POINTロストワンタイプ(いない子)の恋愛傾向は、①恋愛に息苦しさを感じる、②親密になることを避ける、③会話が苦手、④感情を自由に表現させてくれる人を信用する、⑤恋愛トラブルに巻き込まれない、⑥冷たい人だと誤解される、⑦無視・過干渉・不平等を極端に嫌う、⑧自立した関係を好む、⑨一途な恋愛を好む、などがあげられます。
心理カウンセラーの寺井です。
恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には人それぞれの特徴があり、心理学では「愛着スタイル」と言います。
とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
ロストワン(ロストチャイルド・ロンリー)タイプ(以下「ロストワン」と言う。)は、子どもの頃から「機能不全家族」という「厳しい環境」を生き延びるために、「自分存在感を消す(いない子を演じる)」ことで家族の負担を減らしてきたため、大人になっても「自分の感情(気持ちや意見)を抑え込む」あるいは「人と関わることに息苦しさを感じる」という点が最大の特徴です。
ですので、ロストワンは「恋愛関係」においても「自分の感情(気持ちや意見)を殆ど話さない」あるいは「恋人と親密になることを避ける」という傾向があり、子どもの頃と同じように「いない子(存在感の薄い人)」になりやすいという傾向があります。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『恋愛傾向』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『心理的特徴』と『人間関係の特徴』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「恋愛傾向」について解説していきます。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「恋愛傾向」
前述の通り、ロストワンの「恋愛思考パターン(愛着スタイル)」は、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響しています。
また、ロストワンは子どもの頃から「機能不全家族」という「厳しい環境」を生き延びるために、自我(自分の気持ち・意見)を抑え込んだり、親から離れて一人で過ごすなど、「自分存在感を消す(いない子を演じる)」ことで家族の負担を減らしてきました。
ですので、ロストワンは「機能不全家族で育った影響」により、大人になって「自分の感情(気持ちや意見)を抑え込む」あるいは「人と関わることに息苦しさを感じる」という特徴があり、「恋愛関係」においても「自分の感情(気持ちや意見)を殆ど話さない」あるいは「恋人と親密になることを避ける」という傾向があります。
よって、ロストワンは大人になってからの「恋愛関係」においても、子どもの頃と同じように「いない子(存在感の薄い人)」になりやすいという傾向があります。
なお、ロストワンは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられていることから、本記事では「ロストワンの『男女』に共通する恋愛傾向」を「軸」に解説していきます。
また、「ロストワンの恋愛傾向」は、主に以下の「9つ」があげられます。
POINT
- 恋愛に息苦しさを感じる
- 恋人と親密になることを避ける
- 会話は苦手だが、時間を掛けて丁寧に感情を言葉にする
- 感情を自由に表現させてくれる人を信用する
- 恋愛トラブルに巻き込まれない
- 冷たい人だと誤解される
- 「無視・過干渉・不平等」を極端に嫌う
- お互いに自立した恋愛関係を好む
- 不器用だが一途な恋愛を好む
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①恋愛に息苦しさを感じる
ロストワンは、子どもの頃に親から「過干渉・過保護」を受けたことで「トラウマ(心の傷)」を負い、その影響で、親に心を傷つけられないよう、親から離れて一人で過ごすことが多かったため、大人になってからも「一人で過ごすことで心の安全を守ろうとする」という特徴があります。
反対に言えば、ロストワンは「一人で過ごすことで心の安全を守ろうとする」反面、「人と関わること(一人で過ごせないこと)に息苦しさを感じやすい」と考えられており、その影響で「恋愛関係にも息苦しさを感じやすい」と考えられています。
なお、人との関りにおいて「息苦しさ」を感じるか?感じないか?の限界範囲のことを「パーソナルスペース(対人距離)」と言います。
パーソナルスペース(Personal space)とは、R・サマーという心理学者が提唱したもので、対人距離とも呼ばれ、他者が自分に近づくことを許せる限界の範囲、すなわち心理的な縄張りのことです。人間も動物と同じように、自分の縄張りに勝手に他人が侵入してきてしまうと不快感を覚えます。
「パーソナルスペース」とは、「普通はこれくらいだ!」といった「人間として固定された範囲」というものはなく、人それぞれの「感覚」によるものですが、ロストワンは「人と関わることに息苦しさを感じやすい」ことから、「パーソナルスペースが一般的な感覚よりかなり広い」と考えることができます。
なお、「パーソナルスペース(対人距離)が広いロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人がいても、定期的に「一人の時間」を持とうとする
- 自分からは連絡しない、自分からは仲良くなろうとはしない
- とやかく干渉されることを極端に嫌がる
- いろいろ聞かれることを極端に嫌がる
- 「ほっといてほしい」という言葉を口にする
このように、ロストワンは「恋愛においてもパーソナルスペース(対人距離)を広くとる」ため、相手は「自分は嫌われているのではないか?」という誤解をしがちです。
ですが、ロストワンは決して相手を嫌っているというわけではなく、「機能不全家族で育った影響」によって「図らずも恋愛に息苦しさを感じやすい性格」となってしまったため、「相手と良好な関係を継続するために、あえて相手との対人距離を広くとって精神のバランスを調整している」と言い換えることができます。
このように、ロストワンとは「恋人との恋愛関係を破綻させるために対人距離を広くとる」のではなく、「恋人との恋愛関係を継続させるために対人距離を広くとる」という点が特徴的と言えます。
以上のことから、「恋愛に息苦しさを感じる」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
②恋人と親密になることを避ける
ロストワンは、子どもの頃に親から「自分の気持ちや意見を否定されたり無視された」ことで「トラウマ(心の傷)」を負い、その影響で、親に心を傷つけられないよう、自分の存在感を消す(自分の気持ち・意見を抑圧する)ことが多かったため、大人になってからも「自分の存在感を消す(自分の気持ち・意見を抑圧する)ことで心の安全を守ろうとする」という特徴があります。
反対に言えば、ロストワンは「自分の存在感を消す(自分の気持ち・意見を抑圧する)ことで心の安全を守ろうとする」反面、「自尊感情(自己肯定感)が低くなる」と考えられており、その影響で「どうせ自分なんて価値がない」という「無価値感を感じやすくなる」と考えられています。
無価値感(むかちかん):「自分になんか価値がない」「自分はどうせ駄目なんだ」というように、自分の能力を過小評価したり、存在意義を否定したりする感情。
引用元:無価値感
なお、「恋愛関係でロストワンが感じる無価値感」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「自分は価値の無い人間だから、どうせ大切にされない」
- 「自分はダメな人間だから、どうせ裏切られる」
このように、ロストワンは恋愛関係において「恋人に裏切られることに対して強い恐れを感じる」という特徴があり、「『恋人と親密になりたい気持ち』と『親密になった恋人に裏切られることへの恐れ』が激しく『葛藤』しやすい」という傾向があります。
そのため、ロストワンは「葛藤することへの苦しさ」や「裏切られることへの恐れ」から逃れるために、「親密になったあとに裏切られて傷つくぐらいなら、親密にならないほうが安全だ」と考え、「あえて恋人と親密になりすぎないことで、心の安全を守ろうとする」という特徴があります。
なお、ロストワンのように「恋愛関係において、あえて恋人と親密になることを避ける傾向」を「回避型愛着スタイル」と言います。
「回避型」愛着スタイルはその名の通り、人との関係性において、感情的な親密さを持つことを避ける傾向のこと。「回避型」愛着スタイルの人は愛着を持って近づくことを避け、他人とある程度の距離を置くことを好みます
反対に言えば、ロストワンは恋人と「適度な距離感」が保たれていれば極めて「穏やかな性格」で問題はないのですが、「恋人と親密になりすぎると『裏切られることへの恐れ』が強くなり、精神的に不安定になる」と言い換えることができます。
以上のことから、「恋人と親密になることを避ける」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
③会話は苦手だが、時間を掛けて丁寧に感情を言葉にする
ロストワンは、子どもの頃に親から「自分の気持ちや意見を否定されたり無視される」ことが多かったため、大人になってから「人とのコミュニケーションに対して苦手意識を感じやすくなる」と考えられおり、とくに「話す(会話する)ことに対して焦りや不安を感じやすくなる」と考えられています。
なお、「話すことが苦手なロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 何かを話そうとしても、のどが詰まったように会話が続かない
- 何かを話そうとしても、頭が真っ白になったように会話が続かない
- 何かを話そうとしても、顔が赤くなってしまい会話が続かない
- 何かを話そうとしても、オドオドして会話が続かない
このように、ロストワンは「何かを話そうとすればするほど自分の話を相手に伝えられなくなってしまう」ことが多いため、恋愛関係においても「会話が続くなってしまうことが多い」と考えられています。
なお、「会話が続かないロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分から話すことは殆どしない、恋人に何かを聞かれるまでずっと黙っている
- 自分から「寂しい・嬉しい」などの感情表現は殆どしない、恋人に「寂しいの?嬉しいの?」と聞かれたときだけ「うん」とうなずく
- 自分から「好きだ・愛してる」などの愛情表現は殆どしない、恋人に「好きなの?愛しているの?」と聞かれたときだけ「うん」とうなずく
このように、ロストワンは「感情表現」や「愛情表現」を殆どしないため、恋人は「相手の気持ち(ロストワンの気持ち)」がわからずヤキモキしてしまい、「ちゃんと話して!」「しっかりして!」「オドオドしないで!」「何を考えているかわからない!」など、ロストワンを問い詰めてしまう場合があります。
ですが、ロストワンは恋人から問い詰められればられるほど「話す(会話する)ことへの焦りと不安」が強まってしまい、かえって「会話ができなくなってしまう」という悪循環に陥ってしまうと考えられています。
確かに、周りから見るとロストワンは「何を考えているかわからない人」に映る場合があります。
ですが、実際にはロストワンは「感受性が豊かな人」である場合が多く、「感受性が豊かなぶんだけ、自分の感情は時間を掛けて丁寧に言葉にすることを好む」と考えられています。
ですので、「ロストワンが時間を掛けて丁寧に感情を言葉にする」ことを見守って待ってあげることができれば、「ロストワンの豊かな感受性と愛情」を感じることができ、その影響で「深い信頼関係を築ける」場合があります。
以上のことから、「会話は苦手だが、時間を掛けて丁寧に感情を言葉にする」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
④感情を自由に表現させてくれる人を信用する
このように、ロストワンは「自分の感情(気持ちや意見)を話すことへの苦手意識を持っている」という点が特徴的です。
なお、「ロストワンが感じる『自分の感情(気持ちや意見)を話すことへの苦手意識』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「自分の気持ちや意見」を話しても、どうせ聞いてもらえない
- 「自分の気持ちや意見」を話しても、聞いてもらえず自分の心が傷つくだけだ
- 「自分の気持ちや意見」を話せば話すほど、自分の心が傷ついてしまう
- 「自分の気持ちや意見」を話さない方が、自分の心が傷つかずに済む
- 自分の心が傷つかないようにするためには、「自分の気持ちや意見」を話さないほうがいい
このように、ロストワンは恋愛関係においても「自分の感情(気持ちや意見)」を殆ど話さないため、恋人からは、ロストワンは「感情が乏しい人」に映る場合があります。
ですが、「自分の感情(気持ちや意見)」を話さないからと言って、ロストワンは「感情が乏しい」わけではなく、むしろその逆で、ロストワンは「話すことで感情を表現する」ことは少ないものの、内面には豊かな感受性を秘めている場合が多いと考えられており、「自分の感情を内面に留めるぶんだけ感受性が豊かになり、創造力・空想力・発想力など柔軟に物事を考える力が自然に養われる」と考えられています。
なお、「感受性が豊かなロストワンが得意とする感情表現」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「詩・小説・脚本・絵画・彫刻・建築・演技・ダンス・音楽・映像」など「芸術表現」が得意
- 「イラスト・漫画・ゲーム・料理・模型・工芸・手芸・服飾・動画」など「モノづくり」が得意
このように、感受性が豊かなロストワンは「話すことによる感情表現が苦手」である反面、「『芸術表現』や『モノづくり』による感情表現が得意」という特徴があり、ロストワンの恋愛は「世間一般の『流行』や『常識』などの価値観」では推し量れない「情緒豊かな独特な傾向がある」と言い換えることができます。
また、ロストワンは「自分の感情(気持ちや意見)」を殆ど話さないためわかりずらいのですが、内面には「『自分を信用してほしい!』という強い気持ちを秘めている」と考えられています。
くわえて、ロストワンは感受性が豊かなぶんだけ「自分の感情をたくさんの時間を掛けてゆっくりと誠実に表現することを好む」ため、恋愛関係において「自分の感情を自由に表現させてくれる人ほど信用する」という傾向があります。
なお、「ロストワンが信用しやすい人」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分の感情表現を邪魔しない人
- 自分の感情表現を見守ってくれる人
- 自分の感情を素直に表現させてくれる人
- 自分の感情をゆっくり表現させてくれる人
このように「自分の感情を自由に表現させてくれる相手」とのあいだであれば、ロストワンは「深い信頼関係」を築くことができ、相手とのリズムが噛み合えば、「豊かな感受性によって生み出される、情緒的な繋がりの深い素晴らしい恋愛関係に発展する」と考えられています。
以上のことから、「感情を自由に表現させてくれる人を信用する」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
なお、「ロストワンが持つ豊かな感受性」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑤恋愛トラブルに巻き込まれない
ロストワンは、人間関係全般において「他者への防衛的な気持ちを強く感じる」という特徴があり、その影響で、恋愛関係においても「恋人に依存したり執着することが殆どない」と考えられています。
そして、ロストワンは「恋人に依存したり執着したりすることが殆どない」ぶんだけ、「恋愛トラブルを冷静に回避できることが多い」と考えられています。
なお、恋人を自分の思い通りに支配・コントロールしようとするなど「恋愛トラブルの原因」となる態度や行動を「デートDV(恋人支配行動)」と言います。
デートDVは、カップル間で起こる暴力のことです。「愛しているなら、相手が自分の思いどおりになるのが当然」と考え、コントロールしようとする態度や行動のことをいいます。
恋愛関係の中では様々な問題行動が生じる。…(中略)…様々な行動から恋人の行動を制限しようとする試みを“恋人支配行動”と命名している。…(中略)…恋人支配行動には「暴力的支配行動」と「束縛的支配行動」の 2 つが見出されている。
このように恋愛関係において、恋人に対して「ずっと一緒にいたい!絶対に失いたくない!」という気持ち(執着)が強くなりすぎると、「自分のことを愛しているのだから、恋人が自分の思いどおりになるのは当然」という「偏った考え方」に陥ってしまい、恋人を「暴言・暴力」によってコントロールしようとしたり、恋人を「束縛・監視」によってコントロールするなど「恋人支配行動(デートDV)」に発展してしまう場合があります。
このとき、「恋人支配行動(デートDV)」を受けた側が「依存心が強い人」であった場合、ものごとを冷静に考えることができず、恋人が行う「暴言・暴力」や「束縛・監視」に逆らえずに屈してしまい、心と体を深く傷つけられてしまうなど「恋愛トラブル」に発展してしまう場合が多いです。
ですが、前述の通り、ロストワンは「他者に傷つけられることへの恐れ(他者への防衛的な気持ち)」が非常に強く、恋愛関係においても「恋人に依存したり執着することが殆どなく、ものごとを冷静に考えることができる」ため、「『恋人支配行動』に巻き込まれることが殆どなく、恋人に傷つけられることが殆どない」と考えられています。
なお、「『恋人支配行動』に傷つけられないロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「暴言・暴力」など「高圧的な態度」を少しでも感じると、直ちに恋愛関係を解消して一人になり身を守る
- 「束縛・監視」など「粘着質な態度」を少しでも感じると、直ちに恋愛関係を解消して一人になり身を守る
このように、ロストワンは「他者に傷つけられることへの恐れ(他者への防衛的な気持ち)」が非常に強いため、「ものごとを冷静に見極めることができ、恋人の支配行動に屈することなく、恋愛トラブルを冷静に回避できることが多い」と考えられています。
以上のことから、「恋愛トラブルに巻き込まれない」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑥冷たい人だと誤解される
このように、ロストワンは「恋愛トラブルを冷静に回避できる能力(優れた危機回避能力)」を持っていると考えられており、とくに「『自分はかわいそうなだと思っている人(自己憐憫に浸る人)』や『自分は被害者だと思っている人(被害者意識が強い人)』など『依存心が強い人』」に対して安易に『同情』しない」という点が特徴的です。
自己憐憫とは、自分を哀れみかわいそうだと思い込むこと。自己憐憫に陥る人は被害者意識が強く、他人の同情を期待する傾向があるため、周囲には困った存在と見なされる場合があります。
「被害者意識」とは、実際被害がないにもかかわらず「自分は不当な扱いを受けている」「自分こそが被害者だ」と思い込む心理状態を意味します。被害者意識の強い人は、相手の言動によって「自分が」被害を受けていると勝手に判断しています。
また、「自己憐憫」や「被害者意識」など、あえて恋人を困らせる行動をとることで、恋人の同情を引こうとする行為を「試し行為(試し行動)」と言います。
試し行為とは、相手がどれだけ自分に尽くしてくれるかを試す行為。幼少期に親からの愛情が不足していたことが原因と言われており、自己肯定感が異常に低い人によく見られる行動です。
なお、「『試し行為(試し行動)』に振り回されないロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人に脅されても泣き叫ばれても、慌てた様子を見せない
- 恋人に言いくるめられそうになっても、黙って聞き流す
- 恋人に揶揄されたり嫌がらせを受けても、挑発に乗らない
- 恋人に重い責任を押し付けられそうになると、その場を逃げ出す
このように、ロストワンは「試し行為(試し行動)に振り回されることがない」ため、「依存心が強い人(恋人に依存したい人・恋人の同情を引きたい人)」には「苦しんでいる自分に同情してくれない冷たい人」あるいは「自分の気持ちを察してくれない冷たい人」と思われてしまう場合が多いようです。
また、「依存心が強い人(恋人に依存したい人・恋人の同情を引きたい人)」のなかには、「ロストワンに同情してもらえないこと」や「ロストワンに気持ちを察してもらえないこと」に疲労してしまう人も多いため、「言わなくてもわかってほしい」「かわいそうだねって慰めてほしい」「自分の気持ちを察してほしい」など、「自分の気持ちを自分で伝えようとはせず、自分の気持ちを恋人に察してもらおうとする人(依存心が強い人)」にとっては「ロストワンとの恋愛は不向き」と言えます。
以上のことから、「冷たい人だと誤解される」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑦「無視・過干渉・不平等」を極端に嫌う
ロストワンをはじめとする「アダルトチルドレン」は、子どもの頃、親や家族との間で「トラウマ(心の傷)」を負い、大人になっても「幼少期に負ったトラウマの影響を受け続けている人」を指します。
なお、「ロストワンが抱える『幼少期トラウマ』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 親から「ネグレクト・育児放棄」をされたことによる「幼少期トラウマ」
- 親から「過干渉・過保護」をされたことによる「幼少期トラウマ」
- 親から「きょうだい差別」をされたことによる「幼少期トラウマ」
また、子どもの頃に「幼少期トラウマ」を負ったことが原因で、大人になって、恋愛をはじめとする対人関係において様々な支障が出ることを、精神医学では「複雑性PTSD」と診断する場合があります。
複雑性PTSDとは、幼少期からの虐待経験やいじめなど長期的かつ反復的に逃れがたい状況や体験をし、身体的・精神的症状が生じることを指します。PTSDの症状に加えて、感情的なコントロールの困難さから慢性的に対人関係に支障が出ると言われています。
なお、「ロストワンが抱える『幼少期トラウマ』が恋愛関係に与える影響」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「ネグレクト・育児放棄」をされた影響
「自分の話を聞かない恋人の態度」や「自分の気持ちを無視する恋人の態度」に「強い精神的ストレス」を感じる - 「過干渉・過保護」をされた影響
「執拗に干渉してくる恋人の態度」や「執拗に詮索してくる恋人の態度」に「強い精神的ストレス」を感じる - 「きょうだい差別」をされた影響
「不平等な恋人の態度」や「不条理な恋人の態度」に「強い精神的ストレス」を感じる
このように、ロストワンは「幼少期トラウマ」の影響により、恋人から「無視される・干渉される・詮索される・見下される」ことに対して「強い精神的ストレス」を感じると考えられています。
ですが、ロストワンは「自分の感情(気持ちや意見)を話すことへの苦手意識」が強いため、恋愛関係において「恋人に対する不満(精神的ストレス)」を感じたとしても、恋人に話すことができず、黙って我慢を続けてしまう傾向があります。
そうすると、ロストワンは「恋人に対する不満(精神的ストレス)」を心に溜め込み続けることになってしまい、「恋人に対する不満(精神的ストレス)」が限界に達した場合、恋人から遠ざかることで「精神的ストレス」を和らげようとする傾向があります。
なお、「ストレスが限界に達したとき、ロストワンがとる行動」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 突然、何の連絡もなくデートをすっぽかす
- 突然、何の相談もなくその場を立ち去る
- 突然、LINE・メール・電話での連絡が取れなくなる
- 突然、何の連絡もなく引っ越してしまい、行方知れずとなる
このように、ロストワンは「幼少期トラウマの影響」により、恋人から「無視される・干渉される・詮索される・見下される」ことに対して「複雑性PTSDの症状」が強く出やすいと考えられています。
以上のことから、「『無視・過干渉・不平等』を極端に嫌う」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
ちなみに、「突然、音信不通・行方不明になる」という点は、「回避依存症:脱走者タイプの恋愛傾向」と一致します。
なお、「回避依存症:脱走者タイプの恋愛傾向」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑧お互いに自立した恋愛関係を好む
ロストワンをはじめとする「アダルトチルドレン」は、子どもの頃、親から十分な愛情を得られないまま大人へと成長している場合が多く、その影響で、大人になってから「人間関係全般において共依存に陥りやすい」と考えられています。
アダルトチルドレンの最大の特徴は、自尊心や自己肯定感の低さです。これによって、共依存しやすい傾向にあるのも特徴と言えるでしょう。共依存とは、自分自身に向き合っておらず、自分の価値を周囲に決めてもらおうとすることです。…(中略)…アダルトチルドレンと共依存は、とても密接に関係しているのです。
このように、子どもの頃に「親」から十分な「愛情」を得られなかった「アダルトチルドレン」は、大人になったあと「親」から得られなかった「愛情」を「恋人」を親代わりにして埋め合わせようとするなど「親代わり恋愛」に陥りやすいと考えられており、子どもの頃に「親子関係」で満たせなかった「甘え欲求(親に甘えたかった気持ち)」や「承認欲求(親に褒められたかった気持ち)」を、大人になってから「恋愛関係」で満たそうとすると考えられています。
なお、子どもの頃に満たせなかった「甘え欲求」を恋人に依存することで満たそうとしたり、子どもの頃に満たせなかった「承認欲求」を恋人に依存されることで満たそうとする恋愛関係を「共依存恋愛」と言います。
共依存恋愛とは、自分を犠牲にして相手に尽くす人と、尽くしてくれる相手に依存している人との恋愛関係のことです。…(中略)…そして片方だけが依存しているだけでなく、お互いに依存している関係のことを共依存恋愛と呼ぶのです。
このように、「アダルトチルドレン」は「親からの愛情が不足したまま大人になった人」であるため、大人になってから「共依存恋愛に陥りやすい」と考えられています。
ですが、前述の通り、ロストワンはそもそも「恋愛に息苦しさを感じやすく、恋人と親密になることを避ける」という特徴があるため、「『恋人に依存すること』や『恋人に依存されること』を極端に嫌う」という点が特徴的です。
ですので、「アダルトチルドレンタイプ」のなかでも「ロストワン」だけは「共依存恋愛に陥ることは殆どない」と考えられており、「アダルトチルドレンタイプ」のなかでも「特異な存在」と考えられています。
このように「共依存恋愛と無縁のロストワン」は、「共依存恋愛を望む人」には「自分の思い通りにならない面倒な人」に映る反面、「共依存恋愛を嫌う人(精神的に自立した関係を望む人)」には「好印象」に映る場合があります。
なお、「精神的に自立した人同士が協力しあう恋愛関係(共依存恋愛の反対の恋愛関係)」を「相互依存」と言います。
相互依存とは、心地よい距離感を持った自立している者同士が、尊重し協力し合う関係です。…(中略)…共依存は、自立していない者同士の組み合わせです。自分の安心のために相手にしがみつき、足を引っ張り合うような関係性です。
このように、ロストワンは「恋愛関係において適切な対人距離(パーソナルスペース)が保たれてさえいれば、穏やかな性格で問題なく過ごせる」という特徴があり、とくに「恋愛関係において『束縛・差別・不平等』を嫌う反面、『自由・対等・平等』を好む」という点が特徴的です。
ですので、ロストワンと同じように「『自由・対等・平等』を好む人たち(精神的に自立できている人)」とのあいだでは、ロストワンは「『相互依存(相互協力)の良好な恋愛関係を築けることが多い」と考えられています。
以上のことから、「お互いに自立した恋愛関係を好む」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑨不器用だが一途な恋愛を好む
ロストワンは、子どもの頃から「親に大切にしてもらえなかった」あるいは「親に関心を持ってもらえなかった」という経験を多くしているため、「人に大切にされること」や「人に関心を持たれること」に対して「非常に不慣れである」という点が特徴的です。
なお、「大切にされることや関心を持たれることに不慣れなロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- ロストワンにプレゼントや贈り物をすると、「ロストワンは喜ぶというより、とても戸惑ってしまう」場合がある。これは決してあなかたからのプレゼントが嬉しくないから戸惑っているのではなく、ロストワンは今まで一人で過ごすことが多かったため、「誰かからプレゼントや贈り物をもらった経験が少なく、不慣れなために戸惑っている」場合が多い
POINT
- ロストワンである恋人を自分の友人に紹介しようとすると、「ロストワンは頑なに嫌がる」場合がある。これは決してあなたの友人に会いたくないから嫌がっているのではなく、ロストワンは人と話すことや人と関わることが苦手なため、「あなたの友人をかえって嫌な気分にさせてしまうのではないか?と、あなたを心配して遠慮している」場合が多い
このように、ロストワンは「誰かに何かをしてもらえることに期待して、多くの人たちと薄く広く関わろうとする」より、「自分らしく過ごすために、限られた人たちと深く関わろうとする」という傾向があります。
ですので、「関わる人を最小限に抑える」ことを望むロストワンは、恋愛・結婚において「浮気・不倫」をすることは殆どなく、「不器用ながらも一途な恋愛を好む」と考えられています。
以上のことから、「不器用だが一途な恋愛を好む」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「恋愛思考パターン」
アダルトチルドレンに限らず、恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には、人それぞれの特徴があります。
なお、恋愛をはじめ「親子・家族・友人・夫婦・職場」などの「人間関係の築き方」の人それぞれの特徴を、心理学では「愛着スタイル」と言い、とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
「愛着スタイル」とは、恋愛を含む人間関係において、人とどんな結びつきを持ちたいのか、どのような関係が心地よく感じるのかを表す傾向を指します。…(中略)…この傾向は、幼少期の保護者との関係が大きく影響している。
以上のことから、ロストワンを始めとする「アダルトチルドレンの恋愛傾向」には、「機能不全家族」で育った影響が密接に関わっていると言えます。
とくに、ロストワンの両親は「自分の負担を減らすために子どもを放置する母親」と「子どもに無関心な父親」という「子育てから逃げてばかりで協力し合おうとしない関係性」であった場合が多く、その影響で、ロストワンは子どものことから「両親の負担」を減らすために「自我(自分の気持ち・意見)を抑え込む」あるいは「一人で過ごす」など「おとなしい性格」になる場合が多いです。
ですが、ロストワンは周りからは「おとなしい性格」に見えるものの、内面には「豊かな感受性」をひた隠しにしている場合が多く、その影響で、恋愛関係において「自分の内面(自分の感情)を否定・無視・干渉・詮索されるこを極端に避ける」という点が特徴的と言えます。
そして、恋愛において、ロストワンがさまざまな問題に巻き込まれてしまう根本原因には、子どもの頃に「機能不全家族で育った影響」が密接に関わっており、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
なお、ロストワンは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられています。
よって、本記事では「ロストワンの恋愛思考パターン」について、以下のように「男女」それぞれにわけて解説していきます。
POINT
- 「ロストワンの『男性』の恋愛思考パターン」
- 「ロストワンの『女性』の恋愛思考パターン」
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①ロストワン(いない子)の「男性」の恋愛思考パターン
「ロストワンの『男性』の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「子どもを放置する母親」あるいは「他のきょうだいと差別する母親」あるいは「過干渉・過保護な母親」との関係性から「母親に傷つけられることへの恐れ」を抱くようになり、大人になって「女性に傷つけられる(否定・無視・干渉・詮索される)」ことを極端に恐れるようになる - 父親との関係性の影響
「子どもに無関心な父親」あるいは「他のきょうだいと差別する父親」あるいは「家庭に不在がちな父親」との関係性から「無価値感」を感じるようになり、大人になって「どうせ自分は誰からも大切にされない」と感じやすくなる - 両親との関係性の影響
「子育てから逃げてばかりで協力し合おうとしない両親の関係性」から、大人になって「恋人と親密な関係になることを避ける」ようになる
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
②ロストワン(いない子)の「女性」の恋愛思考パターン
「ロストワンの『女性』の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「子どもを放置する母親」あるいは「他のきょうだいと差別する母親」あるいは「過干渉・過保護な母親」との関係性から「無価値感」を感じるようになり、大人になって「どうせ自分は誰からも大切にされない」と感じやすくなる - 父親との関係性の影響
「子どもに無関心な父親」あるいは「他のきょうだいと差別する父親」あるいは「家庭に不在がちな父親」との関係性から「父親に対する嫌悪感」を抱くようになり、大人になって「男性に対する警戒感」を持つようになる - 両親との関係性の影響
「子育てから逃げてばかりで協力し合おうとしない両親の関係性」から、大人になって「恋人と親密な関係になることを避ける」ようになる
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛傾向」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ロストワン(いない子)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ロストワン(いない子)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛傾向」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の恋愛傾向」としては、以下の点があげられます。
- POINT「人と関わること息苦しさを感じやすい」ため、恋愛に息苦しさを感じる
- 「恋人に裏切られることを恐れる」あまり、恋人と親密になることを避ける
- 「話す(会話する)ことが苦手」だが、時間を掛けて丁寧に感情を言葉にする
- 「感受性が豊か」なため、感情を自由に表現させてくれる人を信用する
- 「恋人に依存や執着する」ことが殆どないため、恋愛トラブルに巻き込まれない
- 「依存心が強い人」に対して「同情」することが殆どないため、冷たい人だと誤解される
- 「幼少期に負ったトラウマの影響」で、無視・過干渉・不平等を極端に嫌う
- 「共依存恋愛に陥る」ことが殆どなく、お互いに自立した恋愛関係を好む
- 「浮気・不倫」をすることは殆どなく、不器用だが一途な恋愛を好む
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の『恋愛傾向』」という記事でした。