POINTロストワン(いない子)の心理的な特徴は、「自分の存在感を消す」ことで「周囲に迷惑を掛けないようする」反面、「周囲に関心を持たれないようにもする」という点が最大の特徴です。
心理カウンセラーの寺井です。
「アダルトチルドレン」の「ロストワン(ロストチャイルド・ロンリー)タイプ」(以下「ロストワン」と言う。)は「いない子」と呼ばれ、「機能不全家族」という「厳しい環境」を生き延びる(生存する)ために、「親の意見」や「兄姉(年上のきょうだい)の意見」に従うことを優先して「自我」を抑え込み、「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことによって家族の負担を減らそうとする(家族に迷惑を掛けないようにする)子どもを指します。
ですので、ロストワンは大人になって「自分の意見や感情を内面に抑え込む」という心理的な特徴を持つようになり、その影響で「人とのコミュニケーションが苦手である反面、感受性が豊かになる」と考えられています。
また、ロストワンは大人になって「周囲から関心を持たれないことで安心を感じようとする」という心理的な特徴もあわせて持つようになる場合が多く、その影響で「人の集団と距離を置き、一人でいることが多い反面、人間関係のトラブルに巻き込まれにくくなる」と考えられています。
なお、本記事では「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の心理的な特徴」について、以下の「4つ」にわけて解説していきます。
POINT
- ロストワン(いない子)の性格(内面)の特徴
- 周囲の人たちが感じる、ロストワン(いない子)の特徴
- ロストワンが持つ「豊かな感受性」と「HSPとの違い」
- ロストワンが「長男・長女」に少なく「末っ子」に多い理由
ちなみに、この記事は「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『心理的な特徴』」についての解説です。
なお、「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「心理的な特徴」について解説していきます。
アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の性格
ロストワンは、子どもの頃から「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことで家族の負担を減らそうとしてきたため、大人になっても「自分の意見や感情を内面に抑え込む」という点が最大の特徴です。
このように、ロストワンは「感情を内面に留める」という心理的な特徴があるため、「人とのコミュニケーションが苦手である反面、感受性が豊かになる」という特徴があります。
なお、「ロストワンの性格の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- 集団は苦手、一人が気楽で落ち着く
- 「どうせ自分なんて…」と感じやすい
- 集団の中で「疎外感」や「孤独感」を感じやすい
- 周囲の人たちの好意を素直に受け取れない
- 目立つことや注目されることを恐れる
- 自己主張や感情表現が苦手
- 人前で話すことや会話することが苦手
- 感情を内面に留める
続きは、以下の記事でさらに詳しく説明しています。
周囲の人たちが感じる、ロストワン(いない子)の特徴
ロストワンは、子どもの頃から「自分の存在感を消す(いない子になる)」ことで家族の負担を減らそうとしてきたため、大人になっても「周囲から関心を持たれないことで安心を感じようとする」という点が最大の特徴です。
このように、ロストワンは「人と関わることに対して防衛的な気持ちが強い」という心理的な特徴があるため、「人の集団と距離を置き、一人でいることが多い反面、人間関係のトラブルに巻き込まれにくい」という特徴があります。
なお、「周囲の人たちが感じる、ロストワン(いない子)の特徴」は、主に以下の「7つ」点があげられます。
POINT
- 存在感が薄い、目立たない
- 何を考えているかわからない
- 一人でいることが多い
- 周りに流されない
- 冷たい性格に感じる
- 会話が続かない
- 誠実、公平、我慢強い
続きは、以下の記事でさらに詳しく説明しています。
ロストワンが持つ「豊かな感受性」と「HSPとの違い」
ロストワンは「機能不全家族」において「自分の存在感を消すことで家族の負担を減らす(家族に迷惑を掛けない)」という「役割」を担ってきたため、自分の存在価値を感じようとすればするほど「自分の感情を内面に留めて何も行動しないようにする」という特徴があります。
ですので、ロストワンは「自分の感情を内面に留めるぶんだけ、感受性が豊かになる」と考えられています。
一方、生まれながらの「先天的な気質」として「豊かな感受性を持っている人」を「HSP(Highly Sensitive Person)(エイチ・エス・ピー)」と言います。
このように、「ロストワン」と「HSP」は「『感受性が豊か』という共通の特徴」を持ちますが、「ロストワンが持つ感受性の豊かさ」は「生まれた後に親や家族との関係で身に付けた『後天性の性格』を指す」のに対して、「HSPが持つ感受性の豊かさ」は「生まれながらに持っている『先天性な気質』を指す」という違いがあります。
そして、「HSPは生まれながらの『先天的な気質』であるため、根本的な改善は困難である」と考えると考えられているのに対して、ロストワンをはじめとする「アダルトチルドレンは生まれた後に身に付けた『後天的な性格』であるため、根本的な改善が期待できる」と考えられています。
なお、「ロストワンが持つ『豊かな感受性』と『HSPとの違い』」については、以下に記事でさらに詳しく解説しています。
ロストワンが「長男・長女」に少なく「末っ子」に多い理由
「機能不全家族」とは「子どもが日常的に『親の愛情不足』を感じている家族」を指し、機能不全家族で育った「アダルトチルドレン」とは「親の愛情が慢性的に不足している家庭で育った子ども」と言い換えることができます。
ですので、「機能不全家族」において「最初に生まれた子どもである『長男・長女』」は「不足している愛情」を少しでも補おうと、「親に対してあえて特徴的な行動をとる」ことで親の関心を引き、親の愛情を得ようとする傾向が強いため、「親に対してあえて特徴的な行動をとらない『ロストワン』になる可能性が低い」と考えられています。
ですが、「弟妹(年下のきょうだい)が病弱であったり何らかの障害を持っている」あるいは「親が体力的にも精神的にも手一杯になっている」など、「家庭環境」によっては「長男・長女」でもロストワンとなる場合があると考えられています。
なお、「ロストワン(いない子)が『長男・長女』に少なく『末っ子』に多い理由」については、以下に記事でさらに詳しく解説しています。
アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の「人間関係の特徴」
ロストワンは、子どもの頃から「自分の存在感を消すことで家族の負担を減らす(家族に迷惑を掛けない)」という「役割」を担ってきたため、大人になってからも、人間関係において「自己主張や感情表現を抑えて目立たないようにする」という点が最大の特徴です。
また、ロストワンは子どもの頃から「自分の気持ちや意見を親や家族に否定されたり無視される」ことが多かったため、大人になって「人と関わることに対して防衛的な気持ちが強くなる」と考えられています。
ですので、ロストワンは「人と関わることに対して防衛的な気持ちが強いぶんだけ、人間関係が長続きしない」と言えますし、「人と関わることに対して防衛的な気持ちが強いぶんだけ、人間関係のトラブルに巻き込まれない」とも言えます。
なお、「ロストワンの人間関係の特徴」は、主に以下の「8つ」があげられます。
POINT
- コミュニケーション(会話)が苦手
- 集団やグループが苦手
- 引きこもり・不登校・転職が多い
- 「重い責任」に負うことを極端に嫌う
- 人間関係が長続きしない
- 人間関係のトラブルに巻き込まれない
- 共依存に陥らない
- 自立した関係が築ける
続きは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」
アダルトチルドレンが、子どもの頃に身に付けた「機能不全家族での役割」を、アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。
そして、「ロストワン(いない子)」とは、「ウェイン・クリッツバーグ」がまとめた「アダルトチルドレンタイプ(機能不全家族での役割)」のひとつにあたります。
なお、「ロストワン(いない子)」以外の「アダルトチルドレンタイプ」それぞれの「心理的な特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。
「アダルトチルドレン:ロストワン(いない子)の心理的な特徴」としては、以下の点があげられます。
- POINTロストワンの性格の特徴は、「人とのコミュニケーションが苦手」である反面、「感受性が豊かになる」という点
- 周囲の人たちが感じるロストワンの特徴は、「人の集団と距離を置き、一人でいることが多い」反面、「人間関係のトラブルに巻き込まれにくい」という点
- 「ロストワン」と「HSP」は「感受性が豊か」という共通の特徴があるが、それぞれの「意味合い・原因・影響」には違いがある
- ロストワンは「長男・長女」に少なく「末っ子」に多いという傾向があるが、「きょうだい児」や「ヤングケアラー」である場合は「長男・長女」でもロストワンとなる場合がある
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以上、「アダルトチルドレン(AC)ロストワン(いない子)の『心理的な特徴』」という記事でした。