POINTロストワン(いない子)は「自分の意見や感情を内面に抑え込む性格」であるため、「人とのコミュニケーションが苦手である反面、感受性が豊かになる」という点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「ロストワン(ロストチャイルド・ロンリー)タイプ」(以下「ロストワン」と言う。)は「いない子」と呼ばれ、「機能不全家族」という「厳しい環境」を生き延びる(生存する)ために、「親の意見」や「兄姉(年上のきょうだい)の意見」に従うことを優先して「自我」を抑え込み、「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことによって家族の負担を減らそうとする(家族に迷惑を掛けないようにする)子どもを指します。
ですので、ロストワンは大人になって、「自分の存在感を消すことができている(周囲から関心を持たれていない)ときには安心を感じるが、自分の存在感を消すことができていない(周囲から関心を持たれている)ときには不安を感じる」という心理的な特徴を持つようになると考えられています。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『性格の特徴』」についての解説です。
なお、「周囲の人たちが感じる、ロストワン(いない子)の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「性格の特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の性格
ロストワンは、子どもの頃から「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことで家族の負担を減らそうとしてきたため、大人になっても「自分の意見や感情を内面に抑え込む」という点が最大の特徴です。
このように、ロストワンは「感情を内面に留める」という心理的な特徴があるため、「人とのコミュニケーションが苦手である反面、感受性が豊かになる」という特徴があります。
なお、「ロストワンの性格の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 集団は苦手、一人が気楽で落ち着く
- 「どうせ自分なんて…」と感じやすい
- 集団の中で「疎外感」や「孤独感」を感じやすい
- 周囲の人たちの好意を素直に受け取れない
- 目立つことや注目されることを恐れる
- 自己主張や感情表現が苦手
- 人前で話すことや会話することが苦手
- 感情を内面に留める
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①集団は苦手、一人が気楽で落ち着く
ロストワンは「機能不全家族で育った影響」により、「自分の意見」を抑え込んで「親や兄姉(年上のきょうだい)の意見」に従ったり、「自我」を抑え込んで「我儘」を我慢するなど、家族のなかで「自分の存在感を消す」ことで家族の負担を減らしながら大人へと成長していきます。
反対に言えば、ロストワンは子どもの頃から「『自分の意見』や『自分の感情』を抑圧してきた人」と言い換えることができます。
また、人にとって「自分の意見」や「自分の感情」を抑圧し続けることは「精神的ストレス」を溜め込み続けることになり、とても苦しいことでもあります。
ですので、ロストワンにとって「機能不全家族で育った経験」とは「かなり苦しい経験であった」と考えることができ、その影響で、ロストワンは大人になってから「もうこれ以上、人と関わることで苦しみたくない」という「防衛的な気持ちが強くなる」と考えられています。
そして、「もうこれ以上、人と関わることで苦しみたくない」という「防衛的な気持ちの影響」によって、ロストワンは大人になってから「大勢の人と過ごすより、一人で過ごす方が安心できる」と感じるようになると考えられています。
なお、「人との関りにおいてロストワンが感じる防衛的な気持ち」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 集団になじめず、人付き合いが苦手だと感じる
- 誰かにとやかく干渉されるのが嫌だ
- 誰かに自分のことを聞かれるのが嫌だ
- 誰かに自分のことを気にされると鬱陶しさを感じる
- 人と関わることが面倒だと感じる
- できれば、ずっとそっとしておいてほしいと感じる
- 家庭・学校・職場など、人が多い場所ではなるべく目立たないようにする
- 家庭・学校・職場など、人が多い場所にいると早く一人になって解放されたいと感じる
また、親子関係をはじめ、家族・友達・恋愛・結婚・仕事など「人との関り方」の人それぞれの特徴を「愛着スタイル」と言い、ロストワンのように「大勢の人と過ごすより、一人で過ごす方が安心できる」という「愛着スタイル」を「回避型愛着スタイル」と言います。
回避型は、自分以外の人と深く関わることがストレスに感じてしまう愛着タイプです。周りの人との関係性において、感情的な親密さを持つことを避ける傾向があります。濃密な人間関係にストレスを感じやすいため、ストレスを感じるくらいなら1人でいたいと考えてしまうでしょう。
このように、ロストワンは「機能不全家族で育った影響」により、大人になって「人との関りにストレスを感じやすい」という特徴があり、その影響で「ストレスを感じるくらいなら、人と関わらず一人でいたいと感じるようになる(回避型愛着スタイルの傾向が強くなる)」と考えられています。
なお、「ロストワンが一人でいたいと感じる気持ち」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 外出するより、部屋で一人でのんびりしていたい
- 予定が沢山ある日は憂鬱だが、予定がなにもない日は安心できる
- 一人でのんびりする時間がないと息苦しい
- テレビ、ゲーム、映画、読書など、一人で集中したいときに近くに誰かがいると落ち着かない
- 集団で話をするより、一人で空想しているほうが楽しい
反対に言えば、ロストワンは「人と一緒に居なくても平気な人」あるいは「一人でも楽しむことができる人」と言い換えることができ、そのぶん「孤独耐性が高い」と考えることができます。
孤独耐性とは、どれくらい一人でいること【孤独】に耐えられるかのこと意味します。
このように、ロストワンは「人と関わることにストレスを感じやすい」反面、「一人でも楽しむことができる(孤独耐性が高い)」という特徴があります。
以上のことから、「集団は苦手、一人が気楽で落ち着く」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
②「どうせ自分なんて…」と感じやすい
ロストワンは、子どもの頃から「『自分の存在感を消す』という条件を満たすことで自分の存在価値を認めてもらえる」という「親子の関係性」のなかで育ってきたため、大人になっても、「自分の存在感を消している自分には存在価値があるが、自分の存在感を消すことができない自分には存在価値がない」という「強い価値観」を身に付けていると考えられています。
なお、「『自分の存在感を消す』という条件を満たすことで親に愛してもらえるという条件」を、子どもに思い込ませるような「親の愛情表現」を「条件付きの愛情」と言います。
条件付きの愛とは、すなわち「◯◯する子は愛してあげる」「◯◯できない子は愛してあげない」というコントロールです。
一方で、子どもが健全な成長していくためには、親や家族に褒めてもらったり認めてもらうことで「自尊感情」や「自己肯定感」を育む必要があると考えられています。
自尊感情とは、「自分に価値があると思える感覚」のことで、自己肯定感の土台となる木の「根」にあたります。
自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する、好意的に受け止めることができる感覚」のことです。他人と比較するのではなく、そのままの自分を認め、尊重し、自己価値を感じることができる心の状態を指します。人間関係やパートナーシップ、仕事や自己実現においても、自己肯定感が土台となり、幸福に大きく影響する感覚です。
ですが、ロストワンは「機能不全家族」において「自分の存在感を消す」という条件を満たすことで自分の存在価値を認めてもらえてきたため、「自尊感情(自己肯定感)が低い」という特徴があり、その影響で「どうせ自分なんて価値がない…」という「無価値感」を感じやすいと考えられています。
無価値感(むかちかん):「自分になんか価値がない」「自分はどうせ駄目なんだ」というように、自分の能力を過小評価したり、存在意義を否定したりする感情。
引用元:無価値感
なお、「ロストワンが感じる無価値感」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「自分はこの世にいなくてもよい存在なのではないか」と感じる
- 「消えたい・居なくなりたい」と感じる
- 「自分は恥ずかしい存在だ」「自分という存在を隠したい」「自分さえ居なければ」と感じる
- 「どうせ自分には価値がない」「価値がない自分には何の意見もない」「何の意見もない自分は中身のない人間だ」と感じる
- 「自分が我慢すればうまくいく」「自分が居なくなればうまくいく」と感じる
- 「自分なら大丈夫!」など、自分に期待する気持ちをほとんど感じない
- 「いつかはこうなりたい!」など、自分の将来に対して希望をほとんど感じない
このように、ロストワンは「自分の存在感を消す」という条件を満たすことで自分の存在価値を認めてもらえてきたため、大人になってからも「孤独感を慢性的に感じる」と考えられています。
また、「孤独感を和らげるために人と関わろう」としても、ロストワンは「『自己主張』や『感情表現』を我慢することで人と仲良くしようとする」ため、「孤独感を和らげよう」とすればするほど「精神的ストレス」を溜め込んでしまい、結果、「ストレスを感じるくらいなら、人と関わらず一人でいたい」という「回避型愛着スタイル」や、「人と上手く関わることができない自分は価値のない人間だ」という「無価値感」をさらに強めていくと考えられています。
以上のことから、「『どうせ自分なんて…』と感じやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
③集団の中で「疎外感」や「孤独感」を感じやすい
ロストワンは「自分には価値がない」という「無価値感」を感じやすいという特徴があり、その影響で「どうせ自分は誰にも必要とされていない」という「疎外感」や、「どうせ自分は誰からも忘れられている」という「孤独感」を感じやすいと考えられています。
ですので、ロストワンは人間関係において「孤独感」や「疎外感」など「見えない壁」を無意識に感じやすく、結果的に、周囲の人たちへの関心が薄れてしまうという特徴があります。
例えば、ロストワンは「学校の運動会や部活動」に対して他のクラスメイトのように「夢中」になれなかったり、「落ち込んで泣きじゃくるクラスメイト」に対して他のクラスメイトのように「同情」する気になれなかったりします。
これは、「機能不全家族」という「過酷な環境」を生き延びたことによって身に付けた「危機回避能力の高さ」によるものと考えられており、とくに、ロストワンは「人に惑わされること、人に振り回されること、人に騙されることに対して優れた危機回避能力を持っている」と考えられています。
なお、「家庭・学校・職場」などにおいて、自分の意思に反して周囲の人と同じ行動を取ってしまうことを「同調行動」と言います。
自分より周囲の意見や考えを優先したり、自分の意志に反して人と同じ行動を取ったりしたことはありませんか?「みんなと同じ行動をすると安心できる」「一人だけ浮くのは怖い」そういった心理から人が起こす行動を「同調行動」と呼びます。
このように、ロストワンは「機能不全家族」という「過酷な環境」を生き延びたことによって身に付けた「優れた危機回避能力」よって、「『同調行動』によって引き起こされる人間関係のトラブルを冷静に回避できる」という特徴があります。
なお、「同調行動に対してロストワンが感じる危機感」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「お世辞を言う(相手のご機嫌を取る)」ことに強い抵抗感を感じる
- 「迎合をする(相手に合わせる)」ことに強い抵抗感を感じる
- 「スクールカースト・人間関係の序列」など、「差別的な考え方」に強い抵抗感を感じる
- 「仲良しグループ・派閥」など、例え自分が孤立しても「面倒な集団」には参加しない
- 「集団いじめやマルチ商法」など、例え自分が孤立しても「曲がったこと」には参加しない
ですが、このように「同調行動」を冷静に回避できるロストワンは、周囲の人たちには「集団になじもうとしない人」あるいは「集団の和を乱す人」に映ってしまう場合があります。
ですので、ロストワンは周囲の人たちから「協調性がない人・自分勝手な人・ノリが悪い人・冷たい人」など、「ひどい誤解をされてしまう場合が多い」と考えられています。
また、ロストワンは「自尊感情(自己肯定感)が低い」という特徴があるため、周囲の人たちの誤解を真に受けてしまいやすく、その影響で「自分の性格を誤解して自分を嫌いになってしまう場合が多い」と考えられています。
なお、「ロストワンが持つ自分の性格に対する誤解」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 他人に同情できない自分は「冷たい人間」という誤解
- 他人に興味を持てない自分は「欠陥人間」という誤解
- 集団になじめない自分は「社会不適合者」という誤解
- 集団の和を乱す自分は「わがままな人間」という誤解
このように、ロストワンは「優れた危機回避能力」よって集団の中で「同調行動」などによる人間関係のトラブルを冷静に回避できる反面、周囲の人たちの誤解を真に受けてしまいやすく、その影響で「疎外感」や「孤独感」をさらに強めてしまうという特徴があります。
以上のことから、「集団の中で『疎外感』や『孤独感』を感じやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
④周囲の人たちの好意を素直に受け取れない
ロストワンは「どうせ自分なんて…」という「無価値感」を感じやすいため、「どうせ自分なんて誰にも受け入れてもらえない価値のない人間だ!」という「思い込み」を強く持っているという特徴があります。
ただ、周囲の人たちから見れば、ロストワンは「物静かで控えめな人」に映る場合があり、ロストワンは「自分の思い込み」とは裏腹に、案外、周囲の人たちから好意を持たれる場合が多いと考えられています。
ですが、ロストワンは「自分という人間」を「誰にも受け入れてもらえない価値のない人間だ!」と強く思いこんでしまっているため、周囲の人たちの「好意」を素直に受け取れず、「周囲の人たちの好意を素直に受け取り、周囲の人たちと繋がりをもって孤独を和らげたい気持ち」と「周囲の人たちの好意を素直に受け取り、周囲の人たちと繋がりをもったあとに裏切られることへの恐れ」が激しく葛藤しやすいという特徴があります。
なお、「周囲の人たちの好意に対してロストワンが感じる葛藤」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 周囲の人たちに好意的に接してもらえたとしても、「いつかは見捨てられるのではないか?」と感じる
- 周囲の人たちから褒められたり感謝されたとしても、「嘘なのではないか?」と感じる
- 周囲の人たちからプレゼントやお土産をもらったとしても、「何か裏の思惑があるのではないか?」と感じる
- 自分のことを気に掛けてくれる人が親身になって相談に乗ってくれたとしても、「本当はうんざりしているのではないか?」と感じる
このように、ロストワンは「周囲の人たちの好意を素直に受け取れない」という特徴があります。
ですが、ロストワンが「周囲の人たちの好意」を素直に受け取れないのは、決して「周囲の人たちを信用していないから」ではなく、あくまで「どうせ自分なんて誰にも受け入れてもらえない価値のない人間だ!」という「強い思い込み」の影響で「自分を信用できていないから」だと考えられており、「機能不全家族で育った影響」により、「もうこれ以上、束縛されたくない!裏切られたくない!傷つきたくない!」という「防衛的な気持ちが強いから」だと考えられています。
以上のことから、「周囲の人たちの好意を素直に受け取れない」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
⑤目立つことや注目されることを恐れる
このように、ロストワンは周囲の人たちから「好意」を持たれると、「周囲の人たちの好意を素直に受け取り、周囲の人たちと繋がりをもって孤独を和らげたい気持ち」と「周囲の人たちの好意を素直に受け取り、周囲の人たちと繋がりをもったあとに裏切られることへの恐れ」が激しく葛藤して「苦しい心理状態に陥ってしまう」という特徴があります。
ですので、ロストワンは「もうこれ以上、葛藤を抱えて苦しみたくない!」という「防衛的な気持ちの影響」によって、周囲の人たちから「好意」を持たれないようにするために「『感情表現』を抑えたり『自己主張』を我慢するなど、集団のなかで目立たないようにする」という特徴があります。
このように、ロストワンは「目立ってしまうと自分は傷ついてしまう」あるいは「目立たなければ自分は傷つかずに済む」という「防衛的な気持ち」を持つようになると考えられています。
なお、「目立つことに対してロストワンが感じる防衛的な気持ち」とは、主に「以下の具体例」があげられます。
POINT
- 目立つことや注目されることを避けたいと感じる
- にぎやかな場所で過ごすことを避けたいと感じる
- 人がたくさんいる場所で過ごすことを避けたいと感じる
- 自分の意見や気持ちを聞き出そうとする人との関りを避けたいと感じる
このように、ロストワンは「もうこれ以上、傷つきたくない」という「防衛的な気持ちの影響」によって、「集団の中で目立たないように立ち振る舞う」という特徴があります。
以上のことから、「目立つことや注目されることを恐れる」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
ちなみに、「目立つことや注目されることを恐れる」という点は、「回避依存症:脱走者タイプ」の特徴と一致します。
なお、「回避依存症:脱走者タイプ」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑥自己主張や感情表現が苦手
子どもは、自分が感じている「気持ち」や「意見」を「言葉」や「動き」で自由に表現し、親や家族に肯定してもらえることで「正しい感情表現(自己主張)のやり方」を身に付けていきます。
そして、親や家族に肯定してもらいながら「正しい感情表現(自己主張)のやり方」を身に付けると、自分の「気持ち」や「意見」を相手に伝えられることに「自信」が持てるようになり、相手の「気持ち」や「意見」を理解できるようにもなります。
幼児期に喜怒哀楽の感情を教えるのは、子どもの発達においてとても大切なことです。喜怒哀楽の感情表現ができるようになると、自分の気持ちを相手に伝えられ、相手の気持ちも理解できるようになります。相手の気持ちを理解できると、感情をコントロールできるようにもなります。
自己主張ができるということは、自分の思いを周りの人に伝える事ができるということです。…(中略)…自分がやりたいことをクラスの皆に向けて伝える事ができるということ。
このように「発達心理学」においては、親や家族が子どもに「正しい感情表現(自己主張)のやり方」を身に付けさせることは、子どもの発達においてとても重要であると考えられています。
ですが、ロストワンは「機能不全家族で育った影響」により、子どもの頃から「自分の気持ちや意見」を「親や家族に否定されたり無視される」ことが多かっため、大人になってから「自分の感情を表現すること(自分の意見を主張すること)に対する苦手意識」を持つようになると考えられています。
なお、「ロストワンが『感情表現(自己主張)』への苦手意識を持つようになった状況」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「○○してほしい!」と何かをお願いをしても、「我慢しなさい!」と親に否定されることが多かった
- 「○○したい!」と自分の希望を伝えようとしても、「○○にしなさい!」と親に決められてしまうことが多かった
- 「寂しい、不安、助けてほしい」と自分の気持ちを伝えたくても、親と話す機会がなかったり、親に聞いてもらえないことが多かった
- 「自分は○○だ!」と自分の意見を主張しても、自分の意見より兄弟姉妹の意見の方が優先されることが多かった
また、「ロストワンが感じる『感情表現(自己主張)への苦手意識』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「自分の気持ちや意見」を主張しても、どうせ誰にも聞いてもらえない
- 「自分の気持ちや意見」を主張しても、誰にも聞いてもらえず自分の心が傷つくだけだ
- 「自分の気持ちや意見」を主張すればするほど、自分の心が傷ついてしまう
- 「自分の気持ちや意見」を主張しないほうが、自分の心が傷つかずに済む
- 自分の心が傷つかないようにするためには、「自分の気持ちや意見」を主張しないほうがいい
反対に言えば、ロストワンにとって「自分の感情」や「自分の意見」とは「自分の心を傷つける種」とも言い換えることができますので、ロストワンは「自分の感情」や「自分の意見」に対して、以下のような「否定的な価値観を持つようになる」という特徴があります。
POINT
- 自分の「気持ち・意見・価値観」は主張しないほういい
- 自分の「気持ち・意見・価値観」は持たない方がいい
- 自分の「気持ち・意見・価値観」を表に出しても意味がない
- 自分の感情が邪魔だと思う、感情なんてないほうが楽に生きれるのにと思う
- 自分は何ごとも判断しなほうがいい
- 自分を信用しない方がいい
このように、ロストワンは子どもの頃から「自分の感情を表現すること(自分の意見を主張すること)への恐れ」を感じながら大人へと成長していく場合が多く、子どもの頃に「正しい感情表現(自己主張)のやり方」を身に付けられないまま大人へと成長していく場合が多いと考えられています。
以上のことから、「自己主張や感情表現が苦手」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
⑦人前で話すことや会話することが苦手
前述の通り、ロストワンは子どもの頃から「自分の感情を表現すること(自分の意見を主張すること)への恐れ」を感じながら大人へと成長していくため、大人になって「人とのコミュニケーションに対する苦手意識を感じやすくなる」と考えられています。
とくに、ロストワンは「『相手を目の前にして話す(相手と会話する)』ことへの苦手意識が非常に強い」という特徴があります。
なお、「ロストワンが感じるコミュニケーションへの苦手意識」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 基本的に「話す」ことや「声を発する」ことに恥ずかしさや抵抗感を感じる
- 基本的に人前だと緊張する(少数でも、家族でも)
- 基本的に3人以上の会話が苦手(周囲に人がいなくても)
- 2人きりでの会話であっても、周囲に人がいると上手く話せない
- 発表、スピーチ、講演、演劇、カラオケなど、人前で「話す」ことや「声を発する」ことが苦手
- 会議、会合、食事会、飲み会など、「意見交換」や「交流の場」が苦手
また、「人とのコミュニケーション」のなかで「会話」や「文章」など「言語を用いて行うコミュニケーション」を「バーバル(言語)コミュニケーション」と言い、「言語を用いずに行うコミュニケーション」を「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」と言います。
対面でやり取りするコミュニケーションは、大きく分けて「バーバル(言語)コミュニケーション」と「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の2つで構成されます。
- バーバルコミュニケーションとは文字を読んだり、言葉を聞いたりして行う対人間でのやり取りのことです。つまり、言語を知覚で認識するコミュニケーションです。
- ノンバーバルコミュニケーションは、「身振り、手振り」といったボディランゲージと、「表情、声のトーンや大きさ」などから情報を得るやり取りです。視覚や聴覚を使って得られる情報だといってもよいでしょう。引用元:オンライン時代に浮き上がる「対面コミュニケーション」の意義
このように、ロストワンは子どもの頃から「バーバル(言語)コミュニケーションに対する苦手意識を強く持っている」という特徴があり、とくに「話すことに対して焦りや不安を感じやすい」と考えられています。
ですので、ロストワンは人前で何かを話そうとすればするほど「動揺」が強まってしまい、以下のような「症状」を感じやすいという特徴があります。
POINT
- 何かを話そうとすればするほど、のどが詰まって話せなくなってしまう
- 何かを話そうとすればするほど、頭が真っ白になって話せなくなってしまう
- 何かを話そうとすればするほど、顔が赤くなって話せなくなってしまう
- 何かを話そうとすればするほど、オドオドして話せなくなってしまう
このように、ロストワンは何かを話そうとすればするほど自分の話を相手に伝えられなくなってしまうわけですので、結果的に、親や家族や周囲の人たちから「ちゃんと話しなさい!」「しっかりしなさい!」「オドオドするな!」「何を言っているのかわからない!」などと責められてしまう場合が多く、その影響で「話す(会話する)ことへの苦手意識をさらに強めてしまう」と考えられています。
以上のことから、「人前で話すことや会話することが苦手」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
⑧感情を内面に留める
このように、ロストワンは「機能不全家族」において「自分の存在感を消すことで家族の負担を減らす(家族に迷惑を掛けない)」という「役割」を担ってきたため、自分の存在価値を感じようとすればするほど「自分の感情を内面に留めて何も行動しないようにする」という特徴があります。
ですので、ロストワン以外のアダルトチルドレンタイプはそれぞれに「目に見える特徴がある」のに対し、ロストワンは「目に見える特徴がない」という点が最大の特徴と言えます。
なお、「アダルトチルドレンタイプが持つそれぞれの『価値観』と『行動面』の特徴」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「ヒーロー(英雄役)」
誰かに期待・評価されることで自分の存在価値を感じる - 「スケープゴート(身代り役)」
誰かの身代わりとなって悪者になることで自分の存在価値を感じる - 「ロストワン(いない子)」
自分の存在価値を消すことで自分の存在価値を感じる - 「クラウン・ピエロ(道化・おどけ役)」
周囲のネガティブな雰囲気を和ませることで自分の存在価値を感じる - 「ケアテイカー(世話役)」
先回りして誰かの世話をすることで自分の存在価値を感じる - 「イネイブラー(支え役)」
誰かを支え、誰かに尽くすことで自分の存在価値を感じる - 「プラケーター(慰め役)」
誰かをなだめ、誰かを慰めることで自分の存在価値を感じる
反対に言えば、ロストワンとは「周囲に対して自らの特徴をひた隠しにする」という点が性格面での最大の特徴であり、周囲からは「特徴がないように見える」という点が最大の特徴です。
ですので、ロストワンは「自分の感情を内面に留めるぶんだけ、ストレスを溜め込みやすい」反面、「自分の感情を内面に留めるぶんだけ、感受性が豊かになる」と考えられています。
なお、「感受性が豊かなロストワンの様子」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「人形・ぬいぐるみ・積み木・ブロック・粘土」で遊びことが好き
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「虫・動物・植物」を観察することが好き
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「テレビ・ゲーム・漫画・本(物語)」に没頭することが好き
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「絵・イラスト」を描くことが好き
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「歌を歌う・鼻歌を歌う・楽器で遊ぶ」ことが好き
- 一人で「さまざまな空想」をしながら「一人になれる場所」でのんびりすることが好き
このように、ロストワンは「自分の感情を内面に留めるぶんだけ感受性が豊かになり、創造力・空想力・発想力など柔軟に物事を考える力が自然に養われる」と考えられています。
なお、「感受性が豊かなロストワンが得意とする感情表現」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「詩・小説・脚本・絵画・彫刻・建築・演技・ダンス・音楽・映像」など「芸術表現」が得意
- 「イラスト・漫画・ゲーム・料理・模型・工芸・手芸・服飾・動画」など「モノづくり」が得意
このように、ロストワンは「機能不全家族で育った影響」により、「話すことによる感情表現が苦手になる」反面、「『芸術表現』や『モノづくり』による感情表現が得意になる」という特徴があります。
以上のことから、「感情を内面で留める」という点は、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」のひとつと言えます。
なお、「ロストワンが持つ豊かな感受性」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ロストワン(いない子)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ロストワン(いない子)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事
- アダルトチルドレン(AC)ヒーロー(英雄役)の「心理的な特徴」
- アダルトチルドレン(AC)スケープゴート(身代り役)の「心理的な特徴」(準備中)
- アダルトチルドレン(AC)ピエロ(おどけ役)の「心理的な特徴」
- アダルトチルドレン(AC)ケアテイカー(世話役)の「心理的な特徴」
- アダルトチルドレン(AC)イネイブラー(支え役)の「心理的な特徴」
- アダルトチルドレン(AC)プラケーター(慰め役)の「心理的な特徴」
まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の性格の特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT「自分の意見や感情を抑圧してきた影響」で、人との関りにストレスを感じやすい
- 「条件付きの愛情で育てられた影響」で、「無価値感」を感じやすい
- 「優れた危機回避能力の影響」で、「疎外感」や「疎外感」を感じやすい
- 「自分を信用できていない」ため、周囲の人たちの好意を素直に受け取れない
- 「防衛的な気持ちが強すぎる影響」で、目立つことや注目されることを極端に恐れる
- 「正しい感情表現(自己主張)を身に付けられなかった影響」で、感情表現(自己主張)への苦手意識が強い
- 「感情表現(自己主張)への苦手意識の影響」で、人前で話すことや会話することへの苦手意識が強い
- 「自分の存在感を消そうとする」あまり、感情を内面に留めて感受性が豊かになる
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の性格」という記事でした。