POINT毒親とは、「子供の人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親」を指す言葉です。ですが、親を「悪者」にするための言葉ではありません。
心理カウンセラーの寺井です。
「毒親」とは、そもそも、心理学などの学術用語ではなく、過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなど、「子供の人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親を指す言葉」として、アメリカの専門家「スーザン・フォワード」が作った言葉です。
日本における「毒親」とは、母親を指す場合が多く感じますが、母親に限らず、父親も毒親と呼ぶがあります。
そして、毒親に育てられた子供は「毒親育ち」などども呼ばれ、心理学では「機能不全家族」で育った「アダルトチルドレン」と呼ぶ場合もあり、その特徴として「自己否定感」や「人間関係・恋愛結婚・子育てへの苦手意識」を感じやすくなり、様々な「心の問題」や「生きづらさ」を抱えやすくなります。
この記事は、毒親とは何か?毒親の意味合いについて解説しています。
毒親とは?
「毒親」とは、アメリカの専門家「スーザン・フォワード」が自らの著書で提唱し始めた概念です。
毒親とは、心理学などに基づく学術用語ではなく、「子育てにおいて、過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなどの問題を引き起こす親」もしくは「子育てにおいて子供に悪影響を及ぼす子育てを行う親」を指します。
毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。1989年にスーザン・フォワード(英: Susan Forward)が作った言葉である。学術用語ではない。
引用元:毒親
それでは、以下に詳しく解説していきます。
「毒親」の語源
「毒親(どくおや)」とは、そもそも心理学などを出展元とする学術用語ではありません。
「毒親」という用語の語源は、アメリカの医療コンサルタント・グループセラピストとして活躍した「スーザン・フォワード」が、1989年に出版した「毒になる親:一生苦しむ子供(Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life)」という本にあります。
スーザン・フォワード(Forward,Susan)は、南カリフォルニアを中心に医療関係のコンサルタント、グループ・セラピスト、インストラクターをつとめながら、テレビやラジオで活躍。ABCトークラジオ局で電話をかけてきたリスナーに応える番組を担当。著書に『毒になる親 一生苦しむ子供』(講談社+α文庫)、『ブラックメール 他人に心をあやつられない方法』(日本放送出版協会)、『男の嘘』(TBSブリタニカ)など。
引用元:スーザン・フォワード
「有毒な親」⇒「毒になる親」⇒「毒親」と呼ばれる
上記のように「毒親」という言葉は学術用語ではなく、「まるで毒のような悪影響を子供に及ぼす親」「まるで毒のように厄介な存在に感じる親」を指す概念として「スーザン・フォワード」が作った言葉です。
「スーザン・フォワード」が著書のタイトルとした「Toxic Parents」は、直訳すると「有毒な親」となりますが、日本語版では「有毒な親」というタイトルが「毒になる親」と訳されました。
そして、「毒になる親」をさらに略し、日本では「毒親」と呼ばれるようになりました。
また、日本においてはインターネットコミュニティを中心に「毒親」という言葉が広く使われるようになり、そのためスラング用語としての意味合いが強く、「毒父」「毒母」「毒家族」「毒家」「毒親育ち」「毒娘」などの派生語も作られました。
「毒親」の語源となった本
毒親の語源である「スーザン・フォワード」の著書「毒になる親:一生苦しむ子供(Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life)」を以下に紹介します。
毒親とは「悪者」ではありません
「毒親」という言葉は、あたかも、子供が抱える生きづらさの責任を親に押し付けるために用いる言葉、すなわち「親を悪者にするための言葉」のように聞こえます。
ですが、本来の意味はその正反対であり、「親を巻き込まず、親に押し付けず、親に邪魔されず、自分の生きづらさは自分で解決していきたい!」と、親からの精神的な自立を願う人々に希望を与えることを目的に「スーザン・フォワード」によって生み出された言葉です。
それでは、以下に詳しく解説していきます。
「毒親」という概念の意味
「スーザン・フォワード」は著書の中で、「子供の人生を支配し、子供に悪影響を及ぼす親」を指すひとつの表現として「毒親」という言葉を用いました。
よって当然のことながら、毒親とは「病気」や「障害」などを指す言葉ではなく、あくまで生まれた後に身に付けた「性格上の癖」や「習慣」を指す言葉です。
つまり毒親とは、「子供を否定しがち…」「過干渉・過保護をしがち…」「暴言・暴力を振るいがち…」など「子育てにおいてある共通の特徴を持っている親」のことを指す言葉です。
また、毒親に育てられたと感じる人たちは、自らのことを「毒親育ち」と自称する場合もあります。
「毒親」という言葉に込められた願い
上記のように「毒親」という言葉は、著者である「スーザン・フォワード」がある目的をもって作った言葉です。
そして「スーザン・フォワード」の著書「毒になる親:一生苦しむ子供」を熟読して、私は次のような「メッセージ」を感じました。
POINT
- 「自分が抱える生きづらさは、決して自分ひとりに原因があるのではなく、ましてや、生まれながらに抱えている問題なわけがない…」
- 「生きづらさは、あくまで、自分が生まれた後に抱え始めた問題であり、親を始めとする自分の周りの人たちや、家族を始めとする自分が育った環境にも、自分が抱える生きづらさの原因があることに気づいてほしい…」
毒親とは「絶望」ではなく「希望」を指す言葉
「毒親」という言葉には、上記のような「スーザン・フォワード」からの「メッセージ」が込められているように私は感じます。
少なくとも「毒親」という言葉は、親を攻撃する口実に用いたり、自分の生きづらさの責任を親に押し付けるために用いる言葉、すなわち「親を悪者にするための言葉」ではありません。
むしろ「毒親」という言葉は、「親を巻き込まず、親に邪魔されず、自分の生きづらさは自分で解決していきたい!」と、親との関係に苦しみ、生きづらさを抱えながらも、親からの精神的な自立を願う人々に希望を与えることを目的に「スーザン・フォワード」が生み出した言葉であると私は考えています。
毒親の特徴:否定、放置、過干渉、過保護、4つのタイプ
日本では「毒親」という言葉ばかりが独り歩きしている印象がありますが、毒親とは、実質的には「生き方・子育て方法・性格などの特徴」を表わす言葉であり、その特徴は様々ではありますが、心理カウンセラーとしての経験に基づき考えると、毒親の特徴は、大きく分けて以下の4つのタイプにわけることができます。
POINT
- 子供を否定する毒親
- 子供を放置する毒親
- 過干渉な毒親
- 過保護な毒親
「否定、放置、過干渉、過保護、それぞれのタイプの特徴」は、以下の記事で詳しく解説しています。
毒親である母親の特徴
毒親である母親は、押しつけがましい、大げさでヒステリック、子育てから逃げる、愚痴が多い、子供に嫉妬したり拗ねる、極端な言動をしがちなどの特徴があります。
毒親である母親が持つ特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 言動が押しつけがましい、余計なお世話、過干渉である
- 大げさで過度にダメ出しをする
- 世間体を気にする、親の理想を押し付ける、子供を心配しすぎる
- 子育てから逃げようとする、子供に愚痴を聞かせる
- 子供の話を聞かない、子供に嫉妬したり拗ねたりする
- 自分に対しても周囲に対しても極端な言動をする
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親である父親の特徴
毒親である父親は、命令、強要、過干渉、モラハラ、否定ばかり、過保護、子供の言いなり、子供に無関心、子供に嫉妬したり拗ねる、怒鳴る、暴力などの特徴があります。
毒親である父親が持つ特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 子供に、命令、指図、指示、強要などの過干渉をする
- 子供の意欲や感情に対して「無理だ!ダメだ!やめろ!」など否定から入る
- 子供に対して過保護、子供の言いなりになってしまう
- 子供に無関心、子供と会話しない、子供とスキンシップしない
- すぐ不機嫌になる、威張る、子供に八つ当たり、子供をけなす
- 大声で怒鳴る、暴力を振るう
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親診断チェック
「自分は毒親なのか?」もしくは「自分は毒親に育てられたのか?」については、以下の「毒親診断チェックリスト」を実行することで詳しくチェックすることができます。
「毒親の特徴」も「毒親に育てられた影響」も、人の心のしくみ=心理学に沿ってひとつひとつ理解を深めていくことで克服することが可能です。
そのためには、自分を知ることが第一歩となります。
興味がある方は、是非、チェックしてみてください。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
- POINT毒親とは、心理学などに基づく学術用語ではない
- 毒親の語源は、「スーザンフォワード」の著書「毒になる親:一生苦しむ子供」という本にある
- 毒親とは、「子育てにおいて子供に悪影響を及ぼす親」を指す概念
- 毒親な母親とは「毒母」「毒ママ」と呼ばれる場合がある
- 毒親な父親とは「毒父」と呼ばれる場合がある
- 毒親は、心理学では「機能不全家族」で育った「アダルトチルドレン」と捉える
- 毒親は、子育てにおいてある共通の特徴がある
- 毒親とは、親を悪者にするための言葉ではなく、親からの精神的な自立を願う人たちに希望を与える言葉
- 毒親自身も、毒親に育てられた子供である場合が多い
- 「毒親の特徴」も「毒親に育てられた影響」も、心理カウンセリングなどで克服することが可能
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
以上、「毒親とは、親を『悪者』にするための言葉ではない」という記事でした。