早い…」「あなたには無理だ…」「あなたのためを思って言っている…」など、子どもの自我・自主性の発達に対してストレスを与え、子どもの精神的自立を阻害する傾向があります。

そして、機能不全家族で育った子どもは、自我・自主性の発達を阻害されてしまったことが原因で、自分で考え自分で判断することに強い不安感を感じやすくなってしまい、自分の問題を自分で解決できず、結果、親の言う通りに従ってしまう傾向があります。

このように「子どもをコントロールしようとする親」と「親の言う通りにしようとする子ども」が、お互いに依存し合っている状態を「親子共依存」と呼びます。

共依存とは、恋人や親など特定の人に合わせて自分の言動を変えてしまい、互いに依存し合う関係のこと。…(中略)…共依存の親子は意外と多く、親に縛られて自由に生きられない息苦しさを感じている人は少なくありません。「親の圧力が強い」「命令される」といった状況も、共依存の一歩手前です。

引用元:共依存の親子とは?特徴や原因、精神的に自立するための方法

「親子共依存」は、一見、「子ども想いの愛情深い親」と「素直で従順な親想いの子ども」のペアに見えますが、見方を変えれば「子どもに過剰に執着している親」と「自分で考え自分で判断することを避けている子ども」のペア、あるいは「子離れできない親」と「親離れできない子ども」のペアと言い換えることができます。

このように「親子共依存」とは、親離れ・子離れが正常に行われていないことを意味しますので、子どもの就職・恋愛・結婚に悪影響を及ぼします。

よって「親子共依存」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「親子共依存(母娘共依存)をする親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

⑤条件付きの愛

条件付きの愛」とは「テストで○○点を取ったら褒めてあげる…」「テストで○○点を取らなかったらお仕置きする…」など「親が子どもに対して愛情を注ぐのに条件を付ける行為」を指します。

自分への見返りが保証されなければ愛せない。自分が望んだ条件を満たせないのであれば愛せない。それが「条件付きの愛」です。

引用元:子どもへの愛情が「条件付きの愛」になっていませんか?

例え機能不全家族を形成する親であっても、「子どもに対して全く愛情を注がない」というタイプは少なく、その親なりに「子どもに対して愛情を注いている」場合が多いです。

とはいえ、機能不全家族を形成する親は、確かに「子どもに対して愛情を注いでいる」のですが、「自分の期待・望みに叶っている場合には愛情を注ぐ」あるいは「自分の好みの子どもに育っている場合には愛情を注ぐ」など「条件付きの愛」になっていることに気づいてない場合が多いです。

このように、機能不全家族を形成する親は知らず知らずのうちに「○○はダメ!」「もっと○○しなさい!」と子どもに対して様々な「条件付きの愛」を突き付けていきます。

このとき、親から受けた「条件付きの愛」が原因で子どもが持つことになる「○○はダメだ!」「もっと○○しなければ!」という思考を「交流分析」という心理学では「禁止令・ドライバー」と言います。

禁止令とは心理学者エリックバーン博士によって開発された自己分析法で、文字通り「〇〇してはいけない」という「禁止」の「命令」のことです。…(中略)…幼いころに親などの養育者から否定的・禁止的な命令や態度を繰り返し受けることで、自らの思考や行動の制限を課してしまうものです。

引用元:知っていますか?あなたを縛る「禁止令」【私たちは禁止されている】

拮抗禁止令とは、幼少期に親の役割をもつ人から与えられた「〇〇しなさい」「〇〇したほうがよい」「〇〇であるべき」という、いわゆる「〇〇しろ」というメッセージを受けて、そのよう生きていこうと「決断」することで自らに課したものです。…(中略)…ドライバーというその名の通り、その人の行動を駆り立ててしまうのです。

引用元:知っていますか?あなたを駆り立てる5つの拮抗禁止令(ドライバー)

このように「条件付きの愛」とは、子どもの思考に「我慢・耐える・努力・急ぐ」など自己犠牲的な価値観を強めてしまうことを意味しますので、子どもはストレスを抱えやすくなります。

よって「条件付きの愛」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「禁止令・ドライバー」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

⑥反抗期がない

親の子育てが健全に機能していればこそ、子どもは心身共に順調に成長することができ、やがて親に対する「反抗期」を迎えることになります。

子どもの反抗期には「第一次反抗期」「第二次反抗期」があります。2~4歳の頃に起こる「第一次反抗期」は、いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれるもの。赤ちゃんだった子どもが、自分の意思や感情を伝えようとして起こる「自我の芽生え」の時期のことです。そして、小学校高学年から中学生にかけてやってくるのが「第二次反抗期」。…(中略)…第二次反抗期は、子どもが精神的に自立するための第一歩を踏み出した証だということを理解しておいてください。

引用元:反抗期とは?保護者ができる子どもの反抗期への対策

このように「反抗期」とは「子どもが大人へと成長する過程で誰もが通る必要がある過程」です。

ですが、機能不全家族を形成する親は、「子どもが成長するために行っている『必要な反抗』」を「子どもは親である自分に『不当に反逆』している」と「極端な考え方」をする傾向があります。

そうすると、機能不全家族を形成する親は、2~4歳の頃に起こる「第一次反抗期」、いわゆる「イヤイヤ期」の子どもに対して「ヒステリック」に怒鳴りすぎてしまったり、小学校高学年から中学生にかけて起こる「第二次反抗期」、いわゆる「思春期」の子どもに対して「極端に干渉」したり「極端に抑圧」したり「極端に無関心」になったりします。

このように、機能不全家族を形成する親の特徴である「極端な考え方」を、心理学では「認知の歪み」あるいは「白黒思考(二極思考)」と言います。

認知の歪みとは、誇張的で非合理的な思考パターンである。これらは精神病理状態(とりわけ抑うつや不安)を永続化させうるとされている。

引用元:認知の歪み

白黒思考は「全か無かの思考」「二分法的思考」とも呼ばれるもので、物事を白か黒か、善か悪か、といった極端な立場でしか捉えることが出来ない思考のことを言います。

引用元:白黒思考

前述の通り、「反抗期」とは「子どもが大人へと成長するために必須のプロセス」なのですが、親が子どもの「反抗期」を理不尽に抑圧をしたり無関心にしてしまうことは、子どもが大人へと健全に成長することができないことを意味します。

よって「反抗期がない」ことは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

なお、「白黒思考」については、以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

⑦子どもを褒めない・認めない

子どもは、親に褒めてもらえたり存在を認めてもらうことで「嬉しさ・安心」といった「自己肯定感」を感じ、心身共に健全に成長することができます。

このように、親が子どもを褒めてあげたり認めてあげる働きかけを「交流分析」という心理学では「ストローク(心の栄養)」と言います。

交流分析の創始者であるエリック・バーンは、人の存在や価値を認める刺激(言動や働きかけ)のことをストロークと名付けました。ストロークは「心の栄養」とも呼ばれ、人が生存するためには不可欠なものとされています。

引用元:人を成長させ個性を育み人格を形成するストローク

ですが機能不全家族は、親が子どもを褒めてあげたり認めてあげる働きかけ「ストーローク(心の栄養)」が極端に少ないという特徴があります。

機能不全家族を形成する親は、「子どもができること(ポジティブな面)」に関心を向けることより、「子どもができないこと(ネガティブな面)」に関心を向ける傾向があり、子どもが親に褒めてもらおうとしても子どもを褒めず、「このくらいできて当然…」「頑張ればもっとできるはず…」など、子どもにさらなる「我慢・努力」を求める傾向があります。

このように、機能不全家族で育った子どもは「ストーローク(心の栄養)」が不足して燃え尽きてしまい、「どうせ頑張ったって報われない…どうせ自分なんて…」と、勉強・運動・仕事に対してやる気を失ってしまう傾向があります。

よって「子どもを褒めない・認めない」という行為は、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

⑧きょうだい差別

「きょうだい差別」とは、「子どもへ注ぐ愛情(ストローク)の質と量」あるいは「子どもへ愛情を注ぐ条件(条件付きの愛)」について、親が兄弟姉妹間で差別を行う行為を指します。

生まれた順や親子の相性、学校の成績などの違いを発端に、きょうだい間で親から受け取る愛情に差が出てしまう兄弟差別。…(中略)…きょうだい間で親から受け取る愛情や、家庭内での振る舞いに差が生まれてしまうことがあります。

引用元:兄弟差別の影響は?親の愛情格差・ひいき原因の兄弟コンプレックス

このように「きょうだい差別」とは、「妹は○○しているのにあなたは○○できない…」「お兄ちゃんは明るいのにあなたは大人しい…」など、親が子どもを兄弟姉妹間で比較したり差別することを意味します。

そして、機能不全家族を形成する親は、子どもを貶めたり、兄弟姉妹を競わせたり不和にさせたり、「きょうだい差別」を意図的に行うことで、親自身が抱えている日常のストレスを解消しようとする傾向があります。

このように「きょうだい差別」とは、子どもに対して「兄弟姉妹間の不和・不信」などの悪影響を及ぼします。

よって「きょうだい差別」とは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

⑨親が情緒不安定

子どもが心身共に健全に成長していくためには「安全な家庭」や「信頼できる親」など「心の安全基地」が必要となります。

安全基地とは、アメリカ合衆国の心理学者であるメアリー・エインスワースが1982年に提唱した人間の愛着行動に関する概念である。子供は親との信頼関係によって育まれる『心の安全基地』の存在によって外の世界を探索でき、戻ってきたときには喜んで迎えられると確信することで帰還することができる。

引用元:安全基地

ですが、機能不全家族を形成する親は、うつ病・パニック障害・依存症など「精神疾患」を抱えている場合が多く、そのため「情緒不安定」である場合が多い傾向にあります。

精神疾患とは、脳の働きの変化によって、感情や行動などに著しいかたよりが見られる状態のことです。統合失調症やうつ病、双極性障害(躁うつ病)などが挙げられます。

引用元:精神疾患(精神障害)の種類・症状から生活や仕事探しの支援制度まで紹介します

また、「情緒不安定な親の特徴」は、主に以下のような点があげられます。

POINT

  1. 機嫌が悪くなると、突然、怒りだす・子どもを無視する
  2. 都合が悪くなると、突然、泣き出す・喚きだす
  3. 親の都合で家庭内のルールを作り、親の都合でコロコロ変える
  4. 家族の前で自殺を企図する
  5. 悩みごとや愚痴ばかり言っている
  6. 他人の悪口ばかり言っている
  7. 夫婦仲が悪い・嫁姑の仲が悪いなど、家庭内で喧嘩・言い争いが多い
  8. アルコールを飲むと暴れ出すが覚えていない
  9. 長期間、引きこもり寝込んでしまう
  10. 長期間、外出して家に帰ってこない

親が「情緒不安定」であると、子どもは家庭内で常に緊張して息を潜めるようになったり、親の顔色を伺ってビクビクと怯えるようになります。

このように「親が情緒不安定」であることは、子どもが心身共に健全に成長していくために必要な「心の安全基地」が得られないことになります。

よって「親が情緒不安定」であることは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

⑩父親・母親の役割が十分に果たされていない

「機能不全家族」とは「父親・母親の役割が十分に果たされていない家庭」を意味します。

「父親・母親の役割が十分に果たされていない家庭」と聞くと、「父子家庭・母子家庭」など「ひとり親の家庭」と考えられがちですが、必ずしも「ひとり親の家庭」=「機能不全家族」というわけではなく、例え「ひとり親の家庭」であっても、父親・母親の役割をひとりで果たす親もいますし、祖父母の協力を得る親もいます。

裏を返せば、両親が揃っている家庭であっても「父親・母親の役割が十分に果たされていない家庭」は多く存在すると言えます。

また、「父親・母親の役割が十分に果たされていない家庭の特徴」は、主に以下のような点があげられます。

POINT

  1. 仕事が忙しい・趣味に忙しいなどの理由で、家にいる時間が非常に短い
  2. 家に居たとしても部屋に引きこもってしまい、家族団らんに参加しない
  3. 両親が不仲で夫婦喧嘩が絶えない
  4. 両親の夫婦関係が冷め切っていて家庭内別居の状態
  5. 両親のあいだで浮気や不倫問題が生じている
  6. 祖父母と同居の場合、子育てについて祖父母から干渉を受けている
  7. 祖父母と同居の場合、「舅・婿」あるいは「嫁・姑」の関係が不仲
  8. 祖父母と同居の場合、子育てを祖父母に任せてしまい、父親・母親が役割を果たそうとしない
  9. 祖父母と同居の場合、父親は「息子・婿の役割」、母親は「娘・嫁の役割」を果たすことで労力を使い果たしてしまい、肝心の「父親・母親の役割」が疎かになっている

このように、父親・母親の役割が十分に果たされていない場合、親はその役割を子どもに押し付けようとする傾向があります。

例えば「あなたは長男なんだから家を支えられるようしっかりと勉強しなさい!」と「父親役」を押し付けたり、「あなたは女の子でお姉ちゃんなんだから下の子(弟妹)の面倒を見なさい!」と「母親役」を押し付けるケースがこれに当たります。

場合によっては「障害や病気のある祖父母の介護」や「幼少のきょうだいの世話」を子どもに押し付けるケースもあります。

このように「父親・母親の役割が十分に果たされていない」ことは、子どもにとって大きな負担になる場合があります。

よって「父親・母親の役割が十分に果たされていない」ことは、機能不全家族の特徴のひとつと言えます。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

機能不全家族を形成する親の特徴」としては、以下の点があげられます。

  • POINT愛着関係を適切に築けない・愛情表現を適切に行えない
  • 子どもに期待しすぎる
  • 子どもに同情しすぎる
  • 子どもに執着しすぎる
  • 自分の望みが叶っている場合にのみ、子どもどもに愛情を注ぐ
  • 子どもの「妥当な反抗」を「不当な反逆」と極端に捉える
  • 子どもを褒めるどころか、子どもにさらなる「我慢・努力」を求める
  • 子ども同士(兄弟姉妹)を競わせ、意図的に不和にしようとする
  • うつ病・パニック障害・依存症など「精神疾患」抱えている場合が多い
  • 父親・母親の役割を子どもに押し付けようとする

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「機能不全家族の特徴②:心理カウンセラーが解説する『10』の具体例」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

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