毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由

毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由を表しているイラスト

POINT毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由は、①結婚に良い印象がない、②家庭に良い印象がない、③結婚相手を信じきれない、④異性への苦手意識、⑤幸せになることへの罪悪感、⑥幸せになってはいけないなどの思い込み、⑦負の世代間連鎖を断ち切りたい、⑧親の反対・親の邪魔などがあげられます。

心理カウンセラーの寺井です。

結婚」とは、結婚相手と協力しながら、新たな「家庭」や「家族」を形成することで、「結婚生活」とは、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係の様子」や「両親の結婚生活の様子」を無意識に「模範」としながら営んでいくものです。

ですが、「毒親育ち」の方たちは、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係」や「両親の結婚生活」に対してあまり良い印象を持っていない場合が多く、「自分が結婚できるわけはない…」「結婚なんてしないほうがいい…」と感じやすい傾向があります。

この記事は、毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由について解説しています。

毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由

毒親育ちの男性と女性が結婚できない様子を表しているイラスト

毒親育ちの方が結婚できない・結婚したくないと感じる理由は、主に以下の8点があげられます。

POINT

  1. 結婚生活」や「夫婦関係」に良い印象を持っていない
  2. 家族」や「家庭」に良い印象を持ってない
  3. 結婚相手(恋人)」や「結婚相手(恋人)の家族」を信じきれない
  4. 異性に対する苦手意識」がある
  5. 幸せになることへの罪悪感」がある
  6. 幸せになってはいけない・幸せになれるわけがない」などの思い込みがある
  7. 負の世代間連鎖」を断ち切りたい
  8. 親に反対される・親に邪魔される」から

それでは、以下に詳しく解説していきます。

 

理由①:「結婚生活」や「夫婦関係」に良い印象を持っていない

三つ子の魂百まで」の諺にもある通り、子どもの頃に見聞きした「両親の言葉や行動」は、自らの性格的な特徴に大きな影響を与えています。

よって、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係の様子」や「両親の結婚生活の様子」は、自らの「恋愛傾向」や「結婚に対する価値観」に大きな影響を与えていると言えます。

ですが、毒親育ちの方たちが、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係」や「両親の結婚生活」は、「暴言・暴力・モラハラ・夫婦喧嘩」あるいは「浮気・不倫・別居・離婚・夫婦不仲」などの問題があった場合が多く、そのぶん、毒親育ちの方たちは「結婚生活」や「夫婦関係」に良い印象を持っていない傾向があります。

そのため、毒親育ちの方たちは「結婚」を意識すると、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係」や「両親の結婚生活」を基準に考えてしまい、「結婚なんてしない方がいい…」「夫婦なんていつかは破綻する…」など「結婚生活」や「夫婦関係」に対して悲観的な価値観に陥ってしまう場合が多いと言えます。

このように、自分が「新たな体験」をしようとしたとき、そのことに関連する「過去のネガティブな記憶」が鮮明に甦り、現在の自分の価値観に悲観的な影響を与えることを「フラッシュバック」と言います。

フラッシュバックは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に特徴的な再体験症状とされ、外傷体験に関連した記憶(トラウマ記憶)が、突然に、また鮮明に甦ることを指しています。

引用元:フラッシュバックの治療

また、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係」や「両親の結婚生活」に対するネガティブな記憶の影響は、「結婚」より以前に「恋愛傾向」に影響を与えている場合も多く、そのぶん、毒親育ちの方たちの恋愛傾向には「無意識に結婚を避けてしまう…」という特徴があると言い換えることができます。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦喧嘩」や「両親の夫婦不仲」などの影響により、「結婚生活」や「夫婦関係」に対してあまり良い印象を持っていないためと考えられます。

 

なお「毒親育ちの性格的な特徴や恋愛傾向」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由②:「家族」や「家庭」に良い印象を持ってない

「結婚」とは、結婚相手と協力しながら、新たな「家庭」や「家族」を形成することを意味します。

ですが、毒親育ちの方はほとんどの場合、自分が生まれ育った「家庭」や「家族」に対してあまりよい印象を持っていない傾向があります。

毒親育ちの方が自分の生まれ育った「家庭」や「家族」に対してあまりよい印象を持っていない理由はさまざまですが、毒親育ちの方たちが生まれ育った「家庭」や「家族」のように、子どもが日常的にストレスを感じている家族の状態を「機能不全家族」と呼びます。

機能不全家族とは、ストレスが日常的に存在している家族状態のことです。主に親から子どもへの虐待・ネグレクト(育児放棄)・子どもに対する過剰な期待などの様々な要因が家庭内にあり、子育てや生活などの家庭の機能がうまくいっていない状態です。

引用元:機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?

反対に言えば、子どもは心身共に健全な成長をするために、「家庭」や「家族」に対して「安心安全を感じられる居場所」であることを望んでいると言えます。

このとき、子どもが「安心安全を感じられる居場所」のことを「安全基地」と言います。

安全基地とは、アメリカ合衆国の心理学者であるメアリー・エインスワースが1982年に提唱した人間の愛着行動に関する概念である。子供は親との信頼関係によって育まれる『心の安全基地』の存在によって外の世界を探索でき、戻ってきたときには喜んで迎えられると確信することで帰還することができる。

引用元:安全基地

以上のことから、毒親育ちの方にとって「家庭」や「家族」とは「安心安全を感じられる居場所」ではなかった場合が多いと言えます。

また、人は「過去の成功体験」を自信に感じながら、人生の新たなステップへと進んでいくものです。

ですが、毒親育ちの方たちは「機能不全家族で育った影響」により、「安心安全を感じられる家族を形成することへの自信」をあまり持ち合わせていないことになり、そのぶん「あんな家庭で育った私が幸せの家庭を築けるはずがない…」「あんな家庭で育った私は結婚しないほうがいい…」と感じやすい特徴があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、「機能不全家族で育った影響」により、「家庭」や「家族」に対してあまり良い印象を持っていないためと考えられます。

 

なお「機能不全家族」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由③:「結婚相手(恋人)」や「結婚相手(恋人)の家族」を信じきれない

「結婚」を始めとした人間関係において、相手とのあいだで信頼関係を築くためには、乳幼児期に母親とのあいだで健全な「愛着形成」がなされていることがとても重要です。

愛着の形成は、子どもの人間に対する基本的信頼感をはぐくみ、その後の心の発達、人間関係に大きく影響します。乳幼児期に愛着に基づいた人間関係が存在することが、その後の子どもの社会性の発達には重要な役割を持ちます。

引用元:愛着の形成

そして、乳幼児期に母親とのあいだで健全な「愛着形成」がなされていると、「例え、失敗をしても悩んでいても落ち込んでいても、自分は他人に受けれてもらえる価値のある人間なんだ…」という安心感を感じられるようになります。

このように、「自分は他人に受け入れてもらえる価値のある人間なんだ…」と感じることができる気持ちを「基本的信頼感」と言います。

基本的信頼感とは、他人からありのままを受け入れてもらえる安心感と、「自分は他人に受け入れてもらえる価値のある人間だ」と思える自分への信頼感のことで、他人と情緒的で深い人間関係を築くための基礎になるもの。乳児期のうちに、親からたくさんお世話してもらうことで、基本的信頼感が育まれる。

引用元:人々の沈黙

ですが、毒親育ちの方は「機能不全家族」で育った影響により、本来であれば子どもにとって最も信頼できるはずの「父親」や「母親」や「家族」から傷つけられてしまった経験を持っており、そのぶん「人への基本的信頼感」に問題を抱えていると言い換えることができます。

そして、毒親育ちの方は「人への基本的信頼感」に問題を抱えていることにより、悩みごとを周囲に相談できなかったり、弱音や愚痴を周囲に吐き出せなかったり、人間関係においてストレスを抱えやすい傾向があります。

このように、「機能不全家族」で育った影響により、人間関係においてストレスを抱えやすいなど「生きづらさ」を感じている人を「アダルトチルドレン」と言います。

「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族で育ったことにより、「親から守られる」「適切な教育を受ける」などの正常な成長過程をたどれず、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことをさします。

引用元:機能不全家族で育った大人「アダルトチルドレン」を克服するには?

以上のことから、毒親育ちの方は「結婚相手」や「結婚相手の家族」を信じることができず、「どうせ自分の気持ちは理解してもらえない…」「どうせ自分だけ仲間外れにされるに違いない…」などの警戒心を感じやすい特徴があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、「人への基本的信頼感」に問題を抱えていることにより、「結婚相手(恋人)」や「結婚相手(恋人)の家族」に対して警戒心を感じやすいためと考えられます。

 

なお「アダルトチルドレン」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由④:「異性に対する苦手意識」がある

前述の通り、子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦関係の様子」や「両親の結婚生活の様子」は、自らの「恋愛傾向」や「結婚に対する価値観」に大きな影響を与えていると言えます。

よって、毒親育ちの男性の場合は、生まれて初めて出会った女性である「母親」の印象が、毒親育ちの女性の場合、生まれて初めて出会った男性である「父親」の印象が、自らの「恋愛傾向」や「結婚に対する価値観」に大きな影響を与えていると言えます。

例えば、毒親育ちの方が持つ「異性への苦手意識」とは、以下のようなものが考えられます。

POINT

  • ヒステリックな母親に育てられた男性は、「女性は苦手だ…」と感じるようになる
  • 母親に可愛がってもらえなかった男性は、「女性は冷たい…」と感じるようになる
  • 父親の言いなりで、父親の暴言・暴力から自分を守ってくれなかった母親に育てられた男性は、「女なんて…女のくせに…」など「女性を見下す」ようになる
  • 父親から暴言・暴力を振るわれた女性は、「男性は怖い…」と感じるようになる
  • 浮気・不倫・お金の問題など、父親が起こす問題について母親から愚痴を聞かされて育った女性は、「男性は信用できない…」と感じるようになる
  • 父親が仕事や趣味に没頭しすぎて頼りにならず、苦労している母親を見て育った女性は、「男なんて…男のくせに…」など「男性を見下す」ようになる

このように、子どもの頃に経験した「父親」や「母親」との関係が原因で感じる「異性に対する苦手意識」を、心理学では「防衛機制(投影)」と呼ぶ場合があります。

防衛機制(投影):自分の中の抑圧された感情や願望を他人が持っていることにして自分を守ろうとする心の働きです。例えば、「本当は自分が苦手な人を避けているのに、相手が自分を避けているのだ!」と認識すること。3歳~15歳の子どもにみられる防衛機制と言われていますが、成人にもみられることがあります。

引用元:苦手な人に対する心理と防衛機制

以上のことから、毒親育ちの方は、異性に対して「警戒・恐れ・不信・失望・怒り」などの苦手意識を感じやすい特徴があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、子どもの頃に経験した「父親」や「母親」との関係が原因で「防衛機制」が高まっていることにより、「異性に対して苦手意識」を感じやすいためと考えられます。

 

なお「異性に対する苦手意識の原因となる親の特徴」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由⑤:「幸せになることへの罪悪感」がある

「結婚に対する価値観」については、人それぞれさまざまな考え方がありますが、基本的に「結婚」とは「不幸」を求めてするものではなく、あくまで「結婚」とは「幸せ」を求めてするものと言えます。

ですが、毒親育ちの方たちは、子どもの頃、親から「自分の存在自体を否定される言葉」を言われた経験が多い傾向があります。

例えば、毒親育ちの方たちが「親から言われた否定的な言葉」とは、以下のようなものが考えられます。

POINT

  • お前が我儘ばかり言うから親が苦労するんだ!お前なんていなくなればいいんだ!
  • お前が生まれてこなければこんな苦労をせずに済んだのに、お前なんて生まてこなければよかった!
  • 親がこんなに苦労をしているのに、お前だけ幸せになるのか?親不孝者!

そもそも毒親とは、「子育て(育児)に自信が持てない親」あるいは「子育て(育児)にプレッシャーを感じやすい親」と言えます。

よって毒親は、「子育て(育児)に対するプレッシャー」から逃れたいあまり、「子どもの存在自体を認めない(否定する)」という心理的な特徴を持っています。

このように、毒親が「子育て(育児)に対するプレッシャー」から逃れたいあまり、「子どもの存在自体を認めない(否定する)」という心理的な特徴を、心理学では「防衛機制(否認)」と呼ぶ場合があります。

防衛機制(否認):否認とは受け入れがたい現実、不快な体験を心を閉ざすことによって、現実を認識しないようにすることです。例えば、否認の特徴は、知覚したうえで、その現実や体験をかたくなに認めないという特徴があります。例えば、「大きな病気を告知されたときに、私は健康そのものだと事実を全く認めようとしない」など。

引用元:苦手な人に対する心理と防衛機制

反対に言えば、毒親が子どもの存在を認めない(否定する)理由は、あくまで「子育ての責任(親の責任)から逃れたい!」と考える「親の意図」によるものであって、子どもに一切の責任はありません。

ですが、毒親育ちの方は、本来であれば最も信頼できるはずの「父親」や「母親」から「自らの存在を否定されてしまった」ことにより、「自分なんていない方がいいんだ!」「自分なんて生まれてこなければよかったんだ!」「自分は幸せになってはいけないんだ!」と「幸せになることへの罪悪感」を感じやすくなります。

また、「実家が貧困に困っている…」「両親が祖父母の介護に苦労している…」「家族のなかに難病などを抱える要介護者がいる…」などの環境起因によっても、毒親育ちの方は「自分だけ幸せになるわけにはいかない!」と「幸せになることへの罪悪感」を感じやすくなる特徴があります。

このとき、「幸せになることへの罪悪感」の影響で、新たな出会いを求めることや、他人と親しくなることや、恋愛や結婚を避けてしまうことを「回避依存症」と言います。

【回避依存症】とは、他人と親しくなることを避けることで精神のバランスを保とうとする状態のこと。

引用元:あなたは当てはまる?【回避依存】の心理や特徴、克服のヒントを紹介

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、子どもの頃、親から否定的な言葉を言われることが多かった影響により、「幸せになることへの罪悪感」を感じやすいためと考えられます。

 

なお、「回避依存症」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由⑥:「幸せになってはいけない・幸せになれるわけがない」などの思い込みがある

また、親から自らの存在を否定されなかったとしても、毒親育ちの方は、子どもの頃、親から「○○してはいけません!」「もっと○○しなさい!」「○○できたら△△してもいいけれど、もし○○できなかったら△△は許しません!」など「禁止・命令・条件」を厳しく言われて育った経験が多い傾向があります。

このように、子どもの頃、親から言われた「○○してはいけません!」というメッセージを「交流分析」という心理学では「禁止令」と言います。

禁止令とは、親から受け取ったメッセージのうち、「~するな」という指示・命令のこと。これを大人になってからも無意識のうちに守ってしまい、「やってはいけないこと」と思い込んでしまっている状態です。

引用元:人生を狂わせる12の禁止令と5つのドライバー

同じように、子どもの頃、親から言われた「もっと○○しなさい!」というメッセージを「ドライバー」と言います。

ドライバーは、禁止令とは反対に、「~しろ」という指示・命令による思い込みです。禁止令の一種と考え「拮抗禁止令」と呼ぶ場合もあります。禁止令同様、親からの指示で無意識に「そうしなければいけない」と思い込んで守ってしまっていると考えられます。

引用元:人生を狂わせる12の禁止令と5つのドライバー

また、子どもの頃、親から言われた「○○できたら△△してもいいけれど、もし○○できなかったら△△は許しません!」というメッセージを「条件付きの愛」と言います。

条件付きの愛とはすなわち「◯◯する子は愛してあげる」「◯◯できない子は愛してあげない」というコントロールです。『お父さんお母さん、それって虐待かも』でもお伝えしましたが、愛が欲しい相手をもっともカンタンにコントロールする方法は「相手に恐怖感や罪悪感を与えること」。

引用元:条件付きの愛。アダルトチルドレンがハマりやすいワナとは?

以上のことから、毒親育ちの方は、「一人前の人間として親に認めてもらえない限り、自分は幸せになってはいけないんだ…」「自分が幸せになるためには、勉強や仕事を頑張ってもっと社会的に認められなければいけないだ…」「なんの取り得のない自分が幸せになれるわけがないんだ…」などの思い込みを感じやすい特徴があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、子どもの頃に「父親」や「母親」から受け取った「禁止令・ドライバー・条件付きの愛情」の影響により、「幸せになってはいけない・幸せになれるわけがない」などの思い込みを感じやすいためと考えられます。

 

なお「禁止令とドライバー」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由⑦:「負の世代間連鎖」を断ち切りたい

「毒親」とは、機能不全家族の原因となる「親」を指す言葉です。

そして「毒親」と呼ばれる親自身も、かつては「機能不全家族」で育った可能性が高いと言われており、「毒親」と呼ばれる親自身も、かつては「毒親である祖父母」に育てられた可能性が高いと言われています。

よって、毒親とは、子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった「子育てのやり方」を、大人になって自分の子どもへと繰り返してしまう傾向があると言い換えることができます。

このように、子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった「子育てのやり方」を、大人になって自分の子どもへと繰り返してしまうことを「負の世代間連鎖」と言います。

負の世代間連鎖とは、「親(又は親から上の世代)から引き継いだ負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」を指します。世の中の親子問題を抱えている人の多くが、「親を介してこの負の人生プログラム及び認知の歪みの連鎖」に巻き込まれたことによって、様々な問題を抱えてしまうようになったことを知ることはとても大切なことです。

引用元:親子の問題①(世代間連鎖)

反対に言えば、毒親に育てられた(機能不全家族で育った)毒親育ちの方も、子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった「子育てのやり方」を、大人になって自分の子どもへと繰り返してしまう可能性があると言えます。

以上のことから、毒親育ちの方は、「子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった『子育ての負の影響』を、自分の子どもへと連鎖させたくない」と感じやすい特徴があり、「恋愛・結婚・出産」を避けることで「負の世代間連鎖」を立ち切ろうとする傾向があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、子どもの頃、自分が親にされて辛く苦しかった「子育ての負の影響」を、自分の子どもへと連鎖させたくない」という思いから、「恋愛・結婚・出産」を避けることで「負の世代間連鎖」を立ち切ろうとするためと考えられます。

 

なお「負の世代間連鎖」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

理由⑧:「親に反対される・親に邪魔される」から

結婚は家と家の結びつけるもの」という言葉ありますが、とくに日本においては、明治時代より民法に規定された「家制度」が存在した関係で、家族の中の様々な権限は「家長(戸主)」に与えられ、その影響で、日本においては「家族全体に関わる様々な決定権は子どもより親に決定権がある」という考え方が色濃く残っている傾向があります。

現在に至っては、民法が改正され「家制度」は法律上の効力を失っているのですが、各家庭にはその風習のみが残り、未だに「子どもより親の方が偉い」という考え方が、親から子へ、子から孫へと「世代間連鎖」しており、現在に至っても、日本の家庭に色濃く残っていると言えます。

このように日本においては、「家族全体に関わる様々な決定権は子どもより親に決定権がある」あるいは「子どもより親の方が偉い」という偏った価値観を持った親が多く、「進学・就職・恋愛・結婚・子育て」など、本来は子どもが自らの意思で選ぶべき人生の選択に対して、「ああしなさい!こうしなさい!」「あれはダメ!これはダメ!」と、当然のように干渉してくる親が多く存在すると言えます。

このように、「子どもの意見を無視して、親の意見を子どもに押し付けること」を「過干渉」と言います。

過干渉は、虐待の一種であり「保護者が我が子を一人の主体的な人間として認めず、その子供の意思や思考、自我の発達や自主性などを否定して、操り人形のごとく親の意のままにコントロールしようとすること」である。

引用元:過干渉

反対に、「かわいそう…かわいそう…」と、子どもを必要以上に甘やかしてしまい、まるで「子どもの付添人・代理人」であるかのように、子どもの人生に深く介入しすぎる親も多く存在します。

このように、「子どもの苦労を、子どもに代わって親が背負いすぎてしまうこと」を「過保護」と言います。

過保護(かほご)とは、ある対象を過剰に保護することである。 過保護は、特にこどもの養育において、必要過多な保護、甘やかしを行う場面が多く、こども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ますことを指す。

引用元:過保護

以上のことから、毒親育ちの方たちにとって、「親」とは「自分を否定してくる存在」あるいは「自分を邪魔してくる存在」であった場合が多いと言え、そのぶん「結婚をしようとしても、どうせ親に反対されたり口出しをされて苦しむだけだ…」「自分の意思を貫いて結婚をしたとしても、どうせ実家との関係に苦労するだけだ…」など、結婚について悲観的に感じやすい特徴があります。

このように、毒親育ちの方が「結婚できない・結婚したくない」と感じる理由は、「過干渉な親」あるいは「過保護な親」の影響によって、自分が選んだ「結婚相手」を親に反対されてしまったり、自らの「結婚生活」を親に邪魔されてしまうなど、結婚について悲観的に感じやすいためと考えられます。

 

なお「過干渉な親の特徴」「過保護な親の特徴」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。

 

毒親から解放される方法

毒親に育てられた影響から脱出する方法を表すイラスト

前述の通り「結婚生活」や「夫婦関係」とは、結婚相手との信頼関係を築くことです。

なので、相手や自分を疑うことより、相手を信じることや自分自身を好きでいることがとても大切なことになります。

ですが、毒親育ちの方は、毒親に育てられた影響によって、相手を信じきれなかったり、自分を信じれないものですので、「婚活」がうまく行かなかったり、結婚に向けて「恋人」との関係がうまくいかないことが多いのも無理のないことです。

ですが、カウンセリングを利用することで、カウンセラーの協力のもと毒親の影響から自分を解放し、今からでも、相手との間に対等な信頼関係を築くことは可能です。

続きは、以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

さいごに、本記事の重要ポイントをまとめます。

毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由」としては、以下の点があげられます。

  • POINT子どもの頃に見聞きした「両親の夫婦喧嘩」や「両親の夫婦不仲」などの影響により、「結婚生活や夫婦関係に対してあまり良い印象を持っていない」ため
  • 「機能不全家族」で育った影響により、「家庭や家族に対してあまり良い印象を持っていない」ため
  • 「人への基本的信頼感」に問題を抱えていることにより、「結婚相手や結婚相手の家族に対して警戒心」を感じやすいため
  • 「防衛機制」が高まっていることにより、「異性に対して苦手意識を感じやすい」ため
  • 子どもの頃、親から否定的な言葉を言われることが多かった影響により、「幸せになることへの罪悪感」を感じやすいため
  • 「禁止令・ドライバー・条件付きの愛」の影響により、「幸せになってはいけない・幸せになれるわけがないなどの思い込み」を感じやすいため
  • 子どもの頃、「親から受け取った子育ての負の影響を自分の子どもへと連鎖させたくない」と感じやすいため
  • 「過干渉な親」あるいは「過保護な親」の影響によって、「結婚相手を親に反対される・結婚生活を親に邪魔されるという心配」を感じやすいため

また、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「毒親育ちが結婚できない・結婚したくない理由」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡県内、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

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