POINTヒーロータイプ(英雄役)の恋愛傾向は、①恋愛でも英雄役になる、②恋愛に完璧を求める、③世間の評価が高い相手を選ぶ、④弱い自分を隠す、⑤恋人を見下す、⑥依存心が強い人との共依存恋愛、⑦暴力的支配行動、⑧冷め切った恋愛をする、などがあげられます。
心理カウンセラーの寺井です。
恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には人それぞれの特徴があり、心理学では「愛着スタイル」と言います。
とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
ヒーロータイプは子どもの頃から「機能不全家族における『英雄役』」として「親や家族の期待」に応えるために頑張り続けてきたため、大人になっても「周囲の期待に応えるために積極的に頑張り続ける」という点が最大の特徴です。
ですので、ヒーロータイプは「恋愛関係」においても「恋人に期待されるよう、恋人の期待に応えられるように努力する」という傾向があり、子どもの頃と同じように「英雄役」になりやすいという傾向があります。
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の『恋愛傾向』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の『心理的特徴』と『人間関係の特徴』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「恋愛傾向」について解説していきます。
アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「恋愛傾向」
前述の通り、ヒーロータイプの「恋愛思考パターン(愛着スタイル)」は、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響しています。
また、ヒーロータイプは子どもの頃から「機能不全家族における『英雄役』」として、「親や家族の期待」に応えるために「勉強・スポーツ・習い事」を頑張ったり、「頼りない親」に代わって「家族の問題」を解決したり、「家族のリーダー(英雄的存在)」となって家族を支えてきました。
ですので、ヒーロータイプは「機能不全家族」で育った影響により、大人になって「周囲の期待に応えるために積極的に頑張り続ける」という特徴があり、「恋愛関係」においても「恋人に期待されるよう、恋人の期待に応えられるように努力する」という傾向があります。
よって、ヒーロータイプは大人になってからの「恋愛関係」においても、子どもの頃と同じように「英雄役」になりやすいという傾向があります。
なお、ヒーロータイプは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられていることから、本記事では「ヒーロータイプの『男女』に共通する恋愛傾向」を「軸」に解説していきます。
また、「ヒーロータイプの恋愛傾向」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 恋愛でも「英雄役」になりやすい
- 恋愛に完璧を求める
- 世間の評価が高い相手を選ぶ
- 弱い自分を隠す
- 恋人を見下す(マウンティングする)
- 依存心が強い人と「共依存恋愛」になりやすい
- 「暴力的支配行動」をとる
- 冷め切った恋愛をする
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①恋愛でも「英雄役」になりやすい
ヒーロータイプは「スーパーチャイルド」とも呼ばれ、子どもの頃から「親や家族の期待に応える」ことに「自分の存在価値」を感じてきたため、大人になってからも「周囲の期待に応える」ことに「生きがい」を感じるようになります。
スーパーチャイルドとして育った子供は、家庭に内にある問題を感じて自分だけは親に迷惑を掛けないように優等生を演じていて、大人になってからもその癖が取れずに親に対しても自分の本音が言いずらい、職場でも優等生を演じて生き辛いという悩みを抱えています。
ですので、ヒーロータイプは大人になったとき、「『誰かの期待に応える』ことができて、初めて『自分の存在価値』を感じることができる」あるいは「『誰かの期待に応える』こどができないと『自分の存在価値』を感じることができない」という心理状態になりやすく、恋愛においても「『恋人の期待に応える』ことで『自分の存在価値』を感じようとうする」という傾向があります。
反対に言えば、ヒーロータイプにとって「恋人の期待に応えることができない」ということは、「自分の存在価値」を感じることができないことを意味します。
よって、ヒーロータイプは恋愛において「自分の存在価値」を感じるために、無意識に「恋人に期待されるよう、恋人の期待に応えられるように努力する」という特徴があります。
ですが、ヒーロータイプは恋愛において「恋人の期待に応えられるように努力する」のに加え、仕事においても「周囲の期待に応えられるように努力する」という特徴があるため、恋愛も仕事も頑張りすぎて「ストレス(肉体的疲労・精神的疲労)を限界まで蓄積してしまう」場合が多いと考えられています。
そして、恋愛も仕事も頑張りすぎた結果、ヒーロータイプは急にやる気を失ってしまったり、急に体調を大きく崩してしまうなど「燃え尽き症候群」に陥ってしまう場合があります。
燃え尽き症候群とは、物事に意欲的に取り組んでいた人が、燃え尽きたようにやる気や意欲をなくしてしまう症状のことです。プレッシャーなどのストレスを継続的に感じたり、体を酷使したりするなど心身ともに無理をした結果、極度の疲労を抱えてしまうことが原因と考えられており、うつ病の一種とも言われています。
また、子どもの頃から「周囲の期待に何としても応え続ける」ことで「自分の存在価値」を守ってきたヒーロータイプは、「失敗や挫折」をほとんど経験しないまま大人へと成長していくため、大人になってから「失敗や挫折に対するストレス耐性が低い」という特徴を持つと考えられています。
このように、ヒーロータイプは大人になってから初めて「失敗や挫折」を経験する場合も多く、そうすると「失敗や挫折に対するストレス耐性」が全く備わっていないため、一度の「失敗や挫折」で「心のバランス」を大きく崩してしまい、結果、恋愛そのものを投げ出してしまう場合があります。
このように、ヒーロータイプは表面的には「頼りがいのある人」に見える反面、内面には「ストレス(肉体的疲労・精神的疲労)を限界まで蓄積している場合が多い」という特徴があります。
以上のことから、「恋愛でも『英雄役』になりやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
②恋愛に完璧を求める
ヒーロータイプは「周囲から期待・評価をされていなければ、自分の存在価値が無くなってしまう!」という「強い危機感」を常に感じているため、自らに「非常に高い目標」を設定したり、少しのミスも許せないため「事前に綿密な計画」や「事前に万全な準備」を整えようとしたり、決められた約束を絶対に守るため「時間厳守」を徹底するなど、周囲の評価を気にするあまり、さまざまな点において「完璧」を目指して「努力」をします。
なお、ヒーロータイプのように「完璧を目指して努力をする心理的な特徴」を「完璧主義」と言います。
完璧主義とは、必要以上に高い目標を設定し、万事が整った状態を目指し努力する特徴や性格を指します。自分自身に厳しく、また他人の評価を気にする傾向にあり、定められた時間内で完璧を目指そうとします。ミスや失敗を許すことができず、頑張り過ぎてしまうので精神的なストレスをため込みがちです。
また、ヒーロータイプは、子どもの頃から「失敗や挫折」をほとんど経験しないまま大人へと成長しているため、「失敗や挫折をする人の気持ちが理解できない」という傾向があり、「自分にできることは他者にもできるはずだ!」という「強い思い込み」を持っているという特徴があります。
そのため、ヒーロータイプは恋愛においても、恋人に対して無意識に「自分と同程度の能力」や「自分と同程度の努力」を求めてしまうという傾向があり、その影響で無意識のうちに「恋人に厳しくなってしまう」あるいは「恋人にさまざまな口出しをしてしまう」という特徴があります。
なお、「ヒーロータイプの恋人への厳しさ」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人の失敗に対してダメだしする
- 恋人にしつこく説教をする
- 恋人に努力や結果を厳しく求める
- 恋人の言い訳を許さない
- 恋人がネガティブな発言をするとイライラしだす
- 恋人が自分の思い通りに動かないとキレる
また、「ヒーロータイプが行う恋人への口出し」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人のファッションに口出しする
- 恋人の髪型に口出しする
- 恋人の交友関係に口出しする
- 恋人の話し方や言葉遣いに口出しする
このように、ヒーロータイプは「恋愛において完璧を求めすぎる」あまり、「恋人に対して口うるさくなる」という特徴があります。
そうすると、口うるさく言われる恋人は、ヒーロータイプと付き合えば付き合うほど「ストレス」が蓄積して「体調を崩す」場合があったり、限界を感じて「別れを切り出す」場合があります。
以上のことから、「恋愛に完璧を求める」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
ちなみに、「恋愛に完璧を求める」という点は、「回避依存症:ナルシストタイプ」の特徴と一致します。
なお、「回避依存症:ナルシストタイプの恋愛傾向」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
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③世間の評価が高い相手を選ぶ
ヒーロータイプは、子どもの頃から「親や家族の期待に応える」ことに「自分の存在価値」を感じながら大人へと成長していきます。
とくに、ヒーロータイプは「父親に認められたい・感謝されたい・褒められたい」という気持ちが強いため、子どもの頃から「父親の期待に応えよう!」と「勉強・スポーツ・習い事」で必死に努力を続けます。
ですが、「ヒーロータイプの父親」は「医師・弁護士・教授・教師・政治家・経営者」など「社会的地位の高い職業」に就いている場合が多く、その影響で「親の理想」を子どもに押し付けたり、子どもに対して「厳しすぎる教育」を行う場合が多いと考えられています。
なお、「ヒーロータイプの父親の特徴」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 仕事に没頭して家庭に不在がちであり、子どもに愛情を示さない
- 「勉強・スポーツ・習い事の成績」について、子どもに厳しく言う
- 「進学先」や「就職先」について、子どもに厳しく言う
- 「友人関係」や「恋愛関係」について、子どもに厳しく言う
また、子どもの意思を無視したり、子どもの限度を超えてまで、親が子どもに「勉強・スポーツ・習い事」をさせることを「教育虐待」と言います。
教育虐待とは、「子どもの限度を超えた教育を受けさせること」とされています。近年では、勉強だけではなく習い事も含む教育全般のことを指すようになってきているといわれています。親が教育熱心なあまり「あれもこれもやらせたい」と力を入れすぎることが、子どもにとっては「やりすぎ」とストレスになっている可能性があります。親が「自分は子どものために正しいことをしている」と悪気なく踏み込んでいくうちにエスカレートし、無意識に教育虐待に至っているというケースもあるようです。
このように、ヒーロータイプは「父親に認められたい・感謝されたい・褒められたい」という気持ちから「父親の期待に応えよう!」と「勉強・スポーツ・習い事」で必死に努力を続けます。
ですが、「ヒーロータイプの父親」は「プライド(自尊心)」が高く、子どもの努力を決して認めようとはしないため、ヒーロータイプがいくら努力を続けても、「父親からの愛情(感謝・褒めの言葉)をもらえない」ことになります。
そして、「必死に努力を続けたのに父親から愛情(感謝・褒めの言葉)をもらえなかった」という「父親との関係性」は、ヒーロータイプの恋愛傾向に大きな影響を与えていると考えられています。
なお、「父親との関係性がヒーロータイプの恋愛傾向に与える影響」とは、主に以下の具体例があげられます。
POINT
- 「父親に否定されないような恋愛相手」を選ぶようになる
- 「父親を見返せるような恋愛相手」を選ぶようになる
また、ヒーロータイプが考える「父親に否定されないような恋愛相手」あるいは「父親を見返せるような恋愛相手」とは、主に以下の具体例があげられます。
POINT
- 社会的地位の高い職業に就いている人
- 知名度が高い人
- 高収入の人
- 高学歴の人
- 優れた容姿を持つ人
- 親や家族に問題がなく家柄の良い人
このように、ヒーロータイプは恋愛相手に求める条件として、「価値観」や「性格」といった内面的なものより、「容姿」や「学歴」といった外面的なものを重視するという特徴があります。
また、ヒーロータイプは自らの意思によって恋愛相手を選ぼうとしても、親から反対をされると途端に自信を失ってしまうなど、恋愛において「親の影響を受けやすい」とも言えます。
以上のことから、「世間の評価が高い相手を選ぶ」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
④弱い自分を隠す
ヒーロータイプは「優秀」で「失敗」が少ないため、表面的には「優等生」や「エリート」に映りますが、内面には「失敗が許されない!というプレッシャーに押しつぶされそうな不安」や「周囲の期待に応え続けなけれなならない!という責任感に煽り立てられる焦り」など「弱い自分」をひた隠している場合が多いです。
ですが、ヒーロータイプは「『弱い自分』を周囲に知られてしまっては、周囲から期待されなくなってしまい、周囲に見放され、自分の存在価値が無くなってしまう!」という「強い危機感」を持っているため、恋愛においても「弱い自分を隠すために強い自分を演じる」という傾向があり、「弱い自分」を隠そうとすればするほど「恋人に助けを求めなくなる」あるいは「恋人に弱音を吐かなくなる」という心理的な特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「弱い自分を隠すために強い自分を演じる」ことを「強がり」と言います。
強がりの心理には、弱い自分をさらけ出したくない気持ちが表現されています。…(中略)…誰が見ても恥ずかしくない自分になるために、弱さを強さに変えていきたいと、理想の自分を演じています。
一方、恋愛関係において、恋人と信頼関係を築くうえで最も大切なことは「自分のことを正直に話していくこと」と考えられており、自分の良い点ばかりではなく、自分の悩みや弱音も正直に話すことを「自己開示」と言います。
「この人のことは信頼できる」「この人になら何でも話せる」。こうした信頼関係を築くには、相手より先にどんどん自分のことを話し、「自己開示」していくことが有効だ。
「自己開示」とは、他者にありのままの自分をさらけ出すこと。自分の強みだけでなく、悩みや弱点なども含めて開示することをいいます。
引用元:自己開示
ですが、ヒーロータイプは「強い自分」を演じることで「弱い自分」を無意識に隠してしまうため、恋人に対して「弱い自分をさらけだす(自己開示する)ことがなかなかできない」という特徴があります。
なお、ヒーロタイプのような「強がりな人の恋愛での特徴」とは、主に以下の具体例があげられます。
POINT
- 自分の非を認めない
- 自分の失敗を認めない
- 謝罪しない
- 感謝しない
- 弱音が言えない
- 悩みが打ち明けられない
- 助けを求められない
また、ヒーロータイプに限らず、子どもは「異性の親(男の子にとって母親、女の子にとって父親)と健全な関係性が築けなかった」場合、大人になってから「異性への警戒感が強くなる」と考えられています。
異性の親との関係は、恋愛に影響する…(中略)…基本的に男性なら母親、女性なら父親が、生まれて初めて接する年上の異性になります。その時に受けた、包容力、安心感、信頼感が、成長したのちの異性に求めるものと一致するようです。健全な関係を築けているのなら、男の子は「ママは僕が守る!」と言ったり、女の子は「パパのお嫁さんになる!」と言ったりしますね。ただ、もし健全な関係を築けていないとすると、男性なら女性を軽視するようになったり、女性なら男性をとても怖がってしまったりします。
そして、「ヒーロータイプの両親」は「子どもに厳しすぎる父親(夫)」と「父親(夫)に黙って従う母親(妻)」という「男尊女卑の対等ではない関係性」である場合が多いため、ヒーロータイプは「子どもの頃に異性の親と健全な関係性が築けていない場合が多い」と考えられています。
なお、「異性の親と健全な関係性が築けなかった場合に受ける影響」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「ヒーロータイプの男性」は、子どもの頃、父親から厳しい仕打ちを受けて苦しんでいても、母親に助けてもらえなかったことにより、大人になって「女性への警戒感」が強くなる
- 「ヒーロータイプの女性」は、父親の期待に応えようと必死に頑張り続けたのに、父親から全く愛情をもらえなかったことにより、大人になって「男性への警戒感」が強くなる
このように、ヒーロータイプは「自分の存在価値が無くなってしまうことへの強い危機感」や「異性の親と健全な関係性を築けなかった影響」により、大人になってから「異性への警戒感が強くなり、異性に対して弱い自分をさらけだす(自己開示する)ことを無意識に避けるようになる」と考えられています。
以上のことから、「弱い自分を隠す」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑤恋人を見下す(マウンティングする)
前述の通り、ヒーロータイプは「『弱い自分』を周囲に知られてしまっては、周囲から期待されなくなってしまい、周囲に見放され、自分の存在価値が無くなってしまう!」という「強い危機感」を持っているため、恋愛においても「弱い自分を隠すために強い自分を演じる」という傾向があります。
ですので、ヒーロータイプは「自分は恋人より優れている」あるいは「恋人は自分より劣っている」と思い込んでいる場合が多く、恋愛において「恋人と対等な関係を築こうとする」のではなく「恋人と上下関係を築こうとする」という特徴があり、「恋人に対して自分の優位性を保つことで弱い自分を隠そうとする」と考えられています。
なお、「ヒーロータイプが自分の優位性を保つために恋人に対して行う行動」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 暴力を振るう(DV)
- 暴言を吐く・脅す
- モラハラをする
- ヒステリーを起こす
- 恋人を見下す
- 恋人を軽蔑する
また、上記のように自分が相手より優位にあることをアピールする行為を「マウンティング(マウントをとる)」と言います。
「マウントをとる」とは、自分が相手より優位にあるとアピールする行為。自分のステータスや持ち物を自慢したり、他人を見下したりすることを指します。「マウンティング」も同じ意味です。もとは動物の行動を表す言葉ですが、人間のコミュニケーションにも使われるようになりました。
このように、ヒーロータイプは「弱い自分を隠すために恋人を見下す(マウンティングする)」という特徴があり、このようなヒーロータイプの恋愛傾向には、「母親(妻)を見下す父親(夫)」と「父親(夫)に見下される母親(妻)」という「男尊女卑の両親の関係性」を、子どもの頃から身近で見聞きしてきたことが影響している考えられています。
なお、「男尊女卑の両親の関係性が恋愛傾向に与える影響」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「ヒーロータイプの男性」は、子どもの頃に見聞きした「男尊女卑の両親の関係性」を「模倣」する特徴があるため、恋愛において「女性を見下す(マウンティングする)」ことで「男尊女卑の関係性」を築こうとする
- 「ヒーロータイプの女性」は、子どもの頃に見聞きした「男尊女卑の両親の関係性」を「嫌悪」する特徴があるため、恋愛において「男性を見下す(マウンティングする)」ことで「男尊女卑」の関係性を避けようとする
世の中には「弱い犬ほどよく吠える」という言葉がありますが、ヒーロータイプが行う「弱い自分を隠すために恋人を見下す(マウンティングする)」という行動は、まさしく「弱い犬ほどよく吠えるの言葉の通りである」と考えることができます。
以上のことから、「恋人を見下す(マウンティングする)」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑥依存心が強い人と「共依存恋愛」になりやすい
ヒーロータイプは「機能不全家族で育った影響」により、「相手に期待されたい(必要とされたい)気持ち」や「相手の期待に応えて頼られたり褒められたい気持ち」が非常に強いという特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「必要とされたい!頼られたい!尊敬されたい!」と感じる気持ちを「承認欲求」と言います。
承認欲求とは「自分を見てほしい」「話を聞いてほしい」「誰かに褒めてほしい」といった「他者から認められたい」という欲求です。誰もが持っている自然な欲求ではあるものの、時には自分自身を苦しめたり、周囲の人を不快な気持ちにさせてしまったりと、強すぎる承認欲求には良い影響があるとはいいがたいものもあります。
このように、ヒーロータイプにとって「承認欲求を満たす」ことは「精神的な安定」を得るために「必要不可欠」なことであるため、ヒーロータイプは「精神的な安定」を維持しようとすればするほど「承認欲求が強くなる」という特徴があります。
ですので、ヒーロータイプは恋愛においても、「自分を必要としてくれる人」や「自分を頼ってくれる人」や「自分を尊敬してくれる人」など「承認欲求を満たしてくれる人を恋愛相手を選びやすい」という特徴があります。
なお、ヒーロータイプのように「恋人に承認されることで自分の存在価値を感じる」あるいは「恋人に承認されなていないと自分の存在価値を感じられない」という心理状態を「共依存恋愛」と言います。
共依存恋愛とは、自分をかえりみずに相手のために必死になっている人と、そうした相手に依存している人の恋愛関係を指します。男性が女性に依存する場合もあれば、女性が男性に依存する場合もありますし、同性愛の場合も共依存関係は成立します。
また、「ヒーロータイプと共依存恋愛になりやすい人の特徴」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分で物事を決められない人
- 自分の意見が言えない人
- 他者に頼ってばかりいる人
- 他者の意見に従ってばかりいる人
- 相手に「No」と言えない人
- 相手に嫌われたくない気持ちが強い人
- 相手のご機嫌をとってばかりいる人
このように、ヒーロータイプは恋愛において、「自分の承認欲求を満たしてくれる人(依存心の強い人)と共依存恋愛になりやすい」という特徴があります。
ですが、ヒーロータイプが懸命に努力をしても、自分の望み通りに「恋人が自分を必要としてくれない・恋人が自分を頼りにしてくれない・恋人が自分を尊敬してくれない」場合もあります。
そのような場合、ヒーロータイプは「自分はこれだけ努力しているのに、あなたのその態度は許せない!」と感じて急に怒りを爆発させる(キレる)という傾向があり、場合によっては「パワハラ・モラハラ・DV・ヒステリー」など「精神的暴力」や「身体的暴力」に発展する場合があります。
以上のことから、「依存心が強い人と共依存恋愛になりやすい」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
⑦「暴力的支配行動」をとる
このように、ヒーロータイプは「依存心の強い人を恋人に選び、恋人に承認欲求を満たさせようとする」という特徴があり、場合によっては「依存心の強い恋人を支配することで精神的安定を維持しようとする」場合すらあります。
ですので、ヒーロータイプは恋人とのあいだに「対等な関係性」を築くことへの意識は薄く、恋人とのあいだに「支配関係・主従関係・上下関係」を築くことに執着すしやすいと考えられています。
なお、ヒーロータイプのように、恋愛において恋人の行動をコントロールしようとすることを「恋人支配行動」と言います。
恋愛関係の中では様々な問題行動が生じる。…(中略)…様々な行動から恋人の行動を制限しようとする試みを“恋人支配行動”と命名している。
また、「恋人支配行動」のなかで、「身体的暴力」や「精神的暴力」を用いて恋人の行動をコントロールしようとすることを「暴力的支配行動」と言います。
恋人支配行動には「暴力的支配行動」と「束縛的支配行動」の 2 つが見出されている。「暴力的支配行動」は「恋人をわざといやな呼び名で呼んだり,馬鹿にしたりする」,「恋人を押したり,つかんだり,つねったりする」などの項目から構成されている。
このように、ヒーロータイプは「精神的安定を維持しよう」とするあまり、「暴力的支配行動によって恋人の行動をコントロールする」という特徴があります。
以上のことから、「暴力的支配行動をとる」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
ちなみに、恋愛において「暴力的支配行動をとる」という点は、「回避依存症:独裁者タイプ」の特徴と一致します。
なお、「回避依存症:独裁者タイプの恋愛傾向」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
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⑧冷め切った恋愛をする
このように、ヒーロータイプは「愛を育むために恋愛をする」というより、「承認欲求を満たすために恋愛をする」と言えます。
反対に言えば、ヒーロータイプにとって恋愛で重要なのは「恋人を信頼したり恋人に信頼される」ことではなく、あくまで「強すぎる承認欲求を満たす」ことにあります。
とくに、ヒーロータイプの男性は「英雄色を好む」の言葉通り、「強すぎる承認欲求」を「複数の女性との関係性」で満たそうとする傾向があります。
ですので、ヒーロータイプ男性は「一人」の恋人との恋愛関係で「承認欲求」が満たされなかった場合、「複数」の女性と「浮気」を繰り返すことで「強すぎる承認欲求」を満たそうとするという特徴があります。
なお、ヒーロータイプの男性のように、恋愛において「浮気」を繰り返すことを「浮気性」と言います。
浮気性とは、一般的に、浮気を繰り返す性格の人物に対して利用されている言葉です。パートナーに不満があるわけでもなく、別れたいわけでもないのに、浮気を繰り返すのであれば、それは浮気性といってよいかもしれません。
反対に、ヒーロータイプの女性は「恋人との信頼関係」にはあまり興味がなく、恋人が持つ「社会的地位・収入・知名度・学歴・容姿」などの「ステータス」によって「強すぎる承認欲求」を満たそうとするという特徴があります。
ですので、ヒーロータイプの女性は「恋愛関係のもつれで負担を抱えるなんて不毛だ」など「冷めた考え方」をする傾向があり、恋人の「浮気」が発覚しても放っておくという特徴があります。
なお、ヒーロータイプの女性のように、恋愛において「恋人との喧嘩・言い争いによる消耗」を避けようとする恋愛傾向を「打算的恋愛」と言います。
打算的な恋愛では、相手との駆け引きなどドロドロした部分に足をつっこまずにすむ傾向があります。あくまでも一緒にいることで何か得をするのが目的だからです。
このように、ヒーロータイプにとって重要なのは、あくまで「恋愛によって承認欲求を満たすこと」にあるため、承認欲求を満たすためであれば、浮気など「恋人を裏切る行為」をしたとしても、あまり「罪悪感」を感じないという特徴があり、承認欲求され満たされていれば、浮気など「恋人に裏切られる行為」をされたとしても、あまり「怒り」を感じないという特徴があります。
以上のことから、「冷め切った恋愛をする」という点は、「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」のひとつと言えます。
アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の「恋愛思考パターン」
アダルトチルドレンに限らず、恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には、人それぞれの特徴があります。
なお、恋愛をはじめ「親子・家族・友人・夫婦・職場」などの「人間関係の築き方」の人それぞれの特徴を、心理学では「愛着スタイル」と言い、とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
「愛着スタイル」とは、恋愛を含む人間関係において、人とどんな結びつきを持ちたいのか、どのような関係が心地よく感じるのかを表す傾向を指します。…(中略)…この傾向は、幼少期の保護者との関係が大きく影響している。
以上のことから、ヒーロータイプを始めとする「アダルトチルドレンの恋愛傾向」には、「機能不全家族」で育った影響が密接に関わっていると言えます。
とくに、ヒーロータイプの両親は「子どもの教育に厳しすぎる父親」と「父親に黙って従う母親」など「男尊女卑の関係性」であった場合が多く、その影響で、ヒーロータイプは子どもの頃から「父親の期待」に応えるために「勉強・スポーツ・習い事」を頑張ったり、「頼りない母親」に代わって「家族の問題」を解決したり、「家族のリーダー(英雄的存在)」になる場合が多いです。
ですが、ヒーロータイプは「優秀さという仮面」の内面に「責任感に押し潰されそうな恐怖」や「弱い自分を見せられない孤独」などの「ネガティブ感情」をひた隠しにしており、恋愛関係において「強がる・非を認めない・失敗を認めない・相手を見下す」など「プライドが非常に高い」という点が特徴的と言えます。
そして、恋愛において、ヒーロータイプがさまざまな問題に巻き込まれてしまう根本原因には、子どもの頃に「機能不全家族で育った影響」が密接に関わっており、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
なお、ヒーロータイプは「男性」も「女性」もどちらも存在すると考えられています。
よって、本記事では「ヒーロータイプの恋愛思考パターン」について、以下のように「男女」それぞれにわけて解説していきます。
POINT
- 「ヒーロータイプの『男性』の恋愛思考パターン」
- 「ヒーロータイプの『女性』の恋愛思考パターン」
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①ヒーロータイプ(英雄役)の「男性」の恋愛思考パターン
「ヒーロータイプの男性の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「父親から厳しい仕打ちを受けても母親に助けてもらえないことが多かったが、母親から肯定的な反応(大切にされる反応)を受けられたことも少なからずあった」という「母親との関係性」から、大人になって、母親に似た依存心の強い女性に嫌悪感を感じながらも惹かれる - 父親との関係性の影響
「期待に応えようと懸命に努力を続けてきたが父親に認めてもらえなかった」という「父親との関係性」から、大人になって、父親に認めてもらえそうな(父親に否定されない)恋愛をする - 両親との関係性の影響
「依存心が強い母親(妻)を見下す父親(夫)」と「父親(夫)に黙って従う母親(妻)」という「両親の関係性」から、大人になって、優位性を保てる(見下せる)女性(自分に黙って従う女性)を選び、その人に愛されようとする
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
②ヒーロータイプ(英雄役)の「女性」の恋愛思考パターン
「ヒーロータイプの女性の恋愛思考パターン」は、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 母親との関係性の影響
「父親に苦しめられているとき、母親に助けてもらえた」「父親がいないときには、母親に優しくしてもらえた」という「母親との関係性」から、大人になって、女性としての自信を感じながらも、男性に対する警戒感も感じる - 父親との関係性の影響
「期待に応えようと懸命に努力を続けてきたが父親に認めてもらえなかった」という「父親との関係性」から、大人になって、父親に似た優秀な男性に嫌悪感を感じながらも執着する - 両親との関係性の影響
「共依存の両親の関係性」や「男尊女卑の両親の関係性」に対する「強い嫌悪感」の影響により、大人になって、男女差別や女性蔑視を極端に嫌う
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛傾向」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ヒーロータイプ(英雄役)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ヒーロータイプ(英雄役)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「恋愛傾向」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ヒーロー(英雄役)の恋愛傾向」としては、以下の点があげられます。
- POINT「恋人の期待」に応えようと必死に努力するため、恋愛でも「英雄役」になりやすい
- 「周囲の評価」を気にするあまり、恋愛に完璧を求める
- 「親の影響を受けやすい」ため、世間の評価が高い相手を選ぶ
- 「異性への警戒感」が強すぎるあまり、弱い自分を隠す
- 「弱い自分を隠す」ために、恋人を見下す(マウンティングする)
- 「強すぎる承認欲求」を満たすために、依存心が強い人と「共依存恋愛」になりやすい
- 「精神的安定」を維持しようとするあまり、「暴力的支配行動」をとる
- 「承認欲求を満たすために恋愛をする」ため、冷め切った恋愛になる
また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「アダルトチルドレン(AC)ヒーロー(英雄役)の『恋愛傾向』」という記事でした。