回避依存症:搾取者タイプの原因

回避依存症搾取者タイプの原因を表しているイラスト

POINT回避依存症:搾取者タイプの原因は、①負の世代間連鎖、②強い依存心、③愛着障害、などが考えられます。

心理カウンセラーの寺井です。

「回避依存症:搾取者タイプの原因」には、「負の世代間連鎖」「強い依存心」「愛着障害」など、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっており、子どもの頃、親から受けた子育て・家庭環境に何らかの問題があった場合、その影響により「回避依存症」になる可能性が高いと考えられています。

また、問題のある家庭で育った(問題のある親に育てられた)ことが原因で、大人になって、恋愛を含む人間関係全般に問題を抱えている人を「アダルトチルドレン」と言います。

そして、「回避依存症」とは、アダルトチルドレンの特徴のひとつとも言われており、アダルトチルドレンを克服することが、「回避依存症の克服」に繋がると考えることができます。

この記事は、回避依存症:搾取者タイプの原因について解説しています。

回避依存症:搾取者タイプの原因

回避依存症搾取者タイプの原因は親の影響を受けていることを表しているイラスト

「搾取者タイプ」をはじめとする「回避依存症の原因」には、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっていると考えられています。

回避依存症の原因…(中略)…過干渉な親、過保護な親、親と子の役割が逆転した親子など、情緒的な束縛が原因にあげられます。

引用元:回避依存症

そして、「搾取者タイプの原因」となるような「親・家族の問題点」とは、主に以下の「3つ」が考えられます。

POINT

  1. 「父親」が「母親」を一方的に都合よく利用していると、子どもは「母親を都合よく利用する父親の様子」を「モデリング(学習)」し、大人になって無意識に「模倣」する
  2. 子どもの頃、「過保護な母親」に育てられると、大人になって「依存心」が強く残る
  3. 子どもの頃、母親との「愛着の形成」が不完全であると、大人になって「母親からの愛情不足」が強く残る

このとき、「母親を都合よく利用する父親の様子」を、子どもが「モデリング(学習)」し、大人になって「模倣」し繰り返すことを「負の世代間連鎖」と言います。

次に、「過保護な母親」に育てられてことにより、子どもの頃の感覚のまま心に残った「自分は困っているのだから助けてもらえて当然だ」という気持ちを「依存心」と言います。

さいごに、母親との「愛着形成」が不完全であったことが原因で、恋愛をはじめ「人間関係全般」に問題が生じることを「愛着障害」と言います。

以上のことから、「回避依存症:搾取者タイプの原因」は、大きく分けて以下の「3つ」が考えられます

POINT

  1. 「搾取者タイプの父親」に育てられたことによる「負の世代間連鎖」の影響
  2. 「過保護の母親」に育てられたことによる「強い依存心」の影響
  3. 「母親からの愛情不足」による「愛着障害」の影響

それでは、以下に詳しく解説していきます。

 

①負の世代間連鎖

日本では「男尊女卑」という言葉があるように、「炊事・洗濯・掃除は女性がする」「子育ては女性がする」「女性は家庭を支える」「女性は男性に尽くす」など、「恋人関係」や「夫婦関係」において「男女が対等ではない関係性に基づく価値観」が未だに強く残っています。

そのため、家庭においても「亭主関白」や「モラハラ」など、自分の欲求を満たすために「夫(父親)」が「妻(母親)」を一方的に都合よく利用している夫婦関係が未だに見受けられます。

反対に言えば、このような家庭で育った場合、子どもは「父親」が「母親」を一方的に都合よく利用している様子を間近で見ながら、大人へと成長していったことになります。

また、「三つ子の魂百まで」という言葉がある通り、子どもの頃に親との関りで受けた影響は、その後の「人格形成」に大きな影響を与えることは、科学的にも証明されているところです。

このように、子どもが成長過程において「親の思考・行動パターン」を「模倣」することで生き方を学習することを「モデリング」と言います。

心理学においてモデリング(英: Modelling)とは、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることである。人間(主に子供)の成長過程では、モデリングにより学習・成長するとされている。

引用元:モデリング (心理学)

以上のことから、子どもの頃、「父親」が「母親」を一方的に都合よく利用している様子を間近で見ながら育った子どもは、大人になって、父親と同じように「パートナーを一方的に都合よく利用する」可能性が高いと心理学では考えられています。

ちなみに、「父親と同じようにパートナーを一方的に都合よく利用する」など、子どもの頃、親から受けた子育てによる「負の影響」が、親から子へ、子から孫へと無意識に連鎖してしまうことを「負の世代間連鎖」と言います。

負の世代間連鎖とは、「親(又は親から上の世代)から引き継いだ負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」を指します。世の中の親子問題を抱えている人の多くが、「親を介してこの負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」に巻き込まれたことによって、様々な問題を抱えてしまうようになったことを知ることはとても大切なことです。

引用元:親子の問題①(世代間連鎖)

このように、「搾取者タイプ」が行う「搾取」とは、子どもの頃、「父親」が「母親」を一方的に都合よく利用している様子を「負の世代間連鎖」によって繰り返していると言い換えることができます。

以上のことから、「負の世代間連鎖」は、「回避依存症:搾取者タイプの原因」のひとつと考えることができます。

 

なお、「負の世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

②強い依存心

前述の通り、子どもの頃に親との関りで受けた影響は、その後の「人格形成」に大きな影響を与えます。

とくに「過保護な母親」に育てられた場合、「かわいい…かわいい…」「かわいそう…かわいそう…」と、黙っていても母親が先回りして様々な世話を焼いてしまうため、子どもは、「自分は何もしなくても、誰かがなんとかするだろう…」あるいは「自分が困っていたら、誰かが助けてくれるだろう…」という「依存心」を強く残したまま大人へと成長していくことになります。

「過保護」とは、子どもが望むことを何でも好き放題にさせること、子どもが不快感を示したり困難を感じることに対し、親が先回りして回避する行為を指して言われることが多いでしょう。その結果、わがままに育ち、独立心が弱く、依頼心が強かったり、また集団生活に不適応な性格になりやすいと考えられます。

引用元:子どもに悪影響な「過保護」、適切な「保護」との違い

なお、母親が子どもに行う「過保護」とは、主に以下の「具体例」があげられます。

POINT

  • 子どもが欲しがるものをなんでも「買い与えて」しまう
  • 子どもにせがまれるままに「お金」を与えてしまう
  • 子どもが欲するままに「お菓子・食べ物」を与えてしまう
  • 部屋の掃除・かたづけ」を子どもにやらせず、親が代わりにやってしまう
  • 子どもに言われるがままにどこでも「車で送迎」してしまう

このように「搾取者タイプ」が行う「搾取」とは、子どもの頃、「過保護な母親」にしてもらえたことを、大人になって「母親以外の誰か」に求めていると言い換えることができます。

以上のことから、「過保護な母親」に育てられた影響である「強い依存心」は、「回避依存症:搾取者タイプの原因」のひとつと考えることができます。

 

なお、「過保護な親」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

③愛着障害

このように「搾取者タイプの原因」には、子どもの頃、親から受けた子育ての影響が密接に関わっていますが、とくに「子どもの頃の母親との愛着形成」が密接に関わっていると考えられます。

また、「母親との愛着形成」に問題が生じる子育てとは、「過保護」をはじめ、「過干渉」「DV」「モラハラ」「ネグレクト」などがあげられますが、このような家庭環境で育った場合、子どもは、幼児期に必要な「母親との愛着の形成」が十分にできないまま(健全な発達段階を踏めないまま)大人へと成長していくことになります。

そして、幼児期に必要な「母親との愛着形成」が不完全なまま育った子どもは、大人になって「恋人をはじめとする他者との愛着の形成」が難しくなると考えられています。

愛着形成とは、赤ちゃんとママなどの養育者との間に心のつながりが生まれることで、ママの赤ちゃんに対する愛着形成は妊娠中にはじまり、出産後のお世話スキンシップなどによってより深まります。愛着形成された子供は、ママ以外の人とも安定した人間関係を築いていけるのに対して、愛着の形成が不完全だった子は、他者との間に愛着を形成できない傾向にあることから、愛着は人間関係を築く上でも大きく影響を与えるのです。幼児期に養育者と十分に愛着形成ができなければ、愛着障害と呼ばれる障害が引き起こされる恐れがあります。

引用元:母子の愛着形成の大切さ

ちなみに、「母親との愛着形成」が不完全であったことが原因で、恋愛をはじめ「人間関係全般」に問題が生じることを「愛着障害」と言います。

愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。

引用元:愛着障害(アタッチメント障害)

そして、「子どもの頃、母親に甘えられないまま大人になった男性」は、「母親に満たしてもらえなかった欲求」を、母親に代わって恋人に満たさせようとすると考えられています。

子供の頃に親に甘えることができなかった男性は、子供の時の愛情不足が原因で大人になってから好きな女性に甘えるということがあるようです。特に母親に対して甘えることができなかった家庭環境の男性は、彼女に対して母親のような愛情を求める心理があるようです。

引用元:甘えん坊な彼氏・男性の心理や特徴とは?

このように「搾取者タイプ」は、「愛着障害」の影響によって「母親に満たしてもらえなかった欲求」が残っており、「母親に満たしてもらえなかった欲求」を、母親に代わって恋人に満たさせようとしていると言い換えることができます。

なお、「搾取者タイプ」のように、「恋人」に「母親代わり」を求めているかのような恋愛関係を「親代わり恋愛」と言います。

「親子関係が良好でない家庭に育ってきた場合に、自分の彼氏彼女に親代わりを求めてしまい、それが原因で恋愛関係に悪影響を及ぼす」ということですね。

引用元:【恋人を親代わりにしていませんか?恋愛と親子関係の関連性】

以上のことから、「愛着障害」は、「回避依存症:搾取者タイプの原因」のひとつと考えることができます。

 

なお、「親代わり恋愛」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

回避依存症の原因:「アダルトチルドレン」

回避依存症の原因はアダルトチルドレンであることを表すイラスト

前述の通り、「搾取者タイプ」をはじめとする「回避依存症の原因」には、子どもの頃に親から受けた子育ての影響や、子どもの頃に一緒に過ごした家族の影響など、子どもの頃の家庭環境が密接に関わっており、子どもの頃、親から受けた子育て・家族の様子・家庭環境に何らかの問題があった場合、その影響により「回避依存症」になる可能性が高いと言えます。

 

「回避依存症の克服」とは、アダルトチルドレンを克服すること

このとき、子どもの人生に悪影響を与えるような問題のある子育てを行う親を「毒親」と言い、子どもの人生に悪影響を与えるような問題のある家庭を「機能不全家族」と言います。

そして、機能不全家族で育った(毒親に育てられた)ことが原因で、大人になって、恋愛を含む人間関係全般に問題を抱えている人を「アダルトチルドレン」と言います。

「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。

引用元:機能不全家族で育った大人「アダルトチルドレン」を克服するには?

また、「回避依存症」とは、アダルトチルドレンの特徴のひとつとも言われています。

回避依存症は、アダルトチルドレンの表れ方のひとつです。…(中略)…親子関係や周囲の大人との間で、消耗し枯渇する感覚や、飲み込まれそうな感覚を体験してきました。

引用元:回避依存症

このように、「回避依存症になる原因」とは、「子どもの頃、機能不全家族で育った影響」や「子どもの頃、毒親に育てられた影響」である可能性が高い、すなわち、「回避依存症になる原因」は「アダルトチルドレン」と密接な関係にあると言えます。

反対に言えば、「機能不全家族で育った(毒親に育てられた)影響」である「アダルトチルドレン」を克服することが、「回避依存症の克服」に繋がると考えることができます。

 

「アダルトチルドレン(回避依存症)」の克服方法

そもそも「アダルトチルドレン(AC概念)」とは、1970年代、アメリカのアルコール依存症の治療現場から広がり始めた考え方で、1980年代になると、さまざまな専門家たちが「アダルトチルドレンの原因」や「アダルトチルドレンの克服方法」について研究を行い始め、今では、アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士「クラウディア・ブラック」によって、「アダルトチルドレンからの回復プロセス」がしっかりと確立されています。

とはいえ、前述の通り「回避依存症になる原因」とは、子どもの頃に負った「幼少期のトラウマ」が密接に関わっており、「幼少期のトラウマ」とは、「なかなか思い出しづらい『遠い昔の記憶』」であるのと同時に、「できれば思い出したくない『傷ついた記憶』」でもあります。

よって、「幼少期のトラウマ」を思い出そうと過去を振り返っても、自分1人ではなかなか思い出せなかったり、なかなか受け入れられない場合があります。

なお、「クラウディア・ブラック」は、「アダルトチルドレンからの回復」には以下の2点が重要と述べています。

POINT

  1. 「親・家族」に対する負の感情は「親・家族」に聞かせるのではなく、「親以外の信頼できる相手(心理カウンセラー・自助グループなど)」に聞いてもらう必要がある
  2. 「親・家族」に対する負の感情は「安全な場所(カウンセリングルーム・自助グループなど)」で聞いてもらう必要がある

以上のことから、「心理カウンセリングは、アダルトチルドレンの克服にとても有効である」と言われており、カウンセリングを利用して、カウンセラーの協力を得ながら「アダルトチルドレンからの回復プロセス」を進めることで「アダルトチルドレンの克服」が可能となり、アダルトチルドレンの克服をすることで「回避依存症の克服」ができると言えます。

 

なお、当社メンタル心理そらくもが考える「アダルトチルドレン克服カウンセリング(回避依存症の克服方法)」については、以下の記事で詳しく解説していますので、是非お読み下さい。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

回避依存症:搾取者タイプの原因」としては、以下の点があげられます。

  • POINT「母親を都合よく利用する父親の様子」を「負の世代間連鎖」で無意識に繰り返すため
  • 「過保護な母親」に育てられた影響で、「依存心」が強く残っているため
  • 「愛着障害」の影響で、「親代わり」を求めるため

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「回避依存症:搾取者タイプの原因」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

“代表:寺井啓二の詳しいプロフィール”

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