POINT機能不全家族の原因となる「母親」の特徴は、「①親子の役割逆転」「②被害者意識」「③親子共依存(母娘共依存)」「④二重拘束(ダブルバインド)」「⑤過保護」「⑥ネグレクト」などがあげられます。
心理カウンセラーの寺井です。
機能不全家族の原因となる「親」は「毒親」とも呼ばれ、親自身が機能不全家族で育った経験を持つ場合が多いという特徴があり、機能不全家族で育った大人は「アダルトチルドレン」と呼ばれる場合もあります。
とくに、機能不全家族の原因となる「親」が行う「家庭の築き方・子育てのやり方」は、子どもの頃、自らの両親が行っていた「家庭の築き方・子育てのやり方」を「世代間連鎖」によって無意識に繰り返している場合が多い傾向があり、そのぶん「機能不全家族の原因となる『母親』の特徴は『祖父母』の特徴」に似ている場合が多い」と言い換えることができます。
反対に言えば、機能不全家族の原因となる「母親」は、子どもの頃に両親が行っていた、あまり良い印象を持っていない「家庭の築き方・子育てのやり方」を無意識に繰り返すことになり、そのぶん「子どもの頃、両親に感じた『不満』や『怒り』といった気持ちを思い出しながら『母親の役割』を続けることになる…」と言い換えることができます。
ちなみに、この記事は「機能不全家族の原因となる『母親』の特徴」についての解説です。
「機能不全家族の原因となる『父親』の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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それでは、機能不全家族の原因となる「母親」について解説していきます。
機能不全家族の原因となる「母親」の特徴
前述の通り、機能不全家族の原因となる「親」は、親自身が機能不全家族で育った経験を持つ場合が多いという特徴があります。
反対に言えば、機能不全家族の原因となる「親」は、「健全な子育てをしてもらえないまま大人になっている」あるいは「健全な家庭の築き方を知らないまま大人になっている」と言い換えることができ、そのぶん、機能不全家族の原因となる「親」の内心には、「子育てに対する自信のなさ」「家庭を築くことへの自信のなさ」が隠れていると言い換えることができます。
とくに、機能不全家族の原因となる「母親」は、「父親」に比べると「子どもにイライラしやすい」という特徴があり、この「母親が子どもに感じるイライラ」とは、殆どの場合、「母親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「妬み・嫉み・意地悪」によって負った「家庭内トラウマ」に原因がある場合が多く、反対に言えば、機能不全家族の原因となる「母親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「イライラ」を、誤って自らの子どもへと向けてしまっていると言い換えることができます。
ここでは、機能不全家族の原因となる「母親」の特徴として、以下の6点を紹介します。
POINT
- 親子の役割逆転
- 被害者意識
- 親子共依存(母娘共依存)
- 二重拘束(ダブルバインド)
- 過保護
- ネグレクト
それでは、以下に詳しく説明していきます。
①親子の役割逆転
「機能不全家族」とは、「家庭が果たすべき役割がうまく機能していない家庭」を指す言葉であり、「家庭が果たすべき役割」とは、「子どもが心身共に健全に成長していくために必要なものを満たしたり、子どもが心身共に健全に成長していけるように尽くすこと」です。
その中でも、親子関係のなかで喜怒哀楽などの感情を表現できるようになることは、子どもの発達において非常に重要であると言われています。
感情表現ができるようになると、自分の気持ちを相手に伝えられるようになり、自分の気持ちを相手に伝えられるようになると、相手の気持ちも理解できるようになります。
そうすることで、少しのことで感情が揺れ動いたり、少しのことで感情が爆発することがなくなり、自らの感情をコントロールできるようになります。
幼児期に喜怒哀楽の感情を教えるのは、子どもの発達においてとても大切なことです。喜怒哀楽の感情表現ができるようになると、自分の気持ちを相手に伝えられ、相手の気持ちも理解できるようになります。相手の気持ちを理解できると、感情をコントロールできるようにもなります。引用元:幼児期に喜怒哀楽を教え、子どもの表現力を養う
ですが、機能不全家族の原因となる母親は、子どもの頃、自らの両親(祖父母)に自分の気持ちを否定された経験を持つ場合が多く、自らの両親(祖父母)とのあいだで健全な感情表現をが行えないまま大人になっている場合が多いと言えます。
よって、機能不全家族の原因となる母親は、少しのことで大きな不安を感じたり、少しのことで大きな怒りが爆発したり、自らの感情をコントロールできないという特徴があります。
そのため、機能不全家族の原因となる母親は、「子どもに自分の愚痴を聞かせる・子どもに自分の機嫌をとらせる・子どもに八つ当たりをする」など、本来であれば、子どもの頃に両親(祖父母)にしてもらいたかったことを、自らの子どもに担わせ「親代わり」をさせようとする特徴があります。
このように、本来であれば、自らの両親(祖父母)に求めるべき役割を、自らの子どもに担わせようとすることを「親子の役割逆転」と言います。
「親子の役割逆転」とは通常の親子関係とは真逆の役割が成立している状態です。親は子供の甘えの欲求を満たしてあげることが自然なことですが、「親子の役割逆転」では親が子供に甘え、子供が親の欲求を満たす役割を担わされています。
また、機能不全家族の原因となる母親は、子どもに「家事」をさせたり、年下のきょうだいの「世話」をさせたり、病気や障害を持つ家族の「介護」をさせるなど、本来であれば、親が支えるべき「生活環境」を子どもに支えさせようとする場合もあります。
このように、親に代わって生活を支えている子どもを「ヤングケアラー」と言います。
ヤングケアラー(英語: young carer)とは、通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなどの介護や世話をしている18歳未満の子どもを指す。家族の病気や障害のために、長期のサポートや介護、見守りを必要とし、それを支える人手が十分にない時には、子どもであってもその役割を引き受けて、家族の世話をする状況が生じる。介護のために学業に遅れが出たり、進学や就職を諦めたりするケースもあるといい、実態の把握が急がれている。
引用元:ヤングケアラー
確かに、日本では「うちの息子はよく親を支えてくれる優しい子です…」あるいは「うちの娘は自分のことは後回しにしてよく親孝行をしてくれます…」「お兄ちゃんなんだから…お姉ちゃんなんだから…」など、子どもが親を支えることが「美徳」あるいは「当然」とされがちな風習がありますが、見方を変えれば、「親が楽をするために子どもに強制的に手伝わせている…」とも言い換えることができます。
このように、親が自らの感情を処理するために子どもに「親代わり」をさせる「親子の役割逆転」は、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
②被害者意識
子どもが健全な成長をしていくためには、身近な人々を信頼しながら「人間関係の築き方」を学んでいく必要があります。
その中でも、母親とのあいだで「愛着の形成」がなされることは、子どもの発達において非常に重要であると言われています。
母親とのあいだで問題なく「愛着の形成」がなされると、子どもは人間全体に対する「基本的信頼感」が高まり、親子・家族・親戚・友達・恋愛・結婚・職場など「他者との信頼関係」をうまく築けるようになります。
乳幼児期の心の発達には、愛着の形成が大前提です。愛着の形成は、子どもの人間に対する基本的信頼感をはぐくみ、その後の心の発達、人間関係に大きく影響します。乳幼児期に愛着に基づいた人間関係が存在することが、その後の子どもの社会性の発達には重要な役割を持ちます。
引用元:心の発達-愛着の形成
基本的信頼感とは、他人からありのままを受け入れてもらえる安心感と、「自分は他人に受け入れてもらえる価値のある人間だ」と思える自分への信頼感のことで、他人と情緒的で深い人間関係を築くための基礎になるもの。乳児期のうちに、親からたくさんお世話してもらうことで、基本的信頼感が育まれる。
引用元:人々の沈黙|犬山病院
ですが、機能不全家族の原因となる母親は、子どもの頃、自らの母親(祖母)との「愛着の形成」に問題を抱えている場合が多く、「人間全体に対する『基本的信頼感』が低くなっている場合が多い」と言い換えることができます。
よって、機能不全家族の原因となる母親は、相手のちょっとした態度や言葉に対して「自分は傷つけられた!否定された!」と敏感に反応したり、相手とのちょっとした意見の食い違いに対して「自分は裏切られた!否定された!」と極端に反応したり、親子・家族・親戚・友達・恋愛・結婚・職場など、人間関係全般において「被害者意識」を感じやすいという特徴があります。
「被害者意識」とは、実際被害がないにもかかわらず「自分は不当な扱いを受けている」「自分こそが被害者だ」と思い込む心理状態を意味します。被害者意識の強い人は、相手の言動によって「自分が」被害を受けていると勝手に判断しています。
そのため、機能不全家族の原因となる母親は、子どもは子どもなりの意見を話しているだけなのに、「子どもに攻撃された!」と勘違いをしてヒステリックに怒りだしたり、「子どもに責められた!」と誤解をして大袈裟に泣き出したり、場合によっては「自分はかわいそうな悲劇のヒロイン」であることを自慢げに主張するなど、子どもの意見に対して感情的になりやすいため、「子どもとの対話が噛み合わない」という特徴があり、エスカレートすると「暴言・暴力」などの「虐待行為」にまで発展する場合があります。
また、機能不全家族の原因となる母親は「人間全体に対する『基本的信頼感』が低い」ことから、自らの「夫」や「友人」に悩みごとを相談できない傾向があり、本来であれば、「夫」や「友人」に相談すべき「嫁姑・仕事・夫婦関係などの悩みや愚痴」を「自分の子ども」に聞かせるという特徴があります。
くわえて、強すぎる「被害者意識」から「夫」とも話が噛み合みあわない傾向があり、そのことを苦痛に感じて早々に「離婚」に至るケースも多いと言えます。
このように、子どもが「健全な人間関係の築き方」を学べない原因となる「被害者意識」は、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
③親子共依存(母娘共依存)
前述の通り、機能不全家族の原因となる母親は、自分自身が機能不全家族で育ったことが原因で「自信がない・感情表現が苦手・被害者意識が強い」などの問題を抱えており、そのぶん常に精神的に不安定な状態であると言え、そのぶん常に精神的な支えを求めていると言えます。
そのため、機能不全家族の原因となる母親は、一番身近で自分に逆らおうとしない「自分の子ども」に対して強く依存しようとする特徴があります。
このように、精神的な支えを求める「誰かに頼りたい」という気持ちを「依存心」と言います。
依存心とは、誰かに頼りたいと思う気持ちをいいます。…(中略)…1人で過ごしたくない、どんな時も誰かと一緒にいたいという気持ちを常に持っている人は依存心が強いといえるでしょう。また、依存体質の人は恋人や友達など自分の周りの親しい人に寄りかかりたいと思ってしまう傾向にあり、自分が取るべき責任まで周りの人に押し付けてしまうことがあります。
そして、機能不全家族の原因となる母親は、自らの「依存心を満たす」ために、以下のような行動をとる傾向があります。
POINT
- 理不尽に怒ったり、急に不機嫌になったり、子どもにストレスを与えて子どもの成長を阻害し束縛しようとする
- 子どもの成長を否定したり、子どもの成長を無視したり、子どもの反抗期を受け入れないことで子どもの成長を阻害し束縛しようとする
- 「○○しなさい!○○はダメ!頑張りなさい!我慢しなさい!」など、「過干渉」をすることで子どもの自由を奪い、子どもの成長を阻害し束縛しようとする
- 「かわいそう…かわいそう…大変なことはしなくていい…」など、「過保護」にすることで、子どもの自由を奪い、子どもの成長を阻害し束縛しようとする
このように、機能不全家族の原因となる母親は、子どもの自由を奪ったり、子どもの成長を阻害することで子どもを束縛し、子どもに依存をし続けようとします。
一方、子どもはそもそも親に依存しながら成長していくことが前提ですので、子どもも親に依存をしようとします。
そうすると、「子どもに依存をしたい親」と「親に依存をする必要がある子ども」がお互いに依存し合う関係に陥ってしまいます。
このように、二人の人間がお互いに強く依存し合う関係を「共依存」と言い、親子のあいだで起きる強力な共依存関係を「親子共依存」と言います。
共依存とは、恋人や親など特定の人に合わせて自分の言動を変えてしまい、互いに依存し合う関係のこと。…(中略)…共依存の親子は意外と多く、親に縛られて自由に生きられない息苦しさを感じている人は少なくありません。「親の圧力が強い」「命令される」といった状況も、共依存の一歩手前です。
このように、親が自らの依存心を子どもに満たさせるための親子関係である「親子共依存(母娘共依存)」は、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
なお、「親子共依存(母娘共依存)」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
また、「過干渉な親の特徴」に関する記事もあわせて紹介します。
④二重拘束(ダブルバインド)
前述の通り、機能不全家族の原因となる母親は、自らの「依存心」を満たすために、子どもの自由を奪ったり、子どもの成長を阻害することで子どもを束縛しようとします。
このため、機能不全家族の原因となる母親は、子どもに対して矛盾する2つの価値観を要求し、子どもを心理的にも物理的にも束縛しようとする傾向があります。
このように、2つの矛盾した要求をすることで相手を心理的に拘束しようとすることを「二重拘束(ダブルバインド)」と言います。
「ダブルバインド」とは日本語で「二重拘束」を意味し、「2つの矛盾した命令を他人にすることで相手の精神にストレスがかかる状態」を指します。…(中略)…例えば親が遊んでいる子どもに対し、「ちゃんと勉強をしなさい!」と命令した後、「ちょっとこっちに来て夕食作りを手伝って」と依頼をしたとしましょう。すると、子どもは「勉強」と「家事手伝い」の2つのタスクを同時にこなせず、どのように行動・選択をしたらいいのかわからなくなってしまいます。このような心理的拘束をダブルバインドと呼びます。
例えば、機能不全家族の原因となる母親が子どもに要求する「二重拘束(ダブルバインド)」とは、以下のような矛盾した2つの要求が例として挙げられます。
POINT
- 完璧な人間であれ!という要求
(例:子どもに学業も運動もどちらも優秀であることを望む、子どもには社会的な成功者でありプライベートも充実した羨ましがられる人間であることを望む)など - ダメな人間であれ!という要求
(例:子どもに学業も運動もどちらも振るわない落ちこぼれであることを望む、子どもには仕事もプライベートもうまくいかないデキの悪い人間であることを望む)など
機能不全家族の原因となる母親が、上記のような「二重拘束(ダブルバインド)」を行う背景には、「親が持つ劣等感の強さ」が隠れています。
例えば、親が子どもに「完璧な人間であれ!」と要求する気持ちの背景には、「もっと頑張れ!もっと頑張れ!」と、子どもを煽り立て「子どもを自分よりも優秀な人間に仕立てることで、親の劣等感を埋め合わよう…」という親の意図が隠れていると言えます。
同じように、親が子どもに「ダメな人間であれ!」と要求する気持ちの背景には、「お前は何をやってもダメだ!」と、子どもを抑圧して「子どもを自分より劣った存在に仕立てることで、親の劣等感を埋め合わせよう…」という親の意図が隠れていると言えます。
このとき、「もっと頑張れ!もっと頑張れ!」と親が子どもを煽り立てることを「交流分析」という心理学では「ドライバー(拮抗禁止令)」と言い、「お前は何をやってもダメだ!」と親が子どもを抑圧することを「禁止令」と言います。
拮抗禁止令とは、幼少期に親の役割をもつ人から与えられた「〇〇しなさい」「〇〇したほうがよい」「〇〇であるべき」という、いわゆる「〇〇しろ」というメッセージを受けて、そのよう生きていこうと「決断」することで自らに課したものです。…(中略)…ドライバーというその名の通り、その人の行動を駆り立ててしまうのです。
禁止令とは心理学者エリックバーン博士によって開発された自己分析法で、文字通り「〇〇してはいけない」という「禁止」の「命令」のことです。…(中略)…幼いころに親などの養育者から否定的・禁止的な命令や態度を繰り返し受けることで、自らの思考や行動の制限を課してしまうものです。
このように、機能不全家族の原因となる母親が行う「二重拘束(ダブルバインド)」とは、「親が自らの劣等感を埋め合わせるために身勝手なルールを作り子どもを私物化している」と言い換えることができ、「親が自らの依存心を満たすために『禁止令とドライバー』を用いて子どもを束縛している」と言い換えることができます。
このように、子どもに混乱を与え、子どもを束縛する「二重拘束(ダブルバインド))」は、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
なお、「禁止令とドライバー」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑤過保護
機能不全家族の原因となる母親は、内心「家庭・子育てに自信がない」と感じている場合が多く、その背景には「自分は母親としてこれでいいのだろうか?」「自分は母親として子どもにどう思われているのだろうか?」など、「ありのままの自分に自信がなく、子どもにどう思われているか?を気にする」という「自己肯定感の低さ」が隠れています。
よって、機能不全家族の原因となる母親は、自らの自信のなさを「子どもを過度に甘やかす」ことで誤魔化そうとする傾向があり、子どもが悩んだり失敗から立ち直れずにいると耐えきれず、「かわいそう…かわいそう…」と子どもを溺愛しすぎたり、子どもが負うべき「子どもの苦労」を子どもに代わって背負いすぎたり、「子どもに嫌われないよう…子どもに良く思われよう…」と思うあまり、結果として、子どもが悩み成長する機会を先回りして奪ってしまう特徴があります。
そして、機能不全家族の原因となる母親が子どもに対して行う「過度な甘やかし」とは、以下のような点があげられます。
POINT
- 食欲・金銭などへの「子どもの欲求」を制限しない
- ファッション・食事・習い事・進路など「子どもがすべき選択」を子どもに代わって決めてしまう
- 子どもに「炊事・洗濯・掃除」などをさせない
- 「子どもの問題行動・子どもの非行行為」を叱れない
- 子ども1人で外出させず、どこでも「送迎・付き添い」してしまう
- 「子どもの人間関係のトラブル」を子どもに代わって解決しようとする
- 「子どもの教育」について納得がいかないと、怒り狂って学校に乗り込む場合がある
このように、「子どもの望みを親が叶えてしまう」あるいは「子どもの望みを親が背負いすぎる」ことを「過保護」と言います。
過保護(かほご)とは、ある対象を過剰に保護することである。 過保護は、特にこどもの養育において、必要過多な保護、甘やかしを行う場面が多く、こども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ますことを指す。
引用元:過保護
このように、機能不全家族の原因となる母親は「子どもを過度に甘やかす」あまり、子どもが成長する機会を奪ってしまい、結果、子どもは「親からの精神的な自立が果たせないままの大人」となってしまいます。
よって、子どもの「精神的な自立」を阻害してしまう「過度な甘やかし」とは、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
なお、「子どもを過度に甘やかす母親」のように「過保護な親の特徴」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
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⑥ネグレクト
前述の通り、機能不全家族の原因となる母親は、子どもの頃、自らも母親(祖母)から十分な愛情を注いでもらった経験が少ない傾向があります。
よって、機能不全家族の原因となる母親は、「子育てに自信がない」あるいは「子育てのやり方がわからない」と感じる傾向があります。
このように、母親との「愛着関係」に何らかの問題があることで、子育てに問題を生じることを「愛着障害」と言います。
愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。
引用元:愛着障害(アタッチメント障害)
また、「愛着障害」を抱える母親は、自らの母親(祖母)から十分な愛情を注いでもらえていない以上、自らの子どもへの愛情の注ぎ方もわからず、結果、子育てという困難を回避しようとする特徴があります。
このように、親が子育てを回避してしまうことを「ネグレクト(育児放棄・育児怠慢)」と言います。
ネグレクトは、英語では”neglect”となり、無視する、怠る、疎かにすると訳されます。子どもに対するネグレクトは、育児放棄や育児怠慢と言われ、児童虐待の1つです。
しばしば、このような「母親」の行動は、「人格障害」あるいは「発達障害」などと言われる場合がありますが、カウンセリングの現場では、このような「母親」の行動は、「母親の母親(祖母)とのあいだの『愛着関係』に問題があったことで起きる『愛着障害』である」と捉え、「母親の母親(祖母)も、同じように母親の母親の母親(曾祖母)とのあいだの『愛着関係』に問題があったことで起きる『愛着障害』を抱えていた」と捉えます。
このように、機能不全家族の原因となる「母親」の行動は、殆どの場合、母親の母親(祖母)との「愛着関係」と密接な関係があり、曾祖母から祖母へ、祖母から母親へと「世代間連鎖」している「無意識の習慣」であると言えます。
反対に言えば、曾祖母から祖母へ、祖母から母親へと「世代間連鎖」してきた「無意識の習慣」は、母親から子どもへと「世代間連鎖」させてしまう可能性もあると言い換えることができます。
いすれにしても、子どもは自分自身は親から守られているという安心感があるからこそ、自尊心や探求心を養うことができるのですが、「ネグレクト」をされてしまうと、子どもの自尊心・探求心の発達に大きな悪影響を及ぼします。
よって、子どもの自尊心・探求心の発達に悪影響を及ぼしてしまう「ネグレクト」とは、機能不全家族の原因となる母親の特徴のひとつと言えます。
なお、「ネグレクト」のように「子どもを放置する親の特徴」については以下の記事で詳しく説明していますので、必要な方は参考にしてください。
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毒親である母親の特徴
このように、機能不全家族の原因となる「親」は、決して故意ではありませんが、結果として「子どもの心身共に健全な成長を阻害してしまう…」場合があります。
そして決して故意ではないにしても、結果として「子どもの人生に悪影響を与えてしまう親」を「毒親」と呼ぶ場合があります。
日本における毒親という概念の広がりは、主に「母親」が対象として取り上げられ、理不尽な言動をする母親によって受けた苦労や体験やエピソードを題材とした、「毒親本・毒親もの」と呼ばれる本・漫画などが多く出版されたことがきっかけと言われています。
毒親である母親が持つ特徴は、以下の点があげられます。
POINT
- 言動が押しつけがましい、余計なお世話、過干渉である
- 大げさで過度にダメ出しをする
- 世間体を気にする、親の理想を押し付ける、子供を心配しすぎる
- 子育てから逃げようとする、子供に愚痴を聞かせる
- 子供の話を聞かない、子供に嫉妬したり拗ねたりする
- 自分に対しても周囲に対しても極端な言動をする
続きは、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「機能不全家族の原因となる母親の特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINT子どもを「親代わり」にして、愚痴・悪口・八つ当たりなど、自らの感情を処理する
- 「被害者意識」が強いため、人間関係全般において会話が噛み合わない
- 自らの依存心を満たすため、子どもを「親子共依存」に巻き込もうとする
- 「二重拘束(ダブルバインド)」によって子どもを私物化し束縛しようとする
- 子どもを「過保護」にすることで「自信のなさ」を誤魔化そうとする
- 「子育てのやり方がわからない」ため、子育てという困難から回避「ネグレクト(育児放棄・育児怠慢)」しようとする
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以上、「機能不全家族の原因となる『母親』の特徴」という記事でした。