POINTイネイブラータイプ(支え役)の心理的な特徴は、「相手の手助け」を率先して行う反面、相手の「依存心」や「依存症」を悪化させてしまうという点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「イネイブラータイプ」は「支え役」とも呼ばれ、「機能不全家族」のなかで「苦労する母親」に代わって幼い弟妹の面倒を見たり、「不甲斐ない父親」に代わって母親を支えたり、「自己犠牲」によって家族を支える子どもを指します。
ですので、イネイブラーは大人になって、「誰かの手助けをできているときには安心を感じるが、誰の手助けもできていないときには不安を感じる」という心理的な特徴を持つようになると考えられています。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の『心理的な特徴』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の「心理的な特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の「心理的な特徴」
イネイブラーは、子どもの頃から「両親」や「家族」を支えてきたため、大人になっても「他者の手助けを率先して行う」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、イネイブラーは「他者の手助けを率先して行うぶんだけ、他者に上手く利用されてやすい」と言えますし、「他者の手助けを率先して行うぶんだけ、自分のことが後回しになりやすい」とも言えます。
なお、「イネイブラーの心理的な特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- イネイブリングを行う
- 親代わりをしたがる
- 自他境界が曖昧になる
- 自己犠牲を繰り返す
- 問題の根本解決を図れない
- 相手の成長・回復・自立を恐れる
- 同情を感じやすい
- 支える相手がいないと落ち込む
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①イネイブリングを行う
「イネイブラー」という言葉は、もともと「アルコール依存症の治療現場」から生まれた言葉で、「アルコール依存症の夫に対して過剰に世話を焼く妻」を指す言葉として、「看護師・介護士・ソーシャルワーカー・カウンセラー」が使い始めたと言われています。
「イネイブラー」である「妻」は、「アルコール依存症の夫」に対して懸命に世話を焼き尽くすのですが、「妻」が「夫」に尽くせば尽くすほど、「夫」は「妻」への「依存心」を強めてしまいます。
そして、「夫」は「自分がアルコール依存症を治してしまったら、妻に世話を焼いてもらえなくなってしまう」という不安を感じるようになり、「妻に世話を焼いてもらうためには、自分はアルコール依存症のままでいたほうがいい」と考えるようになると言われています。
反対に、「妻」は「夫」に尽くせば尽くすほど、「妻」は「夫」に必要としてもらえる(承認欲求を満たしてもらえる)ことになります。
そして、「妻」は「夫がアルコール依存症を治してしまったら、夫の世話を焼けなくなり、夫に必要としてもらえなくなってしまう」という不安を感じるようになり、「夫の世話を焼いて必要とされるためには、夫がアルコール依存症のままでいたほうがいい」と考えるようになると言われています。
このように、相手を助けようとするあまり、かえって相手の問題(相手の依存症)を悪化させてしまう行動を「イネイブリング」と言います。
イネイブリングとは「良かれと思って本人を助けようとする行動が、結果的に相手の問題・症状を助長してしまう行動」のことを指します。
すなわち、「イネイブラー」とは「イネイブリング」を行う人を意味する言葉であり、「イネイブラー」とは「相手を支えること・相手に尽くすことで自分の存在価値を感じようとする人」と言い換えることができます。
なお、イネイブラーのように、「相手に必要とされることで自分の存在価値を感じる」あるいは「相手に必要とされていないと自分の存在価値を感じられない」という心理状態を「共依存」と言います。
共依存とは特定の相手との関係に依存しすぎる状態のこと。恋愛関係、友人関係、親子関係など人間関係全般に現れます。相手との関係性において自分の価値を見出すことになるため、自分自身を見失ってしまったり、危険な状況を招いたりすることも。
このように「共依存」に陥りやすいイネイブラーは、相手に必要とされたいという気持ちが強いため、相手に尽くしすぎてしまい、結果、相手の「依存心」を強めてしまうという特徴があります。
反対に言えば、イネイブラーとは、一見「困っている人を支える献身的な人」に映りますが、反面「自分の存在価値を感じるために困っている人を作り出してしまう人」あるいは「親・兄弟姉妹・子ども・友人・恋人・配偶者・同僚・後輩など、人間関係において相手の世話を焼きすぎてしまい、相手の精神的自立を阻害してしまう人」と言い換えることができます。
以上のことから、「イネイブリングを行う」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
②親代わりをしたがる
イネイブラーは「機能不全家族で育った影響」により、「両親の未熟な部分を補う」という「役割」を担いながら大人へと成長していきます。
ですので、イネイブラーは「偽親(にせおや)」と呼ばれるように「両親の支え役」として、子どもの頃から「幼い弟妹」の世話を焼いて家族を支える、「アルバイト」などで収入を得て家族を支える、「炊事・洗濯」など家事を担って家族を支えるなど、「自分を犠牲にして家族を支える」ことが当然となってしまっており、子どもの頃から「親が担うべき役割を当然のように担い続けてきた人」と言い換えることができます。
反対に言えば、イネイブラーは「親に甘える・親に助けを求める」など、「子どもらしく過ごした経験」が圧倒的に不足しているため、大人になって「自己犠牲」をすることに対して「苦痛」を感じにくくなり、むしろ「自己犠牲」をすることに対して「自分の存在価値」を感じやすくなるという特徴があります。
なお、イネイブラーのように、本来であれば「親」が担うべき「育児・労働・家事」などを、「親」に代わって日常的に担っていた子どもを「ヤングケアラー」と言います。
「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと。責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります。
引用元:ヤングケアラーについて
このように、イネイブラーは子どもの頃から親の担うべき役割を担い続けてきた結果、大人になって「親のような役割を果たしている自分」には「存在価値」を感じるが、「親のような役割を果たしていない自分」には「存在価値」を感じられなくなると考えられており、イネイブラーは「自分の存在価値」を感じたいがために、人間関係において「相手の親代わりをしたがる」と考えられています。
以上のことから、「親代わりをしたがる」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
③自他境界が曖昧になる
イネイブラーは、子どもの頃から「自分を犠牲にして家族を支えることが当然」という環境で育ったことになり、そのぶん「子どもらしく自由に過ごした経験」が圧倒的に不足していると言えます。
ですので、イネイブラーは「自我の確立(アイデンティティの確立)」が十分になされないまま大人になっている可能性が高く、その影響で「自分らしさがわからない・自己主張が苦手・自分に自信がない」と感じやすく、「自分が中心になって物事を主体的に選択することが苦手」という特徴があります。
アイデンティティの確立に失敗し、アイデンティティを確立できないままでいると、自信を失い、自己嫌悪感や無力感に陥り、自分自身で物事を主体的に選択することができなくなります。自分らしさや自己の確立ができないことをアイデンティティ危機状態といいます。
引用元:アイデンティティ
ですので、イネイブラーは「人生の充実感」を「自己実現」に求めるのではなく、「他者に必要とされる(承認欲求を満たす)こと」に求めるという特徴があり、そのぶん「相手の苦しさ」が「自分の苦しさ」のように感じられたり、「相手の喜び」が「自分の喜び」のように感じられたり、「自分」と「他者」の境界が曖昧になってしまうという特徴があります。
なお、「自分」と「他者」の境界のことを、「交流分析」という心理学では「自他境界」と言います。
自他境界とは、『自分と他者は、別のものである』という境目又は輪郭のようなものです。 …(中略)…この自他境界があいまいになっていることで、人間関係に支障をきたしやすくなったり、心の不安定さを巻き起こしたりします。
引用元:誰にでもいえる自他境界のお話
また、「自他境界」が曖昧であると、本来、自分とは関係のないはずの「他者の感情」に敏感になってしまい、そのぶん「人間関係での支障」や「心の不安定さ」を感じやすくなるという特徴があります。
このように、イネイブラーは「機能不全家族で育った影響」により、大人になって「自他境界が曖昧になる」と考えられています。
以上のことから、「自他境界が曖昧になる」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
④自己犠牲を繰り返す
イネイブラーは、子どもの頃から「自分が楽しむ」ことより「家族を支える」ことを優先し続けてきたため、「自分のことより他者のことを優先すべき」という「思考パターン」を身に付けながら大人へと成長していくと考えられています。
なお、「イネイブラーの思考パターン」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 子育てにおける具体例
「子どもの幸せが自分の幸せなのだから、子どものためなら自分はどうなっても構わない」
「子どもが少しでも困った顔を見せると、居てもたってもいられなくなる」
「子どものことばかりが気になって、子ども以外のことに興味がわかない」 - 恋愛における具体例
「彼が幸せであれば私も幸せ、彼が苦しんでいれば私も苦しい」
「彼と一緒に居る時も一緒に居られないときも、彼のことが頭から離れない」
「彼のことばかりが気になって、彼以外のことに興味がわかない」
このように「イネイブラーの思考パターン」とは、自分のことには関心が向いておらず、周囲の人たちばかりに関心が向いており、「親・兄弟姉妹・子ども・友人・恋人・配偶者・同僚・後輩」など、「他者」に「感情移入」をしやすいという特徴があります。
なお、イネイブラーのように、相手に「感情移入」するあまり、相手のために自分の何かを犠牲にして尽くすことを「自己犠牲」と言います。
自己犠牲とは、他人のために自分の何かを犠牲にして尽くすこと。たとえば、他人の仕事まで引き受けたり、休みも自分ではなく周囲を優先してしまったり、などの行動をとることです。
このように、イネイブラーは「機能不全家族で育った影響」により、大人になって「自己犠牲を繰り返す」と考えられています。
例えば、イネイブラーと似た特徴を持つ「ケアテイカー(世話役)」は、相手の世話を焼きますが「見返り」を求めるため、一方的な「自己犠牲」とはなりません。
また、イネイブラーと似た特徴を持つ「プラケーター(慰め役)」は、相手に「感情移入」はしますが「行動面で相手に尽くす」というより「精神面で寄り添う」ことが多いため、一方的な「自己犠牲」とはなりません。
ですが、イネイブラーは「偽親(にせおや)」と呼ばれる通り、本来であれば「親」が担うべき「育児・労働・家事」などを、子どもの頃から「親」に代わって担い続けてきた影響により、人間関係において「自分の時間を犠牲にし、相手のために動き回ることで相手を支えようとする」と考えられています。
以上のことから、「自己犠牲を繰り返す」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
⑤問題の根本解決を図れない
イネイブラーは「機能不全家族で育った影響」により、「両親の支えとなる・兄弟姉妹の世話を焼く」ことに「責任感」や「使命感」を感じやすいという特徴があります。
反対に言えば、イネイブラーは「誰かを支える・誰かの手助けをする」ことができて、初めて「自分の存在価値」を感じることができる人であり、誰かを支えたり世話をしたりできないと「自分の存在価値」を感じることができない人と言い換えることができます。
よって、人間関係で「困っている人」がいた場合、イネイブラーは「困っている人」を見守ることができず、後先を考えずに衝動的に手助けをして支えてしまうという特徴があります。
確かに、目の前に「困っている人」がいるのに見て見ぬふりをすることは、誰であっても心苦しいことです。
ですが、「愛のムチ」や「可愛い子には旅をさせよ」という言葉があるように、人は「挫折」や「失敗」を経験することで「成長」できる場合もあります。
そういった意味では、イネイブラーは人間関係の問題に対して「根本的な原因」に気づけないまま「困っている人」をすぐに手助けして支えてしまうため、結果的に「問題解決を先送り」してしまったり、場合によっては、前述の「イネイブリング」のように「かえって問題を悪化」させてしまう場合があります。
以上のことから、人間関係において「問題の根本解決が図れない」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
⑥相手の成長・回復・自立を恐れる
イネイブラーは、物心ついたときから「両親・兄弟姉妹」を当然のように支え続けてきたため、誰かを手助けしている状態が「通常」で、誰の手助けもしていない状態が「異常」という心理状態にあります。
ですので、イネイブラーは誰かの手助けをできているときには「安心」を感じるのですが、誰の手助けもできていないときには「不安」を感じるという特徴があります。
反対に言えば、イネイブラーが「安心」を感じて生きていくためには「支える相手の存在」が必要不可欠であるといえます。
そのため、イネイブラーは「手助けが必要な人(精神的・経済的に依存傾向な人)」には興味を感じるが、「手助けが必要ない人(精神的・経済的に自立したしっかりと人)」には興味を感じないという特徴があり、「相手にしっかりとした人」になってもらいたいから「相手を手助けする」のではなく、「自分存在価値」を感じるために「相手を手助けする」と言えます。
ですので、イネイブラーは自らが懸命に支えてきた相手の人生が「成長・回復・自立」など「望ましい方向」へと向かっていくことに対して「恐れ」を感じるという特徴があります。
なお、「イネイブラーが感じる恐れ」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 幼かった「子ども」が成長して巣立ってしまうことに恐れを感じる「親」
- 落ち込んでいた「彼氏」が回復して活動的になってしまうことに恐れを感じる「彼女」
- アルコールに依存していた「夫」が依存症を克服して精神的自立をしてしまうことに恐れを感じる「妻」
このように、イネイブラーは相手の手助けをすることで「自分存在価値」を感じようとするという特徴があるため、「相手に必要とされなくなることを極端に恐れる」という特徴があります。
以上のことから、「相手の成長・回復・自立を恐れる」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
⑦同情を感じやすい
前述の通り、イネイブラーは相手の手助けをすることで「自分存在価値」を感じようとする特徴があるため、「相手に必要とされなくなることを極端に恐れる」という特徴があります。
ですので、人間関係において周囲から手助けを求められると「No」と言えず、「しょうがいない…しょうがない…」と何でも引き受けてしまうという特徴があります。
反対に言えば、イネイブラーは「助けを求めている人・甘えてくる人」に対して「かわいそう…かわいそう…」という「同情」を感じやすいと言い換えることができます。
とくにイネイブラーは、親・兄弟姉妹・配偶者・子どもなど「近親者に甘い」という傾向があり、「近親者の過度な甘え」を突き放せなかったり、「近親者の依存行為」を叱ることができなかったり、例え相手から理不尽な要求をされたとしても、我慢をして受け入れてしまうという特徴があります。
ですので、子どもの我儘に困り果てたり、親の介護に疲れ果てたとしても、イネイブラーは周囲に助けを求めることなく、じっと1人で耐え続けてしまう場合が多いです。
また、イネイブラーは「同情」を感じやすいために、「本当に助けを必要としている人」や「本当に頼ってくる人」に対してだけではなく、「助けを必要としているふりをしている人」や「頼っているふりをしている人」にまで「同情」してしまうという特徴があります。
なお、「助けを必要としているふり」や「頼っているふり」をすることで「同情」を引こうとすることを「自己憐憫(じこれんびん)」と言います。
自己憐憫とは、自分を哀れみかわいそうだと思い込むこと。自己憐憫に陥る人は被害者意識が強く、他人の同情を期待する傾向があるため、周囲には困った存在と見なされる場合があります。
このように、イネイブラーは「同情」を感じやすいことにより、相手の「自己憐憫」を見抜けないまま相手を懸命に手助けして支え続けてしまうため、「相手に都合よく利用されてしまう場合がある」という特徴があり、場合によっては、知らぬ間に「犯罪」の手助けをしてしまっている場合すらあります。
以上のことから、「同情を感じやすい」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
⑧支える相手がいないと落ち込む
イネイブラーは、子どもの頃から「親を支えるという条件を満たすことで自分の存在価値を認めてもらえる」という「親子の関係性」のなかで育ってきたため、大人になっても、「誰かを支えている自分には価値があるが、誰も支えていない自分には価値がない」という「強い価値観」を身に付けていると考えられています。
なお、「親を支えることで親に愛してもらえるという条件」を、子どもに思い込ませるような「親の愛情表現」を「条件付きの愛情」と言います。
条件付きの愛とは、すなわち「◯◯する子は愛してあげる」「◯◯できない子は愛してあげない」というコントロールです。
このように、イネイブラーは「『誰かの支え役』として必要とされていなければ、自分の存在価値が無くなってしまう!」という「強い危機感」を常に抱いているため、「親・兄弟姉妹・子ども・友人・恋人・配偶者・同僚・後輩」など「他者」を懸命に助けしようとします。
ですが、イネイブラーが懸命に助けしようとしても、さまざまな理由で思い通りの結果にならず、残念ながら相手を助けきれないという場合もあります。
そうすると、イネイブラーは相手を助けられなかったことにひどく落ち込み、「相手の支え役を全うできなかった自分が悪い!」「相手を助けられなかった自分には価値がない!」など、激しい「自己否定」に陥ってしまうという特徴があります。
自己否定とは自分が自分のことを「嫌だ」と感じたり、自由に行動したり楽しんだりすることを自分自身で否定してしまうことを指します。多くの場合、自己否定の感情は低い自尊心やトラウマ、罪悪感などに起因します。
あるいは、イネイブラーが懸命に支えれば支えるほど、相手はイネイブラーの手助けが必要ないくらいまで「成長・回復・自立」をすることができ、結果、イネイブラーの元を去っていくという場合もあります。
そうすると、イネイブラーは「支える相手」を失って「自分の存在価値」を感じれなくなってしまい、まるで「自分の半身を失ったかのような感覚」に襲われ、その後「喪失感・孤独感・絶望感」など「ひどい落ち込み(禁断症状)」に陥ってしまう場合もあります。
共依存者は相手から見捨てられたという事実を認めざるを得なくなり、禁断症状が生じます。
このように、イネイブラーは「支える相手」がいなくなってしまうと、「自己否定」や「離脱症状」など「強い精神的ストレス」に苦しむことになり、「うつ病」など「精神疾患」に至ってしまう場合もあります。
以上のことから、「支える相手がいないと落ち込む」という点は、「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の「人間関係の特徴」
イネイブラーは、子どもの頃から「家族を支える」「家族に尽くす」という「役割」をこなしてきたため、大人になってからも、人間関係において「相手を支える・相手に尽くす」という点が最大の特徴です。
反対に言えば、イネイブラーは「相手を支える・相手に尽くすぶんだけ、自分のことが後回しになりやすい」あるいは「相手を支える・相手に尽くすぶんだけ、相手に利用されやすい」と言えますし、「相手を支える・相手に尽くすぶんだけ、相手に感謝・信頼されやすい」とも言えます。
なお、「イネイブラーの人間関係の特徴」は、主に以下の「7つ」があげられます。
POINT
- 共依存になりやすい
- 相手の依存症を悪化させてしまう
- 過保護な子育てをする
- 親の介護で疲れ果ててしまう
- 虐待・いじめ・犯罪を見過ごしてしまう
- 仕事においても他者を支える
- 親子役割逆転になりやすい
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「イネイブラー(支え役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「イネイブラー(支え役)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:イネイブラー(支え役)の心理的な特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT「相手を支える・相手を尽くす」あまり、イネイブリングを行う
- 「相手に必要とされよう」とするあまり、相手の親代わりをする
- 「アイデンティティの確立が不十分」であるため、自他境界が曖昧になる
- 「相手に感情移入」するあまり、自己犠牲を繰り返す
- 「相手を支える・尽くす」ことに尽力するあまり、問題の根本解決が図れない
- 「相手の手助けを続けたい」と思うあまり、相手の成長・回復・自立を恐れる
- 「同情・優しさ」を感じやすいあまり、相手に都合よく利用されてしまう場合がある
- 「誰も支えていない自分は価値がない」と感じるあまり、支える相手を失ったとき酷く落ち込む
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
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以上、「アダルトチルドレン(AC)イネイブラー(支え役)の『心理的な特徴』」という記事でした。