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ロストワン(いない子)が生まれる原因は、「機能不全家族」と呼ばれる「家庭環境」にあり、「感情面の原因(幼少期のトラウマ)」と「思考面の原因(無意識の思考パターン)」の2つがあります。
心理カウンセラーの寺井です。
ロストワン(ロストチャイルド・ロンリー)タイプ(以下「ロストワン」と言う。)が生まれる原因は、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負ったことが根本的な原因です。
また、子どもが「トラウマ」によって抱える「負の感情」のひとつに「見捨てられ不安」があります。
ロストワンは、「親が自分の気持ちや意見を尊重しない様子」に対して「見捨てられ不安」を感じやすいため、「自分の気持ちや意見を『否定・無視・干渉・詮索』してくる親」を見ると「見捨てられ不安」を感じて居てもたってもいられなくなり、「自分の存在感を消す(自我を抑え込む・一人で過ごす)ことで親の負担を減らそう(親に迷惑を掛けないようにしよう)」と自ら進んで「いない子」を演じるようになると考えられています。
そして、家族のなかで「いない子」を演じ続けているうちに「無意識の思考パターン(習慣)」として「潜在意識」に根付き、大人になっても「いない子」を演じ続けていると考えられます。
この記事は、アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)が生まれる原因について解説しています。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)が生まれる原因
「アダルトチルドレン」とは「機能不全家族」で育った影響により、大人になってからも「生きづらさや心に傷を抱えている人」を指す言葉であり、「機能不全家族」とは「アダルトチルドレンの原因となる家族」を意味します。
「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。
また、「アダルトチルドレンの原因」となる「機能不全家族」とは、「家庭内に存在する様々な問題が原因で、子どもが愛情不足に陥っている家族の状態」を指します。
機能不全家族とは、家庭内に存在するはずの愛情や安全が脅かされている家庭のことです。その原因は、家庭内の虐待や愛情不足、家族構成による機能不全など様々です。
引用元:機能不全家族チェック
このように、ロストワンが生まれる原因は、子どもが心身ともに健全に成長していくために必要不可欠な「愛情・安全・安心」が脅かされている「機能不全家族」と呼ばれる「家庭環境」にあります。
なお、ロストワンの原因となる「機能不全家族」については、以下の記事で詳しく解説しています。
以上のことから、「ロストワンが生まれる原因」として、以下のような「流れ」が考えられます。
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- 「愛情不足」により「見捨てられ不安」を感じる
- 「見捨てられ不安」を和らげるために「いない子」を演じる
- 「いない子」を演じることで「自分の存在価値」を感じる
- 「自分の存在価値」を感じるために「いない子」を演じ続ける
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①「愛情不足」により「見捨てられ不安」を感じる
ロストワンが「いない子」を始める理由は、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負ったことが根本的な原因です。
なお、家庭において以下の「根本的な願い」が満たされなかったとき、子どもは「トラウマ」を負うと考えられています。
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- だれかの期待にこたえるためではなく、ありのままの自分として大切にされる
- 親の欠損を埋め合わせるための存在ではなく、その子自身として慈しまれる
- 安全で、安定していて、温かさのある環境で、無条件に愛される
ロストワンをはじめ、アダルトチルドレンの原因となる「機能不全家族」とは、上記の「根本的な願い」が満たされない家庭であり、子どもが「トラウマ」を負いやすい家庭と言えます。
なお、「ロストワンが生まれる原因となる機能不全家族の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
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- 親が子どもに対して関心が薄い(ネグレクト・育児放棄)
- 親が子どもに対して干渉しすぎる(過干渉・過保護)
- 親の愛情が「兄弟姉妹」で平等ではない(きょうだい差別)
そして、子どもが「トラウマ」によって抱える「負の感情」のひとつに「見捨てられ不安」があります。
「見捨てられ不安」とは、「愛情不足」の子どもが感じる「強い孤独感」であり、身の危険を感じている「強い危機感」のあらわれでもあります。
また、「見捨てられ不安」とは「何としても見捨てられないようにするための強い不安」とも言えますし、「見捨てられること・孤独になることを何としても避けようとする強い警戒心」とも言えます。
ですので、人は「見捨てられ不安」を感じると「強い精神的ストレス」に襲われるため居てもたってもいられなくなり、「見捨てられ不安」を和らげるために、衝動的にさまざまな「防御行動」をとるという特徴があります。
【見捨てられ不安とは?】見捨てられること、自分から人が離れてしまうことに強い不安を感じます。見捨てられたくない相手は、恋愛相手、友人、親、職場の人間などで、人から嫌われたくないため、様々な防衛行動を起こします。
ですので、親子・家族・友達・恋愛・夫婦・仕事など人間関係において、ロストワンが「自分に対して無関心な周囲の雰囲気」や「自分の感情を否定・無視・干渉・詮索してきそうな周囲の雰囲気」を感じると居てもたってもいられなくなり、「周囲に迷惑を掛けないよう、自我(自分の気持ち・意見)を抑え込む」あるいは「周囲に傷つけられないよう、離れて一人で過ごす」という点は、自らの「見捨てられ不安」を和らげるための「防御行動」と考えることができます。
以上のことから、「愛情不足」により「見捨てられ不安」を感じるようになったという点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の原因」のひとつと言えます。
②「見捨てられ不安」を和らげるために「いない子」を演じる
ロストワンは「機能不全家族」と呼ばれる「家庭環境」で育ち、子どもの頃から「見捨てられ不安」を感じながら育ちました。
また、前述の通り「見捨てられ不安」とは、「強い精神的ストレス」に襲われ「耐え難い苦しさ」を感じる感情ですので居てもらってもいられず、さまざまな「防御行動」を引き起こします。
なお、「ロストワンが感じた見捨てられ不安」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
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- 親が自分に対して無関心な様子に、強い不安を感じた
- 親が自分の感情を「否定・無視・干渉・詮索」してくる様子に、強い不安を感じた
- 親が自分を無視して「自分以外の兄弟姉妹」ばかりに愛情を注ぐ様子に、強い不安を感じた
また、「ロストワンが見捨てられ不安を和らげるためとり始めた防御行動」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
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- 自分に対して無関心な親の気を無理に引こうとはせず、無関心な親に合わた形で親の負担を減らそう(親に迷惑を掛けないようにしよう)と、自我(自分の気持ち・意見)を抑え込むなど「おとなしい子」を演じるようになった
- 自分の感情を「否定・無視・干渉・詮索」してくる親に無理に抗おうとはせず、親に傷つけられない形で親の負担を減らそう(親に迷惑を掛けないようにしよう)と、一人で過ごすことで「手の掛からない子」を演じるようになった
このように、ロストワンは「耐え難い苦しさ」である「見捨てられ不安」を和らげるため、あるいは、これ以上「見捨てられ不安」を感じずに済むようにするための「防御行動」として、「自我(自分の気持ち・意見)を抑え込む」ようになったり「一人で過ごす」ようになるなど、家族のなかで「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)を演じる」ようになったと考えられています。
以上のことから、「見捨てられ不安」を和らげるために「いない子」を演じるようになったという点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の原因」のひとつと言えます。
③「いない子」を演じることで「自分の存在価値」を感じる
ロストワンは「耐え難い苦しさ」である「見捨てられ不安」を和らげるために、「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)を演じる」ことで「親の負担を減らそうとする(親に迷惑を掛けないようにする)」という特徴があります。
このように、ロストワンは「自分に対して無関心な親」や「自分の感情を否定・無視・干渉・詮索してくる親」を無理に変えようとはせず、むしろ「親の無関心」や「親の過干渉・過保護」に合わせた形で「親の負担を減らそう(親に迷惑を掛けないようにしよう)」と自ら進んで「いない子」を演じるようになります。
ですが、ロストワンは「両親」から「負担を減らしてほしい!」とお願いをされてから「いない子」を演じ始めるのではなく、「両親」から「負担を減らしてほしい!」とお願いをされる前に先回りして「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)」を演じてしまうため、「両親」から「ありがとう…」「助かった…」という「感謝」や「褒め」の言葉を掛けてもらえない場合があります。
なお、「感謝してもらえた」「褒めてもらえた」など、親に「見捨てられ不安」を和らげてもらえた言動や働きかけを、「交流分析」という心理学では「ストローク(心の栄養)」と言います。
交流分析の創始者であるエリック・バーンは、人の存在や価値を認める刺激(言動や働きかけ)のことをストロークと名付けました。ストロークは「心の栄養」とも呼ばれ、人が生存するためには不可欠なものとされています。
このように、「ストローク(心の栄養)」は「体」にとっての「水」のような存在で、「人が生存する」ためには不可欠なものであり、親から「ストローク(心の栄養)」をもらえると、子どもは「親に愛されている」という「安心」を感じて「見捨てられ不安」が和らぎます。
ですが、親から「ストローク(心の栄養)」をもらえなかった場合、子どもは「親に愛されている」という「安心」を感じることができず「見捨てられ不安」を感じ続けることになります。
このように、ロストワンは「いない子」を演じて「両親の負担」を減らしてあげたにもかかわらず、両親から「感謝」や「褒め」の言葉を十分に掛けてもらえない場合が多いため、両親からの「ストローク(心の栄養)」が十分に得られないまま大人へと成長していくことになり、その影響により、大人になってから恋愛を始めとする人間関係全般において「回避型愛着スタイルの傾向が強くなる」という特徴があります。
回避型は、自分以外の人と深く関わることがストレスに感じてしまう愛着タイプです。周りの人との関係性において、感情的な親密さを持つことを避ける傾向があります。濃密な人間関係にストレスを感じやすいため、ストレスを感じるくらいなら1人でいたいと考えてしまうでしょう。
また、親から「ストローク(心の栄養)」をもらえなかったことで、子どもが「自分はこうやって生きていこう!」という「生き方の方針」を決めることを「幼児決断」と言います。
幼児決断(ようじけつだん)…(中略)…母子分離を体得してゆく中で、子どもが「人はこのようなものだ」とか「こうやって生きてゆこう」という生きる方針を決める瞬間があります。この決断のことを幼児決断と言います。…(中略)…大人になってからもその人の行動を決定する物差しとして幼児決断が作用し、幼児決断がその人の行動や考え方の傾向に繋がっていることがあります。
引用元:幼児決断(よじけつだん)
このように、ロストワンは「いない子」を演じて「両親の負担」を減らしてあげたにもかかわらず、両親からの「ストローク(心の栄養)」が十分に得られなかったことによって、「『自分の存在価値』を『両親』に認めてもらえるまで『いない子』を演じ続けよう!」という「幼児決断」をすると考えられています。
そして、子どもの頃、「『自分の存在価値』を『両親』に認めてもらえるまで『いない子』を演じ続けよう!」という「幼児決断」をしたことにより、大人になっても、ロストワンは無意識に「いない子」を演じ続けていると考えられます。
以上のことから、「いない子」を演じ続けることで「自分の存在価値」を認めてもらおうとするようになったという点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の原因」のひとつと言えます。
④「自分の存在価値」を感じるために「いない子」を演じ続ける
ロストワンは「いない子」を演じて「両親の負担」を減らしてあげたにもかかわらず、両親から「感謝」や「褒め」の言葉を十分に掛けてもらえない場合が多いため、次第に「『自分の存在価値』を『両親』に認めてもらえるまで『いない子』を演じ続けよう!」という「幼児決断」をするようになります。
その後、ロストワンは「幼児決断」によって決めた「いない子」を家族のなかで演じ続けていきますが、「いない子」を演じ続けているうちに、徐々に「いない子(おとなしい子・手の掛からない子)」を演じることが当然となってしまい、次第に家族から「生まれつき、おとなしい子」あるいは「生まれつき、手の掛からない子」と思われるようになります。
とくに、ロストワンは「先に生まれた『兄姉(年上のきょうだい)』」がすでに「アダルトチルドレン」である場合が多く、親が「先に生まれた『兄姉(年上のきょうだい)』」への対応に手一杯で精神的に余裕がない場合に生まれやすいと考えられおり、その影響で「生まれ順が遅い子どもであればあるほどロストワンになりやすい(ロストワンは末っ子に多い)」と考えられています。
なお、「『生まれ順が遅い子ども』がロストワンになる様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
- POINT「長男」は「ヒーロータイプ(英雄役)」で勉強やスポーツなどで優秀な成績を収めており、親から期待されている
- 「次男」は優秀な「長男」に対して劣等感を感じ、その影響で「スケープゴート(身代り役)」となって荒れており、親から心配されている
- 荒れている「次男」のケアに手一杯で子育てに余裕のない親は、「末っ子」のことを「おとなしい子・手の掛からない子」として扱うため、「末っ子」は親の言葉に従って「ロストワン(いない子)」となり、親の負担を減らすことで親の関心を引き、親の愛情を得ようとする
このように、親は子育ての負担を減らしたいがために「生まれ順が遅い子ども」を「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)」として扱う場合があり、その影響で、ロストワンは「親の言葉」に従って「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)」を演じるようになり、親の負担を減らすことで親の関心を引き、親の愛情を得ようとすると考えられています。
なお、「ロストワンが生まれる原因となる親の言葉」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
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- わががまで手が掛かるあなたは、親に負担を掛けるとても悪い子ね!
- おとなしくて手の掛からないあなたは、親に負担を掛けないとてもいい子ね!
このように、ロストワンが「親から言われた言葉」のうち、「○○はダメ!」など、何かを禁止された指示・命令のことを「禁止令」と呼び、「~しろ!」「~しなさい!」「~したほうがいい!」など、何かを煽り立てられた指示・命令のことを「ドライバー(拮抗禁止令)」と呼びます。
禁止令とは心理学者エリックバーン博士によって開発された自己分析法で、文字通り「〇〇してはいけない」という「禁止」の「命令」のことです。…(中略)…幼いころに親などの養育者から否定的・禁止的な命令や態度を繰り返し受けることで、自らの思考や行動の制限を課してしまうものです。
拮抗禁止令とは、幼少期に親の役割をもつ人から与えられた「〇〇しなさい」「〇〇したほうがよい」「〇〇であるべき」という、いわゆる「〇〇しろ」というメッセージを受けて、そのよう生きていこうと「決断」することで自らに課したものです。…(中略)…ドライバーというその名の通り、その人の行動を駆り立ててしまうのです。
このように、当初は「両親の負担を減らしてあげよう」という「思いやり」から始めた「いない子」が、いつしか「やらなければならない役割」となってしまったことが、ロストワンの人格形成に大きな影響を与えていると考えられています。
とくに「交流分析」という心理学では、「人格形成」は「3歳~14歳(第一反抗期~第二反抗期のあいだ)に親から受けたメッセージ(親から受けた子育て)の影響」を強く受けていると言われ、「幼児決断」によって始めた「生き方」が、親との関りの中で「無意識の思考パターン(習慣)」として固定化していくと考えられています。
幼児決断は、早期に幼児の感情をもとに決めることです。幼児決断をもとに、自分はこう生きようとシナリオを書く。これが、「人生脚本」です。幼児決断は両親(養育者)から、さまざまな禁止令(インジャンクション)を受けながらなされるものです。
引用元:交流分析|禁止令と幼児決断
そして、子どもの頃に親の影響によって身に付けた「無意識の思考パターン(習慣)」を「人生脚本」と言います。
人生脚本とは、エリック・バーンが提唱した心理学理論です。幼少期に自分自身の人生脚本を描き、その通りになるとされています。人生脚本の大部分は親からのメッセージにより決定されます。無意識のうちに生き方を決め、それに従い行動するということです。
引用元:人生脚本とは
このように、ロストワンは「両親の負担を減らしてあげよう」という思いやりで「いない子」を演じ始めたものの、徐々に「いない子」を続けることが「当然」となってしまい、「『いない子として役割を果たせている自分』には存在価値があるが、『いない子として役割を果たせていない自分』には存在価値がない」という「人生脚本」を身に付けていくと考えられています。
そして、子どもの頃、「自分は『いない子』を演じ続けなければならない!」という「人生脚本」を身に付けたことにより、大人になっても、ロストワンは無意識に「いない子」を演じ続けていると考えられます。
以上のことから、「自分の存在価値」を感じるために「いない子」を演じ続けるようになったという点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の原因」のひとつと言えます。
なお、「ロストワンが末っ子に多い理由」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)を克服する方法
このように、ロストワンは「機能不全家族」で育った影響で「トラウマ(心の傷)」を負い、「トラウマ」の「防御行動」として「いない子」を演じるようになり、家族のなかで「いない子」を演じ続けているうちに「無意識の思考パターン(習慣)」として「潜在意識」に根付いていったと考えられています。
以上のことから、「ロストワンの原因」は、大きく分けて以下の「2つ」があります。
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- 感情面の原因…「幼少期のトラウマ」
- 思考面の原因…「無意識の思考パターン」
よって、「ロストワンの克服」は、以下の「2つの取り組み」が必要となります。
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- 感情面のケア…「幼少期のトラウマ」を癒す
- 思考面のケア…「無意識の思考パターン」を書き換える
このように、ロストワンを始めとする「アダルトチルドレンの克服」は、「感情面」と「思考面」の「両方の取り組み」が必要です。
反対に言えば、どちらか「片方の取り組み」だけでは、一時的には症状が落ち着いたとしても、しばらくして「いない子」の症状が再現する可能性が高いと言えます。
アダルトチルドレンの克服がうまく行かない理由
また、「ゲシュタルト心理学」や「交流分析」によると、「幼少期のトラウマを癒す作業」や「無意識の思考パターンを書き換える作業」は、子どもの頃の感情に「感情移入」できればできるほど効果が高いと考えられています。
とはいえ、「子どもの頃のトラウマ体験」や「子どもの頃の家族との記憶」は、「できれば思い出したくない『傷ついた記憶』」であるのと同時に、「なかなか思い出しづらい『遠い昔の記憶』」でもあります。
ですので、心理カウンセラーが視界に入ってしまうと集中しきれず、「アダルトチルドレンの克服」はうまく行かなくなってしまう場合が多いです。
よって、目を開けた状態で行う「対話型のカウンセリング」のみでは、「アダルトチルドレンの克服」がうまく行かない場合があると言えます。
インナーチャイルドセラピー(退行催眠)が有効な理由
このように、目を開けた状態で行う「対話型のカウンセリング」のみだと、心理カウンセラーが視界に入ってしまい、子どもの頃の感情に「感情移入」できず、「アダルトチルドレンの克服」がうまく行かない場合が多いです。
ですが、目を閉じた状態で行う「インナーチャイルドセラピー(退行催眠)」であれば、心理カウンセラーが視界に入らず、子どもの頃の感情に「感情移入」しやすくなり、「アダルトチルドレンの克服」が進めやすくなります。
よって、「インナーチャイルドセラピー(退行催眠)」は「アダルトチルドレンの克服」に非常に有効であると言えます。
以上のことから、「ロストワンの克服」は、以下の手順で行っていきます。
POINT
- ロストワン(いない子)の原因を理解する
- インナーチャイルドセラピーを用いて「幼少期のトラウマ」を癒す
- インナーチャイルドセラピーを用いて「無意識の思考パターン」を書き換える
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「生まれる原因」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ロストワン(いない子)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ロストワン(いない子)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「生まれる原因」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
- POINTロストワンが「いない子」を演じ始める理由は、子どもの頃に負った「トラウマ(見捨てられ不安)」に原因がある
- ロストワンは、「見捨てられ不安」を和らげるための「防御行動」として「いない子」を演じ始める
- ロストワンは、「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)」を演じることで「両親の負担」を減らしてあげたにもかかわらず、両親から「感謝」や「褒め」の言葉を十分に掛けてもらえなかったことから、「おとなしい子・手の掛からない子(いない子)」を演じ続けることで「両親に自分の存在価値を認めてもらおう」と感じるようになる
- ロストワンは、「自分の存在価値」を「両親」に認めてもらえるまで「いない子」を演じ続けることを「幼児決断」して繰り返す
- ロストワンは、「いない子」を演じ続けているうちに「無意識の思考パターン(人生脚本)」として根付いた
- ロストワンの原因は、「感情面の原因(幼少期のトラウマ)」と「思考面の原因(無意識の思考パターン)」の「2つ」がある
- ロストワンの克服は、「感情面のケア(幼少期のトラウマを癒す)」と「思考面のケア(無意識の思考パターンを書き換える)」の「2つ」がある
- 「インナーチャイルドセラピー」は、「幼少期のトラウマの癒し」と「無意識の思考パターンの書き換え」を「2つ同時」に取り組むことができる
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
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なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)が生まれる原因」という記事でした。