POINTインナーチャイルドの原因となる「父親」の特徴は、①家庭に不在がち、②子どもに厳しい、③子どもに暴言・暴力を振るう、④きょうだい差別をする、⑤配偶者を苦しめる、⑥精神的に不安定、などがあげられます。
心理カウンセラーの寺井です。
心理学における「インナーチャイルド」とは、「幼少期に負ったトラウマ(心の傷)」や「幼少期に満たされなかった気持ち」や「幼少期に身に付けた思考・行動パターン」など、「幼少期の体験(3歳~10歳ごろの体験)」を意味します。
以上のことから、インナーチャイルドの原因には「幼少期の家庭環境が密接に関わっている」と考えられています。
なお、「インナーチャイルドを引き起こす『心理的原因』」とは、主に以下の「3つ」があげられます。
ちなみに、「インナーチャイルドを引き起こす『心理的原因』」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方はお読み下さい。
また、「インナーチャイルドの原因となる家庭」を「機能不全家族」と言い、「インナーチャイルドの原因となる親」を「毒親」と言います。
そして、インナーチャイルドの原因となる「親」は、内心には「子育てに対する自信のなさ」や「家庭を築くことへの自信のなさ」を感じている場合が多く、インナーチャイルドの原因となる「父親」は、インナーチャイルドの原因となる「母親」に比べると「怒りが爆発しやすい」という特徴があります。
ちなみに、この記事は「インナーチャイルドの原因となる『父親』の特徴」についての解説です。
なお、「インナーチャイルドの原因となる『母親』の特徴」については、以下の記事で詳しく解説しています。
それでは、インナーチャイルドの原因となる「父親」の特徴について解説していきます。
インナーチャイルドの原因となる「父親」の特徴
インナーチャイルドの原因となる「親」は、自らも「親の愛情不足」で育った場合が多いと考えられており、インナーチャイルドの原因となる親自身も「傷ついたままのインナーチャイルド」を抱えた「アダルトチルドレン」である場合が多いと考えられています。
反対に言えば、インナーチャイルドの原因となる「親」は、「健全な子育てをしてもらえないまま大人になっている」あるいは「健全な家庭の築き方を知らないまま大人になっている」と言い換えることができ、インナーチャイルドの原因となる「親」の内心には「子育てに対する自信のなさ」や「家庭を築くことへの自信のなさ」が隠れていると言い換えることができます。
とくに、インナーチャイルドの原因となる「父親」は、インナーチャイルドの原因となる「母親」に比べると「怒りが爆発しやすい」という特徴があり、この「父親が爆発させる怒り」とは、殆どの場合、「父親」が子どもの頃、自らの両親(祖父母)から受けた「躾(しつけ)という名の『暴言・暴力』」によって負った「家庭内トラウマ(傷ついたままのインナーチャイルド)」に原因がある場合が多く、反対に言えば、インナーチャイルドの原因となる「父親」は、本来、自らの両親(祖父母)に向けるべき「怒り」を、誤って自らの子どもへと爆発させてしまっていると言い換えることができます。
なお、「インナーチャイルドの原因となる『父親』の特徴」は、主に以下の「6つ」があげられます。
POINT
- 家庭に不在がち
- 子どもに厳しい
- 子どもに暴言・暴力を振るう
- きょうだい差別をする
- 配偶者(パートナー)を苦しめる
- 精神的に不安定
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①家庭に不在がち
心理学では、「幼少期の体験は『人格形成』に多大な影響を与える」と考えられており、インナーチャイルドを引き起こす原因は「幼少期の親や家族との関り方」にあると考えられています。
なお、心理学で考える「父親の役割・母親の役割」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
心理学による「父親・母親の役割」
- 父親の役割①「理性や知性を教える」
例えば、子どもが駄々をこねたときやいろいろな物事に疑問を持つようになったときに、「なぜ」「どうして」「どのように」などといったことを理知的にパパが説明してあげることで、子どもは感情をぶつける関わり方だけではなく、理性的な関わり方を学んでいきます。 - 父親の役割②「頑張りたい時の滑走路」
子どもにとってパパは、自分の知らない外の世界を知っている存在です。パパが社会と関わりを持っている姿を見て、自分の知らない世界を想像するきっかけになります。いわば、ママが伴走者だとすると、パパはコーチのような存在なのです。 - 母親の役割①「安全基地になる」
子どもは本能的に生まれて初めての食べものを与えてくれるママを求めます。子どもが安心・安全と思うことができる関わりを主体的にママが行っていくことで、子どもは物事に挑戦していく意欲が湧いたり、他人と関わろうとする社会性を帯びたりするようになるのです。 - 母親の役割②「感情・情緒を育む」
子どもに悲しいことや嫌なことなどがあったとき、愛情をたくさん与えてあげたり、その時の子どもの姿を受け止めてあげたりといった、子どもが感じているマイナスの感情に寄り添うような関わりをしてあげることはママのほうが得意とされています。
このように、「父親・母親が役割を分担し協力し合う」ことで「健全な家庭」を築くことができます。
そして、心理学では「健全な家庭」を「安全基地」と言い、「子どもは『安全基地』で安心を得ることで、心身ともに健全に成長することができる」と考えられています。
安全基地とは、子供にとっての愛着対象が、幼い子供に提供する心地よい安定や保護が保証された環境を意味する。子供は母親などの養育者を安全基地のように感じられると、好奇心は外の世界に向けられ、外的世界を探検することができるようになる。
引用元:安全基地 – Wikipedia
ですが、インナーチャイルドの原因となる父親は、自らの父親(祖父)も家庭で不在がちであった場合が多く、自らの父親(祖父)から「父親の役割」を果たせてもらえないまま大人になっている場合が多いと言えます。
よって、インナーチャイルドの原因となる父親は、内心「父親のやり方がわからない・父親のやり方に自信がない」と感じている場合が多く、そのため「父親として子どもと関わること(父親業)」を無意識に避ける傾向があり、「家庭の外で仕事に専念することで家庭を守ろうとする」という特徴があります。
父親が仕事に専念すること自体は決して悪いことではないのですが、家庭に父親が不在がちであるということは、本来「父親が担うべき役割」を「母親に担わせる」ことになってしまい、そのぶん「母親はワンオペ育児となり負担が増大する」ことになり、その影響で「子どもへの愛情が不足する」ことになり、結果、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
以上のことから、「家庭に不在がち」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
②子どもに厳しい
インナーチャイルドの原因となる父親は、内心「自分は父親としてこれでいいのだろうか?」「自分は父親として世間にどう思われているのだろうか?」など、「ありのままの自分に自信がなく、世間体を気にする」という「自己肯定感の低さ」が隠れている場合が多いです。
ですので、インナーチャイルドの原因となる父親は、自らの自信のなさを「社会的地位」や「社会的評価」で覆い隠そうとする傾向があり、そのため、子どもに対して「ああしなさい!こうしなさい!」と干渉し、「親の望みを子どもに背負わせる」という特徴があります。
なお、「インナーチャイルドの原因となる父親が子どもに対して行う『干渉』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「子どもの進学先」への干渉
- 「子どもの就職先」への干渉
- 「子どもの恋愛相手」への干渉
- 「子どもの結婚相手」への干渉
- 「子どもの子育て」への干渉
- 「子どもの子ども(孫)の人生」への干渉
また、子どもの意思を無視して「親の望みを子どもに背負わせる」ことを「過干渉」と言います。
過干渉は、虐待の一種であり「保護者が我が子を一人の主体的な人間として認めず、その子供の意思や思考、自我の発達や自主性などを否定して、操り人形のごとく親の意のままにコントロールしようとすること」である。
引用元:過干渉
そして、インナーチャイルドの原因となる父親は、「自分が実現できなかった『理想』や『夢』を『子ども』に実現させようとする」場合があり、主に以下の「具体例」があげられます。
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- 野球やサッカーなど、スポーツの世界で自分が実現できなかった「理想」や「夢」を子どもに実現させようとする
- 音楽や美術など、芸術の世界で自分が実現できなかった「理想」や「夢」を子どもに実現させようとする
- 医師や弁護士など、自分が就けなかった「職業」に子どもに就かせようとする
また、子どもの意思を無視して「親が子どもに勉強・スポーツ・習い事をさせる」ことを「教育虐待」と言います。
教育虐待とは、「子どもの限度を超えた教育を受けさせること」とされています。近年では、勉強だけではなく習い事も含む教育全般のことを指すようになってきているといわれています。
このように、インナーチャイルドの原因となる父親は「子どもに厳しい」あまり、子どもの意思を否定してしまい、そのぶん「子どもは自信を奪われる」ことになり、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
以上のことから、「子どもに厳しい」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
③子どもに暴言・暴力を振るう
インナーチャイルドの原因となる父親は、「子どもを支配・コントロールしよう」という「無意識の意図」が強いため、「子どもが自分の思い通りにならないとすぐにイライラする」という傾向があります。
とくに、インナーチャイルドの原因となる父親は、内心「父親のやり方がわからない・父親のやり方に自信がない」と感じている場合が多く、「父親としての自信のなさ」を悟られないために「強い父親・逞しい父親・荒っぽい父親を無意識に演じる(強がる)」という傾向があり、「力」によって「子どもを支配・コントロールすることで父親の威厳を保とうとする」という特徴があります。
また、インナーチャイルドとなる父親は「子どもを支配・コントロールする」ために「身体的暴力」や「精神的暴力」を振るう傾向があり、「父親の威厳」を保とうとすればするほど「子どもへの暴言・暴力が激しくなる」という特徴があります。
なお、「インナーチャイルドの原因となる父親が子どもに対して行う『身体的暴力・精神的暴力』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 身体的暴力
殴る、蹴る、叩く、突き飛ばす、縛る、閉じ込める、モノに当たる、モノを壊す、ケガを負わせる、病気にさせる、食事を与えない、家に入れない、何処かへ置き去りにする - 精神的暴力
話しかけても無視をして無言で不機嫌になる、ダメ出しやあらさがしを執拗に繰り返す、「生まれてこなければよかった」など悪口を浴びせる、「言うことを聞かないと痛い目に合わせる」など脅す、「おまえはダメな奴だ」など全否定する、子どもの身体的特徴(背丈や容姿)をあげつらう、他のきょうだいと著しく差別をする
このような、子どもに対する「身体的暴力」や「精神的暴力」は「児童虐待」にあたり、「子どもの心と体を深く傷つける行為」であり「犯罪になり得る行為」でもあります。
児童虐待とは、保護者(親または親にかわる養育者)が、子どもの心や身体を傷つけ、子どもの健やかな発育や発達に悪い影響を与えることを指します。法律では次の4種類に分類されています。…(中略)…身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待
引用元:児童虐待ってなんだろう?
子どもにしてみれば、親は自分を擁護してくれる存在のはずなのですが、自分を擁護してくれるはずの親からこのような「理不尽な仕打ち」を受けた場合、子どもは「トラウマ(深い心の傷)」を負うことになり、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
また「暴言・暴力」を直接受けなかったとしても、「両親の夫婦喧嘩」や「家族同士の対立」など「暴言・暴力」を見聞きしただけでも、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
以上のことから、「子どもに暴言・暴力を振るう」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
④きょうだい差別をする
インナーチャイルドの原因となる父親は、「子どもの頃、自らの両親(祖父母)が重要視していた『価値観』を、自分が父親になってそのまま繰り返そうとする」という特徴があります。
なお、「インナーチャイルドの原因となる父親が重要視しがちな『価値観』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「長男」ばかりを寵愛して「長男以外の兄弟姉妹」を蔑ろにする
- 「長男」には恋愛・結婚・就職の自由を与えず、親との同居を強要する
- 「男児」には大学などへの進学を許すが「女児」には許さない
- 「女児」にのみ、炊事・洗濯などの家事手伝いを強要する
なお、「生まれた順」や「男尊女卑」など、親がきょうだい間で差別を行うことを「きょうだい差別」と言います。
生まれた順や親子の相性、学校の成績などの違いを発端に、きょうだい間で親から受け取る愛情に差が出てしまう兄弟差別。…(中略)…きょうだい間で親から受け取る愛情や、家庭内での振る舞いに差が生まれてしまうことがあります。
このように、インナーチャイルドの原因となる父親が重要視する「価値観」は、「自らの両親(祖父母)が若かりし頃に主流だった価値観」、すなわち「ひと世代前の古い価値観」と言い換えることができます。
ですが、インナーチャイルドの原因となる父親は、内心「父親のやり方がわからない・父親のやり方に自信がない」と感じている場合が多いため、「自らの両親(祖父母)が若かりし頃に主流だった価値観」、すなわち「『ひと世代前の古い価値観』をそのまま繰り返そうとする」という特徴があります。
いずれにしても、「男尊女卑」や「きょうだい差別」など「ひと世代前の古い価値観」は、子どもに対して「兄弟姉妹間の不和・不信」などの悪影響を及ぼすことになり、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
以上のことから、「きょうだい差別をする」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
⑤配偶者(パートナー)を苦しめる
インナーチャイルドの原因となる父親は、子どもに対して「暴言・暴力」を振るうのと同じように、「自らの『配偶者(妻、子どもから見ると母親)』に対しても『暴言・暴力』を振るう」という特徴があります。
とくに、インナーチャイルドの原因となる父親は「男尊女卑」の「価値観」を重要視しがちであるため、いわゆる「モラハラ夫、フキハラ夫、DV夫」と呼ばれるタイプが場合が多く、「配偶者に対して『精神的暴力』や『身体的暴力』を繰り返しやすい」という特徴があります。
モラハラ夫とは、妻に対してモラハラをする夫のことをいいます。モラハラ(モラル・ハラスメント)とは、精神的な暴力のことで、簡単に言うと言葉や態度による「嫌がらせ」です。
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、モラルハラスメント(モラハラ)の一種であり、不機嫌な態度や言動を通じて他人に不快感や精神的な苦痛を与える行為を指します。モラルハラスメントは、精神的な暴力や嫌がらせを通じて相手を支配しようとする行為ですが、フキハラはその中でも特に「不機嫌」という感情を武器にして行われる点が特徴です。
DV夫とは、家庭において、妻に対して身体的・精神的・経済的・性的暴力を行う夫のことを言います。
このように、インナーチャイルドの原因となる父親は、「自らの家族を信頼できない」という傾向があり、その反動で「配偶者の気持ち」や「子どもの気持ち」を無視した「自己中心的な行動」を取る場合が多く、場合によっては「浮気・不倫を繰り返す」場合があります。
また、インナーチャイルドの原因となる父親は、子どもの頃、母親に甘えられなかった経験を持つ場合が多いため、「嫁姑問題」が起こった場合、「自分の配偶者(嫁)」より「自分の母親(姑)」の味方をする場合が多く、その影響で「配偶者と不仲になる」場合が多いです。
母親から得ていた愛情が急に失われた場合は、愛情不足がマザコンの原因になる可能性があります。…(中略)…息子は失ったお母さんの愛情を渇望し、大人になっても母親への依存度が高くなることがあります。…(中略)…常に母親の機嫌を取るような生活をしていた場合、大人になっても母親の機嫌を損ねないことを最優先にしてしまう人もいます。
そもそも「家庭」とは「父親と母親が役割を分担し協力し合いながら築いていくもの」です。
ですが、このように「父親」が「母親」を苦しめている状態では、家庭が「慢性的な機能不全状態」となってしまい、結果、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
また、子どもにしてみれば、「家庭を守る立場」であるはずの「父親」が「家庭を壊そうとする」という、「歪んだ家庭環境の影響」を受け続けて大人へと成長するため、大人になってから「恋愛、結婚、子育てにおいて『認知の歪み』が生じやすい」と考えられています。
以上のことから、「配偶者(パートナー)を苦しめる」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
⑥精神的に不安定
インナーチャイルドの原因となる父親は、自らも「親の愛情不足」で育った場合が多いと考えられており、インナーチャイルドの原因となる父親自身も、「傷ついたままのインナーチャイルド」を抱えた「アダルトチルドレン」である場合が多いと考えられています。
「アダルトチルドレン」自体は「精神疾患」ではないのですが、子どもの頃に負った「トラウマ(傷ついたままのインナーチャイルド)の影響」が、「精神疾患」などの症状として二次的に現れる場合があります。
なお、「インナーチャイルドの原因となる父親に現れやすい『精神疾患』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ病、気分障害、双極性障害、境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、解離性障害、適応障害、摂食障害
また、インナーチャイルドの原因となる父親は「親の愛情不足」で育った影響で、「過剰な依存心や執着、コントロール欲求などの問題行動」を起こす可能性があり、場合によっては「依存症」に陥る場合があります。
なお、「インナーチャイルドの原因となる父親が陥りやすい『依存症』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、ワーカーホリック(仕事中毒)、共依存、宗教への依存
父親がこのような「精神的に不安定な状態」であった場合、子どもは日常的に「不安」や「緊張」を感じ続けることになり、結果、インナーチャイルドを引き起こす原因となります。
以上のことから、「精神的に不安定」という点は、インナーチャイルドの原因となる父親の特徴のひとつと言えます。
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