僕はダメじゃなきゃだめなんです!心に深く傷める友人とのカウンセリング
POINT自分を必要とされないことは苦痛です。なので、人は自分が悪者になってでも必要とされようとします。この記事は、統合失調症という大きな傷を心に抱えた友人とのカウンセリングを振り返ったエッセイです。
心理カウンセラーの寺井です。
友人は30代後半の男性。
「僕は本当にダメだよね?」と、友人は私によくこのような質問をしてきます。
友人の心は、なぜ?自分はダメじゃなきゃ!と誤解してしまったのでしょうか?
この記事は、統合失調症という大きな傷を心に抱えた友人とのカウンセリングを振り返ったエッセイです。
自分がダメじゃないと!家族のバランスが取れない!
心を長く痛めておられる方は、自分と向き合うことを避けてしまう(専門用語で防衛機制と言います。)ように感じます。
「ああすればいい!こうしちゃだめ!」
「なんでできないんだ?気の持ちようだ!」
疑問を感じ質問をするたびに反抗したとみなされ、周囲から否定されてきたんだと思います。
勇気と期待を持って周囲に相談を持ちかけているのに、逆にいろいろ押しつけられてしまうのが、もうんざりなんじゃないでしょうか?
「どうせ自分なんて!どうだっていい!」
そう思って当然です。
友人は、私に話してくれました。
「自分はダメでいいんです。ダメじゃなきゃいけないんですよ。」
「なぜか?なんてわからないよ。」
「とにかく僕はダメじゃなきゃだめなんだよ。」
友人の言葉を傾聴して理由がわかりました。
でも、これは私がわかっただけです。
友人の思い込みを解きほぐすには、防衛機制が厳しすぎました。
正直、傾聴式カウンセリングだけでは難しいと感じました。
このことがきっかけで、催眠療法(ヒプノセラピー)とEFT(感情解放テクニック)を習得する決心をしました。
傾聴式カウンセリングだけでは、防衛機制というガードに阻まれなかなか進展を望めませんでしたが、わかったこともありました。
友人がダメじゃなきゃいけない理由はこうでした。
友人の家族は大家族です。
子供の頃はおじいちゃんが家長で家族の中で強い影響力があったようです。
そして家族同士の仲が複雑に根強く悪かったようです。
子供の頃は、そんな家庭が窮屈で自由な感情表現もできなかったようです。
やがて、自由でいられないストレスから不安がまとわりつく様になりました。
その不安をかき消すため、「自分が頑張らなきゃいけない!」と思い込んだんです。
「自分が窮屈なのは、頑張りが足りないからだ!」
「自分が頑張って、家族を仲直りさせなきゃいけない!」
「家族がケンカをするのは、自分に力がないからだ!」
友人は、幼い頃にこの様に強く思い込んでしまった様です。
友人は、「自分が苦しいのは自分が悪い!“頑張らなきゃいけない!」と誤解したんです。
友人なりに家族間を取り持つ努力を重ねたようです。
でも、逆に各々からさまざまな悪口を聞かされる役になってしまったんです。
家族は、悪口を聞いてくれる時だけ、友人を必要としてくれました。
友人にとって、必要とされている感覚は、とても嬉しかったと思います。
友人の心は、「悪口を聞くと必要としてもらえる!」と、誤解をさらに強化していったんです。
いつしか、家族に必要とされたいがために、自然にダメな自分を演じて、 家族に自分の悪口を言わせてあげるようになったようです。
「自分がダメでいれば、家族が悪口を言ってくれて必要としてもらえる!」
心の誤解は固定化され、強化され、習慣化されていきました。
でも、友人の心を感じると、とても辛い大きな葛藤を抱えています。
それは、友人の心には、「自分を認めてほしい!」という強い思いがあります。
でも、「悪口を聞いてあげないと認めてもらえない!」という誤解があります。
友人が自分を認めてもらうには、自分を悪く言ってもらうしかないんです。
自分の存在感を感じるには、自分を否定してもらうしかないんです。
とても、根強く、辛い、大きな心の誤解があると感じました。
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どんなサポートが許されるのか?心の片隅で常に感じていたい
友人もその誤解に気づき、何度か行動をおこしたようです。
でも、独立しようとしても許されず。
強行しようにも何かやり残している感じがして家を出られない。
そして、家族がモメる度に思いが巡り、心が抱えきれず寝込んでしまうようです。
そして家族からは、そのことについてまた悪口を言われるようです。
私は許される限りのことはしました。
友人の心も考えが修正されて一瞬は状況が好転します。
でも、習慣は根強いもので、家族に戻れば、また元に戻っていまいます。
このスパイラルから抜け出すには、家族との距離を置くことが一番だと思いました。
友人がその事に気づくのを、そっと見守りサポートしていきたいです。
今後、友人にどんなサポートが出来てどんなサポートが許されるのか?
心の片隅で常に感じていたいと思いました。
カウンセリングとは、“依存”を誘さそわず、“自立”をほう助する
このように、カウンセリングとは、「ああしればいい!こうすればいい!」とクライアントさまの主権に干渉し「精神的依存」を誘うのではなく、クライアントさまがもつ「自然成長力」を信じることで、クライアントさまの「精神的自立」を手助けするためのサービスです。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「僕はダメじゃなきゃだめなんです!心に深く傷める友人とのカウンセリング」という記事でした。