憂鬱(ゆううつ)な母さんへの手紙、6時間の独り言を傾聴する!
母さんは60代の女性。
母さんはいつも独り事を言い続けています。
そして、ときどきひどく不安になったり、ひどく怒ったりします。
何かを思い出すと、ワケもなくそうなってしまうようです。
いくらしゃべっても、いくら食べても、心の穴が埋められない。
母さんは、私の実の母ではありません。
母さんは、私の友人の母親です。
母さんは、いつも独り事を言っています。
そして、よく食べてよくごまかします。
私は、ある日、母さんをお茶に誘いました。
カフェで母さんの独り事を傾聴しました。
大体、1時間位の話を何度も繰り返していました。
時間にして6時間くらいでしょうか?
じっくりと傾聴してあることに気づきました。
それは、母さんが独り事を言いながら、ときどきひどく不安になったり、ひどく怒ったりすることです。
独り事がある話題になると、感情があふれてくるようでした。
それは、話の内容に反応した、過去の感情の揺れの現れです。
感情が揺れるのは、独り事が次の話題になった時です。
息子さんの話になった時、ひどく悲しくなる。
お嫁さんの話になった時、ひどく不安になる。
近所の人の話になった時、ひどく怒り出す。
叱られた話になった時、ひどく無口になる。
それは、母さんの心には穴があり、ある話題になると心の穴がうずいているわけです。
心の穴がうずくと、古傷が痛むように過去の感情があふれてしまい、とても落ち着かなくなります。
だから、しゃべったり食べたりして心の穴を埋めようとします。
私は、心の穴をどうしたら埋められるか?も気づきいたのですが、母さんは人の話を聞くのが大嫌いです。
私の言葉に耳を傾けてくれません。
なので別の手段で私の言葉を届けようと思ったのです。
それは手紙です。
母さんは手紙を大事にする人だったからです。
幸い、母さんとは充分なラポールが築けていたので、 言葉ではなく、文字で伝えようと考えたのです。
心の誤解を解く!母さんへの手紙、感じ方、考え方の修正の提案。
手紙の内容を一部掲載します。
私は、6時間の傾聴で感じた母さんの心の誤解に気づいてほしかったんです。
この手紙を読んでくれたあと、母さんは気づき泣いてくれました。
そして、独り事を言いながらも、相手の話に耳を傾けるようになり笑顔が増えました。
〜母さんへ〜
なぜ?母さんは、よく言い訳し、よくごまかし、
よく息子さんのことを考えると悲しくなり、よく近所の人の悪口を言い、
よく自分の事を小心者だと言い、よくお嫁さんのことを怖がり、
よくおしゃべりをし、よくつまみ食いをするのか?
なぜでしょう?分かりますか?
私なりの考えと解釈を伝えたくてペンをとりますね。
母さんは、こんな時の自分が好きですか?
きっと、好きではないでしょう。
では、なぜ?自分が好きになれないことをしてしまうのでしょうか?
それは、今の母さんが過去の母さんを責めていて、いまだに許し認めていないからだと思います。
「よく言い訳し、よくごまかす」のは、「今の母さんが、約束を破ってしまった過去の母さんを許していないから」だと思うんです。
いいじゃないですか、
「まぁ、ついついやっちゃったね。しょうがないね。」と言って、許し認めてあげたら良いと思います。
「よく息子さんの事を考えると悲しくなる」のは、「今の母さんが、息子の病に早く気づけなかった過去の母さんを許していないから」だと思うんです。
いいじゃないですか、
「充分自分を責めたし、息子は元気だし、私も元気で、まぁいいか。」と言って、許し認めてあげたら良いと思います。
−−−中略−−−
最後になぜ?よくおしゃべりをし、よくつまみ食いをするのか?
それは、今の母さんが、過去の母さんを責める度に、心の穴=古傷がうずくから…
心の穴=古傷がうずくとそこに不安が生まれ、ついつい穴を埋めたくなるのでしょう…
心の穴をとりあえず埋めるのに便利なものがあります。
それは、しゃべりすぎること、食べること、食べないこと、はしゃぎすぎること、お酒を飲むこと、暴力、たばこ、薬、麻薬などなど。
でも、これらは便利で魅力的ですが心の穴は決してふさげません。
ではどうしましょう?
それは、未だに責めている自分を許していたわることです。
なのになぜ?今の母さんは過去の母さんを責め続けるのでしょうか?
それは、母さんが誠実だからだと思います。
母さんは誠実過ぎて、自分で自分を許せないんじゃないでしょうか?
誠実は美点ですが、過ぎれば重いものになります。
大事なのは、良くも悪くも自分を許し認めることだと思います。
こんな考えが母さんの心に根付けば、幸せで一杯になると思います。
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