POINTロストワン(いない子)の「女性」の恋愛思考パターンの特徴は、①どうせ自分は誰からも大切にされないと感じる、②男性に対する警戒感を持つ、③恋人と親密な関係になることを避ける、などがあげられます。
心理カウンセラーの寺井です。
恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には人それぞれの特徴があり、心理学では「愛着スタイル」と言います。
とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
「愛着スタイル」とは、恋愛を含む人間関係において、人とどんな結びつきを持ちたいのか、どのような関係が心地よく感じるのかを表す傾向を指します。…(中略)…この傾向は、幼少期の保護者との関係が大きく影響している。
なお、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の女性」の場合、以下のような「影響」が考えられます。
POINT
- 「母親との関係性」は「女性としての自信」に大きな影響を与えている
- 「父親との関係性」は「男性への信頼感・警戒感」に大きな影響を与えている
- 「両親との関係性(家庭環境)」は「人格形成」に大きな影響を与えている
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『女性』の恋愛思考パターン」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『男性』の恋愛思考パターン」については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『恋愛における具体的な特徴』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「女性」の恋愛思考パターンについて解説していきます。
ロストワン(いない子)の「女性」の恋愛思考パターン
「女性」にとって「母親」は、生まれてはじめて接した「年上の同性」であり、子どもの頃の「母親との関係性」は、その後の「女性としての自信」に大きな影響を与えていると考えられています。
また、「女性」にとって「父親」は、生まれてはじめて接した「年上の異性」であり、子どもの頃の「父親との関係性」は、その後の「男性への信頼感・警戒感」に大きな影響を与えていると考えられています。
そして、「子ども」にとって「家庭」とは、生まれてはじめて「自分以外の人間と関わる(人間関係を築く)場所」であり、家庭でやすらぎ、家庭で学ぶことは、その後の「人格形成」に大きな影響を与えていると考えられています。
以上のことから、子どもの頃の「母親との関係性」「父親との関係性」「家庭環境(両親の関係性)」は、「ロストワンの女性の恋愛思考パターン」に大きな影響を与えていると考えられます。
なお、「ロストワンの女性の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「子どもを放置する母親」あるいは「他のきょうだいと差別する母親」あるいは「過干渉・過保護な母親」との関係性から「無価値感」を感じるようになり、大人になって「どうせ自分は誰からも大切にされない」と感じやすくなる - 父親との関係性の影響
「子どもに無関心な父親」あるいは「他のきょうだいと差別する父親」あるいは「家庭に不在がちな父親」との関係性から「父親に対する嫌悪感」を抱くようになり、大人になって「男性に対する警戒感」を持つようになる - 両親との関係性の影響
「子育てから逃げてばかりで協力し合おうとしない両親の関係性」から、大人になって「恋人と親密な関係になることを避ける」ようになる
それでは、以下に詳しく解説しています。
①「母親との関係性」の影響
「ロストワンの女性」にとって、「母親」は生まれてはじめて接した「年上の同性」にあたります。
子どもに限らず、ファッション・ヘアスタイル・メイク・料理など「女性らしさ」に関わることは、「自分より経験豊富な人」に教えてもらうことで「自信」を持つができるように、子ども(女の子)は「年上の同性」である「母親」と一緒に「楽しさ・嬉しさ・可愛さ・美味しさ」などの「平和で穏やかな時間」を共有することで「女性としての自信」を持つことができると考えられています。
以上のことから、子どもの頃の「母親との関係性」は「ロストワンの女性の恋愛思考パターン」に大きな影響を与えていると考えることができます。
ですが、「ロストワンの母親」とは、「家事・育児・介護などに手一杯で大きな負担を抱えている」場合が多く、「自分の負担を減らすために子どもを放置しがちな母親」であり、「自分の負担を減らすために子どもを都合よくコントロールする母親」である場合多いと考えられています。
なお、「ロストワンの母親の様子」とは、主に以下の具体例があげられます。
POINT
- 母親は家事・育児・介護などに手一杯で、子どもを放置しがちだった(母子家庭・貧困家庭・三世代家族など)
- 母親は手の掛かる子ども(問題児・障害児)のケアに手一杯で、他の子どもを放置しがちだった
- 母親は自分の負担を減らすために、子どもに「過干渉・過保護」をしていた
- 母親は自分の負担を減らすために、子どもを「おとなしい子、手の掛からない子」に仕立てようとしていた
このように、「ロストワンの母親」とは「子どもに愛情を注ぐことより、自分の負担を減らすことを優先しがちな母親」である場合が多いと言えます。
そして、母親から「愛情」を十分に受けられなかった場合、子どもは母親との間で「愛着の形成」がうまく行かず、大人になって「どうせ自分は価値がない人間だ…」「どうせ自分はダメな人間だ…」という「無価値感」を感じやすくなり、「自尊感情(自己肯定感)が低い大人」になりやすいと考えられています。
無価値感(むかちかん):「自分になんか価値がない」「自分はどうせ駄目なんだ」というように、自分の能力を過小評価したり、存在意義を否定したりする感情。
引用元:無価値感
自尊感情とは、「自分に価値があると思える感覚」のことで、自己肯定感の土台となる木の「根」にあたります。
自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する、好意的に受け止めることができる感覚」のことです。他人と比較するのではなく、そのままの自分を認め、尊重し、自己価値を感じることができる心の状態を指します。人間関係やパートナーシップ、仕事や自己実現においても、自己肯定感が土台となり、幸福に大きく影響する感覚です。
なお、「ロストワンの女性」が「母親との関係性」から身に付ける「恋愛思考パターン」とは、以下のように考えられます。
POINT
- 「自分は価値のない人間だから母親に放っておかれたんだ、価値のない自分はどうせ誰からも関心を持たれない」
- 「自分はダメな人間だから母親に放っておかれたんだ、ダメな自分はどうせ誰からも大切にされない」
このように「ロストワンの女性」は、子どもの頃に「生まれて初めて接した同性の先輩(母親)に放置された」という「体験」を積んだことにより、「自分は価値のない人間なんだ、自分はダメな人間なんだ」という「思い込み」をするようになり、その後も「母親との関係性」において「自分の母親にすら放っておかれたのだから、どうせ自分は誰からも関心を持たれないだろう、どうせ自分は誰からも大切にされないだろう」という思考パターンを繰り返すようになり、結果、「自分が傷つかないためには、恋人に関心を持たれすぎない方がいい、恋人を信頼しすぎない方がいい」という「恋愛思考パターン」を身に付けていくと考えられています。
②「父親との関係性」の影響
「ロストワンの女性」にとって、「父親」は生まれてはじめて接した「年上の異性」であり、子どもの頃の「異性の親(父親)との関係性」は「ロストワンの女性の恋愛思考パターン」に大きな影響を与えていると考えられています。
異性の親との関係は、恋愛に影響する…(中略)…基本的に男性なら母親、女性なら父親が、生まれて初めて接する年上の異性になります。その時に受けた、包容力、安心感、信頼感が、成長したのちの異性に求めるものと一致するようです。健全な関係を築けているのなら…(中略)…女の子は「パパのお嫁さんになる!」と言ったりしますね。ただ、もし健全な関係を築けていないとすると…(中略)…女性なら男性をとても怖がってしまったりします。
このように、子どもの頃に「異性の親と健全な関係性」を築けている場合、女の子は大人になって「父親に似た男性に惹かれる」ようになり、子どもの頃に「異性の親と健全な関係性」を築けていない場合、女の子は大人になって「男性を怖がる」ようになると考えられています。
以上のことから、「子どもの頃の異性の親との関係性が恋愛思考パターンに与える影響」とは、主に以下の「2つ」が考えられます。
POINT
- 子どもの頃、父親に「情緒的な支持」をしてもらえた「女性」は、大人になって父親のような男性に惹かれる
- 子どもの頃、父親に「情緒的な支持」をしてもらえなかった「女性」は、大人になって父親のような男性との付き合いを避ける
そして、「ロストワンの父親」とは、「家庭に不在がちな父親」であったり「子どもと関わろうとしない父親」である場合が多く、「夫婦関係・親子関係(家庭・育児)から逃げる」場合が多いと考えられています。
なお、「ロストワンの父親の様子」とは、主に以下の具体例があげられます。
POINT
- 父親は仕事に没頭して家庭に不在がちで、子どもに無関心だった
- 父親は夫婦関係が不仲なため家庭に不在がちで、子どもに無関心だった
- 父親は自分の負担を減らすために、優秀な子どもだけに関心を持ち、他の子どもには無関心だった
- 父親は自分の負担を減らすために、そもそも子どもと関わろうとしなかった
このように「ロストワンの父親」とは「子どもに無関心」である場合が多く、「ロストワンの女性」は、子どもの頃、父親から「情緒的な支持(愛着の形成)をしてもらえなかった」ことになります。
ですので、子どもの頃、父親から「情緒的な支持(愛着の形成)」をしてもらえなかった「ロストワンの女性」は、大人になって「男性に対する警戒感」を持つようになると考えられています。
なお、「ロストワンの女性」が「父親との関係性」から身に付ける「恋愛思考パターン」とは、以下のように考えられます。
POINT
- 「生まれて初めて接した男性(父親)は、自分に関心を持ってくれなかった」
- 「男性(父親)には心を傷つけられるばかりだった」
- 「父親ですら自分を傷つけてくるのだから、父親以外の男性も自分を傷つけてくる可能性が高い」
- 「男性に傷つけられないためには、男性をあまり信用しない方がよい」
このように「ロストワンの女性」は、子どもの頃に「生まれて初めて接した男性(父親)に関心を持ってもらえなかった」という「体験」を積んだことにより、「男性(父親)には心を傷つけられるばかりだ」という「失敗予測」をするようになり、その後も「父親との関係性」において「父親ですら自分を傷つけてくるのだから、父親以外の男性も自分を傷つけてくる可能性が高い」という思考パターンを繰り返すようになり、結果、「男性に傷つけられないためには、男性をあまり信用しない方がよい」という「恋愛思考パターン」を身に付けていくと考えられています。
③「両親との関係性」
そもそも、ロストワンが「いない子」を始める理由は、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負ったことが根本的な原因です。
なお、家庭において以下の「根本的な願い」が満たされなかったとき、子どもは「トラウマ」を負うと考えられています。
POINT
- だれかの期待にこたえるためではなく、ありのままの自分として大切にされる
- 親の欠損を埋め合わせるための存在ではなく、その子自身として慈しまれる
- 安全で、安定していて、温かさのある環境で、無条件に愛される
ロストワンをはじめ、アダルトチルドレンの原因となる「機能不全家族」とは、上記の「根本的な願い」が満たされない家庭であり、子どもが「トラウマ」を負いやすい家庭と言えます。
なお、「ロストワンが生まれる原因となる機能不全家族の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 親が子どもに対して関心が薄い(ネグレクト・育児放棄)
- 親が子どもに対して干渉しすぎる(過干渉・過保護)
- 親の愛情が「兄弟姉妹」で平等ではない(きょうだい差別)
そして、子どもが「トラウマ」によって抱える「負の感情」のひとつに「見捨てられ不安」があります。
「見捨てられ不安」とは、「愛情不足」の子どもが感じる「強い孤独感」であり、身の危険を感じている「強い危機感」のあらわれでもあります。
また、「見捨てられ不安」とは「何としても見捨てられないようにするための強い不安」とも言えますし、「見捨てられること・孤独になることを何としても避けようとする強い警戒心」とも言えます。
ですので、人は「見捨てられ不安」を感じると「強い精神的ストレス」に襲われるため居てもたってもいられなくなり、「見捨てられ不安」を和らげるために、衝動的にさまざまな「防御行動」をとるという特徴があります。
【見捨てられ不安とは?】見捨てられること、自分から人が離れてしまうことに強い不安を感じます。見捨てられたくない相手は、恋愛相手、友人、親、職場の人間などで、人から嫌われたくないため、様々な防衛行動を起こします。
ですので、親子・家族・友達・恋愛・夫婦・仕事など人間関係において、「ロストワンの女性」が「自分に対して無関心な雰囲気」や「自分の感情を否定・無視・干渉・詮索してきそうな雰囲気」を感じると居てもたってもいられなくなり、「周囲に迷惑を掛けないよう、自我(自分の気持ち・意見)を抑え込む」あるいは「周囲に傷つけられないよう、離れて一人で過ごす」という点は、自らの「見捨てられ不安」を和らげるための「防御行動」と考えることができます。
反対に言えば、ロストワンである子どもは「自分の負担を減らすために子どもを放置する母親」と「子どもに無関心な父親」という「子育てから逃げてばかりで協力し合おうとしない両親の関係性」を、子どもの頃から見聞きしてきたことになります。
以上のことから、「ロストワンの女性」が「両親との関係性」から身に付ける「恋愛思考パターン」とは、以下のように考えられます。
POINT
- 「母親は父親と協力し合おうとしない」
- 「母親は父親と親密な関係になろうとしない」
- 「母親と同じように、自分も恋人と親密な関係にならない方がいい」
なお、子どもが成長過程において「親の思考・行動パターン」を「模倣」することで生き方を学習することを「モデリング」と言います。
心理学においてモデリング(英: Modelling)とは、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることである。人間(主に子供)の成長過程では、モデリングにより学習・成長するとされている。
引用元:モデリング (心理学)
このように、ロストワンは、子どもの頃に身近に感じていた「父親と協力し合おうとしない母親の様子」を「モデリング(学習)」し、大人になって無意識に「模倣」することになり、結果、「恋人と親密な関係になることを避ける」という「恋愛思考パターン」を身に付けていくと考えられています。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)が生まれる原因
ロストワンが生まれる原因は、「機能不全家族」で育ったことにより、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負ったことが根本的な原因です。
なお、「ロストワンが生まれる原因となる機能不全家族の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 親が子どもに対して関心が薄い(ネグレクト・育児放棄)
- 親が子どもに対して干渉しすぎる(過干渉・過保護)
- 親の愛情が「兄弟姉妹」で平等ではない(きょうだい差別)
また、子どもが「トラウマ」によって抱える「負の感情」のひとつに「見捨てられ不安」があります。
ロストワンは、「親が自分の気持ちや意見を尊重しない様子」に対して「見捨てられ不安」を感じやすいため、「自分の気持ちや意見を『否定・無視・干渉・詮索』してくる親」を見ると「見捨てられ不安」を感じて居てもたってもいられなくなり、「自分の存在感を消す(自我を抑え込む・一人で過ごす)ことで親の負担を減らそう(親に迷惑を掛けないようにしよう)」と自ら進んで「いない子」を演じるようになると考えられています。
そして、家族のなかで「いない子」を演じ続けているうちに「無意識の思考パターン(習慣)」として「潜在意識」に根付き、大人になっても「いない子」を演じ続けていると考えられます。
以上のことから、「ロストワンが生まれる原因」として、以下のような「流れ」が考えられます。
POINT
- 「愛情不足」により「見捨てられ不安」を感じる
- 「見捨てられ不安」を和らげるために「いない子」を演じる
- 「いない子」を演じることで「自分の存在価値」を感じる
- 「自分の存在価値」を感じるために「いない子」を演じ続ける
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛思考パターン」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ロストワン(いない子)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ロストワン(いない子)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛思考パターン」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の女性の恋愛思考パターン」としては、以下の点があげられます。
- POINT恋愛関係の築き方を「愛着スタイル(恋愛思考パターン)」と言う
- ロストワンの女性は「母親との関係性」から、どうせ自分は誰からも大切にされないと感じる
- ロストワンの女性は「父親との関係性」から、男性への警戒感を持つ
- ロストワンの女性は「両親との関係性」から、恋人と親密な関係になることを避ける
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の『女性』の恋愛思考パターン」という記事でした。