インナーチャイルドの癒し方|自宅で取り組む「セルフケア」と専門家による「インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)」を完全解説

インナーチャイルドの癒し方は、専門的なケアと、自宅でのセルフケアを併用する方法が最も安全で効果的であることを表すイラスト

POINT

インナーチャイルドの癒し方は、専門家による「インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)」と、自宅での「セルフケア」を併用する方法が最も安全で効果的です。

心理カウンセラーの寺井です。

「自分を好きになれない…」
「周りの目が気になって疲れる…」
「仕事・恋愛・結婚・子育てがうまくいかない…」
「人間関係で同じパターンを繰り返してしまう…」

カウンセリングを利用してくださる方たちのなかには、このような苦しさを感じている方が少なくありません。

人間関係で傷つきやすかったり、感情がうまくコントロールできなかったり…。
このような「理由のわからない生きづらさの正体」は、幼い頃に心の奥にしまった「傷ついた感情や記憶(インナーチャイルド)」が影響しているのかもしれません。

本記事では、幼い頃に傷ついた「インナーチャイルド」を、安全に、そして根本から癒す方法を、心理学的ステップに基づき、自宅でできるセルフケアから専門家のセラピーまで徹底解説しています。

長年の苦しみを手放し、本来の自分を取り戻すための、最初の一歩を踏み出しましょう。

第1章:はじめに
― 傷ついた「内なる子ども」からのサイン ―

インナーチャイルドが癒しを求めている様子を表すイラスト

この記事を手に取ってくださり、ありがとうございます。
日々「理由のわからない不安やイライラ」や、「同じパターンで繰り返す人間関係の苦しさ」を感じているあなたへ。まずは、その一歩を踏み出してくれたことに心から感謝します。

その不調は、性格の弱さや努力不足のせいではありません。
幼い頃に心の奥にしまった「傷ついた感情や記憶(インナーチャイルド)」が、今のあなたにそっと気づいてほしくてサインを送っているのかもしれません。

生きづらさとは、「もうそろそろ向き合ってほしいよ」「ここに傷があるんだよ」と、心の奥でインナーチャイルドがそっと知らせてくれている「やさしい合図(サイン)」です。
その声に気づくことで、あなたは少しずつ「本来の自分らしさ」を取り戻し始めます。

安心して読み進めてください。あなたはひとりではありません。

第1章では、「インナーチャイルドの基礎知識」についてわかりやすく解説していきます。

 

「生きづらさ」は、本来の自分を取り戻すサイン

子どもは、家庭や周囲の状況に適応して生きていくために、知らないうちに「生き延びるための思考・行動パターン」を身につけていきます。

例えば、

POINT

  • 良い子でいなければ愛されない
  • 迷惑をかけてはいけない
  • 感情を出すと嫌われる

こうしたパターンは、幼いころのあなたがその環境で生き抜くために身につけた「大切な生存戦略」でした。その時のあなたにとって、それは必要な選択だったのです。

しかし大人になった今、それらが無意識に働き続けると、結果として「生きづらさ」につながることがあります。裏を返せば、生きづらさは「過去の傷を癒し、本来の自分を取り戻す準備ができた」ことを示す、心からの『回復のサイン』でもあります。

なお、「生きづらさ」は、主に以下の「4つの症状」によって引き起こされている場合が多いです。

POINT

  1.  思考パターンの偏り(例:自分を責める癖、極端な完璧主義)
  2.  感情の反応の強さ(例:些細なことで強く不安・怒りが出る)
  3.  他者との距離感(例:過剰な依存/過剰な回避)
  4.  自己価値感の揺らぎ(例:「愛される価値がない」と思い込みやすい)

これらはすべて、幼少期の経験に由来する「インナーチャイルドの反応」として説明できます。

回復のカギは、幼い頃の残った傷ついた気持ちや記憶(インナーチャイルド)をやさしく癒すことです。インナーチャイルドと向き合うことで、長く抱えてきた生きづらさは少しずつほどけていきます。

 

「インナーチャイルド」と「アダルトチルドレン」の定義

「インナーチャイルド(Inner Child)」とは、スイスの心理学者カール・ユングが提唱した概念で、わかりやすく言うと、心の中にそっと残っている子どもの頃の自分のイメージです。

一見スピリチュアルに聞こえることもありますが、カウンセリングの世界では「子ども時代の感情や記憶に優しく気づくための心理的なモデル」として用いられています。学術用語ではないものの、臨床現場で広く活用されている概念です。

インナーチャイルドとは「心の内側の子ども」という意味で、子ども時代の記憶や心情をさします。とらえ方はいろいろとありますが、「自分の心の中に住んでいる子どもの自分」といったイメージを持ってみるとわかりやすいかもしれません。

引用元:インナーチャイルドとは? 症状や癒やすメリット・癒やす方法を解説|マイナビニュース

幼少期に満たされなかった思いや言葉にできなかった気持ちは、大人になっても心の奥に残ることがあります。こうした未処理の感情は心理学で「未完了の感情」と呼ばれます。

こころの悩みの根っこには、幼少期の親子関係やその後の人間関係の中で閉じ込め、蓋をして隠されてきた「未完了の感情」があります。

引用元:感情解放セラピー | 渡辺べん心理相談室

こうした「未完了の感情」を抱えていることで、大人になって生きづらさを感じる人々を「アダルトチルドレン(AC)」と呼びます。

アダルトチルドレン(AC)とは、子ども時代に親や養育者との関係の中で負った心の傷が、現在の生きづらさ人格形成に影響している状態を指す概念のことです。

引用元:アダルトチルドレン(AC)とは?診断や症状、特徴など|専門家監修【LITALICO発達ナビ】

POINT

  • 「インナーチャイルド」=幼少期から残っている未完了の感情(ACの根本原因)
  • 「アダルトチルドレン」=未完了の感情(傷ついたインナーチャイルド)によって生きづらさを抱える大人

つまり、インナーチャイルドを癒すことは、アダルトチルドレンの苦しみを根本から和らげていくプロセスでもあります。

ここで大切なのは、これは「自分の過去や親を責めるための作業」ではないということです。むしろ、幼い頃に満たしきれなかった気持ち(未完了の感情)を、大人のあなた自身が、少しずつ丁寧に満たし直していく「自己肯定感を回復させるプロセス」なのです。

 

本格的な癒しの前に
― インナーチャイルドを癒す「3つのステップ」―

「インナーチャイルドとは何か?」「私たちの心にどのように影響するのか?」を理解したところで、「どうやって癒していけばいいの?」という疑問を持つ方も多いと思います。

そこで、次の章に進む前に、まずは「インナーチャイルドを癒す基本の流れ」を3つのステップで紹介します。

POINT

  • STEP1:今の自分の感情に気づく
    日々の反応(例:「また母親にイライラした」「急に不安が来た」)に気づくことが最初の一歩です。
  • STEP2:その感情の奥にいる「幼いころの自分の感情」を見つける
    怒りや不安の奥には寂しさや怖さが隠れていることがあります。深掘りしすぎず、ただ「そうかもしれない」と気づくだけで十分です。
  • STEP3:過去の自分に安心を届ける(再体験ワーク)
    大人のあなたが幼い自分に「怖かったね」「よく頑張ったね」と声をかけることで、心はゆっくり癒されていきます。

この「3つのステップ」については、続く「第2章」でさらにわかりやすく、実際に取り組める形で解説していきます。

 

なお、「インナーチャイルド」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をお読み下さい。

 

第2章:生きづらさの正体を見抜く3つの視点
― インナーチャイルドを癒す心理学的ベース ―

インナーチャイルドを癒すために必要な心理学的ベースを表わすイラスト

前章で触れたように、幼少期の体験は、大人になったあとも影響します。

心理学の定説では、人の「心の土台(基盤)」は0〜12歳頃に形成されるとされています。

安定した心の土台(基盤)をつくるためには、とくに3つが重要です。

POINT:心の基盤をつくる3要素

  1.  安全感(Safety):家庭が安心できる場所だったか?
  2.  愛着(Attachment):親とのつながりは安定していたか?
  3.  自己価値(Worth):自分は大切にされていると感じられたか?

裏を返せば、この3つのうちひとつでも問題があった場合、大人になってからの「自己肯定感・自信・人間関係」に影響すると考えられています。これが「インナーチャイルドの傷が大人に影響する」と考えられている理由です。

インナーチャイルドを癒すというのは、単に「昔の記憶を振り返る」作業ではありません。いまのあなたの感じ方・考え方・人との関わり方に、どんな幼少期の影響が残っているのかを、心理学の視点でゆっくり整理しながら、その作用をやわらげていくためのプロセスです。

下の表は、そのための土台となる「3つの心理学的視点」をまとめたものです。
まずは、ざっと眺めてみるだけでもOKです。気になるところから、読み進めてみてください。
過去を責める必要はありません。ここから一緒に、新しい人生の地図を描いていきましょう。

インナーチャイルドを癒すための3つの心理学的視点(概要)
心理学的ポイント インナーチャイルドの癒しにおける役割 主要な心理学理論
①幼少期のトラウマの認識 生きづらさの根源である過去の傷を認識し、抑圧された感情を解きほぐす 精神分析
②未完の感情の完結 過去に閉じ込められた感情や訴えを「今ここ」で解放し、心のモヤモヤを解消する ゲシュタルト療法
③人生脚本の書き換え 無意識の行動パターン(価値観)を特定し、新しい決断で書き換える 交流分析(TA)

インナーチャイルドを癒すための3つの心理学視点(精神分析、ゲシュタルト療法、交流分析TA)の関係性を視覚的に表すイラスト

これらの視点は一見バラバラに見えますが、どれも「幼少期の経験の影響」をやわらげるために、互いに補い合う関係にあります。
それでは、それぞれの視点をやさしく解説していきます。

↓好きな項目を選ぶとジャンプできます↓

 

①精神分析の視点:幼少期のトラウマに気づき、感情を解きほぐす方法

POINT

  • 精神分析は、幼少期の深い感情や記憶を「安全に」取り出し、意味づけしていくアプローチです。

インナーチャイルドの傷は、多くの場合、「思い出しにくい記憶」や「触れたくない気持ち」と結びついています。そのため一人で向き合うのが難しいこともあります。
まずは、安心できる環境で自分の中にある感情に気づくことが大切です。

自宅で取り組みやすい方法として、「日記(ジャーナリング)」がおすすめです。
次の3つを無理のない範囲で書き出してみてください。

POINT

  • 何が起きたのか(思い出せる範囲で)
  • そのとき自分はどんな気持ちだったか
  • 本当はどうしてほしかったか(満たされなかったニーズ)

声に出さなくても、感情は「文字にすることで外に出す」ことができます。
書くほどに心の中の重荷が少しずつ軽くなっていきます。

 

②ゲシュタルト療法:「未完の感情」を「今ここ」で完結させ、心のモヤモヤを解消する

POINT

  • ゲシュタルト療法は、過去に表現されなかった感情を「今ここ」で拾い上げて完結させるアプローチです。

ゲシュタルト療法では、満たされなかった思いや我慢して飲み込んだ感情を「未完の感情(Unfinished Business)」と呼びます。

なお、未完の感情は以下のような場面で残りやすいです。

未完の感情が残りやすい場面

  1.  親が忙しく、気持ちを受け止めてもらえなかった
  2.  兄弟との比較やプレッシャーが強かった
  3.  感情表現を禁止された(怒るな/泣くな/我慢しろ)
  4.  家庭の不安定さ(不仲・依存・暴言)
  5.  親の期待を「背負いすぎて」しまった
  6.  怖さや寂しさを助けてもらえなかった体験

これらの場面で心に抑え込んだ感情は、大人になって「突然の不安」「理由のわからないイライラ」として現れます。 これが残ると、大人になって以下の点に影響を与えることがあります。

POINT

  • 人間関係のパターン
  • 感情の反応
  • 自己評価

インナーチャイルド・ワークでは、今の自分が過去の自分に優しく声をかけることで、その感情を完結させていきます。具体的には「イメージワークや短い対話、セルフ・コンパッション(自分自身に優しさや思いやりを向ける言葉かけ)」などが役立ちます。

 

なお、「未完了の感情」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をお読み下さい。

 

③交流分析(TA):幼少期の人生脚本(無意識のパターン)を書き換える

POINT

  • 交流分析/TAは、幼少期に形成された「こうあるべき」という無意識のルール(人生脚本)を、大人の視点でやさしく書き換えていく方法です。

幼い頃、親の言葉や態度を通して形成された無意識のルールを「人生脚本」と呼びます。
人生脚本の代表例として以下があげられます。

代表的な人生脚本(交流分析)

  1. 完璧であれ(Be Perfect)→ 失敗を極端に恐れる
  2. 強くあれ(Be Strong) → 弱音を吐けない・助けを求められない
  3. 急げ(Hurry Up) → いつも焦り、心が休まらない
  4. 喜ばせろ(Please Others) → 他人の期待に過剰に合わせる
  5. 頑張れ(Try Hard) → 「まだ頑張れ」をやめられず疲れ果てる

これらは、幼少期に「こうしないと愛されない」と感じた結果、無意識に身につけた価値観です。
大人になってからは以下のような感じる場合があります。

POINT

  • 役に立たないと愛されない
  • 頑張り続けなければならない
  • 自分の気持ちは迷惑になる

こうした価値観は、子ども時代には必要だったかもしれませんが、大人になった今も同じ形で働くと、生きづらさにつながります。

交流分析の「再決断療法」では、過去の自分が無意識に選んだ人生脚本(価値観)を、今の自分の意思で書き換えることを目指します。
具体的には:

人生脚本を書き換える3ステップ

  • STEP1:気づく
    「あ、また完璧を求めているかも」など、脚本に気づく
  • STEP2:立ち止まる
    1呼吸おいて「本当はどうしたい?」と自分に尋ねる
  • STEP3:新しい選択を試す
    例:「今日は70%でOKにしてみよう」と自分に許可を出す

このプロセスは、「自分の人生を自分のものとして取り戻す」作業ともいえます。

これにより、インナーチャイルドの緊張が緩み、「新しい自分」を育てる基盤ができます。

 

なお、「人生脚本」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をお読み下さい。

 

簡単チェックリスト(3問)

第2章を読み終えた今、少しでも心に触れる項目があれば、そっと意識に留めてみてください。

1.
2.
3.

当てはまる数が多いほど、次章の「実践ステップ」があなたの助けになるかもしれません。
深く考えすぎず、軽い気持ちでチェックしてみてください。

 

第2章のまとめ

この章で紹介した「3つの視点(精神分析・ゲシュタルト療法・交流分析)」は、それぞれ違う角度から幼少期の影響を照らします。

第2章まとめ

  1. 精神分析:傷ついた感情に気づくための基盤
  2. ゲシュタルト療法:未完の感情を今ここで完結させる
  3. 交流分析(TA):自動的な行動パターン(人生脚本)を書き換える

そしてこの3つはすべて、
「インナーチャイルドを癒し、本来の自分を取り戻す」ための大切な柱です。

次章では、これらの視点を踏まえた「インナーチャイルドのセルフケア3ステップ」を、実践的かつやさしく解説していきます。

 

第3章:今すぐ始める「インナーチャイルド・セルフケア」
― 心を育む、やさしい対話の方法 ―

セルフケアでインナーチャイルドを癒している様子を表すイラスト

インナーチャイルドの癒しは、特別な場所や特別な道具が必要なものではありません。
あなたが自分の心にそっと寄り添うことができれば、
日常の中で、無理なく続けていけるセルフケアです。

ここでは、これまでお伝えしてきた心理学的な土台を踏まえながら、
自宅で安心して取り組める3ステップ」として、やさしく整理してみました。

自宅で取り組むインナーチャイルド・セルフケア3ステップ(概要)
ステップ 目的 具体的なワークと焦点
①感情の棚卸し 過去の感情と未完了の欲求を見つめ、外に出す 幼少期の出来事や気持ちをジャーナリングし、「本当はどうしてほしかったか」を明確にする
②内なる対話 大人の自分として、傷ついたインナーチャイルドに共感と承認を届ける イメージワークや優しい言葉がけを通して、感情の完結を促す
③境界線の見直し 親との関係性を客観的に見つめ、現在の生きづらさとのつながりを理解する 親から受けた言動を整理し、自己否定を解き、健全な境界線をつくる

インナーチャイルド・セルフケア3ステップ(感情の棚卸し、内なる対話、境界線の見直し)の流れを視覚的に表すイラスト

 

①ワークの前提:インナーアダルト(大人の自分)の役割

セルフケアを始めるうえで、まず最初に大切になるのが、あなたが自分の味方になることです。
そして、そのために「インナーアダルト(内なる大人)」という視点を持つことです。

インナーアダルトとは、今のあなたの中にある「落ち着き・優しさ・思いやり・判断力」といった、
大人としての健全な部分のことを指します。

POINT

  • インナーアダルトは、「今のあなたの中にある大人の部分」を意味します
  • インナーアダルトは、インナーチャイルドにとっての「新しい親・保護者」のような存在です
  • その役割は、傷ついたインナーチャイルドに「安心・理解・肯定」を届けることです
  • イメージとしては、子どもや小動物など弱い存在に自然と向ける「やさしいまなざし」に近い視点です
  • 無理に「強い大人」を演じる必要はありません。「ちょっとやってみようかな」で大丈夫です

このインナーアダルトが、傷ついたインナーチャイルドをそっと抱きしめるように寄り添うことで、
インナーチャイルドは少しずつ「大丈夫なんだ」と安心できるようになります。

インナーアダルトが存在感を示してくれるほど、
インナーチャイルドは抑え込んできた気持ちをゆっくりと外へ出せるようになり、
癒しのプロセスが静かに進んでいきます。

 

②自宅で取り組むセルフケア3ステップ

セルフケアは、3つのステップで取り組んでいきます。

POINT

  • ステップ1:感情の棚卸し
    頭に浮かんだ考えや感情を、ありのままに書き出す
  • ステップ2:傷ついた子どもへの共感と承認(内なる対話)
    幼い頃に親から十分にもらえなかった承認を、親に代わって大人のあなたが満たす
  • ステップ3:親との関係性を見直し、境界線を引く
    幼いころに身につけた「条件付きの価値観」を、そっと手放していく

それでは、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

 

ステップ1:感情の棚卸し(ジャーナリング)

癒しの最初の入り口は、「いまの自分の気持ちを書き出してみること」です。

書く内容は、難しく考える必要はありません。
次の点を「日記やメモの感覚」で気軽に書き出せれば良いでしょう。

POINT

  • どんな出来事があったのか
  • そのとき、自分はどう感じていたのか
  • 本当はどうしてほしかったのか

特に大切なのは、「当時満たされなかった気持ち(○○してほしかった)」に触れることです。

例えば:

POINT

  • 本当は抱きしめてほしかった
  • ひとりにしないでほしかった
  • 認めてほしかった
  • 怖かったことを、誰かにわかってほしかった

こうした「未完了の感情(今も満たされていない気持ち)」に気づくことが、癒しの核心にあたります。

書くという行為そのものが、心の奥に押し込められていた思いを外に出す作業であり、
重たかった感情の荷物が少しずつ軽くなっていくことを実感する方も多いです。

 

【セルフケアの結論:行動の選択】

今すぐノートとペンを用意し、今日イライラした原因や悲しかった原因を1行だけでも書き出してみましょう。

 

ステップ2:傷ついた子どもへの共感と承認(内なる対話/セルフ・コンパッション)

次は、ステップ1(感情の棚卸し)で見えてきた「幼いころの自分の気持ち」に対して、
インナーアダルトがやさしく応答してあげる時間を持ちます。
これは、「セルフ・コンパッション(自分自身への思いやり)」という心理学的アプローチの実践でもあります。

イメージワークは難しく感じる人もいますが、ほんの短い言葉を心の中でかけるだけでも十分です。

例えば:

POINT

  • 「怖かったよね」
  • 「ひとりで頑張っていたんだね」
  • 「あなたは悪くなかったよ」
  • 「本当の気持ちを教えてくれてありがとう」

これは、幼い頃に親から十分にもらえなかった承認を、大人になったあなたが「今ここで補ってあげる」ための大切な作業です。

幼いころのあなたは、その環境で生き抜くためにたくさんの我慢や努力をしてきました。
そのことを、親に代わって大人のあなたが認めてあげるのです。

難しい場合は、ぬいぐるみを抱きながら行ったり、目を閉じて行うとやりやすくなります。
この作業が進むほど、自己肯定感が育ち、心に落ち着きや余裕が少しずつ生まれていきます。

 

【セルフケアの結論:行動の選択】

幼いころの気持ちをはっきりと思い出せない場合は、とりあえず「あまり覚えていないけど、もしかしたら苦しかったのかもなぁ…」とつぶやいてみましょう。

 

ステップ3:親との関係性を見直し、境界線を引く

生きづらさの背景には、幼いころに身についた
「こうしないと愛されない」
「迷惑をかけてはいけない」
といった「条件付きの価値観」が残っていることがあります。

例えば:

POINT

  • 相手に認めてもらうために、もっと頑張らなければならない
  • 相手に嫌われないためには、相手に尽くさなければならない
  • 相手の気分を害さないためには、自分の気持ちを後回しなければならない

これらは、子どもの頃の家庭環境を生き抜くために必要だった「生存戦略」です。
ですので、大人になってからも続いてしまうと生きづらさの原因になります。

このステップでは、

POINT

  • 子どもの頃に必要だったその価値観は、大人になった今の自分に必要だろうか?
  • 生き抜くために続けてきた努力を、今ここで終わらせてもいいのではないか?

と自分に問いかけながら、「条件付きの価値観」をそっと手放すための作業をしていきます。

そして、「自分は無条件で価値がある」という新しい価値観を育てながら、健全な「心の境界線」を作ることで、人間関係のストレスが減り、「『No』と断ることへの罪悪感」も軽くなっていきます。

心理的な境界線とは、「自分と他者(親など)の心や感情を区別する見えない線」のことです。

健全な境界線があることで、過干渉や他者の期待から自分を守り、自分らしい人生を歩み直すことができるようになります。

親との関係性を見直し、境界線を引く様子を表すイラスト

 

【セルフケアの結論:行動の選択】

まずは、自分の中にある「○○しなきゃ(MUST、建前)」と「○○したい(WANT、本音)」を分けて考えてみましょう。

例えば、

POINT

  • 「みんな頑張っているから自分も頑張らなきゃ!」と感じている自分もいる
  • 「本当は今日はゆっくりしたい」と感じている自分もいる

など、「自分の気持ちが二つある」と認識することで「今はどちらを優先しようか?」と考えやすくなります

 

簡単チェックリスト(3問)

第3章の内容が「今の自分にどう関係しているのか?」を振り返りましょう。
少しでも心に触れる項目があれば、そっと意識に留めてみてください。

1.
2.
3.

どれかひとつでも心に触れる項目があれば、
あなたのセルフケアは、確かに前に進んでいます。

 

第3章のまとめ

第3章では、インナーチャイルドを癒すための 「実践ステップ」 をお伝えしました。

おさらいですが、「インナーチャイルド・セルフケアのポイント」は次のような感じです。

POINT

  • 幼いころの自分に優しく寄り添い
  • いらなくなったパターンを手放し
  • 新しい価値観を育てていく

焦らなくても大丈夫です。
まずは、心の中にいる小さな自分に「どんな気持ちだったの?」と、そっと耳を傾けてみることから始めてみましょう。

とはいえ、インナーチャイルドと向き合う作業は、怖さや辛さを伴う場合があります。
ですので、もし辛くなったら途中でやめても全然OKです。

一人では難しいと感じた場合は、カウンセラーと一緒に取り組むことが安全です。
お望みでしたら、心理カウンセラー寺井がお手伝いをさせて頂きます。

次章では、専門家による「インナーチャイルドケア(退行催眠療法)」について、具体的にわかりやすく解説していきます。

 

第4章:専門家と取り組む「根本的な癒し」
― インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)の詳細 ―

インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)でインナーチャイルドを癒している様子を表すイラスト

ここまでセルフケアについてお伝えしてきましたが、インナーチャイルドの癒しを深めていくうえで、もうひとつ大切な視点があります。
それは、必要に応じて「専門家の力を借りる」という選択です。

インナーチャイルドのセルフケアは、生きづらさを根本から改善するための大切な「土台」です。
ただし、自分の心と向き合うということは、これまでの人生を振り返る作業でもあります。

そのため、ときには

POINT

  • 「できれば思い出したくないほどつらい記憶」
  • 「どう扱えばよいのかわからない強い感情」

に触れることもあり、胸がぎゅっと締めつけられるような怖さや痛みが湧いてくることもあります。

ですが、これは決して悪いことではありません。これは「癒しが進んでいる合図」でもあります。
心の奥に眠っていた「傷ついた過去」を感じられるようになったのは、あなたの心が癒しを受け入れ始めている証拠なのです。

とはいえ、インナーチャイルドの癒しを一人で進めることに難しさを感じるのは、とても自然なことです。
専門家と一緒に取り組むことで、より安全に、安心しながら癒しを深めていくことができます。

次のような場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

POINT

  • 怒り・悲しみ・不安・嫌悪・孤独など、強い感情に圧倒されてしまうとき
  • 自分の内面に向き合うことに強い恐れや抵抗を感じるとき
  • 「自分を癒すこと」そのものに罪悪感があり、前へ進みづらいとき
  • セルフケアに自信が持てず、何をどう進めれば良いかわからないとき

幼少期の体験はとても影響力が強く、その分、心の反応も大きく揺れ動きます。
一人で取り組むのが難しいと感じることは、決して「弱さ」ではなく、ごく自然な心の働きです。

専門家は、感情が揺れたときのケアや、心の安全を守りながら進める方法を熟知しています。

POINT

  • セルフケアは「日常の癒し」、専門家と行うケアは「深いレベルの癒し」

と分けて考えて、専門的なケアと、自宅でのセルフケアを併用する方法が最も安全で効果的です。

この記事を書いている私、心理カウンセラー寺井は、「インナーチャイルドケアと退行催眠(インナーチャイルド・セラピー)を専門とする心理カウンセラー」です。

ここからは、実際のカウンセリングで行っている「インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)」について、はじめての方にも伝わるよう、できるだけわかりやすく解説していきます。

 

① インナーチャイルドを癒すとは?

まずは「癒しとは何を指すのか」をあらためて整理しておきましょう。

インナーチャイルドを癒すとは:

POINT

  • 「幼少期のトラウマ」を治療する
  • 「未完の感情」を「未完の完結」に導く
  • 「人生脚本の書き換え(再決断療法)」を行う

この3つを行うことです。

つまり、「インナーチャイルドを癒す」とは、幼少期の経験の影響を和らげ、本来の自分を取り戻すことを指します。

 

②インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)とは?

心理学では、「子どもの頃の感覚・感情・記憶に共感し、感情移入できるほど癒しが深まる」と考えられています。

POINT

  • インナーチャイルドの癒しは、幼少期の自分に「深く寄り添える」ほど効果が高まる

大人でも、親身に話を聞いてもらえて深い共感を示してもらえると安心や落ち着きを感じられます。それと同じで、「子どもの頃の自分の気持ち」に大人の自分が耳を傾け、深い共感を示すことで、心に安心や落ち着きが広がっていきます。

それを行いやすくするために、子どもの頃の感覚に戻る技法を「退行」と呼び、専門家の催眠誘導を用いたものを「退行催眠」と呼びます。

退行とは幼児期の感覚、感情、記憶へ遡る精神状態をいいます。そして退行催眠とは、昔の過去の記憶や感覚に戻らせる催眠誘導を指します(年齢退行)。
引用元:大人も一瞬で過去に退行!退行催眠療法|Dream Art

退行催眠は「過去の心の痛み」にアクセスしやすくする技法であり、未完の感情を完結させる「インナーチャイルド・セラピー」と非常に相性が良い方法です。

インナーチャイルド・セラピーは、まさにこの「未完の完結」作業を応用したものです。…(中略)…未完の感情をそのまま引きずるのではなく、「今ここ」で完結(終わらせ、創り直す)ことが、インナーチャイルド・セラピーです
引用元:インナーチャイルド・セラピー|こころのこくばん

再決断療法とは、人生脚本、つまり幼児期に作った自分の決断に基づいて構成された人生のパターンの束縛から脱け出して、より自由で創造的な生き方をするために、チャイルドの自我状態に戻って、決断をやり直し人生脚本を書き換えて行く精神療法ということになります。
引用元:TA再決断療法とは?|こころの扉

このように、インナーチャイルド・セラピーは「幼少期トラウマの治療」「未完の感情」「人生脚本の書き換え」を同時に扱う心理療法です。

セルフケアがうまく進まないのは、「退行」という専門的なプロセスを一人で行うのが難しいためです。
だからこそ、専門家のサポートによって、癒しが安全に、深く、確実に進みます。

 

③ 良い心理カウンセラー・セラピストを選ぶために

インナーチャイルドの癒しは繊細な作業です。
どんな専門家にサポートしてもらうかによって、癒しの深まりに大きな影響を与えます。

ここでは、初めての方でも迷わず選びやすいように、やさしく3つのポイントにまとめました。

POINT

  1. インナーチャイルドや退行催眠の専門性があるか
  2. 丁寧に話を聴いてくれる「安心感」があるか
  3. 「依存させない」健全な関わり方をしているか

それでは、それぞれをくわしく解説していきます。

 

① その分野に詳しい専門家かどうか

ひとくちにカウンセラーといっても、得意分野はさまざまです。
インナーチャイルドの癒しを安全確実に進めるためには、退行催眠(年齢退行)やインナーチャイルドセラピーの豊富な臨床経験が必要です。

ホームページに以下が記載されているか確認しましょう。

POINT

  • 「インナーチャイルド」
  • 「退行催眠」
  • 「トラウマケア」

また、ホームページ掲載されている「インナーチャイルドに関連する記事」を事前に読んで、「期待感・興味・納得を感じられるか?」も重要です。

 

② 話しやすさ・安心感があるか

どれだけ技術や資格や経験があっても、
あなた自身が「この人なら大丈夫」と思えなければ、心は開きません。

心を開くには、「次のような感覚を感じられるか?」がとても重要です。

POINT

  • ゆっくりと話を聴いてくれる
  • 否定せず受け止めてくれる
  • 緊張が少しほぐれる感じがする

 

③「依存させない」関わり方をしているか

専門家の中には、相談者を必要以上に頼らせてしまう人もいます。
しかし大切なのは、あなた自身が「自分の意思で人生の選択をする」ことです。

次のような専門家は、あなたの成長をそっと見守ってくれるでしょう。

POINT

  • あなたの主体性を尊重してくれる
  • セッションの目的や方向性を説明してくれる
  • 「あなたのペース」を大切にしてくれる

反対に、以下に当てはまる場合は注意が必要です。

POINT

  • 必要以上にセッションを勧めてくる
  • 「自分だけがあなたを救える」といった表現がある
  • 不安をあおるような発言が多い

 

まとめ:心が少し「安心」を感じる人を選んでください

良い専門家と話すと、心が自然に「ここなら大丈夫かも」と感じます。
迷うときは、「話したときの感覚(安心感や心地よさ)」を信じてください。

必要なのは、あなたの心にそっと寄り添ってくれる存在です。
あなたのペースを尊重してくれる専門家を、どうか大切に選んでください。

 

④当社メンタル心理そらくもの「インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)」のご紹介

ここからは、当社メンタル心理そらくもで提供している「インナーチャイルド・セラピー」について紹介します。

心理カウンセラー寺井は、過去2000回以上の退行催眠療法の臨床実績を持ち、インナーチャイルドの癒しを専門としています。

当社メンタル心理そらくもが行う「インナーチャイルドセラピー(退行催眠療法)」は、「幼少期トラウマの治療」「未完の感情の完結」「人生脚本の書き換え」に同時に取り組めるため、生きづらさの根本改善に非常に効果的です。

インナーチャイルド・セラピーの効果を簡単にまとめると、以下のようになります。

POINT

  • 幼少期のトラウマを安全に癒し、自然治癒が進む
  • グルグル・モヤモヤする未完の感情が落ち着き、心が穏やかになる
  • 幼少期に身につけた人生脚本が改善され、新しい生き方ができるようになる

セラピー後は、特別な努力がなくても、生きづらさが自然と軽くなっていきます。

そして、心が軽くなると「やってみたいこと」「本当は好きだったこと」を自然と再び選べるようになり、自分らしい人生を取り戻していきます。

また、当社ではセラピー後のセルフケアも非常に重視しており、クライアント様の自宅でのセルフケアを無料でアフターフォローしています。

ここまでの内容に少しでも興味を感じた方は、専門家の協力を得ることが適している方かもしれません。

 

第5章:あなたに適した「インナーチャイルドの癒し方」は?
― アダルトチルドレン(AC)タイプ別アプローチ ―

7つのインナーチャイルドタイプを表すイラスト

この章でわかること

  • あなたが幼少期に身につけた「家庭内の役割(ACタイプ)」がわかる
  • その役割がどのように「現在の生きづらさ」へつながっているか理解できる
  • タイプ別に適した「インナーチャイルドの癒し方」の方向性がつかめる

第1章でお伝えした通り、インナーチャイルドが傷ついたまま成長すると、大人になってからも「人間関係・自己肯定感・感情の扱い方」に影響が及ぶことがあります。
このような状態を、心理学では「アダルトチルドレン」と呼びます。

そして、この「生きづらさ」は人によって異なります。
その理由は、幼少期に「どんな家庭環境の中で、どんな役割を担って生きてきたか?」 がそれぞれ違うためです。
そのため、インナーチャイルドの癒し方も人によって異なります。

アメリカの心理療法家「ウェイン・クリッツバーグ」は、「子どもが家庭の中で担った役割の違い」をもとに、アダルトチルドレンの傾向を「アダルトチルドレンタイプ」としてまとめました。

なお、「アダルトチルドレンのタイプ(インナーチャイルドのタイプ)」は、主に以下の「7タイプ」です。

POINT

  1. ヒーロータイプ(英雄役)
    家族の期待に応えるために頑張り続ける優等生。明るく優秀に見える一方で、挫折に弱く自己否定が強くなりやすい。
  2. スケープゴート(身代り役)
    家庭のトラブルを背負い、問題児扱いされやすい。しかし本当はとても優しく繊細。
  3. ロストワン(いない子)
    存在感を消し、感情を抑えて過ごすタイプ。静かだが、内面は創造的で感受性が豊か。
  4. クラウン・ピエロ(道化・おどけ役)
    家庭の不和を笑いで取り繕うムードメーカー。明るいが、悲しみや怒りを抑え込みやすい。
  5. ケアテイカー(世話役)
    家族の世話を担う「小さな看護師」。優しく面倒見が良い反面、過干渉・おせっかいになりやすい。
  6. イネイブラー(支え役)
    自己犠牲で家族を支えるタイプ。尽くしすぎてしまうため、相手の依存心を強めてしまうことも。
  7. プラケーター(慰め役)
    聞き役に徹する「小さなカウンセラー」。共感力が高いが、他人に振り回されやすい。

幼少期の自分が「生き抜くために家庭で身につけた役割」を知ることは、自分に適した「インナーチャイルドの癒し方」を見つけるうえで、とても大切なヒントになります。

 

簡単チェックリスト(3問)

以下の3つの質問は、あなたの中に「インナーチャイルドが傷ついたサインがあるか」を確認するためのものです。
深く考えず、「なんとなく当てはまるかも」でチェックしても大丈夫です。

1.
2.
3.

1つでも当てはまった方は、以下の「アダルトチルドレン(AC)タイプ診断」を行ってみましょう。
あなたのアダルトチルドレンタイプを知ることで、「どんな癒し方が自分に向いているか?」がより明確になります。

アダルトチルドレン(AC)タイプ別:インナーチャイルドを癒し、新しい決断へ導くアプローチ
ACタイプ 幼少期の生存戦略(既存の価値観) 目指すべきゴール
(新しい決断)
優先すべきアプローチ
ヒーロー
(英雄役)
「完璧でなければ、愛されない」 「弱い自分」を無条件に受け入れる 頑張りを手放すセルフ・コンパッション、交流分析(再決断)による価値観の書き換え
スケープゴート(身代り役) 「問題を起こすことで、怒りや悲しみを誤魔化す」 怒りや悲しみの感情を素直に表現する ゲシュタルト療法(未完の感情の完結)、自己肯定感を育む内なる対話
ロストワン (いない子) 「存在を消せば、傷つかずに済む」 「自分の存在」を承認し、主体的に行動する 精神分析(抑圧された感情の認識)、内なる対話による「自己承認」の徹底
クラウン・ピエロ (道化役) 「笑いで場を取り繕えば、家族は安定する」 偽りの笑顔を手放し、素の自分を表現する 自分の感情の棚卸し、正直な気持ちを伝える境界線ワーク
ケアテイカー (世話役) 「他者を助けることで、自分の価値は証明される」 「不安な自分」に目を向け、他者に助けを求める 境界線ワーク(相手との距離感の調整)、過干渉を手放すセルフケア
イネイブラー (支え役) 「自分を犠牲にして家族を支えなければならない」 「自分を支える」ことで「自分を愛する」と決める 交流分析(自己犠牲の人生脚本の終結)、専門家による深いトラウマケア
プラケーター (慰め役) 「他者を慰めることで、自分は必要とされる」 他者の感情と自分の感情の境界線を引く 自分の感情の棚卸し、境界線ワーク(「No」と言う練習)

わかりやすい質問形式なので、3分ほどで確認できます。

 

第6章:インナーチャイルドを癒すとどうなる?
― 「期待できるプラスの変化」と「一時的な好転反応」 ―

インナーチャイルドの癒すと起きる変化を表すイラスト

インナーチャイルドを癒すことは、
心理学では「アダルトチルドレンが抱えやすい『生きづらさ』を根本から改善するプロセス
と考えられています。

特に「インナーチャイルドセラピー(退行催眠療法)」は、幼少期に抑圧した感情に優しく触れることができるため、「自己肯定感の向上・対人関係の改善・人生観の変化」といった多くのプラス効果が期待できます。

一方で、トラウマや心の傷に触れる過程で、「一時的に気持ちが不安定になる『好転反応』」が出る場合もあります。これは心が回復していく過程で見られる自然な反応です。

好転反応とは、体が正常な状態に戻るために起こる、一時的に症状が悪化したような状態になることです。

引用元:好転反応とは

ここでは、「インナーチャイルドを癒すとどうなるのか?」について、以下の「4つ」のテーマにわけてわかりやすく解説していきます。

POINT

  1. アダルトチルドレンを克服すると生まれる「5つの変化」
  2. インナーチャイルドセラピーの好転反応
  3. 心理カウンセラー寺井啓二の「AC克服体験談」
  4. インナーチャイルドセラピー利用者の体験談

それでは、順にわかりやすく解説していきます。

 

① アダルトチルドレンを克服すると生まれる「5つの変化」

インナーチャイルドが癒され、アダルトチルドレンの状態が改善していくと、人生のさまざまな面で少しずつ前向きな変化が現れます。
この変化は劇的に訪れるものではなく、じわじわと広がっていくものです。

アダルトチルドレンを克服すると生まれる変化」は、以下の通りです。

POINT

  1. 親や家族との関係の改善(怒り・わだかまりの緩和)
  2. 自己肯定感が高まり、自分を責めにくくなる
  3. 人間関係が楽になり、対人緊張が減る
  4. 「本当はどう生きたいか」が見えてくる
  5. 夫婦関係・子育てにおいて「悪循環を断ち切る力」が育つ

 

①親や家族との関係の改善(怒り・わだかまりの緩和)

未完了の感情が整理されるにつれ、親に対する怒りや罪悪感が軽くなり、必要な距離を保ちながら健全な関係を築けるようになります。

 

②自己肯定感が高まり、自分を責めにくくなる

「私はダメだ」「価値がない」——そんな思い込みがゆっくりと薄れ、ありのままの自分を認められるようになります。
幼い頃に身につけた「自分を責めるクセ」が、少しずつ「自分を許す」やさしいものへ書き換わっていきます。

 

③人間関係が楽になり、対人緊張が減る

人の顔色を気にすることが減り、「自分の気持ちを大切にしながら相手と関わる」というバランスが自然に取れるようになります。

 

④「本当はどう生きたいか」が見えてくる

幼少期に身につけた「生きづらい人生脚本」の影響が薄れ、「本当はこう生きたかった」という願いを叶える力が育ちます。

 

⑤夫婦関係・子育てにおいて「悪循環を断ち切る力」が育つ

健全な愛着スタイルを身につけることで、パートナーシップや子育てにおいて、無理なく愛情を伝えられるようになります。「同じ苦しみを次世代に引き継がない」という力が育つのです。

 

さらに詳しい内容は、以下の記事で解説しています。

 

② インナーチャイルドセラピーの好転反応

インナーチャイルドセラピーのあとに見られる「好転反応」は、「心が正常に戻ろうとしているサイン」とも言われています。

症状は、大きく「身体的な反応」と「心理的な反応」に分かれます。

好転反応に関するポイント」を以下にまとめます。

POINT

  1. 好転反応は回復のプロセスで自然に起こる
  2. 防衛機制が緩み、抑えてきた感情が表れることで生きづらさが改善する
  3. 身体的症状:眠気・倦怠感・疲労感など
  4. 心理的症状:落ち込み・イライラ・やる気が出ないなど
  5. 多くは1〜2週間で自然に落ち着き、長くても1か月ほど

だからこそ、辛い時は一人で抱え込まず、専門家を頼ることも大切です。

さらに詳しい内容は、以下の記事で解説しています。

 

③アダルトチルドレンを克服した心理カウンセラーが語る「AC克服体験談」

私(寺井啓二)は、現在はアダルトチルドレン克服の専門カウンセラーですが、かつては「自分自身もACで苦しんでいた」当事者でした。

だからこそ、克服に必要なプロセスを「経験」と「心理学」の両面からお伝えできますし、具体的なつまずきポイントも熟知しています。

以下では、私のAC克服プロセスを3つのステップに分けて紹介しています。

全体のストーリーは、以下の記事にまとめています。

 

④インナーチャイルドセラピーの体験談

体験談は、専門家の説明だけでは伝えきれない「リアルな感情の変化」や、「癒しのプロセスがどのように進むのか?」を知る手がかりになります。

当社メンタル心理そらくもの利用者様から頂いた体験談の中から、特に参考になる5つを紹介します。

 

第7章:まとめ

インナーチャイルドの癒しは、過去の傷と向き合いながら、「本来の自分」を取り戻すためのとても重要なプロセスです。

ときに痛みが伴う瞬間もありますが、あなたは決して一人ではありません。その気持ちを、大人のあなたが受け止めてあげてください。

セルフケア(ジャーナリング・内なる対話)でも、専門的なセラピーでも、あなたのペースで進めて大丈夫です。

過去の傷は、あなたが弱かった証拠ではありません。
むしろ、どれだけ一生懸命生きてきたかを示す大切な足跡です。

焦らず、ゆっくりでOKです。
あなたが踏み出す最初の一歩は、必ず「新しい未来」へとつながっています。

今日からできる最初の一歩

  • まずは、第3章で解説した「感情の棚卸し(ジャーナリング)」を、たった1行からでも始めてみてください。
    それが、長く抱えてきた苦しみを手放すための、最もやさしい最初の一歩になります。
  • 一人では難しいと感じた場合は、カウンセラーと一緒に取り組むことが安全です。
    お望みでしたら、心理カウンセラー寺井がお手伝いをさせて頂きます。

 

関連記事・関連情報

さいごに、本記事に関する関連記事を以下に紹介します。

是非、あわせてお読みください。

なお、本記事に関する関連情報は、以下のページでもまとめていますのであわせて紹介します。

以上、「インナーチャイルドの癒し方|自宅で取り組む『セルフケア』と専門家による『インナーチャイルド・セラピー(退行催眠療法)』を完全解説」という記事でした。

この記事を書いた人
寺井 啓二

「うつ、アダルトチルドレンの克服経験」を持つ「心理カウンセラー・心理セラピスト」。
自らの克服経験を世の中のために役立てたいと考え、2013年に「メンタル心理そらくも」を設立、代表を務める。
10年以上のカウンセリング臨床実績があり、「アダルトチルドレン、インナーチャイルド、うつ病、パニック障害、人間関係の生きづらさ、親子関係の悩み(毒親)、子育ての悩み、恋愛・結婚の悩み、中学生・高校生の悩み」などの相談を得意としている。

◆カウンセリング実績
・臨床実績:過去2000回以上
・男女比:男性40%、女性60%
・年齢層:中学生から60歳代
・来訪元:静岡、愛知など東海圏
     東京、神奈川など首都圏
     大阪、兵庫など関西圏
     海外在住の方

◆保有資格
・上級心理カウンセラー
・メンタル心理カウンセラー
・うつ病アドバイザー
・チャイルドカウンセラー
・家族療法カウンセラー
・セルフ・アクセプタンスカウンセラー
・EFT-Japan Level 1
・EFT-Japan プラクティショナー

“代表:寺井啓二の詳しいプロフィール”

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