ロストワンタイプの克服
POINTロストワンタイプの克服は、自分の気持ちを責任をもってゆっくりと感じ認めることです。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」は、子ども時代「機能不全家族」という厳しい環境で育ったことで、自分の気持ち、本音、望み、願い、感情をグッと我慢して抑圧してしまう傾向にあります。
そして、自分の感情を抑圧しすぎることは生きづらさの原因となります。
よって、ロストワンタイプの克服は、恥ずかしさや恐といった「防衛機制」を、さまざまな工夫を用い和らげつつ、自分が抑圧している感情を責任をもって自分で感じ認めることです。
この記事は、ロストワンタイプの克服について説明しています。
ロストワンタイプ(いない子)の克服
アダルトチルドレン:ロストワンタイプは「どうせ、自分のことなんてわかってもらえない…」と、自分の本当の気持ちを心の奥底に封印してしまっている場合があります。
また、ロストワンタイプは「文章や会話といった感情表現に苦手意識を感じやすい代わりに、イメージを使った感情表現を得意とする…」という特徴があります。
なので、ロストワンタイプの克服は、このようなロストワンタイプの特徴を理解したうえで「対話に加え、ホワイトボードなども活用し、言葉とイメージを併用した心理カウンセリング」という雰囲気の中で解きほぐしていく必要があります。
ロストワンタイプの克服は、以下の流れで進めていきます。
POINT
- 信頼を育み防衛機制を和らげる
- 対話に加え、イメージも活用した心理カウンセリングを行う
- ロストワンタイプのインナーチャイルドを認識する
- 「変わっている」とは「独創的で貴重」であることに気づく
- 自分の個性を自分で認め精神的自立を果たす
それでは、以下に詳しく説明していきます。
STEP①信頼を育み防衛機制を和らげる
アダルトチルドレン:ロストワンタイプは、相手の言動に少しでも不安を感じると、自分の本当の気持ちを無意識に封印してしまう特徴があります。
このとき、自分の本当の気持ちを無意識に封印する心の働きを、心理学では「防衛機制」と言います。
防衛機制(ぼうえいきせい、英: defence mechanism)とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。
引用元:防衛機制
心の働きである防衛機制は、体の働きに例えると「骨折部を保護するために巻くギプス」のような働きです。
骨折部にギプスを巻くことは、確かに窮屈ではありますが、同時に骨折部を保護してくれています。
それと同じように、「自分の本当の気持ち」という大切な部分を「防衛機制」という心の働きで窮屈ながらも懸命に守り続けてくれているのが、ロストワンタイプの心理です。
よって、ロストワンタイプに対してやみくもに気持ちを聞き出そうとすると、ギプス=「防衛機制」をかえって敏感に締め付けてしまうことになり、ロストワンタイプの方はかえって苦しくなってしまいかねません。
なので、ロストワンタイプの特徴や防衛機制のしくみなど、人の心の働きを十分に理解をしたうえで大切に心理カウンセリングを行い、まずは信頼を育み、徐々に防衛機制を和らげることが、ロストワンタイプのアダルトチルドレンの克服の第1ステップとなります。
このように、ロストワンタイプの克服は、ロストワンタイプの特徴や人の心の働きをよく理解したうえで、ひとつひとつ進めていく必要があります。
以下に、当社メンタル心理そらくもが考える「アダルトチルドレンの回復過程」に関する記事を紹介します。
STEP②対話に加え、イメージも活用する
ですが、前述のとおり、ロストワンタイプの方は「文章や会話といった感情表現苦手意識を感じやすい…」という特徴を持っているため、そもそも対話を主とした対面式の心理カウンセリングのみでは、ロストワンタイプの克服になかなか進展が見られない場合があります。
反対に、ロストワンタイプの方は「イメージを使った感情表現を得意とする…」という特徴を持っているため、文章や会話といった感情のやりとりに加えて、ホワイトボードを使ったイラストでの感情のやりとりを活用すると、ロストワンの克服にとても有効に作用する場合があります。
このようなイラストを用いたカウンセリング技法は、アスペルガーの個性を持った方とのカウンセリングでは必須の技術です。
文章や会話に加え、表情や動作や涙など、ロストワンタイプの方が微かに表現してくれた感情を紡ぎ合わせ、ロストワンタイプの方が表現したいであろう感情を、ロストワンタイプの方に代わって心理カウンセラーが面白おかしくイラストで表現しながら、ロストワンタイプの豊かな内面を少しづつ見える化していくことが、ロストワンタイプのアダルトチルドレンの克服の第2ステップとなります。
このように、ロストワンタイプの克服はやみくもに対話を重ねるのではなく、ロストワンタイプの長所を生かしつつ進めていく必要があります。
以下に、当社メンタル心理そらくもが考える「アダルトチルドレンのカウンセリング:克服への“9”の重要ポイント」に関する記事を紹介します。
STEP③ロストワンタイプのインナーチャイルド
さて、日常においては「我慢しなきゃいけない…迷惑を掛けちゃいけない…」と、我慢に我慢をかさねてくれているロストワンタイプは、周囲から「おとなしい人、欲のない人」だと、面倒なことをいろいろと押し付けられてしまっているかもしれません。
そして、ロストワンタイプは、自分の本当の気持ちを我慢し隠すことで自分の身の安全を守ってきた反面、「自分の気持ちなんて、どうせ誰もわかってくれるわけない…」と、孤独感&孤立感&疎外感&劣等感を、ずっと心に感じ続けているのかもしれません。
ロストワンタイプの「自我を抑え、周りを優先する我慢役」という仮面の内側には、「本当は我慢することがもう辛くて苦しいよ…」と窮屈な状況から助けを求め続けている、子ども時代の自分=「インナーチャイルド」が助けを求め続けているのかもしれません。
「自分は自分の気持ちや望みを我慢していないと存在価値がないんだ!」
このように、自分の本当の気持ちを我慢し隠すことで、自分の身の安全を守ろうとし続けている子ども時代の自分のイメージ=ロストワンタイプ(いない子)のインナーチャイルドを見つけてあげることが、ロストワンタイプのアダルトチルドレンの克服の第3ステップとなります。
ロストワンタイプをはじめとする各インナーチャイルドは、以下の「アダルトチルドレンのタイプ診断」を行うことで見つけることができます。
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STEP④「変わってる」から「独創的」への転換
私自身は、アダルトチルドレン:ロストワンタイプの個性を感じる部分が多いです。
子どもの頃、たまに家族で近くの公園に遊びにいくと、おとなしかった自分は運動が苦手で、よく父親に「のろま…急げ…」とからかわれたり急かされていたことを思い出しました。
それから、父親にからかわれるたびに心が傷つき、だからといって言い返すこともできず、ただただ黙って我慢をし、いつも怯えているような感情を抱くようになりました。
また、集団で過ごすことを好む周りの子どもたちに比べ、私は1人遊びや1人で空想をすることが好きだったので、そんな家で1人で過ごしがちな自分を両親や兄弟姉妹に見られるたびに…
「自分は周りの人と違ってなにかおかしいんじゃないか?」
「自分は周りの人と違ってなにか変わっているんじゃないか?」
このように、子どもの頃の私は、兄弟や友人や従兄弟たちに対して「自分だけ違っている!自分だけ劣っている!」と劣等感を感じるようになりました。
そして、だんだんと「どうせ、自分なんて誰からも好かれるわけない…」「どうせ、みんな自分のことを嫌っている…」「自分は情けないダメな人間なんだ!」と自分を責める心理を感じるようになりました。
結果、社会人になってからも、自分の本音をなかなか話せず、人間関係に悩みがちになり、だからといって苦しい気持ちを周りになかなか相談できず、心に負担を抱えがちとなりました。
そして、職場でも孤独感&孤立感&疎外感&劣等感を感じやすくなり、うつ病を発症して休職を繰り返すようになりました。
私は、うつ病の原因を知りたくて、心理学を学んだり、自分と向き合うことで「アダルトチルドレン」や「インナーチャイルド」という捉え方を知ったとき、「今まで周りの人に嫌われないように20年もサラリーマンをやってきたのに、いまだに人の集団に馴染めないなぁ…」だから「もう、周りの人に嫌われないように、頑張んなきゃ!我慢しなきゃ!」という価値観は、もう終わりにしようと感じられるようになりました。
それ以来、長年「自分のことが変でおかしい…」と否定的に感じていたものが、「自分は珍しくて貴重なんだ…」と肯定的に感じられるようになりました。
なので、ロストワンタイプのアダルトチルドレンの克服の第4ステップは、
「今までは、自分の気持ちをひた隠しにすることで自分の身を守ってくれてありがとう…」
「これからは、無理にたくさんの人と仲良くしなくても、自分は自分の存在価値を認めていくよ…」
「これからは、自分の個性や気持ちを自分が責任をもって認め、自分だけが感じることができる貴重な夢や望みを叶え、両親や周りの人たちに安心を届けよう…」
このように、ロストワンの克服の第4ステップは「本当は周りの人に傷つけられないことを気にするより、1人でのびのびと過ごしていたかった…」という子ども時代の自分の気持ちを認め、今まで自分の気持ちをひた隠しにすることで自分の身を守ってきてくれたインナーチャイルドを労り「これからは、相手によっては自分の気持ちを隠してもOKだし、相手によっては自分の気持ちをそのまま表現してもどちらもOKだよ…」と、自分の気持ちを我慢しないということは、相手に迷惑をかけるのではなく、相手を信頼してあげることだということに気づくことが大切になります。
さて、私自身もアダルトチルドレンの克服経験を持つ心理カウンセラーです。
私のアダルトチルドレン克服体験は、以下に詳しくまとめてありますので参考にしてください。
STEP⑤自分の気持ちを認め、精神的自立を果たす
ですが、自分の気持ちを我慢し周囲を優先することで誰かの役に立ち、自分の存在意義を感じてきたロストワンタイプにとっては、自分の気持ちを認めることは、とても恥ずかしく大きな恐れを感じるものです。
ただ、ロストワンタイプは「イメージを使った感情表現を得意とする…」という特徴を持っています。
なので、ロストワンタイプの最も素晴らしい特徴である、空想やイマジネーションの豊かな点にお力を借りて「催眠療法(ヒプノセラピー)」を用い、目を閉じることで恥ずかしさや恐れ「防衛機制」を和らげつつ、子どもの自分=インナーチャイルドの気持ちを、たくさんの時間をかけてゆっくりと納得いくまで感情表現していきます。
このように、催眠療法(ヒプノセラピー)の雰囲気を活用し、ゆったりとした雰囲気の中で、「自分の気持ちを我慢することで安心を感じたい!」という欲求を「自分の気持ちを認めることで安心を感じたい!」という欲求に転換し、子ども時代の自分=インナーチャイルドと大人の自分が、それぞれの気持ちをお互いに認めあうイメージをすることで精神的な自立を果たす作業を、インナーチャイルドセラピーと呼びます。
当社メンタル心理そらくものインナーチャイルドセラピーは、父親や母親のインナーチャイルドや、ときには、祖父母、兄弟、姉妹のインナーチャイルドにまで関心を広げ、子ども時代の自分を広く新しい視点で捉えなおしていきます。
そうすることで「ああしなさい!こうしなさい!」「ああしちゃダメ!こうしちゃダメ!」「しっかりしろ!強くなれ!」「はっきりしろ!グズグズするな!」など、子どもの自由な感情表現と子どもの心の健全な成長を妨げてしまう価値観=「現代日本のロストワンタイプの原点」に納得を感じるとともに、その価値観が、ずっと前の世代から「世代間連鎖」していることにも深い納得を感じるかもしれません。
そして、子どもの頃、自分より優れているように見えていた親や周りの人たちも、内心では、「自分の気持ちを認めることが怖い…恥ずかしい…」と自分と同じように感じていたことに、理屈ではなく体感で納得を深めていきます。
このように、自分の気持ちを責任をもって自分で認め始めようとすることで、自分で自分の存在を認め、自分が自分の味方となることで、人間関係における孤独感&孤立感&疎外感&劣等感を和らげ、人間関係の中における自分の居場所の作り方を、理屈ではなく体感で実感し習得していく機会が、当社メンタル心理そらくもが考えるロストワンタイプの克服方法です。
また、ロストタイプをはじめ、アダルトチルドレンの克服方法である「インナーチャイルドセラピー」については、以下の記事で詳しく紹介しています。
まとめ
さいごに、ロストワンタイプの克服について重要ポイントをまとめます。
POINT
- ロストワンタイプの克服は「対話式の心理カウンセリング」のみでは難しい
- ロストワンタイプの克服は「イラストを用いた心理カウンセリング」が有効
- 自分の気持ちを隠し、相手の意見に従うことは、相手を「疑っている」「信頼していない」ことになる
- 「変わっている…おかしい…」と言われるのは、「独創的でオリジナリティがあり貴重」だということ
- 1人が好きだからと言って「ひとりぼっち」が好きなわけでない
- 自分の気持ちを、責任をもって自分で認めることを「自立」と言う
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
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以上、「ロストワンタイプの克服」という記事でした。