POINT機能不全家族の原因である「毒親」は、否定、放置、過干渉、過保護の4つのタイプがあり、「父親」は怒りが爆発しやすく、「母親」は子どもにイライラしやすい特徴があります。
心理カウンセラーの寺井です。
「機能不全家族」とは「家庭が果たすべき役割がうまく機能していない家庭」を指す言葉であり、「家庭が果たすべき役割をうまく果たせない親」を「毒親」と言います。
よって、「毒親」とは「機能不全家族の原因になる親」と言い換えることができます。
また、機能不全家族の原因である「毒親」は、毒親自身が機能不全家族で育った経験を持つ場合が多いという特徴があります。
反対に言えば、機能不全家族の原因である「毒親」は、「健全な子育てをしてもらえないまま大人になっている」あるいは「健全な家庭の築き方を知らないまま大人になっている」と言い換えることができ、そのぶん、機能不全家族の原因である「毒親」の内心には、「子育てに対する自信のなさ」「家庭を築くことへの自信のなさ」が隠れていると言い換えることができます。
この記事は、
- 毒親が子どもに守らせる「機能不全家族の暗黙のルール」
- 「毒親」という言葉の意味合い
- 毒親4つのタイプ「否定型・放置型・過干渉・過保護」それぞれの特徴
- 機能不全家族の原因となる「父親」の特徴
- 機能不全家族の原因となる「母親」の特徴
など、機能不全家族の原因:毒親の特徴に関する記事をまとめています。
機能不全家族の暗黙のルール
「機能不全家族」とは、「家庭が果たすべき役割がうまく機能していない家庭」を指す言葉であり、以下のような家族の状態を指す言葉です。
機能不全家族の意味合い
- 子どもが日常的にストレスを感じている家族
- 家庭の本来の働きがうまく機能していない家族
- 子どもが心身共に健全に成長していくために必要なものを満たすことができていない家庭
- 子どもの健全な成長を阻害してしまう可能性がある家族
このように、「機能不全家族」とは「子どもの健全な成長を阻害してしまう可能性がある家族」という意味合いがあります。
「クラウディア・ブラック」が示す「機能不全家族の暗黙のルール」
そもそも「機能不全家族」という言葉は「アダルトチルドレンの研究」から生み出された言葉で、「アダルトチルドレンを生みだす家族を意味する言葉」として、1980年代のアメリカで使われはじめました。
「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。
また、「もちきれない荷物をかかえたあなたへ 」の著者であり、「アダルトチルドレン『AC概念』」の生みの親である、アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士「クラウディア・ブラック」は、「機能不全家族に存在する暗黙のルール」として以下の点をあげています。
機能不全家族の暗黙のルール
- <話すな>
家族の中に問題があるのに、それを話し合わない。
むしろ、問題に直面するのを避けて否認し、人に知られまいとする。
問題があるのを恥じる。
問題について話し合うのはよくない。 - <感じるな>
家族みんなが感情を抑え、表現しない。
こう感じるべきではないと自分の感情を無視する。
あるいは怒りの感情に圧倒されていて、ほかの感情を感じられない。 - <信頼するな>
状況の予測がつかない。
気分によって言動が左右されるため、一貫性がない。
実行されない約束や脅し、嘘が言いわけが多く、言葉の信頼性がなくなる。
引用元:機能不全家族、独自の3つのルール
このような「機能不全家族の暗黙のルール」とは、「親が子どもをコントロールするためのルール」と言い換えることができます。
よって、「上記のようなルールを子どもに守らせる親」すなわち「機能不全家族を引き起こす親」とは、「子どもの健全な成長に悪影響を及ぼす可能性がある親」と言い換えることができます。
なお、「機能不全家族の意味合い」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
毒親とは「機能不全家族の原因になる親」
「毒親」とは、そもそも、心理学などの学術用語ではなく、過干渉、過保護、暴言、暴力、ネグレクトなど、「子どもの人生に悪影響を及ぼす子育てを行う親を指す言葉」として、アメリカの医療コンサルタント&グループセラピストとして活躍した「スーザン・フォワード」が、「毒になる親:一生苦しむ子供(英名:Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life)」という著書の中で生み出した言葉です。
毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。1989年にスーザン・フォワード(英: Susan Forward)が作った言葉である。学術用語ではない。
引用元:毒親
また、「毒親」という言葉の生みの親である「スーザン・フォワード」の考え方によると、「毒親」という言葉の意味合いは以下のようになります。
毒親の意味合い
- 子どもの人生に「毒になる子育て」を行う親
- 子どもにとって「毒になるような悪影響」を与える親
このように、「毒親」とは「家庭が果たすべき役割をうまく果たせない親」という意味合いがあります。
「スーザン・フォワード」が示す「毒になる親の特徴」
また、「スーザン・フォワード」は、「毒になる親:一生苦しむ子供」という著書の中で、「機能不全家族の原因になる親(毒親)の特徴」として以下の点をあげています。
毒親の特徴
- 子どもが従わないと罰を与え続ける「神様」のような親
- 「あなたのため」と言いながら子どもを支配する親
- 大人の役を子どもに押しつける無責任な親
- 脈絡のない怒りを爆発させるアル中の親
このような「毒親」が営む「家庭」とは、「本来、家庭が果たすべき役割がうまく機能せず、機能不全状態に陥りやすい家庭」と言い換えることができます。
よって、「毒親」とは「機能不全家族の原因になる親」と言い換えることができます。
なお、「『毒親』という言葉の意味合い」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
機能不全家族の原因:毒親「4つのタイプ」
このように「機能不全家族の原因」である「毒親」とは、「子育てのやり方に問題を抱えている親」と言い換えることができます。
そして、「毒親が行う子育ての特徴」をさらに詳しく分析していくと、大きく分けて以下の「4つのタイプ」にわけることができます。
POINT
- 「子どもを否定する毒親」
- 「子どもを放置する毒親」
- 「過干渉な毒親」
- 「過保護な毒親」
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①子どもを否定する毒親
子どもを否定する毒親の最大の特徴は、「子どもの存在自体を否定してしまう…」という点です。
子どもを否定する毒親は、「過保護な毒親」のように、子育てに自信がないという感じではなく、むしろ「過干渉な毒親」のように、子どもに対して高圧的且つ支配的で、子育てにおいてヒステリックになりやすい特徴があります。
ただ、過干渉な毒親のように、「世話焼きな親」「面倒見のいい親」「教育熱心な親」というわけではなく、むしろ「子育てを放置する毒親」のように、子どもと向き合おうともせず、子どもを否定してばかりいる点が最大の特徴です。
なので、子どもを否定する毒親は、「子育てを放置する毒親」と同じように、子育てに自信がないと言えるのですが、「子育てへの恐れと自信のなさ」を素直に認めることができず、結果、子どもと向き合おうともせず、子どもを否定してばかりいる点が最大の特徴です。
よって、子どもを否定する毒親は、子どもに対して騒がしく理不尽な子育てをしている場合が多いため、学校や近所など周囲の人たちが問題点に気づきやすいという特徴があります。
子どもを否定する毒親の特徴は、主に以下の4点があげられます。
POINT
- 子どもの存在自体を否定する
- 暴言&暴力で子どもを傷つける
- 子どもに対して否定から入る
- 子どもをけなす
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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②子どもを放置する毒親
子どもを放置する毒親の最大の特徴は、そもそも「子育てをしようとしない…」という点です。
子どもを放置する毒親以外のタイプ、すなわち「子どもを否定する毒親」「過干渉な毒親」「過保護な毒親」は、良い悪いは別にして、子どもに対して積極的に子育てを行い、子どもに影響を与えていきます。
ですが、子どもを放置する毒親は、子育てに対して消極的で、まるで子育てを恐れるかのように子育てを避け、子どもを放置する点が特徴的です。
なので、「子どもの泣き声」や「親の怒鳴り声」など、注意すべき危険信号が周囲へと伝わってきづらいため、子どもが放置されていることに気づきづらい場合があります。
子どもを放置する毒親の特徴は、主に以下の5点があげられます。
POINT
- 子どもにスキンシップをしない
- 親としての自覚と責任を持たない
- 子育てから逃げる
- 愚痴ばかり言っている
- 子どもの性的な成長に健全な対応をしない
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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③過干渉な毒親
過干渉な毒親は、「子どもを放置する毒親」や「過保護な毒親」のように、子育てに自信がないという感じではなく、子育てに積極的に取り組み、子どもに対して積極的に接していきます。
ですが、過干渉な毒親は、どちらかというと、表面上、「子どもを否定する毒親」に似ている部分があり、ヒステリックな一面があります。
ただ、過干渉な毒親とは、周囲からは「世話焼きな親」「面倒見のいい親」「教育熱心な親」などの印象に見える特徴があり、親自身も、子ども自身も、周囲も、親子関係の問題点に気づきづらい場合があります。
過干渉な毒親の特徴は、主に以下の3点があげられます。
POINT
- 親の価値観を子どもに押し付けたがる
- 子どもを監視・支配したがる
- 子どもの感情より親の世間体を優先したがる
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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④過保護な毒親
過保護な毒親は、「子どもを否定する毒親」や「過干渉をする毒親」と違い、表面上、子どもに対してヒステリックになったり暴力を振るったりはしません。
また、子どもに無関心で育児を放棄してしまったり、育児を誰かに放任してしまう「子どもを放置する毒親」とも違い、子どものことをとても心配します。
なので、過保護な毒親とは、周囲からは「まじめな親」に見える特徴があり、そのぶん、親子関係の問題点に気づくことが遅れてしまう場合があります。
過保護な毒親の特徴は、主に以下の4点があげられます。
POINT
- 子どもを過度に甘やかす
- 子どもを叱れない、子どもに注意できない
- 子どもの行動や子どもの安全を過度に心配しすぎる
- 子どもの付添人・代理人になろうとする
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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機能不全家族の原因となる「父親」の特徴
機能不全家族の原因となる「父親」は、「母親」に比べると「怒りが爆発しやすい」という特徴があり、この「父親が爆発させる怒り」とは、殆どの場合、「父親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「躾(しつけ)という名の『暴言・暴力』」によって負った「家庭内トラウマ」に原因がある場合が多く、反対に言えば、機能不全家族の原因となる「父親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「怒り」を、誤って自らの子どもへと爆発させてしまっていると言い換えることができます。
機能不全家族の原因となる「父親」の特徴は、主に以下の6点があげられます。
POINT
- 家庭に不在がち
- 世間体を重視する
- 暴言・モラハラ
- 暴力(DV)
- 家族と不仲
- 男尊女卑・きょうだい差別
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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機能不全家族の原因となる「母親」の特徴
機能不全家族の原因となる「母親」は、「父親」に比べると「子どもにイライラしやすい」という特徴があり、この「母親が子どもに感じるイライラ」とは、殆どの場合、「母親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「妬み・嫉み・意地悪」によって負った「家庭内トラウマ」に原因がある場合が多く、反対に言えば、機能不全家族の原因となる「母親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「イライラ」を、誤って自らの子どもへと向けてしまっていると言い換えることができます。
機能不全家族の原因となる「母親」の特徴は、主にの6点があげられます。
POINT
- 親子の役割逆転
- 被害者意識
- 親子共依存(母娘共依存)
- 二重拘束(ダブルバインド)
- 過保護
- ネグレクト
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
- POINT「毒親」とは「機能不全家族の原因になる親」
- 機能不全家族の原因である「毒親」は、「否定型・放置型・過干渉・過保護」の4つのタイプにわけられる
- 否定型の毒親の特徴は、「子どもの存在自体を否定する、暴言&暴力で子どもを傷つける、子どもに対して否定から入る、子どもをけなす」など
- 放置型の毒親の特徴は、「スキンシップをしない、親の責任を自覚しない、子育てから逃げる、子どもに愚痴を聞かせる、子どもの性的な成長を阻害する」など
- 過干渉な毒親の特徴は、「親の価値観を子どもに押し付ける、子どもを監視・支配する、子どもの感情より親の世間体を優先する」など
- 過保護な毒親の特徴は、「子どもを過度に甘やかす、子どもを叱れない、子どもを過度に心配する、子どもの人間関係に介入しすぎる」など
- 機能不全家族の原因となる「父親」は、「母親」に比べると「怒りが爆発しやすい」
- 機能不全家族の原因となる「母親」は、「父親」に比べると「子どもにイライラしやすい」
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以上、「機能不全家族の原因:毒親「4つのタイプ」と「父親・母親」それぞれの特徴」という記事でした。