
POINT機能不全家族の原因となる「母親」の特徴には、
- 親子の役割逆転
- 被害者意識
- 親子共依存(母娘共依存)
- 二重拘束(ダブルバインド)
- 過保護
- ネグレクト
などがあります。
とくに「親子の役割逆転」では、子どもが母親の愚痴を聞いたり、機嫌をとったりするなど、本来は親が担うべき役割を子どもが引き受けてしまうことがあります。
こうした家庭環境では、子どもが自分の気持ちよりも母親の気持ちを優先する「心の習慣」を身につけ、大人になってからも生きづらさを感じる場合があります。
セルフチェック
この記事で解説するような「母親の特徴」に心当たりがある場合、
自分自身への影響を整理してみることも大切です。
まずはセルフチェックで
「毒親育ちの影響」を確認してみてください。
機能不全家族の原因となる「親」は「毒親」と呼ばれる場合があります。
また、親自身も機能不全家族で育ち、子どもの頃の家庭環境から影響を受けている場合があります。
子どもの頃、親の顔色をうかがったり、自分の気持ちを我慢したりして育つと、その経験が大人になってからの「心の習慣」として残ることがあります。こうした家庭環境で育った人は「アダルトチルドレン」と呼ばれる場合もあります。
そして、自分が育った家庭で身につけた子育ての考え方や人との関わり方を、親になってから無意識に繰り返してしまう場合があります。これを「世代間連鎖」と呼びます。
ただし、母親の言動がすべて過去の家庭環境によって決まるわけではありません。
また、世代間連鎖は必ず起こるものでもありません。
自分の心の反応や人との関わり方に気づくことで、これまでの習慣を見直していくことは可能です。
ちなみに、この記事は「機能不全家族の原因となる『母親』の特徴」についての解説です。
「機能不全家族の原因となる『父親』の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、機能不全家族の原因となる「母親」について解説していきます。
機能不全家族の原因となる「母親」の特徴

機能不全家族の原因となる「母親」の言動には、母親自身が育ってきた家庭環境や、これまでの人間関係の経験が影響している場合があります。
例えば、子どもの頃に自分の気持ちを受け止めてもらえなかった経験があると、大人になってからも、不安や怒りをうまく扱えず、身近な家族との関係で強い感情が表れることがあります。
ただし、こうした反応がすべての母親に当てはまるわけではなく、母親の言動には、現在の生活環境やストレスなど、さまざまな要因が関係しています。
大切なのは、母親の言動の原因を一つに決めつけることではなく、母親との関係の中で、子どもがどのような気持ちを抱き、どのような「心の習慣」を身につけてきたのかを理解することです。
例えば、母親の機嫌を損ねないように自分の気持ちを我慢したり、母親の悩みを聞いて支えようとしたりすることがあります。こうした「心の反応」は、子どもが家庭の中で安心して過ごすために身につけた対応である場合があります。
ここでは、機能不全家族の原因となる「母親」の特徴として、以下の6点を紹介します。
POINT
- 親子の役割逆転
- 被害者意識
- 親子共依存(母娘共依存)
- 二重拘束(ダブルバインド)
- 過保護
- ネグレクト
機能不全家族チェックリスト
「自分は機能不全家族で育ったのか?」と感じている方は、65項目のチェックリストで子どもの頃の家庭環境や親子関係を振り返ることができます。
なお、このチェックリストは医学的・心理学的な診断を行うものではありません。
それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

①親子の役割逆転
「機能不全家族」とは、「家庭が果たすべき役割がうまく機能していない家庭」を指す言葉です。
本来、家庭には、子どもが安心して自分の気持ちを表現し、心身ともに成長できる環境を整える役割があります。
例えば、子どもが悲しいときや不安なときに、親がその気持ちを受け止めることで、子どもは「自分の気持ちを大切にしてもよい」と感じられるようになります。
こうした経験は、子どもが自分の気持ちを理解し、感情と向き合う力を育むうえで大切です。
一方、母親自身が子どもの頃に自分の気持ちを十分に受け止めてもらえなかった場合、大人になってからも、不安や怒りをうまく扱えず、身近な家族との関係に影響が表れることがあります。
その結果、母親が子どもに愚痴を聞いてもらったり、機嫌をとってもらったりするなど、自分の気持ちを支える役割を子どもに求めてしまう場合があります。
こうした家庭環境では、子どもは母親の機嫌を損ねないように、自分の気持ちを我慢したり、母親の気持ちを優先したりするようになることがあります。
このように、本来は親が子どもの気持ちや生活を支える立場であるにもかかわらず、子どもが親の感情や生活を支える役割を担うようになることを「親子の役割逆転」と言います。
親子の役割逆転で問題となるのは、子どもが親を手伝ったり、親の気持ちを思いやったりすること自体ではありません。
子どもが自分の気持ちや必要なことを後回しにして、親の感情や生活を支える役割を継続的に担わなければならなくなることです。
また、親子の役割逆転は、母親の感情を支えることだけでなく、生活面でも起こる場合があります。
例えば、子どもが年齢や発達段階に見合わないほど多くの「家事」を担ったり、年下のきょうだいの「世話」や、病気・障害のある家族の「介護」を日常的に担ったりする場合です。
このように、本来は大人が担うと想定される家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもは、「ヤングケアラー」と呼ばれます。
POINTヤングケアラーは、家族の世話をすること自体が問題なのではなく、過度な負担によって、勉強や友人関係、自分自身の生活などに影響が生じる場合があることが問題です。
日本では、「親を支える優しい子」「親孝行な子」「しっかりしたお兄ちゃん・お姉ちゃん」など、子どもが家族を支えることを肯定的に捉える場合があります。
しかし、子どもが自分の気持ちを我慢し、年齢や発達段階に見合わない責任を継続的に負っている場合には、周囲から「親孝行」「しっかり者」と評価されていても、親子の役割逆転が起きている可能性があります。
このように、子どもが母親の感情や生活を支える「親代わり」の役割を継続的に担うことは、機能不全家族に見られる「親子の役割逆転」の特徴のひとつです。
このような環境で育つと、子どもは「母親を支えなければならない」「自分が我慢しなければならない」と感じ、自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先する「心の習慣」を身につける場合があります。
その結果、大人になってからも、人に頼ることが苦手になったり、他人の問題まで自分の責任として抱え込んだりすることがあります。
ただし、こうした心の習慣は、生まれつきの性格ではなく、家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、少しずつ見直していくことも可能です。
②被害者意識
子どもが健全に成長していくためには、身近な人との関わりを通して、「人間関係の築き方」を学んでいくことが大切です。
その土台となるもののひとつが「愛着の形成」です。
子どもは、親などの身近な養育者に自分の気持ちを受け止めてもらい、安心できる関係を経験することで、他者や自分自身への「基本的信頼感」を育んでいきます。
こうした経験は、その後の親子・家族・友人・恋愛・結婚・職場などにおける「他者との信頼関係」の築き方にも影響する場合があります。
ただし、愛着形成は母親だけが担うものではなく、父親やその他の養育者との関係も大切です。また、子どもの頃の経験によって、その後の人間関係がすべて決まるわけではありません。
一方、母親自身が過去の人間関係で傷ついた経験を持っていたり、現在の生活の中で強い不安やストレスを抱えていたりすると、相手の言動を否定や攻撃として受け取りやすくなる場合があります。
例えば、相手の何気ない言葉に対して「自分は傷つけられた、否定された」と感じたり、意見の食い違いに対して「自分は裏切られた」と強く反応したりすることがあります。
このように、相手の言動を自分への攻撃や不当な扱いとして受け取りやすくなる心理的な傾向を、ここでは「被害者意識」と呼びます。
ただし、実際に不当な扱いを受けている場合もあるため、相手が傷ついたと感じること自体を問題とするものではありません。
POINTここでいう「被害者意識」とは、相手の言動を自分への攻撃や否定として受け取りやすくなり、その受け止め方が親子関係にも影響している状態を指します。
大切なのは、母親が傷ついたと感じること自体ではなく、その感情への対応を子どもに求めたり、子どもの気持ちや意見を受け止められなくなったりすることです。
例えば、子どもが自分の意見を話しただけでも、母親が「子どもに攻撃された」「子どもに責められた」と受け取り、強く怒ったり、泣いたりする場合があります。
また、母親が自分のつらさを繰り返し訴え、子どもに理解や同情を求めることで、子ども自身の気持ちが後回しになる場合もあります。
こうした状態が続くと、親子の対話が噛み合わなくなり、場合によっては暴言などの心理的な虐待や、身体的な暴力につながることもあります。
さらに、母親が大人同士の関係で抱えている悩みを、子どもに繰り返し聞かせる場合もあります。
例えば、「嫁姑・仕事・夫婦関係などの悩みや愚痴」を子どもに聞かせ、慰めてもらったり、自分の味方になってもらったりしようとすることです。
このような関係では、子どもは母親の気持ちを支える役割を担い、自分の悩みや不満を安心して話しにくくなる場合があります。
その結果、子どもは「母親を怒らせてはいけない」「自分の意見を言うと母親が傷つく」と感じ、相手の顔色をうかがったり、自分の気持ちを我慢したりする「心の習慣」を身につけることがあります。
このように、母親が子どもの言動を攻撃や否定として受け取り、子どもに自分の感情への対応を求めてしまう「被害者意識」は、機能不全家族につながる母親の特徴のひとつと言えます。
こうした家庭環境で身につけた心の習慣は、大人になってからも、人間関係で過度に気を遣ったり、自分の意見を伝えることに不安を感じたりする形で表れる場合があります。
ただし、これらは家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解することで、少しずつ見直していくことも可能です。
③親子共依存(母娘共依存)
子どもは成長する過程で、親などの身近な大人に頼りながら、少しずつ自分で考え、判断し、行動する力を身につけていきます。
そのため、子どもが親に頼ること自体は、自然な成長過程のひとつです。
一方、母親自身が強い不安や孤独感を抱えていたり、自分に自信を持てなかったりすると、子どもとの関係に精神的な安心や支えを強く求める場合があります。
例えば、子どもが自分から離れていくことに不安を感じたり、子どもが自分とは違う意見や価値観を持つことを受け入れにくくなったりすることがあります。
このように、誰かに頼ったり、精神的な支えを求めたりする気持ちを「依存心」と言います。
ただし、誰かに頼ること自体が問題なのではありません。
自分の不安や寂しさを解消するために、相手の気持ちや自由を尊重できなくなり、相手に過度な負担を求めてしまうことが問題となります。
例えば、母親が子どもとの関係に強い安心感を求めている場合、次のような行動が見られることがあります。
POINT
- 子どもが自分の思いどおりに行動しないと、強く怒ったり、不機嫌になったりして、子どもに気を遣わせる
- 子どもの成長や反抗期を受け入れにくく、子どもが自分で考え、判断することを認めない
- 「○○しなさい」「○○はダメ」「我慢しなさい」などの過干渉によって、子どもの行動や選択を必要以上に制限する
- 「かわいそう」「大変なことはしなくていい」などの過保護によって、子どもが自分で経験し、成長する機会を制限する
こうした関わりが繰り返されると、子どもは自分の気持ちや考えよりも、母親の機嫌や期待を優先するようになる場合があります。
また、母親から認めてもらうことが安心につながるため、子どもは自分の判断に自信を持てず、母親の意見や承認を必要以上に求めるようになることもあります。
その結果、母親は子どもに精神的な支えや安心を求め、子どもは母親の期待に応えることで安心を得ようとする関係が続く場合があります。
このように、親子がお互いの反応に強く左右され、自分の気持ちや意思を尊重しながら適切な距離を保つことが難しくなっている関係を、ここでは「親子共依存」と呼びます。
特に母親と娘のあいだで、このような関係が生じている場合には「母娘共依存」と呼ばれることがあります。
ただし、親子の仲がよいことや、親子がお互いに助け合うこと自体が共依存なのではありません。
親子共依存で問題となるのは、親の感情や期待を優先するあまり、子どもが自分の気持ちや意思を自由に表現しにくくなっていることです。
こうした家庭環境では、子どもは「母親を悲しませてはいけない」「母親の期待に応えなければならない」と感じ、自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先する「心の習慣」を身につける場合があります。
その結果、大人になってからも、人に頼まれると断れなかったり、自分の意思で物事を決めることに不安を感じたり、親から離れることに強い罪悪感を抱いたりする場合があります。
このように、母親が子どもに精神的な安心や支えを求め、子どもも母親の期待に応えることで安心を得ようとする「親子共依存(母娘共依存)」は、機能不全家族に見られる親子関係の特徴のひとつです。
ただし、こうした心の習慣は、生まれつきの性格ではなく、家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解することで、少しずつ見直していくことも可能です。
なお、「親子共依存(母娘共依存)」や「過干渉な親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
④二重拘束(ダブルバインド)
子どもが安心して成長していくためには、親からの言葉や態度に一貫性があり、自分の気持ちや考えを表現できることが大切です。
しかし、母親が子どもに対して矛盾した要求を繰り返したり、言葉と態度で異なるメッセージを伝えたりすると、子どもはどのように行動すればよいのかわからなくなる場合があります。
このように、矛盾するメッセージを受け取り、どちらに従っても問題が生じる一方で、その矛盾を指摘したり、関係から離れたりすることも難しい状態を「二重拘束(ダブルバインド)」と言います。
例えば、母親が子どもに「自分で考えて行動しなさい」と言いながら、子どもが自分で決めると「勝手なことをするな」と怒る場合です。
子どもは、自分で考えて行動しても怒られ、母親の指示を待っていても怒られるため、どうすればよいのかわからなくなってしまいます。
また、母親が「何でも話していいよ」と言いながら、子どもが本音を話すと不機嫌になったり、否定したりする場合もあります。
このような関わりが繰り返されると、子どもは親の言葉を信じてよいのか、自分の気持ちを表現してよいのか、判断しにくくなる場合があります。
例えば、家庭内では次のような矛盾したメッセージが見られることがあります。
POINT
- 「自分で考えなさい」と言いながら、自分で決めると「勝手なことをするな」と怒る
- 「何でも話しなさい」と言いながら、本音を話すと否定したり、不機嫌になったりする
- 「もっと頑張りなさい」と求めながら、成果を出しても「調子に乗るな」と否定する
- 「あなたのためを思っている」と言いながら、子どもの希望や意思を尊重せず、親の考えを押しつける
こうした矛盾したメッセージが繰り返され、子どもがどのように行動しても否定される状況では、子どもは自分の判断に自信を持ちにくくなる場合があります。
また、母親の機嫌や反応を常に確認しながら行動するようになり、自分の気持ちよりも、母親が何を望んでいるのかを優先することがあります。
ただし、親が一度矛盾したことを言っただけで、必ずダブルバインドになるわけではありません。
問題となるのは、矛盾した要求が繰り返され、子どもが疑問を伝えたり、自分の意思で行動したりすることが難しくなっている関係です。
また、子どもが親から受け取るメッセージには、交流分析という心理学で説明される「ドライバー(拮抗禁止令)」や「禁止令」と呼ばれるものもあります。
例えば、
- もっと頑張りなさい
- もっと完璧を目指しなさい
といった期待を繰り返し受け取ることで、子どもが「頑張らなければ認めてもらえない」と感じる場合があります。
一方、
- お前は何をやってもダメだ
- 自分の意見を言うな
といった否定的なメッセージを繰り返し受け取ることで、子どもが「自分には価値がない」「自分の気持ちを表現してはいけない」と感じる場合もあります。
交流分析では、前者のように人を駆り立てる内面的なメッセージを「ドライバー」、後者のように自分の存在や行動を制限する内面的なメッセージを「禁止令」として捉えることがあります。
ただし、ドライバーや禁止令は、ダブルバインドと同じ意味ではありません。
ダブルバインドが矛盾したメッセージによって身動きが取れなくなる関係を説明するのに対し、ドライバーや禁止令は、子どもが親などとの関係の中で受け取り、内面化していくメッセージを理解するための概念です。
例えば、子どもが「完璧でなければならない」と感じる一方で、「自分は何をやってもダメだ」と感じている場合、頑張ろうとしても自分を否定してしまうなど、相反する心の反応が生じることがあります。
こうした家庭環境では、子どもは「何をしても怒られる」「自分で決めると間違える」と感じ、自分の気持ちや判断よりも、親の反応を優先する「心の習慣」を身につける場合があります。
その結果、大人になってからも、自分で決断することに強い不安を感じたり、相手の言葉の裏を過度に気にしたり、自分の考えを伝えることが苦手になったりする場合があります。
このように、母親から矛盾したメッセージを繰り返し受け取り、子どもが自分の気持ちや判断を信じにくくなる「二重拘束(ダブルバインド)」は、機能不全家族に見られる親子関係の特徴のひとつです。
ただし、こうした心の習慣は、生まれつきの性格ではなく、家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解することで、少しずつ見直していくことも可能です。
なお、「禁止令とドライバー」については、以下の記事で詳しく解説しています。
⑤過保護
子どもが健全に成長していくためには、親に守られ、安心できる環境の中で、少しずつ自分で考え、選択し、行動する経験を積んでいくことが大切です。
そのため、親が子どもを守ったり、困っているときに手助けしたりすること自体は、決して問題ではありません。
一方、母親自身が子育てに強い不安を感じていたり、「子どもにつらい思いをさせたくない」「子どもに嫌われたくない」と感じていたりすると、子どもが経験する失敗や困難を必要以上に避けようとする場合があります。
例えば、子どもが悩んでいるときに、子ども自身が考えたり、試行錯誤したりする前に、母親が問題を解決してしまうことがあります。
また、子どもが失敗しそうになると、母親が先回りして行動を制限したり、子どもに代わって判断したりする場合もあります。
このように、子どもを守ろうとするあまり、年齢や発達段階に応じて自分で考え、選択し、経験する機会を必要以上に制限してしまうことを「過保護」と言います。
過保護な関わりには、例えば次のようなものがあります。
POINT
- 子どもが欲しがる物や金銭などを、必要なルールや制限を設けずに与えてしまう
- ファッション・食事・習い事・進路など、子ども自身が考え、選択できることまで親が決めてしまう
- 年齢や発達段階に応じて経験できる炊事・洗濯・掃除などの家事を、子どもに任せようとしない
- 子どもの問題行動に対して、必要なルールや注意を示すことができない
- 子どもが自分で移動できる状況でも、不安から必要以上に送迎や付き添いを続ける
- 子どもの人間関係のトラブルに、本人の気持ちや意思を確認せず、親が先回りして介入する
- 学校での問題について、子どもの状況や意見を十分に確認せず、親が一方的に対応しようとする
ただし、これらの行動が一度見られたからといって、必ず過保護になるわけではありません。
子どもの年齢や発達段階、健康状態、障害の有無、置かれている環境によって、必要な支援や保護の程度は異なります。
大切なのは、子どもに必要な安全や支援を確保しながら、子ども自身が考え、経験し、成長する機会も尊重できているかという点です。
また、「過保護」と「甘やかし」は、重なる部分はありますが、必ずしも同じ意味ではありません。
過保護は、子どもを守ろうとするあまり、必要以上に先回りしてしまう関わりです。
一方、甘やかしは、子どもの要求に対して必要なルールや制限を設けられず、何でも許してしまうような関わりを指す場合があります。
いずれも、その程度や状況によっては、子どもが自分で考え、行動し、失敗から学ぶ機会を減らしてしまうことがあります。
こうした家庭環境では、子どもは「自分で決めると失敗するかもしれない」「困ったときは親に決めてもらわなければならない」と感じ、自分の判断に自信を持ちにくくなる場合があります。
その結果、自分で決めることを避けたり、失敗を過度に恐れたり、周囲の人に判断を委ねたりする「心の習慣」を身につけることがあります。
大人になってからも、自分の意思で物事を決めることに不安を感じたり、失敗を恐れて新しいことに挑戦できなかったりする場合があります。
このように、子どもを守ろうとするあまり、子ども自身が考え、選択し、経験する機会を必要以上に制限してしまう「過保護」は、機能不全家族に見られる母親の関わり方の特徴のひとつです。
ただし、こうした心の習慣は、生まれつきの性格ではなく、家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解し、小さな選択や経験を積み重ねることで、少しずつ見直していくことも可能です。
なお、「過保護な親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
⑥ネグレクト
子どもが安心して成長していくためには、食事や衣服、清潔な生活環境などの基本的な養育に加えて、親などの身近な大人から関心を向けられ、必要なときに守られたり、気持ちを受け止めてもらえたりすることが大切です。
しかし、家庭によっては、子どもに必要な世話や保護が十分に行われず、子どもが安心して生活できない状況が生じる場合があります。
このように、子どもの健康や安全、成長に必要な養育や保護が十分に提供されないことを「ネグレクト」と言います。
ネグレクトは児童虐待のひとつであり、一般的に「育児放棄」などと呼ばれることもあります。
例えば、家庭内では次のような状況が見られる場合があります。
POINT
- 子どもに必要な食事や衣服、衛生的な生活環境が十分に提供されない
- 子どもが病気やけがをしていても、必要な医療や保護を受けさせない
- 子どもの年齢や発達段階に対して、安全を確保できない状態で長時間放置する
- 子どもの生活や健康状態に十分な関心を向けず、必要な世話を行わない
- 子どもが安心して生活するために必要な保護や支援を、継続的に提供できていない
ただし、親が仕事などで子どもと過ごす時間が短いことや、子どもが一人で過ごす時間があることだけで、直ちにネグレクトと判断できるわけではありません。
大切なのは、子どもの年齢や発達段階、健康状態などに応じて、必要な養育や安全が確保されているかという点です。
また、ネグレクトが生じる背景には、親自身の心身の不調、経済的な困難、孤立、養育に関する知識や支援の不足など、さまざまな事情が関係している場合があります。
母親自身が子どもの頃に十分な養育や安心できる関わりを経験できなかったことで、子どもとの接し方に戸惑ったり、子育てに強い不安を感じたりする場合もあります。
しかし、母親自身がつらい家庭環境で育ったからといって、必ずネグレクトをするわけではありません。
また、ネグレクトをする親が、必ず「愛着障害」を抱えているというわけでもありません。
愛着とは、子どもが身近な養育者との関わりを通して育んでいく、安心感や情緒的なつながりに関係するものです。
一方、「愛着障害」は医学的な診断に関わる用語でもあるため、親子関係に問題があることだけを理由に、母親や子どもを愛着障害と判断することはできません。
ここで大切なのは、母親の性格や診断名を決めつけることではなく、子どもに必要な養育や安心できる関わりが提供されているかという点です。
また、親自身が子どもの頃に経験した家庭環境や親子関係が、大人になってからの子育てに影響する場合があります。
例えば、子どもの頃に自分の気持ちを受け止めてもらう経験が少なかった人が、親になってからも、子どもの気持ちにどう応えればよいのかわからず、戸惑う場合があります。
このように、親が育った家庭環境で身につけた関わり方が、次の世代の親子関係にも影響することを「世代間連鎖」と呼ぶことがあります。
ただし、世代間連鎖は必ず起こるものではありません。
自分が育った家庭環境や、そこで身につけた心の反応を理解し、必要な支援を受けたり、子どもとの関わり方を見直したりすることで、これまでとは異なる親子関係を築いていくことも可能です。
一方、子どもにとって、必要な養育や安心できる関わりが十分に得られない状況が続くことは、心身の発達に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、子どもは「困っても誰も助けてくれない」「自分の気持ちは大切にされない」と感じ、自分の気持ちや困りごとを周囲に伝えることを諦めてしまう場合があります。
また、人に頼ることを避けたり、自分の気持ちを抑え込んだり、周囲の反応に過度に敏感になったりする「心の習慣」を身につけることもあります。
その結果、大人になってからも、人に助けを求めることが苦手になったり、自分の気持ちや欲求を後回しにしたり、人間関係の中で安心感を持ちにくくなったりする場合があります。
このように、子どもに必要な養育や保護が十分に提供されず、子どもの安心感や心身の成長に影響を及ぼす「ネグレクト」は、機能不全家族に見られる養育上の問題のひとつです。
ただし、こうした心の習慣は、生まれつきの性格ではなく、家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解し、安心できる関係や必要な支援を得ることで、少しずつ見直していくことも可能です。
なお、「ネグレクト」や「子どもを放置する親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
毒親である母親の特徴

ここまで、機能不全家族に見られる母親の関わり方として、親子の役割逆転・被害者意識・親子共依存・二重拘束・過保護・ネグレクトの6つを解説してきました。
こうした関わり方は、母親自身が問題に気づかずに繰り返している場合もあれば、子どもの気持ちや意思を十分に尊重せず、意図的に行っている場合もあります。
いずれの場合も、親の言動によって子どもの安心感や自尊心が損なわれ、成長や大人になってからの生き方に影響が及ぶことがあります。
このように、子どもに心理的な負担や悪影響を与える親を、一般的に「毒親」と呼ぶことがあります。
ただし、「毒親」は医学的な診断名ではなく、親の言動や親子関係が子どもに与える影響を表すために使われる言葉です。
また、機能不全家族と毒親は関連する概念ですが、必ずしも同じ意味ではありません。
機能不全家族は、家庭の中で子どもに必要な安心感や適切な関わりが十分に得られないなど、家族全体の機能に着目した概念です。
一方、毒親は、子どもに悪影響を及ぼす親の言動や関わり方に着目した言葉です。
例えば、毒親と呼ばれる母親の特徴として、次のような関わり方が見られる場合があります。
POINT
- 子どもの気持ちや意思を尊重せず、過干渉によって行動や選択を制限する
- 子どもの失敗や欠点を繰り返し指摘し、過度なダメ出しや否定をする
- 世間体や親の理想を優先し、子どもに期待や価値観を押しつける
- 子どもに親自身の愚痴や悩みを聞かせたり、必要な養育や関わりを十分に行わなかったりする
- 子どもの話を十分に聞かず、子どもに嫉妬したり、不機嫌な態度で気を遣わせたりする
- 子どもに対して極端な評価や矛盾した言動を繰り返し、安心して接することを難しくする
ただし、これらの言動が一度見られたからといって、その親を直ちに「毒親」と判断できるわけではありません。
大切なのは、親の言動が繰り返されることで、子どもの気持ちや意思が尊重されず、安心感や自分らしさが損なわれていないかという点です。
また、子どもが大人になってから抱える生きづらさを理解する際にも、親を一方的に責めることだけではなく、家庭環境の中でどのような「心の習慣」を身につけたのかを振り返ることが大切です。
なお、「毒親である母親の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
最後に、本記事の重要ポイントをまとめます。
本記事では、機能不全家族に見られる「母親の関わり方の特徴」として、次の6つを解説しました。
POINT
- 親子の役割逆転
子どもが親の愚痴や悩みを受け止めるなど、本来は親が担うべき精神的な役割を子どもが担ってしまう - 被害者意識
母親が自分のつらさや不満を優先することで、子どもが母親の感情に気を遣い、自分の気持ちを表現しにくくなる - 親子共依存(母娘共依存)
母親と子どもがお互いの反応に強く左右され、子どもが自分の意思で判断したり、適切な心理的距離を保ったりすることが難しくなる - 二重拘束(ダブルバインド)
母親から矛盾したメッセージを繰り返し受け取り、子どもがどのように行動すればよいのかわからなくなる - 過保護
子どもを守ろうとするあまり、子ども自身が考え、選択し、経験する機会を必要以上に制限してしまう - ネグレクト
子どもの健康や安全、成長に必要な養育や保護が十分に提供されない
ただし、これらの特徴がひとつ当てはまったからといって、直ちに機能不全家族であると判断できるわけではありません。
大切なのは、家庭の中で子どもが安心して過ごし、自分の気持ちや意思を尊重されながら成長できていたかという点です。
また、こうした家庭環境で育った子どもは、自分の気持ちを抑えたり、相手の反応を優先したり、自分の判断に自信を持てなくなったりする場合があります。
しかし、大人になってからの生きづらさにつながる「心の習慣」は、子どもの頃の家庭環境に適応するために身につけた反応である場合があり、自分の気持ちや心の反応を理解することで、少しずつ見直していくことも可能です。
母親との関係が自分にどのような影響を与えてきたのかを理解するには、家庭環境や親子関係を振り返ることが大切です。
機能不全家族の特徴や原因、母親との共依存、世代間連鎖について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
機能不全家族や毒親、アダルトチルドレンについて、ほかの記事も探したい方は、以下の一覧ページをご覧ください。
