POINT回避依存症:独裁者タイプの原因は、①負の世代間連鎖、②複雑性PTSD、などが考えられます。
心理カウンセラーの寺井です。
「回避依存症:独裁者タイプの原因」には、「負の世代間連鎖」「複雑性PTSD」など、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっており、子どもの頃、親から受けた子育て・家庭環境に何らかの問題があった場合、その影響により「回避依存症」になる可能性が高いと考えられています。
また、問題のある家庭で育った(問題のある親に育てられた)ことが原因で、大人になって、恋愛を含む人間関係全般に問題を抱えている人を「アダルトチルドレン」と言います。
そして、「回避依存症」とは、アダルトチルドレンの特徴のひとつとも言われており、アダルトチルドレンを克服することが、「回避依存症の克服」に繋がると考えることができます。
この記事は、回避依存症:独裁者タイプの原因について解説しています。
回避依存症:独裁者タイプの原因
「回避依存症:独裁者タイプの原因」には、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっていると考えられています。
とくに、親から「身体的暴力」や「精神的暴力」を受けて育った子どもは、大人になって、親と同じように「身体的暴力」や「精神的暴力」を行う可能性が高いと考えられています。
虐待行為のうち暴力などは、世代間連鎖すると言われます。暴力を振るう親のもとで育った子は暴力を振るうようなる、というわけですが、何故そうなるのかについては、子が暴力による問題解決を学習するという説や、暴力を受けた子のトラウマが怒りとなり暴力を生むという説など諸説あります。
そして、「独裁者タイプの原因」となるような「親・家族の問題点」とは、主に以下の「2つ」が考えられます。
POINT
- 「父親」が「母親」に「暴力」を振るっていたり、「母親」が「父親」に「ヒステリー」を起こしていると、子どもは「暴言・暴力で問題解決を図る両親の様子」を「モデリング(学習)」し、大人になって無意識に「模倣」する
- 子どもの頃、親から受けた「身体的暴力」や「精神的暴力」によって「心の傷(幼少期のトラウマ)」を負うと、大人になって「防御反応」が強く現れる
このとき、「暴言・暴力で問題解決を図る両親の様子」を、子どもが「モデリング(学習)」し、大人になって「模倣」し繰り返すことを「負の世代間連鎖」と言います。
次に、親から受けた「身体的暴力」や「精神的暴力」によって負った「心の傷(幼少期のトラウマ)」が、何らかの理由で「対人関係に過剰な防御反応」を示すことを「複雑性PTSD」と言います。
以上のことから、「回避依存症:独裁者タイプの原因」は、大きく分けて以下の「2つ」が考えられます。
POINT
- 「独裁者タイプの親」に育てられたことによる「負の世代間連鎖」の影響
- 「独裁者タイプの親」に育てられたことによる「複雑性PTSD」の影響
それでは、以下に詳しく解説しています。
①負の世代間連鎖
「身体的暴力」や「精神的暴力」を行うことで恋人を支配・束縛しようとする「暴力的支配行動」は、「独裁者タイプ」の最大の特徴であり、カウンセリングの臨床経験に基づくと、「独裁者タイプ」の「親」も「独裁者タイプ」である場合が多いと言えます。
反対に言えば、「独裁者タイプ」は、子どもの頃、「独裁者タイプの親」が「配偶者」や「子ども」に対して「身体的暴力」や「精神的暴力」を行う様子を間近で見ながら、大人へと成長していったことになります。
また、「三つ子の魂百まで」という言葉がある通り、子どもの頃に親との関りで受けた影響は、その後の「人格形成」に大きな影響を与えることは、科学的にも証明されているところです。
このように、子どもが成長過程において「親の思考・行動パターン」を「模倣」することで生き方を学習することを「モデリング」と言います。
心理学においてモデリング(英: Modelling)とは、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることである。人間(主に子供)の成長過程では、モデリングにより学習・成長するとされている。…(中略)…攻撃行動は他人の攻撃行動を観察することによって促進される
引用元:モデリング (心理学)
以上のことから、「独裁者タイプの親」に育てられた子どもは、大人になって、親と同じように「身体的暴力」や「精神的暴力」を繰り返し行う可能性が高いと心理学では考えられています。
ちなみに、「親と同じように身体的暴力・精神的暴力を繰り返し行う」など、子どもの頃、親から受けた子育てによる「負の影響」が、親から子へ、子から孫へと無意識に連鎖してしまうことを「負の世代間連鎖」と言います。
負の世代間連鎖とは、「親(又は親から上の世代)から引き継いだ負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」を指します。世の中の親子問題を抱えている人の多くが、「親を介してこの負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」に巻き込まれたことによって、様々な問題を抱えてしまうようになったことを知ることはとても大切なことです。
引用元:親子の問題①(世代間連鎖)
このように、「独裁者タイプ」が行う「身体的暴力」や「精神的暴力」は、子どもの頃、「父親」が「母親」に「暴力」を振るっている様子や、「母親」が「父親」に「ヒステリー」を起こしている様子を「負の世代間連鎖」によって繰り返していると言い換えることができます。
以上のことから、「負の世代間連鎖」は、「回避依存症:独裁者タイプの原因」のひとつと考えることができます。
なお、「負の世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
②複雑性PTSD
前述の通り、「独裁者タイプ」は「独裁者タイプの親」に育てられた場合が多く、「暴力・暴言・過干渉・過保護」など「親の過剰なコントロール」を受けながら育ったことになります。
過保護は、子どもがしたい/したくないと主張したことに対して、甘やかしてしまう状態を指します。対して過干渉は、親の意向を押し付けてしまうので、子どもの主張が無視されることが頻繁に起こります。
このように「過干渉な親」や「過保護な親」は、子どもの成長を見守ることができず、子どもの気持ちを無視して過剰に関わりすぎてしまうため、結果、子どもの心を傷つけてしまったり、子どもの精神的な自立を阻害してしまうという傾向があります。
反対に言えば、「独裁者タイプ」は「親の過剰なコントロール」を受けたことが原因で負った「心の傷(幼少期のトラウマ)」を、そのまま抱えて大人になっている場合が多いと言え、そのぶん「他者にコントロールされることへの恐れ」あるいは「誰かにコントロールされることへの警戒心」を強く感じやすいと考えられます。
原因が「両親による過干渉・過保護」「独裁者タイプの親に育てられた」このどちらにあるにせよ、根本にあるのは「もう人から支配されたくない」という強い不安や恐怖心です。独裁者タイプの回避行動(モラハラ・DV)は自分のトラウマを隠すための無意識の防衛反応です。無意識というのがポイントで、恋人にとってはそれが自然な行動になってしまっているので、自分が恋人のことを傷つけているという実感にも乏しいという面があります。
ちなみに、「暴力・暴言・過干渉・過保護」などの「虐待」による「心の傷(トラウマ)」が原因で、他者の言動に対して「過剰な警戒心」を感じるなど、対人関係に困難が生じることを「複雑性PTSD」と言います。
複雑性PTSDは、持続的な虐待やドメスティック・バイオレンスなどのトラウマ体験をきっかけとして発症し、PTSDの主要症状(フラッシュバックや悪夢、過剰な警戒心など)に加えて、感情の調整や対人関係に困難がある等の症状を伴います。こうした症状により日常生活や社会生活上に大きな支障をきたす精神疾患です。
引用元:複雑性PTSD治療前進へ
このように「独裁者タイプ」が行う「身体的暴力」や「精神的暴力」は、「独裁者タイプの親」から受けた「暴力・暴言・過干渉・過保護」の影響で負った「心の傷(幼少期のトラウマ)」を防御するための「無意識の防御反応(複雑性PTSD)」と言い換えることができます。
以上のことから、「無意識の防御反応(複雑性PTSD)」は、「回避依存症:独裁者タイプの原因」のひとつと考えることができます。
なお、「過干渉な親」「過保護な親」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
回避依存症の原因:「アダルトチルドレン」
前述の通り、「独裁者タイプ」をはじめとする「回避依存症の原因」には、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっており、子どもの頃、親から受けた子育て・家族の様子・家庭環境に何らかの問題があった場合、その影響により「回避依存症」になる可能性が高いと言えます。
「回避依存症の克服」とは、アダルトチルドレンを克服すること
このとき、子どもの人生に悪影響を与えるような問題のある子育てを行う親を「毒親」と言い、子どもの人生に悪影響を与えるような問題のある家庭を「機能不全家族」と言います。
そして、機能不全家族で育った(毒親に育てられた)ことが原因で、大人になって、恋愛を含む人間関係全般に問題を抱えている人を「アダルトチルドレン」と言います。
「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。
また、「回避依存症」とは、アダルトチルドレンの特徴のひとつとも言われています。
回避依存症は、アダルトチルドレンの表れ方のひとつです。…(中略)…親子関係や周囲の大人との間で、消耗し枯渇する感覚や、飲み込まれそうな感覚を体験してきました。
引用元:回避依存症
このように、「回避依存症になる原因」とは、「子どもの頃、機能不全家族で育った影響」や「子どもの頃、毒親に育てられた影響」である可能性が高い、すなわち、「回避依存症になる原因」は「アダルトチルドレン」と密接な関係にあると言えます。
反対に言えば、「機能不全家族で育った(毒親に育てられた)影響」である「アダルトチルドレン」を克服することが、「回避依存症の克服」に繋がると考えることができます。
「アダルトチルドレン(回避依存症)」の克服方法
そもそも「アダルトチルドレン(AC概念)」とは、1970年代、アメリカのアルコール依存症の治療現場から広がり始めた考え方で、1980年代になると、さまざまな専門家たちが「アダルトチルドレンの原因」や「アダルトチルドレンの克服方法」について研究を行い始め、今では、アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士「クラウディア・ブラック」によって、「アダルトチルドレンからの回復プロセス」がしっかりと確立されています。
とはいえ、前述の通り「回避依存症になる原因」とは、子どもの頃に負った「幼少期のトラウマ」が密接に関わっており、「幼少期のトラウマ」とは、「なかなか思い出しづらい『遠い昔の記憶』」であるのと同時に、「できれば思い出したくない『傷ついた記憶』」でもあります。
よって、「幼少期のトラウマ」を思い出そうと過去を振り返っても、自分1人ではなかなか思い出せなかったり、なかなか受け入れられない場合があります。
なお、「クラウディア・ブラック」は、「アダルトチルドレンからの回復」には以下の2点が重要と述べています。
POINT
- 「親・家族」に対する負の感情は「親・家族」に聞かせるのではなく、「親以外の信頼できる相手(心理カウンセラー・自助グループなど)」に聞いてもらう必要がある
- 「親・家族」に対する負の感情は「安全な場所(カウンセリングルーム・自助グループなど)」で聞いてもらう必要がある
以上のことから、「心理カウンセリングは、アダルトチルドレンの克服にとても有効である」と言われており、カウンセリングを利用して、カウンセラーの協力を得ながら「アダルトチルドレンからの回復プロセス」を進めることで「アダルトチルドレンの克服」が可能となり、アダルトチルドレンの克服をすることで「回避依存症の克服」ができると言えます。
なお、当社メンタル心理そらくもが考える「アダルトチルドレン克服カウンセリング(回避依存症の克服方法)」については、以下の記事で詳しく解説していますので、是非お読み下さい。
まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「回避依存症:独裁者タイプの原因」としては、以下の点があげられます。
- POINT「暴言・暴力で問題解決を図る両親の様子」を「負の世代間連鎖」で無意識に繰り返すため
- 「独裁者タイプの親」に育てられたことによる「無意識の防御反応(複雑性PTSD)」が強まっているため
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
関連記事
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
以上、「回避依存症:独裁者タイプの原因」という記事でした。