POINTインナーチャイルドが恋愛に与える影響は、①感情面への影響、②行動面への影響、③自己イメージへの影響、④価値観への影響、⑤パートナーとの関係性への影響、などが考えられます。
心理カウンセラーの寺井です。
心理学では「幼少期の体験は『人格形成』に多大な影響を与える」と考えられており、とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
このように、「インナーチャイルド(幼少期の体験)」は「恋愛」に大きな影響を与えており、恋愛における「感情の安定性、行動パターン、自己イメージ、価値観、パートナーとの関係性」など様々な面に影響を与えています。
ちなみに、この記事は「インナーチャイルドが『恋愛に与える影響』」についての解説です。
なお、「インナーチャイルドが引き起こす『性格面の症状』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事
それでは、インナーチャイルドが恋愛に与える影響について解説していきます。
インナーチャイルドが恋愛に与える影響
恋愛をはじめとする「人間関係の築き方」には、人それぞれの特徴があります。
なお、恋愛をはじめ「親子・家族・友人・夫婦・職場」などの「人間関係の築き方」の人それぞれの特徴を、心理学では「愛着スタイル」と言い、とくに「恋愛関係の築き方の特徴」は「恋愛思考パターン」とも呼ばれ、子どもの頃の「両親との関係性」が大きく影響していると考えられています。
「愛着スタイル」とは、恋愛を含む人間関係において、人とどんな結びつきを持ちたいのか、どのような関係が心地よく感じるのかを表す傾向を指します。…(中略)…この傾向は、幼少期の保護者との関係が大きく影響している。
また、子どもの頃に「親の愛情」が不足していたことが原因で、親との間で「愛着の形成」が十分になされず、「親子・家族・友人・夫婦・職場」など「人間関係全般」に問題が生じることを「愛着障害」と言います。
愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。
引用元:愛着障害(アタッチメント障害)
このように、「インナーチャイルド(幼少期の体験)」は「恋愛」に大きな影響を与えており、恋愛における「感情の安定性、行動パターン、自己イメージ、価値観、パートナーとの関係性」など様々な面に影響を与えています。
なお、「インナーチャイルドが恋愛へ与える影響」は、主に以下の「5つ」が考えられます。
POINT
- 感情面への影響
- 行動面への影響
- 自己イメージへの影響
- 価値観への影響
- パートナーとの関係性への影響
それでは、以下に詳しく解説していきます。
①感情面への影響
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃から「親の愛情不足」で育った場合が多く、その影響で、恋愛において「見捨てられ不安が強くなりやすい」と考えられています。
見捨てられ不安とは、家族や恋人など親しい人に見捨てられることを過剰に恐れる心理状態です。…(中略)…見捨てられ不安は、幼いころの親との関係やトラウマなどと関係しているといわれています。
「見捨てられ不安」とは、「恋人に見捨てられること、恋人に嫌われること、一人ぼっちになること」に対する「強い恐れ」です。
ですので、「見捨てられ不安」が強くなると「心に余裕がない状態(ストレス過多)」が続いてしまい、「恋愛感情が不安定になりやすい」と考えられています。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『感情面への影響』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 強い感情反応を示す
- 依存心・執着心が強くなる
それでは、以下に詳しく解説していきます。
感情面への影響①:強い感情反応を示す
インナーチャイルドが傷ついている人は「見捨てられ不安」が強いため、恋愛において「『自分は愛されている』という自信を持てない」場合が多いです。
そのため、相手のちょっとした言動に敏感に反応しやすく、少しのことで寂しさや不安を感じたり、些細なことで過剰に怒ったり悲しんだりするなど、「恋愛において感情が不安定になりやすい」という傾向があります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『強い感情反応』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 相手と少しのあいだ会えないだけで、「自分は嫌われてしまったのではないか」と強い寂しさを感じる
- 相手と少しのあいだ連絡が取れないだけで、「自分は必要とされていないのではないか?」と強い不安を感じる
- 相手が自分以外の異性と少し話しているのを見ただけで、「自分は裏切られた!」と強い怒りを感じる
- 相手が自分以外の異性と会う(仕事の都合で会う、複数人で会う)だけで、「自分は見捨てられた!」と強い悲しみを感じる
このように、インナーチャイルドが傷ついている人は「見捨てられ不安」が強い分だけ、恋愛において「ネガティブ感情が敏感に反応しやすくなる」と考えられています。
以上のことから、「強い感情反応を示す」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『感情面への影響』」のひとつと言えます。
感情面への影響②:依存心・執着心が強くなる
前述の通り、インナーチャイルドが傷ついている人は「見捨てられ不安」が強いため、恋愛において少しのことで「自分は存在価値のない人間なのではないか?」と考えがちです。
反対に言えば、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋人に必要とされているときには自分の存在価値を感じられるが、恋人に必要とされなくなると自分の存在価値を感じられなくなってしまう」という「強い恐れ」を感じていると言い換えることができ、その影響で「恋人への依存心が強くなりやすい」という傾向があります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『強い依存心』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 不安から恋人の気持ちを過剰に確かめたくなる
- 寂しさから恋人と片時も離れたくないと感じる
- 恋人に会えないとき、恋人のことばかり頭に浮かぶ
- 「自分は愛されている」という安心を得たいがため、相手の愛情を過剰に求めてしまう
- 恋人の存在なしの人生なんて意味がないと感じる
- 恋人の存在なしでは生活が成り立たないと感じる
このように、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋愛での依存心」が強くなればなるほど「恋人の存在なしでは生活が成り立たない」と感じるようになってしまい、「恋人を失いたくない」と言う思いが強くなればなるほど「恋人への執着心が強くなってしまう」場合があります。
以上のことから、「依存心・執着心が強くなる」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『感情面への影響』」のひとつと言えます。
②行動面への影響
インナーチャイルドが傷ついている人は「見捨てられ不安」が強いため、恋愛において「恋人に見捨てられること、恋人に嫌われること、一人ぼっちになること」を極端に恐れるようになります。
そのため、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋人に見捨てられること、恋人に嫌われること、一人ぼっちになること」を防ぐために、恋愛において「様々な防御行動を取りやすい」と考えられています。
見捨てられ不安とは?:見捨てられること、自分から人が離れてしまうことに強い不安を感じます。見捨てられたくない相手は、恋愛相手、友人、親、職場の人間などで、人から嫌われたくないため、様々な防衛行動を起こします。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『行動面への影響』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人を束縛する
- 恋人の顔色を気にする
それでは、以下に詳しく解説していきます。
行動面への影響①:恋人を束縛する
インナーチャイルドが傷ついている人は「見捨てられ不安」が強いため、その影響で「恋人に見捨てられること、恋人に嫌われること、一人ぼっちになること」に対する「強い恐れ」を抱いていると言えます。
このように、インナーチャイルドが傷ついている人にとって「恋人に見捨てられること、恋人に嫌われること、一人ぼっちになること」は、何が何でも回避したい「耐え難い苦痛」と言えます。
ですが、恋人にも「家族・友達・職場などの恋愛以外の人間関係」があるため、図らずも一緒に居られない場合があったり、図らずも恋人以外の異性と過ごす場合もあります。
そのような場合、インナーチャイルドが傷ついている人は「頭では仕方がない」と理解していても、気持ちでは「恋人に見捨てられたくない!」という「見捨てられ不安」が募ってしまい、不安が募れば募るほど、恋人に対する「束縛」が増えてしまう傾向があります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『恋人に対する束縛』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 自分以外の異性と二人きりで会うことを禁止する
- 自分以外の人と遊ぶ場合は、状況をこまめに報告することを要求する
- 毎日○○回以上、LINE・メール等で連絡をとることを要求する
- 恋人のスマートフォンを盗み見る
- 恋人のLINE・メール等を細かくチェックする
- 恋人のSNSをパトロールする
また、「見捨てられ不安」が強くなると「心に余裕がない状態(ストレス過多)」となり、ストレスが限界を超えてしまった場合、「身体的暴力、モラハラ、ヒステリー」にまで発展してしまう場合があります。
以上のことから、「恋人を束縛する」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『行動面への影響』」のひとつと言えます。
行動面への影響②:恋人の顔色を気にする
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃に「両親の言い争いが多い殺伐とした雰囲気の家庭」や「両親の関係が冷め切った重苦しい雰囲気の家庭」で育った場合が多いため、恋愛において「恋人の顔色を気にする」ようになります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『恋人の顔色を気にする様子』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 友人や同僚など「恋人以外の人との話」を恋人に話すと、「恋人に嫉妬されて嫌われてしまうのではないか?」と異常に不安になる
- デートが終わって一人になると、「あのとき、あの人はなぜ?あんな顔をしたのだろうか?」「あのとき、あの人にもっとこういう言い方をしておけばよかったのではないか?」「もしかして、あの人の機嫌を損ねてしまったのではないか?」など異常に不安になる
- 恋人に何らかの「悩み」や「相談」を話そうとすると、「こんなこと話したら嫌われるんじゃないか?」「こんなこと話したら馬鹿にされるんじゃないか?」など異常に不安になる
- 恋人に何らかの「頼みごと」や「お願いごと」をしようとすると、「こんなこと頼んだら怒られるんじゃないか?」「こんなことお願いしたら迷惑がられるんじゃないか?」など異常に不安になる
また、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋人の顔色を気にする」あまり、恋愛において「恋人に本音が言えない」場合が多いです。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『恋人に本音が言えない様子』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人に対して意見は一切言わず、笑顔でごまかしてしまう
- 自分が傷ついても表情には一切出さず、笑顔でごまかしてしまう
- 恋人に対する不満は一切言わず、笑顔でごまかしてしまう
- デート・食事・プレゼントの希望を聞かれても「なんでもいい」と答えることが多い
- 自分の意見は後回しにして恋人の意見に合わせることが優しさだと思っている
- 恋人から「いい人すぎる」「優しすぎる」と言われることが多い
このように、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋人の顔色を気にする」あまり、恋人に合わせすぎてしまい、恋愛で疲れ果ててしまう場合があります。
以上のことから、「恋人の顔色を気にする」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『行動面への影響』」のひとつと言えます。
③自己イメージへの影響
「自己イメージ」とは、「自分は価値のある人間だ」あるいは「自分は価値の無い人間だ」など「自分自身に対する認識やイメージ」を指します。
セルフイメージとは、簡単に言えば自分自身について抱いているイメージであり、そのイメージが仕事や恋愛、収入において大きな影響を与えるとされます。
「自己イメージ」は恋愛にも大きな影響を与えていると考えられており、「肯定的な自己イメージを持つ人」と「否定的な自己イメージを持つ人」では、恋愛傾向に違いがあります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『自己イメージへの影響』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 否定的な自己イメージが強くなる
- 「ありのままの自分では愛されない」という自己イメージが強くなる
それでは、以下に詳しく解説していきます。
自己イメージへの影響①:否定的な自己イメージが強くなる
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃に「親や家族」から「否定的な扱い」を受けて育った場合が多いため、恋愛において「自分を否定的に捉える(否定的な自己イメージを持つ)」ようになります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『否定的な自己イメージ』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「自分のことを嫌いだ」と感じる
- 「自分は誇れる点がない」「自分は何の役にも立たない」と感じる
- 「自分を許せない」「自分に自信がない」と感じる
- 「自分は価値の無い人間だ」「自分はダメな人間だ」と感じる
- 「自分は誰にも必要とされない」「自分は誰にも理解されない」と感じる
- 「いくら頑張っても、どうせ自分は報われない」と感じる
- 「自分は可愛くない」「自分は格好悪い」と感じる
このような「否定的な自己イメージ」を持っていると、恋愛に卑屈になってしまったり、恋愛に期待や希望を感じられなくなってしまい、「恋愛自体に苦しさを感じる」場合があります。
以上のことから、「否定的な自己イメージが強くなる」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『自己イメージへの影響』」のひとつと言えます。
自己イメージへの影響②:「ありのままの自分では愛されない」という自己イメージが強くなる
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃から「親や家族の期待に応える、親や家族の世話をする、親や家族を支える」など、「ある条件を満たしたときには親から愛情をもらえるが、条件を満たしていないときには親から愛情をもらえない」という「条件付きの愛」のなかで育った場合が多いため、恋愛において「ありのままの自分では愛されない(無条件では愛されない)」と考えがちです。
条件付きの愛とはすなわち「◯◯する子は愛してあげる」「◯◯できない子は愛してあげない」というコントロールです。
ですので、インナーチャイルドが傷ついている人は「恋人に愛されるためには○○すべき!」と考えやすく、恋人に愛されようとすればするほど「べき思考(MUST思考)」が強くなると考えられています。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『べき思考(MUST思考)」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 恋人に愛されるためには、恋人に尊敬されるような人間であるべき
- 恋人に愛されるためには、恋人のストレスを黙って受け止めるべき
- 恋人に愛されるためには、自分の意見は抑え込んで恋人の意見に従うべき
- 恋人に愛されるためには、恋人の機嫌を損ねないよう常に和ませるべき
- 恋人に愛されるためには、常に気を利かせて恋人の世話をするべき
- 恋人に愛されるためには、自分を犠牲にして恋人を支えるべき
- 恋人に愛されるためには、常に恋人に寄り添って恋人を慰めるべき
このように、恋愛において「べき思考(MUST思考)」を繰り返していると、恋人に喜んでもらえたり頼りにしてもらえて嬉しい気持ちを感じることもある反面、「『ありのままの自分では愛されない』という自己イメージを強めてしまう」ことにもなります。
以上のことから、「『ありのままの自分では愛されない』という自己イメージが強くなる」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『自己イメージへの影響』」のひとつと言えます。
④価値観への影響
恋愛における「価値観」は、遺伝の影響で生まれ持った「先天的なもの(気質)」ではなく、生まれた後に形成された「後天的なもの」であり、子どもの頃の「親との関り」が大きく影響していると考えられています。
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃に「親の愛情不足」であったり、子どもの頃に「トラウマ(心の傷)」を負っている場合が多いため、恋愛において「親子関係で満たせなかった愛情を満たすこと」あるいは「心が傷つかないようにすること」が最優先事項となりやすいです。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『価値観への影響』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「親の愛情不足を満たす」ことを優先する
- 「心が傷つかない」ことを優先する
それでは、以下に詳しく解説していきます。
価値観への影響①:「親の愛情不足を満たす」ことを優先する
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃から「親の愛情不足」で育った場合が多いため、大人になって「子どもの頃に親子関係で満たせなかった『甘え欲求(親に甘えたかった気持ち)』や『承認欲求(親に褒められたかった気持ち)』を恋愛関係で満たそうとする」場合があります。
親から得たかった愛情が得られなかった時、恋人を親代わりにして得られなかった愛情を得ようとすることがあります。それは実際の親から愛情をもらうのが困難な時、代理的に親代わりになってもらうのです。
このように、インナーチャイルドが傷ついている人は恋愛において「親の愛情不足を満たすことが最優先事項(親代わり恋愛)となってしまう」場合があります。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『親代わり恋愛』」とは、主に以下の「2つ」があげられます。
POINT
- 子どもの頃、親に十分に甘えられなかった場合
恋人に「たくさん甘えたい!」という「甘え欲求」を強く感じるようになり、恋人に「親代わり」を求めて子どものように甘える - 子どもの頃、親に十分に褒めてもらえなかった場合
恋人に「たくさん褒めてもらいたい!」という「承認欲求」を強く感じるようにあり、恋人の「親代わり」になることを望んで親のように尽くす
また「恋人に『親代わり』を求める価値観」とは、「男性」でも「女性」でも起こり得ると考えられており、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 親代わりを求める価値観
・彼氏が彼女に「母親代わり」を求める
・彼女が彼氏に「父親代わり」を求める - 親代わりになることを求める価値観
・彼氏が彼女の「父親代わり」になることを望む
・彼女が彼氏の「母親代わり」になることを望む
このように、恋愛において「親代わり恋愛」を繰り返していると、本来「対等であるはずの関係性」が、あたかも「親子のような関係性(対等ではない関係性)」になっていしまい、さまざまな問題に発展する場合があります。
以上のことから、「『親の愛情不足を満たす』ことを優先する」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『価値観への影響』」のひとつと言えます。
なお、「親代わり恋愛」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
価値観への影響②:「心が傷つかない」ことを優先する
インナーチャイルドが傷ついている人は、子どもの頃に負った「トラウマ(心の傷)」を抱えたまま大人へと成長しているため、大人になって「心が傷つくことを何としても避けようとする(回避する)」場合があります。
このように、インナーチャイルドが傷ついている人は恋愛において「心が傷つかないことが最優先事項となってしまう」場合があり、その影響で「恋人の愛情を確認するために、あえて恋人を困らせるような行動を取る(試し行為を行う)」場合があります。
試し行動とは、愛情を確認するために、わざと相手を困らせるような行動をすることを指す言葉です。これは、子どもの行為として保育や幼児教育の現場で使われますが、自分に自信が持てないまま大人になってしまった場合にも同様の行動を見せることがあります。相手から拒絶されないか試し、自分が愛されている存在なんだと確認するのです。
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『愛情の試し行為(試し行動)』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- わざと別れ話をして、引き止めてくれるかどうか試す
- 浮気や他の異性と親しくしている姿を見せつけてヤキモチを焼かせる
- 体調不良や不幸話をアピールすることで、相手に心配してもらおうとする
- 高額なプレゼントを欲しがるなど、ワガママを言って相手の反応を見る
- 束縛や相手を傷つけることで、相手がどこまで許してくれるかを試す
- 不機嫌や否定的な態度をとって、自分優位であろうとする
このように、恋愛において「愛情の試し行為」を繰り返していると、恋人から愛情を感じられているときには精神的に安定していられる反面、恋人から愛情を感じられないと精神的に不安定になってしまい、「『愛情の試し行為』が『恋人から愛情を搾取する(搾り取る)行為』へとエスカレートしてしまう」場合があります。
以上のことから、「『心が傷つかないこと』を優先する」という点は、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『価値観への影響』」のひとつと言えます。
なお、「試し行為(試し行動)」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
⑤パートナーとの関係性への影響
恋愛における「パートナーとの関係性の築き方」の人それぞれの特徴を、心理学では「愛着スタイル」と言い、子どもの頃の「両親の関係性(夫婦関係)」が大きく影響していると考えられています。
また、インナーチャイルドが傷ついている人は恋愛において「『共依存症』や『回避依存症』になりやすい」と考えられており、「インナーチャイルドを傷つける親自身も『共依存症』や『回避依存症』である可能性が高い」と考えられています。
このように、恋愛における「パートナーとの関係性の築き方」は、祖父母から親へ、親から子への無意識に連鎖している場合が多く、子どもが「親の思考・行動パターン」を無意識に「模倣」することを「モデリング」と言います。
心理学においてモデリング(英: Modelling)とは、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることである。人間(主に子供)の成長過程では、モデリングにより学習・成長するとされている。
引用元:モデリング (心理学)
なお、「恋愛においてインナーチャイルドが引き起こす『パートナーとの関係性への影響』」とは、主に以下の「具体例」があげられます。
POINT
- 「共依存症」同士の関係性を築く
- 「共依存症」と「回避依存症」の関係性を築く
- 「回避依存症」同士の関係性を築く
それでは、以下に詳しく解説していきます。
パートナーとの関係性への影響①:「共依存症」同士の関係性を築く
「共依存症の人」は、恋人に必要とされていると感じているときは「自己肯定感」を感じることができるのですが、恋人に必要とされていないと感じているときは「見捨てられ不安」を強く感じるという特徴があります。
そのため、「共依存症の人」は恋愛において「恋人とずっと一緒いたい」と感じやすく、その影響で、自分と同じ特徴を持つ「共依存症の人」と恋愛関係を築くことが多いです。
このように「共依存症の人」同士の恋愛カップルは、お互いが「恋人に必要とされて、初めて『精神的安定』を感じることができる」と言えます。
ですので、「恋人の対応に不満を感じたとき」「突然、恋人と一緒にいられなくなったとき」「恋人より自分を必要としてくれる異性が現れたとき」に、二人の関係性に問題が生じやすいと言えます。
なお、「『共依存症』同士の恋愛カップルの特徴と結末」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
パートナーとの関係性への影響②:「共依存症」と「回避依存症」の関係性を築く
「回避依存症の人」は、恋人との関係性が近くなると「息苦しさ」を感じて逃げてしまうのですが、恋人が追いかけてきてくれないと「見捨てられ不安」を強く感じるという特徴があります。
ですので、「共依存症の人」が「回避依存症の人」に好意を抱いた場合、「共依存症の人」は「回避依存の人」との関係性を一気に近づけようとするため、「回避依存症の人」は「息苦しさ」を感じて逃げてしまう場合があります。
そうすると、「共依存症の人」は「回避依存症の人を追いかける」などの行動を取りますが、「共依存症の人」が追いかければ追いかけるほど「回避依存症の人は逃げてしまう」ため、恋愛において「良好と不仲」あるいは「別れと復縁」を繰り返す関係性になる場合が多いです。
このように「共依存症の人」と「回避依存症の人」の恋愛カップルは、「共依存の人」が一方的にエネルギーを消耗し続ける関係性と言えますので、「共依存症の人」が「精神的・体力的・経済的な限界が近づいたとき」に、二人の関係性に問題が生じやすいと言えます。
なお、「『共依存症』と『回避依存症』の恋愛カップルの特徴と結末」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
パートナーとの関係性への影響③:「回避依存症」同士の関係性を築く
「回避依存症の人」は、「近すぎず・遠すぎない距離感」で恋人に関心を持ってもらえているときに「自己肯定感」を感じることができるという特徴があります。
そのため、「回避依存症の人」は恋愛において「近すぎる関係性」でも「遠すぎる関係性」でも不安を感じやすく、その影響で、自分と同じ特徴を持つ「回避依存症の人」と恋愛関係を築くことが多いです。
反対に言えば「回避依存症」同士の恋愛カップルは、お互いに「相手(恋人)との関係性(距離感)をコントロール」しようと、常に「主導権争い」をしているような関係性とも言えます。
ですので、「二人の主導権争いに変化が生じたとき」に、二人の関係性に問題が生じやすいと言えます。
なお、「『回避依存症』同士の恋愛カップルの特徴と結末」については以下の記事で詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
インナーチャイルドの「タイプ」それぞれの「恋愛傾向」
心理学における「インナーチャイルド」とは、「アダルトチルドレンの生きづらさの根本原因」を意味します。
アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は、大人になった「アダルトチルドレン」が「幼少期に身に付けた思考・行動パターン」を「アダルトチルドレンタイプ(インナーチャイルドタイプ)」としてまとめました。
このように「インナーチャイルド」とひと口に言っても「さまざまなタイプ」があり、「それぞれのタイプ固有の恋愛傾向」があります。
なお、「インナーチャイルドの『タイプ』それぞれの『恋愛傾向』」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事
関連記事・関連情報
さいごに、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。
是非、あわせてお読みください。
関連記事
- 心理学における「インナーチャイルド」の意味と重要性を理解しよう!
- アダルトチルドレン(ac)診断チェックリスト:『インナーチャイルドの傷つき度合』をセルフチェック!
- アダルトチルドレン(ac)タイプ診断チェックリスト:『インナーチャイルドのタイプ』をセルフチェック!
- インナーチャイルドを引き起こす「心理的原因」の解説
- インナーチャイルドの原因となる「父親」の特徴
- インナーチャイルドの原因となる「母親」の特徴
- インナーチャイルドセラピー関連のまとめ記事
- アダルトチルドレンを克服すると生まれる5つの変化
- アダルトチルドレン(ac)を克服した心理カウンセラーが語る「AC克服体験談」
- インナーチャイルドセラピー体験談:厳選5本のまとめ記事
- インナーチャイルドセラピーの好転反応
- 人生を楽しめない理由:「不安」を抱えたインナーチャイルド
- 子どもに優しくなれない理由:「怒り」を抱えたインナーチャイルド
- 自分に自信を持てない理由:「疑い」を抱えたインナーチャイルド
なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。
関連情報まとめページ
以上、「インナーチャイルドが恋愛に与える影響」という記事でした。