POINT毒父の特徴は、過干渉、過保護、命令、強要、モラハラ、否定、子供の言いなり、無関心、嫉妬、拗ねる、怒鳴る、暴力などの特徴があります。
心理カウンセラーの寺井です。
「毒親」とは、子供を否定する、子供を放置する、過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなど、「子供の人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親」を指す言葉です。
日本では、「毒親=母親」という印象が強く、日本における毒親という概念の広がりは、主に「母親」が対象として取り上げられてきました。
ですが、母親に限らず、毒親である父親も多く存在します。
この記事は、毒親である父親の特徴について解説しています。
毒親である父親の特徴
毒親の特徴を持つ父親を「毒父」などと呼ぶ場合があります。
毒親である父親の子育ては、「過干渉な子育て」や「過保護な子育て」など、どちらの特徴も見受けられますが、主に「過干渉」である場合が多いです。
毒親である父親が持つ特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 子供に、命令、指図、指示、強要などの過干渉をする
- 子供の意欲や感情に対して「無理だ!ダメだ!やめろ!」など否定から入る
- 子供に対して過保護、子供の言いなりになってしまう
- 子供に無関心、子供と会話しない、子供とスキンシップしない
- すぐ不機嫌になる、威張る、子供に八つ当たり、子供をけなす
- 大声で怒鳴る、暴力を振るう
それでは、以下に詳しく解説していきます。
特徴①子供に、命令、指図、指示、強要などの過干渉をする
毒親である父親は、子供に対して「ああしろ!こうしろ!」と、命令、指図、指示をしがちで、まるで軍隊の上官であるかのような、過干渉な子育てをする特徴があります。
このタイプの毒父は、「親の夢」や「親の都合」を子供に押し付けたがる特徴があり、子供の勉強、子供の習い事、子供のスポーツ活動などにおいて、子供以上に入れ込み過ぎる特徴があります。
このタイプの毒父に育てられた子供は、毒父の過干渉に嫌気がさすと、「もう嫌だ!」と限界を感じ、今まで取り組んできた勉強・習い事・スポーツを嫌いになってしまう場合が多いです。
ですが、このタイプの毒父は、子供が嫌だと拒絶を示しているのにも関わらず、「努力が足りない!」「弱音を吐くな!」「あきらめるな!」「とにかく頑張れ!」と、子供の気持ちを無視してさらなる努力を強要したり、子供の進学試験、子供の発表会、子供のスポーツの試合のとき、「絶対に合格しろ!」「絶対に失敗するな!」「絶対に負けるな!」など、子供に過度なプレッシャーを掛ける特徴があります。
また、このタイプの毒父は、子供の将来を「親の持ち物」だと勘違いをしている特徴があり、「親の保身」のために、子供の進路、就職先、恋愛、結婚にまで過干渉をする場合があります。
このタイプの毒父のように、「過干渉な毒親の特徴」は、以下の記事で詳しく解説しています。
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特徴②子供の意欲や感情に対して、無理だ!ダメだ!やめろ!など否定から入る
毒親である父親は、子供が抱く夢や希望に対して、「お前には無理だ!」「お前はダメだ!」「どうせうまくいなかいからやめろ!」など、とにかく否定から入る特徴があります。
このタイプの毒父は、遊び、勉強、スポーツなど、子供が意欲を持って何かをしようとすると、「世の中そんなに甘くない…」「どうせうまくいなかい…」など、子供の意欲を否定する特徴があり、子供を信頼しようとせず、子供を疑っている親と言えます。
このタイプの毒父に育てられた子供は、「親に否定され続けて育った子供」「親に疑われ続けて育った子供」と言い換えることができ、自分に対しても周囲に対しても否定的で懐疑的になってしまいます。
反対に言えば、このタイプの毒父は、「子供の意見すら受け入れられない度量の狭い親」「子供と向き合おうことから逃げている親」と言い換えることができ、頑固で頭が固く、思考の柔軟性に欠ける特徴があります。
このタイプの毒父のように、「子供を否定する毒親の特徴」は、以下の記事で詳しく解説しています。
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特徴③子供に対して過保護、子供の言いなりになってしまう
毒親である父親は、子供が問題行動をしていても叱れなかったり、子供が暴れたり暴力を振るっていても止められなかったり、子供に対して過保護な子育てをする特徴があります。
例えば、息子から悪口や罵声を浴びせられても何も言い返せない、息子から暴力を振るわれても黙って耐えてしまうなど、子供からの反撃を恐れるあまり、子供の言いなりになってしまう父親がこれに当たります。
場合によっては、息子が母親(毒父の妻)に対して暴力を振るっているにも関わらず、息子に対して何も言えず、見て向ぬふりをしてしまう毒父のエピソードもあります。
あるいは、このタイプの毒父は、子供がまともに働こうとしなかったり、部屋をゴミで散らかしていたり、子供が犯罪に手を貸そうとしたり、薬物に手を出そうとしても、叱ることができず、見て見ぬふりをしてしまう特徴があります。
また、内心、子育てに自信がなく、このタイプの毒父自身も、子供時代に親から暴力や虐待を受けた経験を持つ場合が多く、子供に対して強い態度を取れない特徴があります。
このタイプの毒父のように、「過保護な毒親の特徴」は、以下の記事で詳しく解説しています。
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特徴④子供に無関心、子供と会話しない、子供とスキンシップしない
毒親である父親は、子供に無関心、子供と会話をしようとしない、子供とスキンシップを取ろうとしないなど、子供と親子関係を築こうとしない特徴があります。
このタイプの毒父は、仕事ばかりに没頭し仕事を言い訳にして家庭を顧みようとせず、たまの休日であっても、家族を置いて外に遊びに行ってしまったり、自室に閉じこもってしまったり、仕事や趣味に没頭し子育てから逃げている特徴があります。
また、「ギャンブル依存症」や「アルコール依存症」などを抱える親もこれに当たり、このタイプの毒父は、自らの目の前の欲求を満たすことに精いっぱいであり、育児放棄してしまっている場合すらあります。
例えば、真夏の猛暑の中、密室である車に子供を一人残して何時間もパチンコに興ずる父親であったり、アルコール依存症の親が子供にアルコールを買いに行かせるなど、このタイプの毒父は、自分が少しでも楽をするために子供を利用する特徴があります。
このタイプの毒父は、子供時代、同じような毒親に育てられ、同じような状況で育った場合が多く、「自分が子供の頃に親にされたことを、自分が親になって同じようにしているだけだ…自分は悪くない…」と感じている場合が多いです。
このタイプの毒父のように、「子供を放置する毒親」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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特徴⑤すぐ不機嫌になる、威張る、子供に八つ当たり、子供をけなす
毒親である父親は、子供の態度が少しでも気に入らないと、「俺が養ってやっているのだ!」「文句があるなら出ていけ!」「どいつもこいつも気が利かない!」など、自分が仕事をして稼いていることや親の権限を強調し、子供に対して上から目線で威張りちらす特徴があります。
また、このタイプの毒父は、家族内で自分の意見が尊重されないと、すぐに不機嫌になり、「やっぱりやめた!」「みんな勝手にしろ!」と拗ねてしまったり、我儘を言ったり、子供のようにふくれて黙り込んでしまう特徴があります。
あるいは、子供が息子であっても娘であっても、仕事のストレスを、子供に八つ当たりをすることで発散しようとしたり、子供の容姿をけなすことで発散しようとする特徴があります。
特に、子供が娘であった場合、毒父は男性としての自信のなさを埋め合わせるめ、父親という立場を利用して、娘に対して「児童性的虐待」を繰り返す場合があります。
その理由は、このタイプの毒父が、子供時代、母親に十分に甘えられなかったことが原因である場合が多く、言うなれば、「遠い昔、子供時代に母親に甘えたかった感情を、母親に代わって、自分の娘で満たそうとしている…」と言い換えることができます。
つまり、このタイプの毒父に育てられた娘は、まるで「父親の母親代わり」となってしまい、女性として傷ついた心を抱えることになり、恋愛においては「回避依存症」に陥りやすかったり、結婚や出産についても消極的になってしまう特徴があります。
このタイプの毒父の特徴のように、無意識にあふれ出てきてしまう子供時代の感情を、心理学では「未完の感情」と呼び、「インナーチャイルド」という概念で捉えます。
「もっと母親に甘えたかった…」という、このタイプの毒父が子供時代から抱え続けている未完の感情=「インナーチャイルド」については、以下の記事で詳しく解説しています。
特徴⑥大声で怒鳴る、暴力を振るう
毒親である父親は、子育ての良し悪しを「親の基準」で捉えがちで、「親の都合に合わない子供」=「ダメな子供」と捉え、子供を激しく叱責する特徴があります。
このタイプの毒父は、子供が約束を守れなかったり、子供が何かを失敗すると、そのたびに躾と称して怒鳴りつけたり、叩いたり殴ったりして体罰を加える特徴があり、エスカレートすると「児童虐待」にまで至ってしまう場合があります。
また、子供に限らず、子供の母親(毒父の妻)に対しても態度が気に入らないと、「大声で怒鳴る」「暴力を振るう」ことで無理に従わせようとする特徴があり、場合によっては「配偶者暴力(DV)」にまで発展してしまう場合があります。
このタイプの毒父は、まるで瞬間湯沸かし器のように一気に頭に血が上り、まるで火山の噴火のように一気に怒りが爆発する特徴があり、一度、怒りだすと収まりがつかず、毒父自身も、あまり覚えていないくらい一心不乱に怒りまくる特徴があります。
このタイプの毒父のように、極端な言動を繰り返す原因となる心理的な特徴を、心理学では「白黒思考(二極思考)」と言います。
極端な言動の原因=「白黒思考」については、以下の記事で詳しく解説しています。
毒父の最大の特徴「過干渉・モラハラ」
毒父は子育てにおいて、子供に容赦なく過干渉をして厳しく接するのが最大の特徴ですが、そもそも、毒親の問題行動に隠された意図とはなんなのでしょうか?
確かに、毒父の言動は「モラルハラスメント」と言え、あまりにも理不尽ですが、毒父は体格も立派で暴力も振るうため、やみくもに反抗をすれば、毒父はかえって激高し、結局、自分の身に危険が降り注ぎます。
なので、「彼(相手のこと)を知り己(自分のこと)を知れば百戦殆うからず…」のことわざ通り、心理カウンセリングの現場では、毒父への対処法を考え始めるにあたり、まず、「毒親と呼ばれる存在であっても、1人の人間として尊重し、毒父の過干渉の中にも、毒父なりの想いや願いや気持ち=心理が隠されている…」というところ考え始め、「毒親とは何か?毒親の意味合い」を十分に理解した上で進めていきます。
毒父の最大の特徴である「過干渉・モラハラ」の重要ポイントは、以下の5点があげられます。
POINT
- 毒父の問題行動の原点は「見捨てられ不安」である
- 毒父の狙いは「親子で共依存関係」を作り上げること
- 毒父の「過干渉・モラハラ」は、「人間関係への苦手意識の原因」となる
- 娘は、思春期を境に「毒父から自立」する
- 息子は、自立したいからこそ「父親に認めてもらいたい!」と感じる
- 毒父に従い続けることが自立ではなく、「毒父から離れることが自立」である
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒父は「アダルトチルドレン」
毒父の子育ては、「過干渉」「モラハラ」という印象に映ります。
毒父は、子育ても含めた人間関係において、境界線を越えて相手に干渉しすぎるという心理的特徴があると言えます。
毒父の特徴は、アダルトチルドレンの特徴と一致する
毒父のように、子育ても含めた人間関係において、境界線を越えて相手に干渉しすぎる理由には、以下の3つの心理的特徴が影響していると心理学では考えます。
POINT
- 自分の存在を否定的に感じやすい
- 人間関係に苦手意識を感じやすい
- 不安や警戒心を敏感に感じやすい
そして、子供時代、育ての親との関係において、上記3つの心理的特徴を心に抱え、大人になっても、その影響を受け続けている人を、心理学では「アダルトチルドレン」と呼びます。
アダルトチルドレン(AC)とは、自分は子ども時代に親との関係で何らかのトラウマ(心的外傷)を負ったと考えている成人のことをいいます。自己認識の概念であり、医学的な診断名ではありません。
よって、上記3つの心理的特徴を持つ「毒父はアダルトチルドレン」であると言い換えることができます。
なお、毒父の特徴=アダルトチルドレンの特徴は、以下の「アダルトチルドレン(ac)チェックリスト」を実行することで詳しくチェックすることができます。
毒父と「機能不全家族」「世代間連鎖」の関係
また、「アダルトチルドレン」を生み出す家族を、心理学では「機能不全家族」と呼び、機能不全家族の子育ての特徴は、親から子へ、子から孫へと「世代間連鎖」をしていると心理学では捉えます。
つまり、毒父が子供に対して「過干渉」「モラハラ」な子育てを行うのは、毒父も、子供時代、毒父の父親から同じような子育てを受け、世代間連鎖で受け継ぎ、大人になって、自分の子供に繰り返していると言え、毒父自身も、毒親に育てられた子供である場合が多いと言えます。
なお、毒父をはじめとする「毒親に育てられた方の子育ての特徴」については、以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は参考にして下さい。
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機能不全家族の原因となる「父親」の特徴
前述の通り、「毒父」とは「毒父自身が機能不全家族で育ったアダルトチルドレン」であり、「世代間連鎖」によって「新たなアダルトチルドレンを生みだす原因」にもなっています
よって、毒父とは「機能不全家族の原因となる父親」と言い換えることもできます。
反対に言えば、毒父とは「健全な子育てをしてもらえないまま大人になっている」あるいは「健全な家庭の築き方を知らないまま大人になっている」と言い換えることができ、そのぶん、毒父の内心には、「子育てに対する自信のなさ」「家庭を築くことへの自信のなさ」が隠れていると言い換えることができます。
とくに、「毒父」は「毒母」に比べると「怒りが爆発しやすい」という特徴があり、この「毒父が爆発させる怒り」とは、殆どの場合、毒父が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「躾(しつけ)という名の『暴言・暴力』」によって負った「家庭内トラウマ」に原因がある場合が多く、反対に言えば、毒父とは、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「怒り」を、誤って自らの子どもへと爆発させてしまっていると言い換えることができます。
ここでは、機能不全家族の原因となる「父親」の特徴として、以下の6点を紹介します。
POINT
- 家庭に不在がち
- 世間体を重視する
- 暴言・モラハラ
- 暴力(DV)
- 家族と不仲
- 男尊女卑・きょうだい差別
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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毒親診断チェック
ここまで「毒父の特徴」について詳しく解説してきました。
毒父の特徴は、以下の「毒親診断チェックリスト」を実行することで詳しくチェックすることができます。
「毒父の特徴」も「毒父に育てられた影響」も、人の心のしくみ=心理学に沿ってひとつひとつ理解を深めていくことで克服することが可能です。
そのためには、自分を知ることが第一歩となります。
「自分は毒父なのか?」もしくは「自分は毒父に育てられたのか?」に興味がある方は、是非、チェックしてみてください。
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毒親への対処法
毒親は、子供に反抗されればされるほど燃え上がり、子供をさらに抑え込もうとする特徴があるため、「闘う、やり合う、わからせる」といった感情的な方法では上手くいかず、「かわす、逃げる、離れる」といった理知的な方法でこそうまくいきます。
よって、毒親への対処法は、「毒親は自らの見捨てられ不安を和らげるため、子供との共依存関係を築こうとしている…」という、毒親の心理をしっかりと理解した上で、理知的に冷静に進めていく必要があります。
なので、心理カウンセラーなど専門家の協力を得ながら、まず「長年、毒親から受け続けてきた心理的な影響を和らげる…」、続いて「毒親と心理的にも物理的にも距離を置くことで、共依存関係に巻き込まれないようにする…」という流れが、毒親への対処法の基本となります。
毒親への対処法は、以下の流れが基本となります。
POINT
- 「心理カウンセリング」や「インナーチャイルドセラピー」で、長年、毒親から受けてきた心理的な影響を和らげる
- 毒親より自分の内面に関心を向け、「毒親と心理的な距離」をとる
- 「親を見捨てるのではなく、親から卒業する」の心持ちで、心理的にも、物理的にも、できるだけ毒親から距離を取る
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、毒親である父親の特徴について重要ポイントをまとめます。
- POINT毒父は、子供に命令、指図、指示、強要などをする特徴がある
- 毒父は、子供に対して否定から入る特徴がある
- 毒父は、子供に過保護であり、子供の言いなりになる特徴がある
- 毒父は、子供に無関心、子供と、会話・スキンシップをしない特徴がある
- 毒父は、すぐ不機嫌になる、威張る特徴がある
- 毒父は、大声で怒鳴り、暴力を振るう特徴がある
- 毒父は、自分のストレスを発散するために子供を束縛し「親子共依存」の関係を築こうとする
- 毒父は、娘よりも、息子とのあいだで「共依存」の関係に陥りやすい
- 毒父自身も、毒親に育てられた子供である場合が多い
- 毒父の特徴は、アダルトチルドレンの特徴と一致する
- 「毒父の特徴」も「毒父に育てられた影響」も、心理カウンセリングなどで克服することが可能
- 毒親への対処法は、「心理カウンセリング」や「インナーチャイルドセラピー」で、長年、毒親から受けてきた心理的な影響を和らげ、毒親と心理的にも物理的にも距離を置き、共依存関係に巻き込まれないようにするのが基本
また、毒親である父親の特徴に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
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以上、「毒親である父親の特徴」という記事でした。