POINTプラケータータイプ(慰め役)の心理的な特徴は、「相手の気持ち」に寄り添う「共感力」が高く「優しい性格」である反面、相手に「同情」しやすいという点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「プラケータータイプ」とは、「慰める人」「なだめ役」を意味する言葉であり、プラケーターは「慰め役」とも呼ばれ、「機能不全家族」のなかで「暗い表情の家族」の存在にいち早く気づき、家族の気持ちに寄り添い、家族を慰める優しい子どもを指します。
ですので、プラケーターは大人になって、「他者のネガティブ感情(寂しさ・悲しさ・不安・怒り・落ち込みなど)に非常に敏感」という心理的な特徴をもつようになると考えられています。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の『心理的特徴』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の「心理的な特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の「心理的な特徴」
プラケーターは、子どもの頃から「家族の表情」に常に気を配ってきたため、大人になっても「他者の気持ちを察する能力が非常に高い」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、プラケーターは「他者の感情の影響を受けやすいぶんだけ、他者の感情に振り回されやすい」と言えますし、「他者の感情に振り回されやすいぶんだけ、自分のことが後回しになりやすい」とも言えます。
なお、「プラケーターの心理的な特徴」は、主に以下の「5つ」があげられます。
POINT
- 共感力が高い
- 問題行動を起こさない
- 問題の根本解決が図れない
- 同情を感じやすい
- ストレスを溜め込みやすい
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①共感力が高い
プラケーターは「小さなカウンセラー」と呼ばれるように、子どもの頃から「家族の表情」に常に気を配り、家族が「暗い表情」を見せるといち早く気づいてケアをしてきた経験から、大人になっても「相手の気持ちを察する能力が高い」という特徴があります。
なお、「プラケーターの心理的な特徴」である「相手の気持ち」を察する能力を「共感力」と言います。
共感力とは、他人の考えや意見を察したり、喜怒哀楽などの感情に寄り添ったりするスキルをさします。
このように、プラケーターは「機能不全家族で育った影響」により、相手の感情、とくに、相手の「ネガティブ感情(寂しさ・悲しさ・不安・怒り・落ち込みなど)」に非常に敏感にであり、相手の「ネガティブ感情」に気づくと居てもたってもいられなくなり、ついつい相手の心のケアをしたくなる(相手に寄り添い慰めたくなる)という特徴があります。
反対に言えば、プラケーターは、親子・家族・友達・恋愛・夫婦・仕事など、人間関係において「他者の感情の影響を受けやすく、他者の感情に振り回されやすい」と言い換えることができます。
以上のことから、「共感力が高い」という点は、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
②問題行動を起こさない
アダルトチルドレンは「機能不全家族で育った影響」から、人間関係において、さまざまな「問題行動」を起こしてしまう場合があります。
例えば、プラケーターに似たと特徴を持つ「ケアテイカー(世話役)」は、相手の気持ちを無視してお世話をし過ぎてしまう「過干渉」という問題行動を起こしがちであり、「イネイブラー(支え役)」は、相手の問題行動を止めるどころか、相手の問題行動を助長してしまう「イネイブリング」という問題行動を起こしがちです。
ですが、プラケーターが「機能不全家族で担ってきた役割」は、「喧嘩・言い争い・もめごと」など「家族間での不和な雰囲気」を仲裁して和ませることにあります。
ですので、プラケーターは「機能不全家族で担ってきた役割」の影響により、大人になっても、人間関係において「喧嘩・言い争い・もめごと」などの「問題行動」をほとんど起こさないという特徴があります。
反対に言えば、プラケーターは、周囲の仲裁や他者の気持ちに寄り添うなど、周囲のことばかりを優先しがちであるため、自分のことが後回しになりやすいという特徴があります。
以上のことから、人間関係において「問題行動を起こさない」という点は、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
③問題の根本解決が図れない
プラケーターは「機能不全家族で育った影響」により、「家族の不安や恐怖に寄り添う・家族の愚痴を聞き慰める」ことに「責任感」や「使命感」を感じやすいという特徴があります。
反対に言えば、プラケーターは「誰かをなだめる・誰かを慰める」ことができて、初めて「自分の存在価値」を感じることができる人であり、誰かをなだめたり慰めたりできないと「自分の存在価値」を感じることができない人と言い換えることができます。
よって、人間関係で「怒っている人」がいた場合、例え「怒っている人」のほうに「問題の原因」があったとしても、プラケーターは「怒っている人」を懸命になだめようとする特徴があります。
同じように、人間関係で「嘆いている人」がいた場合、例え「嘆いている人」のほうに「問題の原因」があったとしても、プラケーターは「嘆いている人」を懸命に慰めようとする特徴があります。
このように、プラケーターは人間関係の問題に対して「根本的な原因」に気づけず、他者の「怒り」をなだめたり、他者の「不安」を慰めるなど、「表面的な対応」に囚われてしまうという特徴があります。
以上のことから、人間関係において「問題の根本解決が図れない」という点は、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
④同情を感じやすい
プラケーターは「機能不全家族で育った影響」により、大人になっても「落ち込んでいる人・困っている人」など「慰めの必要な人」を放っておけないという特徴があります。
反対に言えば、プラケーターは「落ち込んでいる人・困っている人」に対して「かわいそう…かわいそう…」という「同情」を感じやすいと言い換えることができます。
「同情」とは、相手の悩みを自分のことのように親身に思いやる気持ちですので、決して「問題」ではないのですが、プラケーターは持ち前の「共感力の高さ」ゆえに「同情」を感じやすく、結果的に「他人の心配」ばかりを感じ続けることになりやすいと言えます。
また、プラケーターは「同情」を感じやすいがゆえに、「本当に落ち込んでいる人」や「本当に困っている人」に対してだけではなく、「落ち込んでいるふりをしている人」や「困っているふりをしている人」にまで「同情」してしまうという特徴があります。
なお、「落ち込んでいるふり」や「困っているふり」をすることで「同情」を引こうとすることを「自己憐憫(じこれんびん)」と言います。
自己憐憫とは、自分を哀れみかわいそうだと思い込むこと。自己憐憫に陥る人は被害者意識が強く、他人の同情を期待する傾向があるため、周囲には困った存在と見なされる場合があります。
このように、プラケーターは「同情」を感じやすいことにより、相手の「自己憐憫」を見抜けないまま、相手に寄り添ったり慰めたりしてしまうため、「相手に都合よく利用されてしまう場合がある」という特徴があります。
以上のことから、「同情を感じやすい」という点は、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
⑤ストレスを溜め込みやすい
プラケーターは「機能不全家族で育った影響」により、自分のことより周囲のことに関心を向けがちであり、そのぶん「自我が弱い」あるいは「自己主張が苦手」であるため、「ストレスを発散することが苦手」という特徴があります。
また、プラケーターは「喧嘩・言い争い・もめごと」などの緊張状態が苦手であることから、「怒っている相手に強く言われると何も言い返せない」という特徴があります。
そうすると、プラケーターは「相手が怒っているのは自分が悪い」「相手を怒らせた自分が悪い」「相手をなだめきれない自分が悪い」など、相手の怒りをなだめきれないことへの責任を感じて「自己否定」を繰り返すという特徴があります。
ですので、プラケーターが「パワハラ」や「モラハラ」に巻き込まれた場合、怒られれば怒られるほど「自己否定」をしてしまい、「ストレス」をため込んでしまい、「うつ病」など「精神疾患」に至ってしまう場合があります。
以上のことから、「ストレスを溜め込みやすい」という点は、「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の「人間関係の特徴」
プラケーターは、子どもの頃から「家族をなだめ慰める」という「役割」をこなしてきたため、大人になっても「相手に献身的に寄り添う」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、プラケーターは「相手に献身的に寄り添うぶんだけ、自分のことが後回しになりやすい」あるいは「相手に献身的に寄り添うぶんだけ、相手に利用されやすい」と言えますし、「相手に献身的に寄り添うぶんだけ、相手に感謝・信頼されやすい」とも言えます。
なお、「プラケーターの人間関係の特徴」は、主に以下の「5つ」があげられます。
POINT
- 共依存になりやすい
- 自分の人生を楽しめない
- 職場での人間関係が希薄になる
- 仕事においても献身的に寄り添う
- 親子役割逆転になりやすい
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「プラケーター(慰め役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「プラケーター(慰め役)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:プラケーター(慰め役)の心理的な特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT「共感力が高い」あまり、周囲の感情に振り回されやすい
- 「喧嘩・言い争い・もめごと」などの「問題行動」をほとんど起こさない反面、自分のことが後回しになりやすい
- 「相手をなだめる・慰める」ことに尽力するあまり、問題の根本解決が図れない
- 「同情・優しさ」を感じやすいあまり、相手に都合よく利用されてしまう場合がある
- 「自分のことより相手を優先」するあまり、ストレスを溜め込みやすい
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以上、「アダルトチルドレン(AC)プラケーター(慰め役)の『心理的な特徴』」という記事でした。